.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#248 [桔妁]
 
二人はブンブンと首を横に振る。

「二人とも何も喋らないとは、似た者夫婦だな!!」

あはははと笑うその声も、稟としていて美しい。

天弥もつられて笑っている。


「ん?夫婦じゃないですよ!!??」

笑いで掻き消され、繭の必死な声は届かなかった。

⏰:08/01/09 15:44 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#249 [桔妁]
 


「…―ていうか、そもそも…この洞窟の噂って、なにがあるの?」

しばらく笑っている二人を見ていた繭がそういうと、旅人がまた、にっと笑った。

「なんと、村人なら知っているかと思ったんだがな!!…中々心を引かれる噂があるんだよ!!」

天弥の方をむくと、俺も洞窟については知らないと首を振った。

「それじゃあ私が話してやろうか。」


旅人は繭達としゃがみ込み、洞窟の昔話を始めた。

⏰:08/01/09 15:49 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#250 [桔妁]
 
「この洞窟はな、名前の通りの"鬼の道"なんだ。恐ろしい鬼の国への通路となっているらしい。

"何らかの事"をすれば、道は開けるらしい―…まあその"何か"は今調べようとしているんだけども…

そしてその道が繋がった瞬間、ふいに暗闇に包まれ……いつの間にか、意識を失っているんだ。


目を覚ますと…すでに鬼の国に着いてしまっているそうだ。

⏰:08/01/09 20:17 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#251 [桔妁]
 
目が覚めると、沢山のお墓の並ぶ太い道があるそうだ。そして、遠くからは鬼の鳴き声が。

そうして、お墓の並ぶ道を段々と道を進んでいくと……鬼の都を見渡せるという話だ。

家屋がところ狭しと立ち並び、人々が慌ただしく働く。…人々は鬼の配下のようだ。

それに目を向けていれば、お次は巨大な大蛇が鳴きながら高速で駆け抜ける。


だが、鬼の姿は見当たらないというのが不思議なところだ。」

⏰:08/01/11 23:34 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#252 [桔妁]
 
話が終わると、旅人はよっこらせと立ち上がった。

「私はだな、この洞窟の外に行ってみたいんだよ。」


澄んだ声でそういった。


「え、だって鬼の国行って帰ってこれるの?」

繭がそう言い、ムードは少々崩れたが。


「まぁ、この話があるということは帰ってこれたから伝えているんだろう?」

旅人が話を元に戻せば、口端をあげて微笑んだ。

⏰:08/01/12 14:23 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#253 [桔妁]
 
「そこでだ!…私と共に洞窟の外へと行ってみたくはないか?」

繭と天弥の二人は顔を見合わせた。そして旅人に顔を向けた。

「いいですよ!!」

「あ、今回は…やめときます。」


繭が断り、天弥は思わずポカンと殴った。

⏰:08/01/13 18:18 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#254 [桔妁]
 
何するのよ!!

「お前、普通そこは参加だろ?」

天弥はキラキラ輝く目をこちらに向けている。

繭は一瞬どもったが…


天弥の誘いはしつこいために、しかたなく。

「う-ん…。あたしは入らないけどね?」

承諾したのだった。



.

⏰:08/01/13 22:12 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#255 [桔妁]
 
―第8章―

 ――おばあちゃんの知人の
   蔵の奥から―


.

⏰:08/01/13 22:14 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#256 [桔妁]
 
――――――――



「繭が居なくなってからもう半年以上か?」

「…………。」


繭の居た現代では、両親が心配に心配をしていた。

母はやつれていた。


テレビでも、もうとっくに顔を見せる事はなく、その存在は、天弥と同様に世界から薄れていた。

⏰:08/01/13 22:18 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#257 [桔妁]
 
繭の捜査をする上で、両親は天弥の両親にも会っていた。

だが、全く情報はなかった。



天弥の友達は現在中学三年生である。

彼等の中からも天弥の存在は確実に消えつつあった。

⏰:08/01/13 22:21 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


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