.。改]恋愛成就の洞窟で。.
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#272 [桔妁]
 
こんなに綺麗な人なのだ。洞窟に恋するよりも、もっといい事があるだろうに。

「いや、私は旅人というか…書物におさめたくて来たのだが…。」

「そうなんですか…」

つまり、今の時代でいえば"駆け出しの作家"みたいな感じなのだろう。

すると旅人…もとい暁は立ち上がり、荷物を纏めた。

「天弥に伝えておいてくれ。…明日は寒いだろうから休んでくれと。」

⏰:08/02/05 11:46 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#273 [桔妁]
 
返事をする前に旅人は去って行った。


しばらくすれば天弥が出て来た。

「…ああ、暁さんね、うん。」

何かを一人で納得している。その姿はまさに生気が抜けたっていう感じで、見てて笑えた。


「んでも、天弥、急にどうしたの?暁さんが女だから何だっていうの……。」

はぁ、と繭はため息をつく。

⏰:08/02/05 11:51 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#274 [桔妁]
 
ため息をついたまま天弥の耳に、目を向けた。

赤い。赤いッ!!

そうか。と、繭はそこで全てを確信した。女の勘は鋭いものだ。

ことに、恋愛事となれば尚更である。

「そっかー、暁さんにしちゃったか♪」

⏰:08/02/05 11:54 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#275 [桔妁]
 
天弥は瞬間に目を見開いた。ほんの冗談(でもないけど)だったのに面白い反応。

確かにあの容姿では、女の私でも緊張してしまう。

笠に隠れていて今まで分からなかったが、そうとうな美人だった。



それは天弥が惚れてしまうのも無理は無いな、と繭は胸の内で思ってから、自室にこもった。

少し、苛立って。

⏰:08/02/09 15:34 📱:PC 🆔:1P02R/pA


#276 [桔妁]
 

――――
 
「部長ー。――吉原部長―!」

三年生の教室に、少し幼い声が響く。

吉原は教室の外から呼びかける柳園の方へ笑顔で向かった。

「部長、調べ終わりましたよ。」

そう言って柳園は資料を吉原に渡した。

⏰:08/02/09 15:40 📱:PC 🆔:1P02R/pA


#277 [桔妁]
 
「おお!沢山調べたね。」

そう言いながら、束になった資料をパラパラと見る。

と、ある写真の付いているページで手を止めた。

「二人の人間が神隠しに遭った村か…。成程、古い家屋ばっかりだね…。」

⏰:08/02/09 15:44 📱:PC 🆔:1P02R/pA


#278 [桔妁]
 
柳園はついつい首を傾げた。

部員なってもうすぐ一年が経つが、この男の目の付け所がいまいち分からない。

そんな柳園を見て吉原は微笑んで言った。

「今日の昼休みは部室集合だ。慶を呼んでおいてね。」

⏰:08/02/09 15:48 📱:PC 🆔:1P02R/pA


#279 [桔妁]
 
「はい、じゃあ七塚先輩は部長が声をかけるんですね。分かりました。」

部長の言いつけに素直に頭を下げて、柳園は教室を後にする。


吉原はそんな柳園を見届けた後、少し興奮気味に教室内の自分の席についた。

⏰:08/02/09 15:52 📱:PC 🆔:1P02R/pA


#280 [桔妁]
 


「それじゃあ、今日昼休みにまで皆に集まってもらったのは―――」

昼休み。吉原が声高々に皆にそうつげようとしたときだ。

「あの、部長。」

「なんだ?」

慶が口を挟んだことで、少し冷めた吉原。

「七塚センパイ、来てないんですけど。」

⏰:08/02/09 15:57 📱:PC 🆔:1P02R/pA


#281 [桔妁]
 
「――あ。呼び出し忘れてたよ…」

柳園は、くすくすと微笑む。

あの後結局柳園は七塚の所へ顔を出した。そして昼休みの事を話したのだが。

彼女は今日は用事があるからと言っていた。

だから今此処に来ることはないのだ。


それを吉原に話したときは、すごく安心した顔をしていた。

⏰:08/02/09 16:01 📱:PC 🆔:1P02R/pA


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