校内戦争
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#101 [ふむ]
「おい、あれじゃないのか?」
話を聞いていた神田が突然言うと、司は素早く神田の視線の先に目をやる。
見れば四人の男子が悠々とした態度でこちらに向かってきていた。
「おまえら!何処に行っていた!?」
怒りを顕にする司に四人は悪びれた素振りもなく歩いてきた。
:08/01/02 21:08
:N900iS
:☆☆☆
#102 [ふむ]
「おい!聞いて…」
「うっせぇよ!」
四人の内の一人…短髪でいかにも不良みたいな奴が司の言葉を遮った。
「何!?」
「テメェよぉ、さっきから何な訳?威張った態度ばっか取りやがって…あぁ?」
「おまえ…この状況がわかって言ってるのか?これは喧嘩じゃないんだ…殺し合いなんだぞ?」
司は喧嘩腰の相手に退けをとらない強気な口調で言った。
:08/01/02 21:16
:N900iS
:☆☆☆
#103 [ふむ]
司が言った瞬間、四人は大声で笑い出した。
「んなもん自分らで何とかするわ!」
「誰がてめぇの力なんざ借りっかよ!」
「俺らぁ好きにやらせてもらうぜぇ」
言うだけ言って四人は再び歩きだした。
皆の横を通り過ぎていく。
「待て…!おいっ!死にたいのか!?」
「てめぇの世話になるくらいなら死んだ方がマシかもなぁ?」
司の言葉に耳を貸さず、ぎゃはは!と笑い飛ばしながら歩を進める。
:08/01/02 21:25
:N900iS
:☆☆☆
#104 [ふむ]
「くっ…!」
通り過ぎていく四人を見て司は唇を噛んだ。
その時、神田が口を開いた。
「司…」
猛獣を前にした時に横の仲間に問い掛けるような、とても小さな声だった。
「司…司っ!!」
怒鳴るように言うとさすがの司も異変を感じたのか、四人から神田へ視線を送る。
神田は目を細め正面をずっと見据えていた。
「こりゃあ…まずいぜ…」
続いて信一の声も聞こえた。
:08/01/02 21:33
:N900iS
:☆☆☆
#105 [ふむ]
二人の目線を追うと、その正体が明らかになった。
―――――敵だ。
「ちぃっ…!」
恐らく一年であろう。
男子だけのようだ。
手には武器を持っていた。
特に目立つ武器は竹刀。
司は剣道場の荒れ様を思い出していた。
「女子は後ろへ下がれ!」
直ぐ様指示を出した。
ザッ…、と男子が前へ出る。
:08/01/02 21:38
:N900iS
:☆☆☆
#106 [ふむ]
「大変だなァ?ま、せいぜい頑張ってくれや」
後ろから短髪の声がする。
他の男子はすでに構えて司の指示を待っていた。
「頼む、手を貸してくれ」
敵に視線を送ったまま司が言った。
正直、このメンバーだけでも負ける気はしない。
ただ怪我を最低限減らすためにも数は多いに越したことはない。
「はっ、知るかよ」
嘲笑うかのように歩きだす音が耳に届いた。
「馬鹿め…」
呟くように低く言う。
言った時には、すでに足音は聞こえなかった。
:08/01/02 21:46
:N900iS
:☆☆☆
#107 [ふむ]
両軍は完全に対峙した。
どちらも動く気配はない。
最悪のタイミングに現われた敵に司は頭にきていた。
「どうする?」
同じく視線を敵に送りながら信一が訊いた。
「…逃げ場はない。さっきの四人が通った道は狭すぎて全員が逃げる前に叩かれちまう」
それを聞いた信一は深く溜め息をついた。
「やるしかないって訳ですか…」
「向こうが諦めてくれりゃいいんだが……どうやら、その気は無いらしい」
司の言葉が終わる頃には、敵はこちらに歩きだしていた。
:08/01/02 21:54
:N900iS
:☆☆☆
#108 [ふむ]
「いいか!負けた奴の骨は拾わねぇからな!!」
司は勢い良く言い放った。
士気を高めるためか、内容は変わったものだった。
「だが安心しろ!線香くらいは上げてやる!!やらなきゃやられる!!肝に命じとけ!!!」
信一と目があった。
笑っていた。
喧嘩の時が頭に巡る。
二人は頷き合った。
「テメェの血路はテメェで切り開け!!!」
ぴったり信一の声と重なった。
途端に辺りは気合いに満ち溢れた。
:08/01/02 22:03
:N900iS
:☆☆☆
#109 [ふむ]
両軍は中央で衝突した。
第一撃で負傷者が出た。
しかし片手であれば殴り倒し、武器があれば振り回し、両手をやられれば蹴り倒し…凄まじいものであった。
「くっ…そがぁぁあ!!!」
司の勢い良く振り下ろした金属バットが敵の後頭部に当たり、重い音とともに力なく地面に倒れた。
「はぁ…っ…はぁ…!っ…うらぁぁあ!!」
信一も負けじと金属バットを振り回す。
思い切り突きを繰り出して鳩尾(ミゾオチ)に当てると、よろめいた敵の顔に横薙の一撃を叩きこんで、一人倒した。
土煙が舞う乱闘の中で、勝機は三組に向きつつあった。
優勢になり始めたのだ。
:08/01/02 22:15
:N900iS
:☆☆☆
#110 [ふむ]
「ぐぅっ…!」
「がっ!」
「がはっ!」
ガスッ!ガスッ!ガスッ!という三つの低い音と立て続けに悲鳴が聞こえた。
三組の中でも司と信一は喧嘩が強い方だが、それを凌ぐ強者が現われたのだ。
「ぎゃあっ!」
どさり、とまた一人倒す。
無造作に転がった六人の屍の上に立ち尽くす修羅の如く一人の男。
―――神田であった。
ギロリ、と睨みを効かせると一年はびくりと怯んだ。
「ひぃ…っ!!」
「ひ、退け!退けぇ!!」
一年は散り散りになりながらも北館に引き返していった。
:08/01/02 22:23
:N900iS
:☆☆☆
#111 [ふむ]
「深追いするな!」
司の声に追撃は中止された。
「司…」
信一の言いたい事はわかっていた。
倒れている敵をどうするか、である。
「息のある奴も…放っておけ」
司の言葉に安心した表情を浮かべた。
「そのうち一年が引き返して助けに来るだろう」
:08/01/02 22:28
:N900iS
:☆☆☆
#112 [ふむ]
「怪我人は?」
信一に尋ねた。
「七人、傷だけだ」
信一の言葉にほっと胸を撫で下ろした。
骨折ならまだしも、傷だけなら軽いからだ。
「…死者は?」
司は真剣な表情で恐る恐る訊いた。
「いない」
司と目が合うとにいっ、と笑い信一は言葉を続ける。
「大勝利だな、大将!」
肩を叩きながら言った。
:08/01/02 22:34
:N900iS
:☆☆☆
#113 [ふむ]
「あぁ…」
司は複雑な表情を浮かべる。
「どうした?元気ねぇな?」
「まぁな…」
視線を倒れている一年に向ける。
「あぁ…」
その意味を察したのか、信一も表情を歪めた。
「理由はどうあれ、仕方ないにしても…俺たちは人を殺してしまった…」
:08/01/02 22:38
:N900iS
:☆☆☆
#114 [ふむ]
一人の一年に駆け寄って脈をとる。
腹部には刺し傷のようなものから流れ出ている鮮血がブレザーの下の白のワイシャツを紅に染めていた。
「脈は…?」
信一の問い掛けに司は首を振った。
「んな暗い顔すんなって!するなってのが無理かも知れねぇが…皆…同じ気持ちだ…。だから!リーダーの司が明るくしてくれねぇと俺たちもやりきれねぇよ!」
信一は肩に手を置いて精一杯笑顔を作った。
「ありがとよ…信一」
「よせよ水臭ぇ。友達だろ?」
:08/01/02 22:48
:N900iS
:☆☆☆
#115 [我輩は匿名である]
面白いよ完結させてね
:08/01/02 22:58
:N902i
:fctmpf0U
#116 [ふむ]
>>115さん
頑張ります。
自分の持つ文才を絞りだします!
:08/01/02 23:17
:N900iS
:☆☆☆
#117 [ふむ]
「さ、締めを頼むぜ」
司は頬笑んで立ち上がった。
「引き上げるぞ!」
いつも通りの声で司が叫んだ。
この時、耳を澄ませば遠くの方から音が聞こえていた。
大勢の声に様々な音が。
しかし、誰一人としてそれに気付く事はなかった。
司たちはその場を後にした…。
:08/01/02 23:29
:N900iS
:☆☆☆
#118 [мェ]
:08/01/03 00:52
:SH903iTV
:☆☆☆
#119 [ふむ]
>>118さん
ありがとうございます。
まだ一日目ですが…
:08/01/04 10:58
:N900iS
:☆☆☆
#120 [極]
ハマりましたぁ咐~
:08/01/04 13:28
:W51S
:☆☆☆
#121 [ふむ]
時間がとれずにレスに返事をするのがやっと…
でも今日更新します!
:08/01/05 11:15
:N900iS
:☆☆☆
#122 [ふむ]
辺りを警戒しながらも、校舎内に戻っていった。
司たちは慎重な足取りで非常階段を上がっていた。
他学年との遭遇を避けるためだ。
今は怪我人も出ているため、正直他学年との接触は避けたかった。
「静かだな…」
ぽつりと信一が呟いた。
今までの学校とはまるで違って、確実に人がいるにも関わらず、誰一人いないかのように校舎内は静まり返っていた。
:08/01/05 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#123 [ふむ]
「あぁ…。やっぱり皆嫌なんだよ…殺し合いなんて…」
司の言葉に信一は先程の光景が頭に甦ってきた。
司を見れば、同じく思い出したのか、眉を歪めていた。
「待っていろ」
司の指示に一同がぴたりと止まった。
三階に到着したようだ。
司はゆっくりとドアに近づく。
:08/01/05 20:47
:N900iS
:☆☆☆
#124 [ふむ]
素早く壁に張りつくと、頭だけを乗り出してガラス越しから内部を伺う。
しばらく真剣な目で様子を見ていたが、不意に、緊張した表情が消えるとガラスを何度かノックした。
「何してるんだ?」
司の行動に信一が独り言のように言うが、隣にいる神田はさあな、と首を傾げるのみだった。
しかし、興味ありげに見つめていた信一は、すぐにその行動の意味を理解した。
:08/01/05 20:54
:N900iS
:☆☆☆
#125 [ふむ]
中側から誰かがドアに近づいてきたのだ。
一瞬敵かと思ったが、司の行動からして自ら呼んだように見えたので指示通り動かなかった。
見れば、二組の男子であった。
男子はドアに近づくと鍵を開けた。
「驚かせんなよ。敵かと思ったっつの」
男子は扉を開けながら言った。
「悪い悪い」
司は振り向いて皆に指示を出した。
皆が中に入っていく。
:08/01/05 21:00
:N900iS
:☆☆☆
#126 [これって]
ばとろあのぱくり?
:08/01/05 21:04
:W51T
:mOHA.HYY
#127 [ふむ]
「何でまた非常階段なんかから…」
「怪我人が出てな。極力無益な戦いを避けたかったんだ」
「戦いになったのか!?」
「あぁ…」
司は表情を歪めた。
「…死者が出なくて良かった…それで、相手は?」
「一年」
淡々と言葉を連ねる司の両脇に信一と神田がやってきた。
:08/01/05 21:05
:N900iS
:☆☆☆
#128 [ふむ]
「違ぇよ。相手に死者は出たのかって聞いてんだよ」
司の表情を見て聞きにくそうに言ったものの、結局は声を荒げた。
「…あぁ」
「そうか…辛かったろ」
「それより、おまえらは?」
これ以上思い出したくないのか、司は話題を変えた。
「死者・怪我人無し。任務無事達成だ」
:08/01/05 21:09
:N900iS
:☆☆☆
#129 [ふむ]
「そうか…良かった」
司は安堵の表情を浮かべて胸を撫で下ろした。
「ただ…」
男子が頭を掻き困った表情を浮かべた。
「どうした?何か問題か?」
司は怪訝そうに眉を潜める。
「いや、それがさ…一組が遅ぇんだ」
その言葉に司は目を見開いた。
「何!?様子見は!?誰かに行かせたのか!?」
司は噛み付くように男子に言い寄った。
司の豹変ぶりに信一たちも驚いた。
:08/01/05 21:15
:N900iS
:☆☆☆
#130 [ふむ]
「ま、まだだ…遅いからこうして待ってんたんだ…」
男子は司の勢いに圧され、ハの字に眉を下げながら言った。
「馬鹿野郎!!敵と遭遇したかも知れないって考えなかったのか!?」
司は舌打ちをして信一に向き直った。
「俺ら三組以外は武器を用意せずに出発した。敵と接触したら面倒な事になっているはずだ…。確か一組は家庭科室だな」
「あ、あぁ」
「三組男子に急いで出発準備をさせろ!」
信一は早急に皆がいる使われていない教室に駆け込んだ。
:08/01/05 21:22
:N900iS
:☆☆☆
#131 [ふむ]
「悪かった…おまえが悪い訳じゃねぇのに怒鳴っちまって…」
司はバツが悪そうに男子に振り向いた。
「いや大丈夫だ…それより!俺らも連れていってくれよ!!ちょっとは戦力になるはずだ!」
男子は司に真剣な眼差しを向けた。
「…わかった。すぐに出る。急いで準備をさせてくれ」
男子は頷くと教室に駆け込んでいった。
:08/01/05 21:26
:N900iS
:☆☆☆
#132 [ふむ]
>>126さん
ぱくりではないでしょう。
確かに似ているように感じますが、よく考えると同じ場所はほぼないはずです。
似ていると言えば主人公たちが高校生なだけです。
設定、舞台、形式ともにまったくのオリジナルです。
:08/01/05 21:32
:N900iS
:☆☆☆
#133 [ふむ]
「司、収集できたぜ。指示さえあればいつでも出れる状態だ」
信一が教室から出て歩み寄ってきた。
「すまないな信一。あぁ、それとな、二組も連れていく事になったからバットを半分分けてやろう」
「わかった。四組は?」
「女子の護衛のために置いておこう」
司と信一は教室に入っていった。
司の後ろにいた神田は動かなかった。
窓に近寄り外を見る。
依然として軍人が学校を囲んでいた。
「…なんだ?さっきから胸騒ぎが…」
神田は司たちが戻るのを一人廊下で待っていた。
:08/01/05 22:23
:N900iS
:☆☆☆
#134 [ふむ]
「司、急ごう!」
二・三組の男子が教室から列を成して出てくると神田は司の前に走り出た。
「あ、あぁ…」
神田の様子に疑問を感じながらも司は頷いて二・三組連合軍に向き直る。
「今から南館一階つきあたりの家庭科室に向かう!戦闘になるかも知れない!皆、心してかかれ!!」
司の声が響いた。
一同の眼の内に、覚悟の色が宿った。
「…行こう」
踵返した司は神田と信一を一瞥すると歩きだした。
:08/01/07 14:13
:N900iS
:☆☆☆
#135 [ふむ]
「…どうした?」
心なしか、焦っているように見える神田に、司が目を光らせた。
早歩きにも、先に行こうとするスピードが見て取れる。
「…嫌な、予感がするんだ…すごく…嫌な予感が…」
司に目をやると、重々しく口を開いた。
「…その予感、当たる自信は?」
司は正面に向き直って歩を進める。
「ある」
「…こりゃあ…急いだ方がよさそうだな…」
司たち一行は、一段と歩調を早めて家庭科室を目指した。
:08/01/07 14:20
:N900iS
:☆☆☆
#136 [あい]
続き読みたいです

頑張って下さい

:08/01/08 02:06
:SH904i
:nxjeP2pc
#137 [ゆみ]
:08/01/08 14:31
:W43H
:TNnsY4tI
#138 [ふむ]
>>136応援ありがとうございます!
やはり応援されると嬉しくなりますね。
>>137安価ありがとうございます!
自分じゃなかなかやらないので助かります。
:08/01/08 16:12
:N900iS
:☆☆☆
#139 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
明日から余裕が出そうです
:08/01/09 02:34
:N900iS
:☆☆☆
#140 [ゆみ]
楽しみに待ってます!!
ちゃんと見に来ます☆
頑張って下さい♪
:08/01/09 22:28
:W43H
:bN3K3JuQ
#141 [もこ]
たのしみあげ

:08/01/10 12:36
:D704i
:b.kl4JU2
#142 [我輩は匿名である]
書いてください!!
:08/01/11 18:53
:V803T
:s6kZcyHE
#143 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
:08/01/12 00:47
:N900iS
:☆☆☆
#144 [もこ]
かくなら早くかけ
:08/01/13 23:46
:D704i
:US.ZRlFs
#145 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>144さん
残念ながら私にも生活があります。
急用があったりと暇ではなかったのです。
ここ数日更新出来なかったことはお詫びしますので、お待ちください。
:08/01/14 10:02
:N900iS
:☆☆☆
#146 [我輩は匿名である]
待ってました!!
楽しみにしてるんで頑張ってください!
:08/01/14 10:32
:V803T
:6ZZQsL1.
#147 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
司たちは最低限の注意を辺りに配りつつ、一階を目指した。
二階の階段を一気に下り、早くも一階に到達した。
突き当たりの家庭科室に向き直る。
不意に、司たちの動きが止まった。
皆が、目を見開いた。
「これは…!?」
そこには驚愕の光景が広がっていた。
…人が倒れていた。
血まみれの人間が何人も。
ある者は床にうつ伏せに倒れ、地面に血の海を作り…
ある者は壁に無気力に体を預け、鮮血を滴らせ…
またある者は深々と腹部に包丁を突き立てられ、鈍い輝きを放つ刄を血で汚していた。
そんな屍が道を築いていた。
道の先には、目的地の家庭科室があった。
:08/01/14 13:58
:N900iS
:☆☆☆
#148 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
見た限りでは、息のある者は見受けられなかった。
「司…こいつ、真吾だ…」
一人の遺体に近寄って、信一が悲痛な声をあげた。
見れば、一組の生徒であった。
無造作に横たわる変わり果てた友の姿に、一同は言葉を失った。
「相手は…三年か」
司は傍に朽ち果てている男の緑のラインが入った上履きを見て、判断した。
月城高校は学年別に上履きの色が違うのだ。
黙り込んで司たちが表情を歪めていると、男子集団の中から声が漏れた。
:08/01/14 14:13
:N900iS
:☆☆☆
#149 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「こいつ…一年だ…」
何処からか、呟くように聞こえてきた。
静まり返った空間の中では、その呟きは十分すぎるくらい辺りに響いた。
その言葉に、眉を歪めていた司の表情が一変した。
「そんな馬鹿な…!」
ありえない、といった様子で、ある一つの遺体に近寄る。
「こんな…馬鹿な事が…」
司の降ろす視線の先には、無惨にも首を掻き切られた男子生徒が横たわっていた。
すでに息はないその屍の足には、赤色のラインの入った上履きが履かれていた。
確かにそれは一年の物であった。
:08/01/14 14:22
:N900iS
:☆☆☆
#150 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「嘘だろ…まさか…」
「一体どうしたって言うんだ?司…」
愕然とする司に神田が近づく。
しばらく黙っていた司が、重々しく口を開いた。
「…最初に衝突し、三年を本気にさせたのは…何処の学年だ?」
「俺たち…二年だ」
「じゃあ…初めて死傷者を出したのは?」
「二年が一年を…」
「そうだ…つまり、一年と三年は二年に恨みがある。…俺たちは危険視されているんだ」
「そうか…三年は二年が自分たちに襲ってきた直後に、一年と二年が戦って一年に死者が出た情報が来た…二年を危険視するのも無理はない」
「一年は一年で二年に仲間が殺されたんだ…俺たちは要注意学年だろう…」
「それが…今後どう影響するんだ?」
「最悪の場合……俺たちは一・三年連合軍をまとめて相手をしなければならなくなる…」
:08/01/14 14:47
:N900iS
:☆☆☆
#151 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
二人の会話に、皆が黙り込んだ。
皆、理解し始めたのだ。
一ヶ所に三学年全てが集まるのは、皆無に等しい。
例えば、ここに仲の悪い三つの国があるとする。
そこで、二つの国が戦争を始めた。
すると残った一つの国は何をするだろうか?
もちろん、戦争を見ているのだ。
両国が潰し合って、弱った所を一気に叩く…そういう作戦をとるだろう。
しかし司たちのこの場には、三つの学年が集っている。
わざわざ『第三の国』が、両国の戦争に『自ら』参加したのだ。
考えられるのは一つ…
―――同盟であった。
:08/01/14 14:56
:N900iS
:☆☆☆
#152 [我輩は匿名である]
:08/01/16 02:53
:SH904i
:WAFXAw6g
#153 [ちぃ]
ホンマおもろぃ

楽しみにしてるんで、頑張って下さい

:08/01/16 15:49
:SH901iS
:FLPyz/gE
#154 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
しばらく黙り込っていた司が、ふと我に返る。
死体を目前にして、嘔吐感が込み上げてきたのだ。
慌てた口調で指示を出した。
「い、生き残りの確認を!まだ中にいるかもしれない!慎重に入るぞ!」
呆然としていた一同も、司の一言ですぐに意識が戻った。
各自、武器を持ち直して家庭科室への扉に近寄った。
屍が嫌でも目に入る道を慎重な足取りで歩を進める。
一つ、二つと死体を乗り越え、扉に近づく。
かなり多数の者が、放心状態になっていた。
先程すでに死体を見た三組と違って、二組の人たちは初めての体験に現実が飲み込めていないのだ。
明らかに動揺していた。
司の言葉がなければ、いつまでも動いてはいなかっただろう。
今でさえ、ただ司の指示に従っているだけなのだ。
今ここで、『走れ』と言えば走るだろうし『帰るぞ』と言えば素直に帰るであろう。
自分の思考を持たない状況であった。
:08/01/17 20:19
:N900iS
:☆☆☆
#155 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
後方から、何人かの呻き声が聞こえる。
おそらく司と同じくして、激しい嘔吐感に襲われたのだろう。
昨日までは平凡な高校生だったのだから、無理はない。
現に司は今も視界が霞んで見えた。
一度見たからといって慣れるものではない。
再び司に激しい嘔吐感が込み上げてきた。
:08/01/17 20:23
:N900iS
:☆☆☆
#156 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「司…大丈夫か?顔色、悪いぞ」
司の蒼白の顔を見て、心配そうに覗き込む。
「…あぁ」
「そうなるのも…無理はないだろうけど」
「おまえは…」
ふらつく足を進めながら、司は腹から声を出して言葉を切る。
「…ん?」
「…おまえは平気そうだな」
:08/01/17 20:27
:N900iS
:☆☆☆
#157 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
それを聞いた信一はふっと鼻で笑った。
「平気な訳あるかよ…痩せ我慢だっての。…実際はぶっ倒れそうだ」
「そうか…痩せ我慢が出来るだけ、すごい」
「ぶっ倒れていいなら今すぐ、遠慮なく倒れるけどな」
にやりと歯を見せる信一に、司が静かに笑う。
足を止めれば、開いた家庭科室の扉があった。
:08/01/17 20:31
:N900iS
:☆☆☆
#158 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
開け放たれた扉を前に、司たちは再び衝動に駆られた。
内部の悲惨さにだ。
あまりの驚愕の光景に、一同言葉を失っていた。
決して広いとは言えない教室内に、大量に飛び散った血が、壁を、床を、教室にあるあらゆる物を汚していた。
それより目に入ったのは、大勢のすでに息のない屍たちであった。
ざっと見て、三十人は超えていた。
死体に死体が重なっているのである。
誰もが生存者の可能性を否定しそうになった。
―――その時、何処からか呻き声が聞こえた。
:08/01/17 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#159 [ちぃ]
:08/01/18 16:07
:SH901iS
:0k78yh8c
#160 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
皆の動きが、一斉に止まる。
話し声すら消え去った。
しん、と静まり返る教室。
ごくりと音がして、生唾が喉を伝った。
目だけを動かして、辺りを探る。
出来るだけ音を拾うように、耳の神経を研ぎ澄ませた。
「……ぅ…」
聞こえた。
辺りにうめき声が、微かだが確かに響いた。
それは家庭科室独特の特殊な形状をしている机の数々の更に奥…
司たちとは反対側にある教室の片隅の机の影から、聞こえた。
「……っぁ…」
怪我をしているのか、苦しそうな声であった。
無意識に出ているに違いない。
いや、意識すら朦朧としているのかも知れない。
そうでなければ司たちの気配に気付かないはずがない。
武器を持つ手に力が入る。
司は、足を前に出した。
:08/01/20 12:59
:N900iS
:☆☆☆
#161 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
動きだした司に皆がついていこうとする。
それに気付いた司は立ち止まると右手を上げて制止させた。
「様子をみてくるだけだ…待機していてくれ」
体は正面のまま、首だけを後ろに向けて囁くような声を出した。
信一が代表して頷くと、視線で「気を付けろよ」と送る。
「大丈夫さ」
視線の意味を察してか否か、静かに微笑むと顔を正面へ戻した。
:08/01/20 13:07
:N900iS
:☆☆☆
#162 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
再び、歩を進めた。
息を殺して、ゆっくりと地面を踏みしめる。
物音を立てないように注意を配りながら前進していった。
数多の屍が司の行く手を阻んだ。
倒れている屍の隙間を探しては、その足場となるわずかな空間に静かに足を下ろした。
いくつも死体の山を乗り越えて、目的の教室の奥を目指す。
短い距離だが音を立てないように意識したため、時間が掛かってしまった。
ようやく、机が近づいてきた。
:08/01/20 13:19
:N900iS
:☆☆☆
#163 [春]
:08/01/23 13:10
:D903i
:☆☆☆
#164 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
申し訳ありません。
調子に乗って学校で携帯を弄っていたら(理由があるのですが)無実の罪で理不尽な理由を突き付けられた揚げ句没収されました。
Nでしか書けないヘタレですのでしばしお待ち下さい。
:08/01/23 21:09
:SH905i
:☆☆☆
#165 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
不意に、司の動きが止まった。
司の視線があるものを捉えたのだ。
――――人だ。
いや、正確には人の足であった。
机の影から、二人分の足が出ていた。
聞こえてくる呻き声に合わせて、時折動いている。
まだ、生きているのだ。
:08/01/24 19:47
:N900iS
:☆☆☆
#166 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ふと、司はある物に気付いた。
二人の履いている上履きのラインだ。
青色であった。
色褪せた上履きには青色のラインが入っていた。
二年か?…いや待て。
決め付けるのはまだ早い。
ここで飛び出して一年だったらどうする?三年だったら?
俺たちを欺くために履いているとしたら?
司は思いとどまった。
罠かも知れない。
それが頭を過った。
警戒するに越したことはないだろう。
司は金属バットを握り直した。
バットを持つ手にじわりと汗が滲む。
確認しようと、一歩を踏み出した。
その時であった。
:08/01/24 19:52
:N900iS
:☆☆☆
#167 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「わ…わあぁぁぁ!!」
突然、机の影から何かが飛び出した。
人間であった。
司に背を向けて座っていた二人ではない。
―――三人目だ。
司からは死角となる机の影に隠れていたのだろう。
司と同じ制服に身を包んだ男子は、叫びながら司に突っ込んできた。
「何っ…!?」
司は完全に油断していた。
いや、警戒はしていたのだ。
しかし、人数は二人、しかも怪我人。と無意識に決め付けていたのだ。
その僅かな油断が、反応を鈍らせた。
:08/01/24 20:01
:N900iS
:☆☆☆
#168 [下痢ら]
:08/01/24 20:12
:P902iS
:☆☆☆
#169 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
至近距離に居たため、一気に間合いを詰められてしまった。
猛然と迫る男子の手には、小型のナイフが握られていた。
キラリと鋭い輝きを放って、司を襲う。
「くっ…!」
間一髪といった所で、反射的に体が動いて何とか避ける。
刃先が脇腹を掠め、制服をわずかに切り裂いた。
司は、体ごと突っ込んできた相手の手首を器用に押さえれば、あまりの勢いに歯止めが効かなくなったのか、男子は簡単にバランスを崩した。
それでも体を立て直そうと前のめりの上半身を捻るが、足元の死体に躓くと豪快に転んでしまった。
:08/01/24 20:13
:N900iS
:☆☆☆
#170 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「ぐっ…!!」
かなり強く体を打ったのか、倒れた反動で男子の手からナイフがこぼれ落ちた。
司は相手より早くそれを拾い上げるとバットを振り上げた。
「ひっ…ひぃい!」
男子は両手で頭を庇い目を瞑ると、椅子を薙ぎ倒し死体を乗り越えながら大きく後ずさった。
司は這うようにして逃げる相手に間合いを詰める。
ふと、男子の様子がおかしい事に気が付いた。
体を縮こませらて、見てわかるくらい怯えていた。
浮言のように何かを呟いている。
見ていれば、ガタガタという音が聞こえてきそうなくらい小刻みに震えているのだ。
「殺さないでくれ…お願いだ…殺さないで…」
カタカタと震えながら、男子はぶつぶつと同じ事を繰り返していた。
「………」
司はバットを静かに下ろした。
:08/01/24 20:27
:N900iS
:☆☆☆
#171 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「裕也…?」
その光景を見ていた信一が、男子の顔を伺うように視線を送りながら口を開いた。
男子は依然として震えている。
目には涙さえ伺えた。
信一の声が聞こえないのか、かなり錯乱しているようだ。
「裕也?…裕也っ!」
信一は男子に駆け寄ると思い切り抱き締めた。
「嫌だ!やめてくれ!殺さないでくれ!頼む!!離せっ…離してくれ!」
男子は大声を上げると信一から逃れるように手足をばたつかせた。
信一はさらに抱き締める手に力をこめた。
「裕也!俺だ!三組の信一だ!もう大丈夫だぞ!助けにきたんだ!」
言うと、男子の動きが弱まった。
「…信一?」
男子は息を荒げながらも、ようやく目を開いた。
「もう安心しろ。おまえは助かったんだ…」
信一は安心させようと優しく抱き締める。
裕也と呼ばれた男子は糸が切れたように泣きじゃくり始めた。
「信一ぃ!…俺っ…殺されっかと思った…!」
:08/01/24 20:40
:N900iS
:☆☆☆
#172 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
その始終を見ていた者は、皆表情が曇った。
裕也の怯え方は尋常じゃなかった。
よほどひどい目に逢ったに違いない、と。
しばらく、沈黙が続いた。
裕也の啜り泣く声のみが、辺りに響いた。
「生き残りの…確認を」
重々しく口を開いた。
司の言葉に神田を含めた数人が教室内を捜索しだした。
司は裕也と信一を横目に見る。
だいぶ落ち着いてきたようだ。
その証拠に、信一と何度か言葉を交わしている。
「…大丈夫か?」
司が声を掛けると裕也の言葉に頷いていた信一が顔を上げた。
「何とかな…落ち着いてきたみたいだ」
「すまねぇ…な」
裕也がバツが悪そうに頭を下げた。
:08/01/24 20:49
:N900iS
:☆☆☆
#173 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
..続き
ってのが連続で見にくい!
ミスですね…
ともあれ休憩したらまた書きます。
:08/01/24 20:50
:N900iS
:☆☆☆
#174 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「あっちに二人…倒れてる。まだ、生きてるはずだ…」
裕也は信一に体を預けたまま、右手を上げ先程隠れていた机を差した。
「…残りは?」
信一の問いに裕也は眉を歪めると首を横に振った。
「そうか…」
「あいつら…いきなり現われて…」
裕也は思い出すように言うと、表情が強ばった。
「その時の事…詳しく聞かせてくれ」
司はその言葉に反応すると二人の近くに片膝を付いた。
「あぁ…」
裕也は深くため息を吐き、ぽつりぽつりと話し始めた。
:08/01/24 21:40
:N900iS
:☆☆☆
#175 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
二十分程前の事である。
丁度、司たちが野球部の部室から移動を始めた頃であった…
一組……裕也たちは家庭科室付近の廊下に待機していた。
家庭科室からは見えない、本館と南館を繋ぐ廊下であった。
実は、十分以上も前からここにいるのだ。
何故早く中に入らないのか。
それには理由があった。
閉めきられた扉の向こうである目的地、家庭科室にあった。
:08/01/24 21:48
:N900iS
:☆☆☆
#176 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
どうやら、先客がいるらしいのだ。
一年か、三年かはわからない。
どちらにせよ、最悪なことには変わりはなかった。
何にしても家庭科室には確かにいるのだ。
先程から、閉めきられた扉のスモークガラスにちらちらと黒い影が映っていた。
さらには耳を澄ませば話し声すら聞こえる。
どうするか…。
不意を突いて突入するか。
または諦めるか。
その二択で悩まされていた。
小声で議論を始めてから、かれこれ十分以上経っている。
:08/01/24 21:55
:N900iS
:☆☆☆
#177 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
これからどうするか、話し合いを始めた。
しかしこうしている間にも相手が出てきてしまうかも知れないのだ。
ゆっくりしている暇はない。
その焦りが、皆の思考回路を狂わせているのも事実であった。
お陰で、一向に話が進まない。
自分の意見を言って、実際にその通りに行動して全滅でもしたら…と、皆口をつぐんでいた。
「…突入しよう」
皆が右往左往している時、ようやくはっきりと意志を表示する者が現われた。
:08/01/24 22:05
:N900iS
:☆☆☆
#178 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
しかし、言ったは良いものの、意に反する者も出てきた。
「待て、よく考えろ。家庭科に先を越されたって事は、先にやつらに刃物類を取られたって事だ」
「確かに…このまま戦ったら確実にこちらの方が被害が大きいだろうな」
「司も無益な戦いは避けろって言ってたしな」
さらさらと反論を唱える。
しかし、ならば諦めるか、と言えば、否定派は言葉を詰まらせてしまった。
やはり下手に自分の意見が間違っていたら、と思うと意見を言えないのだ。
:08/01/24 22:09
:N900iS
:☆☆☆
#179 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ここで戦えば被害が出る…最悪の場合は全滅だ。
しかし、戦わなければ戻った所で仲間たちに何を言われるかわからない。
負け犬、臆病者、と罵られるのか。
あるいは司なら「よく無事で帰ってきた」と笑顔で迎えてくれるかもしれない。
:08/01/24 22:19
:N900iS
:☆☆☆
#180 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
どちらにしても、戦わない方が良いに決まっている。
しかし自分の「諦めよう」の一言で戦わなかったとしよう。
仲間の所に戻って臆病者扱いされた時、その矛先は誰に向くだろうか?
もちろん、「諦めよう」と言いだした自分であろう。
自分の発言で助かったくせに、一組の連中は他の組に味方するかも知れない。
そうなれば自分は学年を追い出されるだろう。
それは野獣がうろつくジャングルに裸で放り出されたようなものだ。
:08/01/24 22:20
:N900iS
:☆☆☆
#181 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
それを考えると、自分の意見を言えないのだ。
しかし、どんなものであろうと、行動を起こさない者に女神は頬笑まない。
焦りから冷静さを失っていた彼らには、それを見極めることは出来なかった。
そして、最悪の出来事が起こった。
:08/01/24 22:23
:N900iS
:☆☆☆
#182 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
今日は目が痛いのでこれで終了です。
見てくれている方、ありがとうございます。
:08/01/24 22:25
:N900iS
:☆☆☆
#183 [我輩は匿名である]
面白いです。
作者さんのペースで頑張ってください
:08/01/26 22:53
:V803T
:7gi9Y.5Y
#184 [我輩は匿名である]
:08/01/27 01:35
:W51CA
:v/7zddrU
#185 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
>>183ありがとうございます。
そう言ってもらえるのが何より嬉しいですね。
>>184安価ありがとうございます。
つい忘れてしまうので助かります。
:08/01/27 22:10
:N900iS
:☆☆☆
#186 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
突然、隊列の後方に騒めきが広がった。
議論を交わしていた先頭集団を含む最前列の者たちは、何事かと立ち上がる。
視線がそれを捉えた瞬間、皆、目を疑った。
自分たちのいる廊下の本館側に抜ける廊下の突き当たりに、一クラス分ほどの黒い集団が立ち止まって偵察するようにこちらを見ているのだ。
各自、手には武器のような物が伺えた。
話では、本館に行ったクラスはない…つまり、仲間ではない。
瞬時に、敵だと察した。
:08/01/27 22:25
:N900iS
:☆☆☆
#187 [我輩は匿名である]
:08/01/27 22:32
:SO902i
:0Qfk0p3w
#188 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「逃げろ!」
誰もが硬直状態にある時、不意に、誰かが叫んだ。
その言葉に、飛んでいた意識が戻ってくる。
同時に、底知れぬ恐怖心が駆り立てられた。
皆がわらわらと、蜘蛛の子の散ったように走りだした。
我先にと廊下を駆ける。
死にたくない、そう恐怖していた。
止まれば殺される。
今にも後ろから手が伸びてきて肩を掴まれるような、そんな感覚に陥っていた。
周りを見れば戦おうとする者はおらず、それが戦意を失わせ恐怖心を更に深くしていった。
:08/01/27 22:35
:N900iS
:☆☆☆
#189 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
戦意を喪失した者に残っているのは、逃げることであった。
仲間などに気を配っている暇はなかった。
とにかく逃げなければと、後ろから怒濤の如く押し寄せる足音から逃げるのに必死だった。
守らねばならぬ存在である女子でさえ、邪魔だと感じた。
一人追い越せば、そいつの死と引き換えに自分は死から遠退き助かる。
しかし一人追い越されれば死に近付き恐怖する。
『生』を巡って全力で駆けていた。
:08/01/27 22:44
:N900iS
:☆☆☆
#190 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
多数の足音と悲鳴が混沌する中を、裕也は走っていた。
不意に、前方を走っていた女子が転んだ。
巻き込まれるように二、三人が横倒しになる。
それを横目に見ながら、裕也はほくそ笑んだ。
俺のために死んでくれ。
無意識にそう思っていた。
生への執着心が生み出したその思考に、誰よりも裕也自身が驚いていた。
自分はこんな汚い人間だったのかと、葛藤した。
後方から響く足音に、はっと我に返る。
思考を吹き飛ばすように頭を振った。
裕也は倒れている集団の横を全力で駆けていった。
:08/01/27 22:55
:N900iS
:☆☆☆
#191 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「マジかよ…」
裕也が葛藤していた時、絶望すら伺える声が、隣から聞こえた。
その言葉の意味がわからずに横に目をやると、声の主であろう男子は光を失った目で、正面を見据えていた。
不審に思い自らも視線を正面に送れば、そこに立ちふさがっていた思わぬ壁に、思わず足を止めてしまった。
「嘘…だろ」
やっと出た言葉がそれだった。
:08/01/27 23:03
:N900iS
:☆☆☆
#192 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
いつの間に出てきたのか、その集団は先程の家庭科室から出てきていた。
その証拠に各自手には鈍い光を放つ刃物がしっかりと握られている。
そんな集団が、廊下を塞いでいるのだ。
しかも仲間の元へ行ける唯一の逃げ道である南館の階段さえも塞いでいた。
「ちっくしょおぉぉ!!!!」
一組の先頭の一人が、叫びながらバット片手に突っ込んでいった。
もはや覚悟を決めたのか、次々と男子の後に続く。
:08/01/27 23:13
:N900iS
:☆☆☆
#193 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「……ちっ」
裕也も鉄パイプを握り締める。
心臓が高鳴るのがわかった。
ドクドクと血液を送り出して全身に行き渡らせる。
手が微かに震えていた。
深く深呼吸をしてわずかに乱れた息を整えると、しっかりと正面を見据えた。
もう、怖くない…。
意志とは裏腹に震える足を前に出せば、裕也は敵陣へと消えていった。
:08/01/27 23:20
:N900iS
:☆☆☆
#194 [我輩は匿名である]
:08/01/28 08:15
:W51CA
:GXnLqWTY
#195 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「…そうか」
話の内容に表情を険しく歪めていた司は静かに俯いた。
「辛かっただろ…よく頑張ったな」
「何人も…やられた。俺たちは追いやられるように家庭科室に転がり込んだんだ…だけど、奴らも入ってきて…皆は残り少ない戦力で玉砕覚悟で戦った」
「それで皆は…」
信一の言葉に裕也は黙って頷く。
「…死んだ。俺たち三人だけが何とか隠れて生き残ったんだ…」
言い終えると裕也は再び震えだした。
表情がみるみるうちに凍りついていく。
蒼白の顔には恐怖が浮かんでいた。
「すまない。思い出させちまったな…」
司は一旦言葉を切った。
怯えている裕也をゆっくりと抱き締める。
「よく…生きててくれたな」
:08/01/30 22:00
:N900iS
:☆☆☆
#196 [
]
おもしろい

アゲ
:08/02/03 11:03
:D704i
:JjpTVdAM
#197 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「叫び声が…何人もの叫び声が耳から離れないんだ」
裕也は現実から逃げるように固く目を閉じる。
両手を耳に当てて一切の音を遮断した。
「裕也…」
信一は裕也を支える手に力を込めた。
「耳をつんざくような…悲痛な叫び声が…たくさんの人が目の前で殺されて行った…!」
「助けてくれ…あいつがっ…あいつがくる!」
信一の手に小刻みな震えが伝わる。
裕也が怯えきった様子で身を縮こませていた。
「…あいつ?」
今まで心配そうに眺めていた司が、その言葉に表情を歪めた。
「裕也、あいつって誰だ?」
司の声に反応を示せば、静かに顔を上げた。
乱れた精神を落ち着かせると、ゆっくり話し出した。
:08/02/03 14:09
:SH905i
:☆☆☆
#198 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「わからない…。ただ、わかってるのは一年ってことだけだ…。あいつは…人間じゃない…」
「…特徴は?」
「頭から返り血を浴びて…目についた奴から殺す…圧倒的な強さだった…何人もの男子をたった一人で倒していった…。真っ赤に充血した目…鬼のような形相……そして…」
裕也は言葉を切る。
苦しそうに目を細めると、言葉を繋げた。
「笑ってた…」
その内容に黙って話を聞いていた司は眉を歪めた。
「…笑ってただと?」
:08/02/03 14:17
:SH905i
:☆☆☆
#199 [ゆう]
この小説面白いです
最後まで頑張って下さいP
:08/02/06 21:44
:M-SKIN
:PZjO7AN2
#200 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
「馬鹿な…」
この理不尽な戦いを楽しんでいるとでもいうのか?
司はさらに表情を険しくした。
…注意する必要がありそうだな。
頭の中で思考を凝らした結果、好戦的という言葉しか浮かばなかった。
「…今日はもう終わりにしよう」
ぽつりと呟くと静かに立ち上がった。
辺りを一瞥してから口を開く。
「皆、引き上げだ。三階に戻ろう」
:08/02/06 22:06
:SH905i
:☆☆☆
#201 [ふむ◆s8/1o/v/Vc]
ゆっくりとした口調で言えば、皆がぞろぞろと家庭科室を出て行く。
見れば、皆、眉を寄せてバツの悪そうな表情をしていた。
大半が家庭科室からいなくなった頃、再び司が信一に向き直る。
「俺達もそろそろ行こう」
その言葉に信一は静かに頷くと、立ち上がった。
裕也を支えるように肩を貸しながら、扉に向かう。
司はそれを見ると室内を見渡した。
:08/02/06 22:12
:SH905i
:☆☆☆
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