Castaway-2nd battle-
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#152 [我輩は匿名である]
あげますヾ(^▽^)ノ
主さん頑張って(>_<)

⏰:08/07/16 18:29 📱:F705i 🆔:sedW7TlQ


#153 [◆vzApYZDoz6]



「ちょっと、行先にじーちゃんのアトリエがあったんじゃなかったの?」
「あったんだけど…ないわねぇ」

同時刻。

ハルキンらとは別行動で祖父の家に向かう予定だったシーナとリーザは、どういうわけか未踏の場所に立っていた。

「おかしいわねぇ…どう考えてもアトリエの近場ではなさそうだし」
「会長の悪戯じゃないの? あの人、そういうのよくやるじゃん」
「まさかこの事態でそんな事はしないと思うけど…」

無いとは言い切れない、と認めるわけにもいかず、リーザが視線のやり場を探すように辺りをもう1度見回す。

⏰:08/07/22 21:23 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#154 [◆vzApYZDoz6]
市街地のようで、高層ビルこそは無いものの、鉄筋コンクリートで建築された様々な建物がある。
リーザらは、その建物のうち1つの入口の前に立っていた。

外に視線を向けると、建物の合間を縦横に縫うように、平たく均されたアスファルトが敷き詰められているのが見える。
アスファルトは白線で縦に仕切られ、その仕切りの上を車輪を履いた文明機器が行き交っていた。
その脇を、人間が歩いている。

祖父の家は、山間部のアトリエに付随する形で構えている。
どう考えても、この場所はアトリエのある山間部ではなかった。

⏰:08/07/22 21:24 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#155 [◆vzApYZDoz6]
「…とりあえず、歩いてみましょうか」
「そうだね、ここがどこなのか分からないし」

と1歩踏み出してみたものの、どこをどう歩けばいいのかも分からない。

迷ってはいけないと思い、後ろにあるであろうゲートを回収しておこうと振り返ったのとほぼ同時。
謎の声に話しかけられた。

「なんとも懐かしい顔じゃな」
「!?」

声の主は、振り返った先にいた。
地面に設置されたゲートの上に、回収させんとばかりに立っている。

声の主は、老人だった。
歳にして70歳前後だろうか。腰は少し曲がり、顔には無数の皺があった。

⏰:08/07/22 21:25 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#156 [◆vzApYZDoz6]
スーツのズボンにヨレヨレのカッターを着込み、右腕には事務作業用の籠手を着けている。

たじろいでいるリーザと目が合うと、皺だらけの顔にさらに皺をよせて、大きな笑みを作った。
リーザが慌てて頭を下げる。
それを、老人が掌を前に出して制止した。

「畏まる必要はないわい。しかし懐かしいの…最後に顔を見たのは、4つか5つの時だったかの?」
「あの…私達は貴方を存じないのですが」
「ん、そらそうじゃな。姓はハルトマン、名はリカルドじゃ。どう呼んでもらっても構わんよ」

老人は言いながら深々と頭を下げる。
態度を見る限り、敵ではなさそうだ。

⏰:08/07/22 21:25 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#157 [◆vzApYZDoz6]
「では、ハルトマンさん。1つお訊きしますが、ここは一体どこなのでしょうか」
「うん? ハルキンから聞いておるだろう?」
「ハルキンから…ってあたしはそんな話知らないけど」
「何じゃ、何も聞いておらなんだか。あの悪戯者め」

仕方ないな、と、ハルトマンが片目を伏せながら、呆れたように苦笑する。
そしておもむろに地面のゲートを回収し、後ろの建物へ振り返った。

「おいでなさい。詳しくは中で、じゃ。茶ぐらい出そうぞ」

そう言って中に入っていくハルトマンを、リーザが一礼してから慌てて追い掛ける。
シーナもそれに続いて中に入った。

⏰:08/07/22 21:26 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#158 [◆vzApYZDoz6]
中は予想外に広かった。

ロビーでは普通に立っている受付嬢に笑顔をもらい、また奥に並んでいるデスクでは、何人もの人が電話に出たり資料を集めていたりと、場立ちのように慌ただしく動いていた。

そして、ハルトマンは誰かとすれ違う度に挨拶をされる。
ハルトマンもその度に笑顔で返していた。

もしかすると、ここは事務所か何かで、ハルトマンは所長なのかもしれない。
そんな想像がリーザの頭に浮かんだ。

階段を上り、廊下を進む。
一番奥の部屋の前で、ハルトマンは歩みを止めた。

「ここがわしの部屋じゃ」

⏰:08/07/22 21:26 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#159 [◆vzApYZDoz6]
案内された部屋は、ある意味ではリーザの想像を裏切らないものだった。

来客用のものだろう、柔らかそうなソファーと年季のある接待机が脇に置かれ、奥には大きな木製のシックデスクが1つ、置かれている。
まさに偉いさんの部屋、といった感じだ。

横の戸棚を見やると、トロフィーやら賞状やらが無造作に置かれている。
それを眺めていたシーナが、おかしな点を見つけた。

置かれている賞状やトロフィーの授与者名が全て、『歌箱市長 駆藤 悠登』となっているのだ。

「歌箱市長、かるとう、はると…? 待って、歌箱市ってことは…」
「そう、ここは地球じゃ」

⏰:08/07/22 21:27 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#160 [◆vzApYZDoz6]
「地球…なんで?」
「主ら、ハルキンに渡されたゲートを使ったじゃろう? あれは、どの目的地を選ぼうがここに来るようになっておる。そういう風にわしが作ったんじゃ」

ハルトマンは言いながら、回収したゲートを取り出す。
1メートル四方ほどの大きさで、フィルムのように薄く、それを筒状に丸めていた。
そのゲートをおもむろに、デスクの脇にあるゴミ箱へ無造作に突き立てる。

「これは一方通行の使い捨てでな…1度使うと、もう使えなくなる。それを使うということは…何か、あったんじゃな?」
「ちょっと待ってよ。ハルトマン、あんたは何者なの?」

⏰:08/07/22 21:28 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


#161 [◆vzApYZDoz6]
シーナが怪訝そうな顔をしてハルトマンに詰め寄る。
当然のように話を進めるハルトマンを、少し不審に思ったのだろう。

見ていたリーザが2人に割って入りシーナを制止した。

「止めなさい、シーナ。失礼でしょう」
「いや、構わんよ。そう言えば名前以外何も話しておらんかったな」

ハルトマンは来客用のソファーに腰掛け、向かいの席に手を差し出して2人に座るよう促した。

「お座りなさい。少し話が長くなる」

シーナとリーザが互いの顔を見合わせる。
リーザが遠慮深げに促されたソファーに腰掛け、シーナが少し肩を竦めながらそれに続いた。

⏰:08/07/22 21:29 📱:P903i 🆔:L4Q41k3c


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