Castaway-2nd battle-
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#224 [我輩は匿名である]
「うひゃー、出る出るまだ出る」

「シーナ、貴女ってば本当にもう……」

「見るからに怪しいのう、あいつら」

まさか偶然、結界に穴が空いたなんて事はないだろう。
事態は内藤らが思っていたよりも大事になってきていた。

というのも、船から下りてきた集団。
男女混合、全員が見覚えのあるラバースーツのような物を身に纏っている。

「街中であんな格好、あたしはできないね」

「そういう事じゃないでしょうに…あれはハル兄弟が着ていたものね」

「ウォルサーの肉体強化スーツじゃな。…それに…」

⏰:09/09/08 16:24 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#225 [我輩は匿名である]
中央にいる、その集団に指示を出しているらしい女に、ハルトマンは見覚えがあった。

細身の、しかし決して華奢ではない鍛えられた肉体。
黒すぎて青く見えるストレートヘアーが、闇の中で艶めいている。

タンカーから下りた集団の指揮を、セリナが執っていた。

「あやつは確か『7人』の生き残りじゃな…となると内藤が適任かのう」

「さっきからぶつぶつ言ってどうしたのよ?」

「それよりもあの方達、明らかにこちらに向かってきている気がしますが…」

⏰:09/09/08 16:25 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#226 [我輩は匿名である]
リーザが剣袋から刀を取り出し、鞘を左手に納め身構える。
同時にシーナも刀を手にした。

対して、散開しつつ徐々にこちらに歩いてくる敵集団。
半分程は様子を見ているのか動こうとしない。

「なんともやる気満々じゃの」

「まぁ、お帰り願える雰囲気じゃないのは確かねー」

「ハルトマンさん、お手並み拝見させていただきます」

「言うのう。言っておくが手助けはせんぞ?」

「あら、それはこっちのセリフよ!」

「では行くぞ。とりあえず全員倒すつもりでのう!」

⏰:09/09/08 16:49 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#227 [我輩は匿名である]
ハルトマンが駆け出し、2人の剣士がそれに続く。
対して身構える敵。数は6人。

「はっ!」

「それっ!」

リーザとシーナの抜き打ちで敵2人が地に臥せる。
続いてハルトマンの拳が1人の下顎を打ち抜き、その間に切り返し薙ぐ刃が2人を斬り臥せた。

この時点で6人いた敵は1人を残すのみ。
だが、最後の1人は笑っていた。

「ずいぶん余裕みたいねー」

「シーナ、残りの方が来る前に…」

「避けろ!!」

⏰:09/09/08 16:50 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#228 [我輩は匿名である]
ハルトマンの叫びに反応し、リーザが横に飛ぶ。
同様にシーナとハルトマンも回避。気付けば背中合わせに集まっていた。

3人を取り囲むのは、先程倒したはずの敵5人。
傷口から血を滲ませながら平然と立っている。
全員が薄ら笑いを浮かべていた。

「んんー…? もしかして全員レンサー?」

「どうやらそのようね。再生タイプかしら」

「なら、多少手荒くてもいいわけね!」

「おい、いかんぞ!」

⏰:09/09/08 16:51 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#229 [我輩は匿名である]
暫く戦いから離れていたからか、覇気余るシーナが衲咸する。
おかげで場の流れが変わり、シーナが向かった方向以外の敵が一斉にリーザとハルトマンに襲いかかった。

「言わんこっちゃないのう」

「リーザったら…」

「それに、奴らは再生するだけではないぞ」

⏰:09/09/08 16:51 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#230 [我輩は匿名である]
「今度は再生する暇なんてあげないからね!」

数メートルを二足で駆け、流れる視界に敵を捉える。
数は2人、左右に展開。近いのは左。

左の敵に肉薄し、ブレーキの勢いをそのままに体ごと水平に薙ぐ。
その一刀は敵の鼻先をかすめ空を切った。

そのままバックステップで距離をとる敵から、今度は右の敵に気を移す。
敵は地を滑るように間合いを詰め、流れるような動作で拳を突き出した。

予想よりも動きが良い。
久しぶりの実戦にしてはいささか血の気が多いが、これこそ本分だとシーナは肌で感じていた。

⏰:09/09/08 16:51 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#231 [我輩は匿名である]
口元に微かに笑みを浮かべながら、迫る拳を切り落とすつもりで剣を振るう。

「…!?」

だが肉を切る手応えは訪れず、代わりに刀身が弾かれるような感覚と鉄を打ったような音が聞こえた。

振るった剣に敵の拳ははね飛ばされはしたものの、切り落とすまでは至っていない。
それどころか、みるみるうちに手首についた傷が治っていく。

「再生…に、硬質化?」

シーナの狼狽に、右の敵が頬を歪ませる。
もう手首の傷は治っていた。よく見れば、その皮膚は僅かに鉛色の光沢を発している。
背後には左の敵がつき、同じく鉛色の拳を構えていた。

⏰:09/09/08 16:52 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#232 [我輩は匿名である]
「うーむ、厄介じゃのう…」

背中越しにリーザの気配を感じながら、ハルトマンは3人を相手にしていた。

3人とも、鉛色の四肢を繰り出してくる。
絶え間なく続く攻撃を弾きながら、ハルトマンはシーナの方を見た。

血気盛んに飛び出したシーナは、敵2人とパリングの嵐を演じている。
拳と刀がぶつかる度に、らしからぬ金属音が響いていた。

「向こうもか。レンサースキルは1人1つだったはずじゃが…これはやはり…」

目の前に迫る蹴りに切り返す。
拳ならず足も金属的な音を発し、大したダメージは与えられない。
むしろ殴った拳が痛かった。

⏰:09/09/08 16:52 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


#233 [我輩は匿名である]
「これは劣勢…でしょうかね」

ハルトマンとシーナがパリングの嵐を演じているのとは対照的に、リーザ側は静かだった。

リーザが相手にしているのは、最初に倒れなかった最後の1人。
その敵は、リーザの突きを素手で掴んでいた。

刀身を握り折られる前に、袖口に仕込んであった細剣で目を狙う。
不意をついたその一撃を、野性動物のような反応と俊敏さで避けて、敵はリーザと間合いをとった。

⏰:09/09/08 16:53 📱:P903i 🆔:jTdFI3VM


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