Castaway-2nd battle-
最新 最初 🆕
#72 [◆vzApYZDoz6]
>>71
半月も放置して本当すみません…w
ぼちぼち更新していこうと思います

⏰:08/04/03 13:56 📱:P903i 🆔:xEGH5/Ds


#73 [◆vzApYZDoz6]
白銀の視界に浮かぶ、漆黒の装甲。
無人のコクピット内で、液晶パネルが点滅する。
巨人が体を屈めて、腕を開くように、その巨躯で5人を守っていた。

誰も乗っていない巨人は沈黙したまま、尚も銃弾を弾き続ける。
雪煙の中で、無音でヘッドライトを光らせた。

乗れ、と。

ブロック「試させてもらう、とか言ったな?まぁ、ざっとこんなもんよ」
シーナ「…勝手に、動いてる…?」
フラット「装甲強化、音声による遠隔操作、自立行動可能なAIシステム…座席増やして自動操縦機能つけ足しただけじゃないんだな、これが」
ラスダン「…もっと早めに言ってほしかったな、それ」

⏰:08/04/03 14:50 📱:P903i 🆔:xEGH5/Ds


#74 [◆vzApYZDoz6]
「いや、まさか本当に戦闘になるとは思ってなかったしな…」
「バイクから降りて撃つ、ってのはセコいんじゃねーの?フォックスさんよぉ」

フォックスは目を伏せて小さく笑い、横髪をかきあげた。
ふわりと靡く金髪が、妙にリリィに似合っている。

「我が愛機のCIWSを退けるその装甲、そのヒトガタ…素晴らしいな」

「なるほど、堂々の無視か」

「ああ、すまない。どうにも好きな物には見境なくハマってしまう癖があってね」

「そんなの関係ないだろ」

「いい度胸もあるようだ。実に良い。…どうだね、私の元へ来ないか?」

⏰:08/04/03 14:54 📱:P903i 🆔:xEGH5/Ds


#75 [◆vzApYZDoz6]
「あんたは…グラシア側の人間なんだろ?そいつはちょっと無理な話だ」
「そうか…残念だ」

「……」

手を伸ばせば互いに触れられるような距離で会話を続けるジェイト兄弟とフォックスを、少し後ろでラスダン、さらに少し下がってシーナとリーザが見ていた。

3人とも、フォックスとオリオットへの警戒は怠っていない。
オリオットがレンサーであることは先刻のやり取りで分かっているが、フォックスもレンサーだとしたら至近にいるジェイト兄弟が危ない。
そして、その可能性は十二分にあった。

兄弟とフォックスから一番近い場所にいるラスダンが、静かに手首を丸める。

⏰:08/04/04 23:51 📱:P903i 🆔:26nYEW4A


#76 [◆vzApYZDoz6]
いざとなれば、袖に仕込んである特殊警棒で割って入るつもりだった。
それは後ろのリーザとシーナも同じ。

「あー…ところで後ろの彼女。オリオットの刀を持っていたのは君だったかな?」
「…?それがどうか…」

注意がシーナに向けられるのと同時に、ラスダンが警棒の留め具をはずそうと手をかける。
だが、動かそうとした指が途中で止まり、ピクリとも動かない。

反射的にオリオットを睨んだが、退屈そうに下を向いていてこちらに気付いていないようだった。

「今はオリオットは能力を使ってない。…かといって、私の能力でもないがね」

⏰:08/04/04 23:52 📱:P903i 🆔:26nYEW4A


#77 [◆vzApYZDoz6]
フォックスが悠然とラスダンの方へ向かってくる。
恐らくジェイト兄弟も同じ状態なのだろう、正面を向いたまま動く気配がなかった。

フォックスがラスダンの手首をつかみ、警棒の感触を確認する。
無言でラスダンを一瞥して、何もせず再びシーナの元へ歩きだした。
ラスダンと同様に動かないシーナの顎をつかみ、クイッと持ち上げる。

「ここで、この娘を殺すこともできるが…」
「!?」
「そんな卑怯な脅しをかけてまでして手に入れるべき人材でもなし…まぁ、縁がなかったのだろうな。私と君達は」

フォックスは顎から手を離し、何気なく腕時計を確認してリリィの座席に戻った。

⏰:08/04/04 23:52 📱:P903i 🆔:26nYEW4A


#78 [◆vzApYZDoz6]
フォックスがリリィのコクピットからラスダン達を眺めた頃に、ようやく体の自由を取り戻す。
だが、何もできなかった。
圧倒的なものを目の前にしたときのような、絶対的な敗北感があった。

「さて、ジェイト兄弟と言ったか。私は君達を気に入ってるし、そのバイクも気に入ってる。次に会うときは…敵になってくれるなよ?」

爽やかささえ感じる笑顔を浮かべ、リリィのエンジンをかけた。
オリオットがシーナを一瞥してリリィに飛び乗り、そのままリリィは雪原を駆けて去っていく。
クルサも見つからず刀も奪われ、それでも5人はただ睨むことしかできなかった。

⏰:08/04/04 23:53 📱:P903i 🆔:26nYEW4A


#79 [◆vzApYZDoz6]
去っていくリリィに舌を出すシーナをよそに、ジェイト兄弟は苦い顔で舌打ちをした。

「あの野郎余裕かましやがって…俺達の負けかよ」
「うーん、フォックスにオリオット、か。グラシア側の関係者っぽいし…2人とも悔しいだろうけど、帰って会長に報告しないと」
「…っ!」

兄弟が思わず反射的にラスダンを睨む。
ラスダンはそれを分かっていたかのように、毅然とした眼で睨み返した。
兄弟が力なく視線を落とす。これではただの八つ当たりだ。
情けない。

「いや、悪かった。早く戻らないとな」
「…悪かったね」

⏰:08/04/04 23:54 📱:P903i 🆔:26nYEW4A


#80 [◆vzApYZDoz6]
「なに、俺達は諦めちゃいねぇよ」
「会長に報告して、そんでからすぐに追いかけてやる。…さぁ、早く帰るぜ」

ラスダンに背を向けて、バイクのもとへ歩いていく。
恐らくこちらからフォックスに会うことはできないだろう。
だが、フォックスが『次に会うときは』と言っていた以上、向こうからやって来る可能性はある。

もしも。もしもまた、あのフォックスに会うことがあるならば。
兄弟の声が揃った。

「次、フォックスに会うそのときは…」
「…あの余裕ヅラをボコしてやらねぇとなぁ?」

⏰:08/04/04 23:55 📱:P903i 🆔:26nYEW4A


#81 [◆vzApYZDoz6]

「お姉ちゃん、どうなの?」

去っていくリリィに向かってひたすら『あっかんべ』のポーズをしていたシーナが、不意にリーザに話しかけた。
物思いにふけっていたリーザはそのまま少し考えて、口を開く。

「待っていれば向こうからやって来るでしょう?そのときに…」
「じゃなくて、あの刀はなんなの?」
「…そうねぇ…まだ確証が持てないし、確かめないと…」

うつ向いて、またさらに思案にふける。
現時点で何も分かっていないシーナは、心にあるもどかしさを口にできなかった。
それが表に出たのか、少し不機嫌そうに口をへの字に結んで眉根を寄せる。

⏰:08/04/04 23:55 📱:P903i 🆔:26nYEW4A


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194