Castaway-2nd battle-
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#62 [◆vzApYZDoz6]
ブロック「バイクにガスタービンエンジンなんて搭載するアホは俺達以外にはいないと思ってたんだけどなぁ」
フラット「ベースバイクはY2Kか?俺達はスカイウェイブだっつーのに…どこぞの金持ち技術オタク、って訳じゃ無いよな、流石に」

白狐が、トンネルからこちらへゆっくりと走ってきた。
やがて数メートルの距離を開けて相対し、巨人の文字通りのヘッドライトと白狐のカメラアイが睨み合う。
そこで初めて、白狐の背に運転手とは別の人間がしがみついている事に気が付いた。
白狐から飛び降りたその男の左手には、シーナとリーザには見覚えのある刀が握られている。

⏰:08/03/13 22:50 📱:P903i 🆔:O1YrPz6M


#63 [◆vzApYZDoz6]
シーナ「…その刀、なんであなたが持ってるのかしら?」
「譲ってもらったのさ。この刀を拾った奴からな」
シーナ「そう。その刀は私のものなんだけど」
「……お前はこの刀が何か知っているのか?」

男が鞘から刀を抜き、歩いてくる。
シーナもそれに倣って、刀に手を掛けた。
たがしかし。

「この刀は君のようなお嬢さんには危険だ」

体が動かない。
呼吸は出来るし、視線も動かせるが、それ以外のパーツが脳の指令を聞いていないように動かない。
男が、シーナの少し前で構えるリーザの横を通り過ぎる。
リーザも動かないあたり、シーナと同じ状況なのだろう。

⏰:08/03/13 22:52 📱:P903i 🆔:O1YrPz6M


#64 [◆vzApYZDoz6]
やがてシーナの目の前まで迫り、切っ先を首に突き付けた。

「さて…ここでお前を殺すこともできるが」
シーナ「…!」

薄皮が浅く裂け、シーナの首から血が滲み出る。
相変わらず体が動かないシーナは睨み付ける事しかできなかった。
男は冷ややかに鼻で笑い、刀を握る手に少しばかりの力を入れる。

「威勢はいいけどな。まぁ…縁が無かった、とでも…」
ブロック「おっと、ソロッと動くなよ」
フラット「切ったら斬るぜ?」

巨人がいつの間にか出していた両刃剣の刀身を、男の後頭部に突き付ける。

「おっと」

飄々とした男の声と同時に、微かに響く駆動音と無線音声。

『…動くな』

⏰:08/03/13 22:55 📱:P903i 🆔:O1YrPz6M


#65 [◆vzApYZDoz6]
兄弟が目だけ前にやる。
白狐の後部装甲から2対6門の機関銃がせり出していた。
左側の3門が巨人を、右側の3門がシーナとリーザとラスダンを、既に捉えている。
シーナに刀を突き付けた男に気を取られた、その刹那の間にバルカン砲を出した早さ。
バイクの性能以上に、操縦者の腕の高さが窺い知れた。
再び機械音声が響く。

『落ち着きたまえ。私達は君達を殺す目的で来た訳じゃない』

恐らく白狐のコクピットから外部スピーカーを使って話しているのだろう。
だが目の前の男が刀を突きつけているのに、殺す目的じゃないと言われてもにわかには信じ難い。

⏰:08/03/16 02:46 📱:P903i 🆔:qJhRwrcU


#66 [◆vzApYZDoz6]
『まぁ、とにかく下がるんだ』

君達が私達を信じられないのは分かる。
そう言いながら、操縦者がバイクから降りてきた。
戦闘の意思はない。そう示すかのように。

バイクから降りた操縦者は、一言で言って気高い印象を受けた。
すらりとした体型で、身長は高め。切れ長の目に鼻筋が通った、整った顔立ち。
左頬には星のペイントをしている。風に靡く金髪の長いストレートが、辺りの雪景色によく映えた。

刀を突き付けていた男も渋々退いた。と同時に、シーナ達の体に自由が戻る。
男は睨み付けるシーナを無視して刀を鞘に納め、操縦者の元へ歩いていく。

⏰:08/03/16 02:46 📱:P903i 🆔:qJhRwrcU


#67 [◆vzApYZDoz6]
「さて…一応自己紹介でもしておこうか。私の名はフォックス、といってもコードネームだがね」

見た目通りに気高い声で話す白狐の操縦者、フォックス。
その横で刀を持つ男がイライラした様子で腕を組んでいた。
フォックスと違いガッチリとした体格で、なかなか威圧感のある風貌を保っていた。

フオックス「彼はオリオット、同じくコードネームだ。さて…先刻は済まなかったね」

フォックスがさらに1歩前に出る。
あまりに無防備なフォックスを警戒し、ジェイト兄弟はハンドルを握る力を強めた。
しかしふと思い直す。相手は得物であるバイクを降りて無防備だ。

⏰:08/03/16 02:47 📱:P903i 🆔:qJhRwrcU


#68 [◆vzApYZDoz6]
そんな相手に対して、なぜこうも警戒しなければいけないのか。
こういう時はビビった方が負け。ジェイト兄弟は、今まで幾度も戦ってきた経験でそれを知っている。
力を抜き、2人同時に巨人から降りて歩き出す。
他の3人も慌ててそれに倣った。

フォックス「いい度胸だ。それでこそバイク乗り、というものだ」
ブロック「そりゃどーも。伊達に場数は踏んでないからな」
フォックス「これは君達のバイクかい?まさかリリィ以外に連動可変フレームシステムを取り込んだバイクが存在するとは…」
フラット「リリィ?」

フォックス「正式名称リリィ・ザ・スターフォックス。私の駆る、白い狐だ」

⏰:08/03/16 02:48 📱:P903i 🆔:qJhRwrcU


#69 [◆vzApYZDoz6]
ブロック「なるほど?それでコードネーム・フォックス、か」
フォックス「ご名答。…フォルムは人形か。なかなか素晴らしいものがあるが…試させてもらいたい」
フラット「…!?」
フォックス「リリィ!!」

フォックスがジェイト兄弟と向き合ったまま叫ぶ。
と同時に僅かな駆動音がした。

シーナ「まさか…」

僅かな駆動音は、すぐさまリリィが構える機関銃の回転音に変わる。
照準は5人に向けられて、高速回転する弾創から銃弾が発射された。

リーザ「まずいっ…!」

普通の銃弾なら刀で弾き落とす事もできただろう。
だが、相手はシーナやリーザが持つ刀など容易く千切り折る6門のバルカン砲。

⏰:08/03/16 02:49 📱:P903i 🆔:qJhRwrcU


#70 [◆vzApYZDoz6]
恐らく、どんな能力者でも防ぐのは難しい。
それでも防がなければならないが、その思考が邪魔をして動きが一瞬固まった。
その隙を見逃さず、銃弾が雪煙を撒き起こして5人に迫る。

ラスダン「やばっ…」

シーナ、リーザ、ラスダンが、思わず固く目を瞑る。
銃弾が自身に迫る刹那の最中。3人は確かに聞いた。

ブロック「ジェイトッ!!」
フラット「スペシャルッ!!」

目を瞑った暗闇の中で、ジェイト兄弟の叫び声を。
続けざまに、鉄と鉄のぶつかり合う重奏音を。

目を開けた先にいたのは、悠然と佇む兄弟。
そして、銃弾を防ぐ黒い巨人の姿があった。

⏰:08/03/16 02:50 📱:P903i 🆔:qJhRwrcU


#71 [我輩は匿名である]
あげます(o>_<o)
頑張って下さい(=^▽^=)

⏰:08/04/02 18:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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