【SSS】超短レス短編祭り!【飛び入り参加OK!】
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#154 [「君と魔法」向日葵(2/2)]
病室は狭かったけど、今の部屋の方がよっぽと狭いよね。
あちらへ行けば、一面お花畑なのかな?
どうしよう。
君の魔法、効かないよ。
ずっとずっと効いてたのに、効かないよ。
急に降ってきた雨みたいに、山奥にある滝のように、滴が頬に流れていく。
喉の奥が苦しい。息が出来ない。
君と笑い合った日々が、何故か次々に溢れてくるんだ。
いつか、そんな事あったなって、君の魔法が効く日がやってくるのかな。
それはそれで、寂しいな……。
:08/03/09 23:08 :SO903i :HufwFHOk
#155 [夕闇と少年(1/3)天音]
「ぼくはこの世界に絶望したよ。もう本当に、何もかもが疎ましくて無意味に思えてくる。今すぐに空を自由に飛び回る鳥を撃ち落としてやりたいよドチクショウ」
気づくと、ぼくは河川敷で夕日に向かいそう叫んでいた。叫ぶ前に何をしていたかは覚えていない。
ジョギングをしていた中年男性は驚いて振り返り、痛々しいものを見る目でぼくを見たあと足早に去っていった。
:08/03/10 00:38 :L704i :2fderNsg
#156 [夕闇と少年(2/3)天音]
ぼくは無意識のうちにごめんなさいごめんなさいと泣きながら謝っていた。
何故なら中年男性のぼくを見る目はぼくに折檻をする父にそっくりだったからである。
他人にみた父の面影に怯えるなんて。ぼくはぼくがますます嫌いになった。
:08/03/10 00:45 :L704i :2fderNsg
#157 [夕闇と少年(2/3)天音]
絶望しているうちに、ぼくはじわじわと夕闇に飲み込まれていった。怖くはなかった。闇にすっぽりと包まれると、安堵にも似た感覚に侵された。そのいいしれぬ安堵感に、ぼくはまだ見ぬ母の姿と永遠の眠りを垣間見た気がした。
そんな、夢をみた。
:08/03/10 00:55 :L704i :2fderNsg
#158 [我輩は匿名である]
ついてない。
あたしの今日一日は、その一言で表される。
朝から寝坊はするし、電車は混んでるし、上司には叱られるし、一人で残業させられるし……
そして極めつけが、これだ。
あたしは、会社の窓から雨が降りしきる町を見て溜め息をついた。
:08/03/10 01:19 :P702iD :jviBZqKc
#159 [我輩は匿名である]
……カサ、持ってきてたっけ?
持ってきてる訳がない。朝から忙しかったんだから。
何度目かの馬鹿らしい自問自答。繰り返すほど憂鬱になっていく。
……もう嫌だ。
残業なんてどうでもいい。上司にどう思われようと知ったことじゃない。
:08/03/10 01:20 :P702iD :jviBZqKc
#160 [我輩は匿名である]
帰ろう。
そう思い立って席を立とうとした時、
「三井?残業?」
って後ろから若い男の声が聞こえた。
……ああ、この声はよく知ってる。
同期で入社した男、大野の声だ。
3レスじゃこれが限界ですたww
:08/03/10 01:21 :P702iD :jviBZqKc
#161 [◆vzApYZDoz6]
>>158-160おkw
参加者&投下が増えてくれて主としては嬉しいが、読む暇がないorz
今から読みます
:08/03/10 03:52 :P903i :tHds.fh2
#162 [お題を全部使って(1/3)◆vzApYZDoz6]
都心部の駅から降りてすぐのところにある、スクランブル交差点。
人でごった返す横断歩道を渡った先に、私の勤めるオフィスがある。
今日も私は電車に揺られた後、その横断歩道を渡って仕事へ行く。
でも、あまり仕事に乗り気がしないのは、私が疲れてるからだろうか。
降り頻る雨。信号待ちの人混みの中で佇む私の体は連日の残業が祟ってひたすら重く、気分はあまり弾まない。
傘を差しながら憂鬱に青信号を待つ私の視線は、自然と地面を向く。
その時に初めて、足下に1匹の猫が居たことに気が付いた。
茶色と黒の駁模様が、コンクリートで固められた地面によく映える。
都会のど真ん中にも野良猫がいるのか、等と薄く考えていると、猫の首輪に目が止まった。
白い首輪。それが首輪ではなく首輪に結ばれた手紙である事に気付くのに、たいした時間は要らなかった。
ちょうど神社の木にくくりつけられてるおみくじのように、両端が結ばれている。
私の視線に気付いたのか、猫は私を一瞥して横断歩道へ踏み出した。
「あっ、まだ赤…」
私の不明瞭な呟きを掻き消すように、周りの人も歩き出す。
どうやら、たった今信号が青に変わったらしい。
人混みを掻き分けて歩く私は、気が付くと視線が数メートル先の猫を向いて、足は歩く猫を追っていた。
:08/03/10 15:36 :P903i :tHds.fh2
#163 [お題を全部使って(2/3)◆vzApYZDoz6]
どれくらい歩いただろうか。
同僚に会社を休む旨を伝えて、ずっと猫の後を追い続けている。
そこまでして私の体を動かすものは、好奇心に他ならない。
あの猫は一体どこへ行くのか。あの手紙を一体誰へ届けるのか。
そんな事を考えながら、時には狭い路地裏を通り抜け、時には電車にただ乗りしようとする猫を追って切符を買い、いつの間にか見知らぬ町に来ていた。
雨は、いつの間にかあがっていた。
周りを田圃や畑に囲まれた、舗装されてないために雨でぬかるんだ田舎道を、猫の後を追い続けて歩いていく。
やがて猫は道なき道へ。雑木林に入り、私の腰あたりまでの高さがある草むらを掻き分け、尚も進んでいく。
疲れは不思議と感じないが、そろそろ陽が傾きかけている。
早くしてくれないと終電に間に合わない、と現実的な事を考えている最中に、とうとう終着点に辿り着いた。
高い草むらを抜け出た先に広がるのは、綺麗な砂浜。丸まって座る駁猫が、地平線まで続く海を眺めている。
時刻はちょうど夕暮れ時。夕日が半分顔を出して、小さく揺れる水面にオレンジの光の道を作っていた。
「ここって…」
その静観な光景は過去に幾度か見たことがある。
遠距離恋愛中だった彼氏とは、お互いの家の中間に位置するこの海岸で会っていた。
肩を並べて静かに夕日を見ているだけで、堪らなく幸せだった。
彼氏は外国に留学して、今では殆んど連絡も取れていない。
たまに電話したりするけれど、どちらかが夜中になったりして手早く会話が途絶えてしまったり。
:08/03/10 15:36 :P903i :tHds.fh2
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