*柴日記*
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#510 [向日葵]
私は家族皆にあげたい。
この何ヶ月かのうちで、私は改めて家族の大切さを学んだ。
愛情の大切さを知った。
それを教えてくれたのは、柴であり、神田家の皆だ。
血が繋がってるとか繋がってないとかなんて、大した事じゃない。
その人達を思い、思われたなら、それはもう家族なんだ。
デパートで、それぞれのプレゼントを選ぶ。
少し浮き足だってるのは気のせいではないだろう。
その時、プレゼントを選んでいた椿の手が止まった。
何を見つめているのかと思えば、携帯を見ていた。
:08/08/19 01:18
:SO906i
:☆☆☆
#511 [向日葵]
「み、美嘉ちゃん、越ちゃん。私、ちょっと帰らせて頂きます……っ!」
深々と頭を下げると、こちらの返事も待たずに椿は走って行ってしまった。
「ね、美嘉の予想通り」
少し拗ね気味の美嘉に、私は笑う。
あの椿が走って行く程の相手。
恋の力は凄いなとつくづく思う。
「美嘉、ちょっと電話してきていい?」
「ハイハイ。そうやって皆友情をほったらかしにするんだねーっと」
:08/08/19 01:22
:SO906i
:☆☆☆
#512 [向日葵]
「電話するだけっ!」
私より背の高い美嘉の頭を一撫でして、お店から少し離れた場所で私は電話をかけた。
「もしもし、柴……?」
――――――――…………
年末は美嘉の為にパーティーしてよね!
とまだ拗ね気味の美嘉と別れた私は家へと帰っていた。
ハァ……と息を吐けば、一瞬白くなって消えていく。
しているマフラーで口元を隠す。
「えーつっ!」
その声に顔を上げれば、まだ少し遠くの家の前で柴が立っていた。
:08/08/19 01:27
:SO906i
:☆☆☆
#513 [向日葵]
「ただいま柴っ!ごめんね、寒い中待たせちゃって」
「大丈夫っ。ところでなんで外に出なきゃいけなかったの?」
私は門から中に入る。
柴は私の冷えた手を取って包みこんでくれた。
「柴、もうすぐ何の日か知ってる?」
「なんかって……まさか越の誕生日とか!?」
「アハハ!違う違う!もっと簡単よ」
柴は眉間にシワを寄せて考える。
そんなに難しい質問をした訳じゃないんだけどなぁ……。
:08/08/21 02:12
:SO906i
:☆☆☆
#514 [向日葵]
「クリスマスだよ。クリスマス」
「あぁ、なぁんだ」
私は柴が包みこんでくれてる手をソッと放して、カバンからラッピングされた袋を出した。
柴はそれを見つめながら目をパチパチ瞬きさせる。
「少し早いんだけど、メリークリスマス!」
「え!?俺に!?」
頷くと、柴は目をキラキラさせた。
急いで、でも丁寧にラッピングを開けていく。
「マフラーだ……」
:08/08/21 02:16
:SO906i
:☆☆☆
#515 [向日葵]
プレゼントに選んだのは、柴の瞳と同じ、灰色のマフラー。
一目でこれだと思い、買ったのだ。
「ありがとう!すっごく嬉しい!」
本当に嬉しいのか柴は満面の笑みを浮かべて、いそいそとマフラーを巻いた。
巻いてまたニヒヒと笑う。
「どう?似合う?」
「うん!もちろん!」
柴は歯を見せて笑うと、私の両手をキュッと握って目を細めて微笑んだ。
「俺は越に色んなもの貰ってるね」
:08/08/21 02:19
:SO906i
:☆☆☆
#516 [向日葵]
「そうかな……?」
「ここで拾ってくれたのが越で本当に良かった。越が俺に色々教えてくれて、与えてくれて、幸せ。俺の幸せは、全て越のおかげだよ」
それは、私が望んでいた事。
柴の幸せを、私が与える事が出来ますようにって。
柴、あのね……。
私は柴が巻いているマフラーの端っこをグイッと引っ張った。
当然柴は前のめりになる。
その唇に、そっと私の唇を押し付けた。
柴が驚いているのが分かる。
:08/08/21 02:24
:SO906i
:☆☆☆
#517 [向日葵]
そして離れる。
「柴、あのね……。私、柴が大好き……っ!」
やっと言えた。
この溢れる想いを。
柴は私から色々貰ったって言うけれど、私だって柴から沢山のものを貰った。
それが嬉しくて、そしていとおしい……。
柴は急な私のキスと告白に呆然としている。
いつも私が戸惑う立場だから、なんかいい気分。
「……初めてのキスは俺からが良かったのに……」
ようやく口を開いたかと思ったら、なんだか拗ねている。
:08/08/21 02:28
:SO906i
:☆☆☆
#518 [向日葵]
「そんな事勝手に決められても困るよ。さぁ、寒いから早く家に……」
と進みかけた私の腕を、柴が掴んで引き止めた。
かと思えば、そのまま柴の腕の中へ。
「俺も好き……。越が大好きっ!」
そう言われれば、素直に嬉しくて、ギュッと抱き返す力が強くなった。
しかし、私は忘れていたのだ。
こんな素直な反応を見せれば、柴が調子にのるという事を……。
「ねぇ越。気持ちを再確認したって事で、もう1回キスしていい?」
:08/08/21 02:33
:SO906i
:☆☆☆
#519 [向日葵]
身の危険を察知した私は、手の力を入れて離れようとしたが、柴の力には敵わず、腕の中におさまったまま硬直する。
「し、し柴……っ、私、早く家に入りたいなぁーって思ってんだけどなぁー……」
「だぁかぁら、キスしたら入ったらいいじゃない!」
あぁ……私なんであんな事しちゃったんだろう……。
軽く後悔し始めている私の事なんて露知らず。
柴は顔の距離を詰める。
「や、あの、えと、柴っ……」
「わぁー!雪降ってんじゃーんっ!」
能天気な声は空のものだった。
私と柴は反射的にサッと離れる。
空は庭に続く戸を開けて外を眺めていた。
そしてこちらに気づいた。
:08/08/21 02:39
:SO906i
:☆☆☆
#520 [向日葵]
「あれ、越姉帰ってきてたんだ。ってか何してんの?こんな寒いとこで」
「や、お姉ちゃん達も雪降ってきたから嬉しくなっちゃって……っ!」
「あ、ちょっとお姉ちゃん聞いてよ!柴があたしに敵うのはゴリラだけとか言ったのよー!!」
桜もヒョイと顔を出す。
そして苺も同じように顔を出す。
まるでトーテンポール。
「だって桜って女の子っぽくないんだもん。俺のタイプじゃないね」
「あたしだってアンタみたいななよっちいのタイプじゃないから安心してっ!」
:08/08/21 02:44
:SO906i
:☆☆☆
#521 [向日葵]
まったくこの2人は……。
ああ言えばこう言う。
まぁケンカする程仲が良いって言うけどさ。
「ホラ、愚痴なら家に入ってから聞くから!さっさと入ろう!」
私は柴の背中を押す。
柴もどこか不服そうな顔をしながら黙って私に従って歩き出す。
その背中を見ながら思う。
これからも、この家で、この家族で、柴と共に時間を過ごせると思うと、胸の中が温かくなる。
柴も、そう思ってくれてるって思っていいんだよね?
大切な家族。
それ以上に大切な存在。
:08/08/21 02:49
:SO906i
:☆☆☆
#522 [向日葵]
この楽しい時間が永久に続きますように……。
柴、これからもずっとずーっと、大好きだよ……。
*柴日記*-fin-
:08/08/21 02:51
:SO906i
:☆☆☆
#523 [向日葵]
*あとがき*
柴日記、これにて終わりでございます

応援して頂いた皆様、アドバイスを下さった皆様、本当にありがとうございましたm(__)m

同時進行でとても遅い進行具合でしたが、なんとか書き上げる事が出来ました


もう1つの物語、柴日記の中にも出てきました、越の友人・椿と、その婚約者・要のストーリー、「ギンリョウソウ」も制作途中ですので、見て頂ければ幸いです(o^-^o)
本当にありがとうございました


向日葵
:08/08/21 02:56
:SO906i
:☆☆☆
#524 [向日葵]
:08/08/21 02:58
:SO906i
:☆☆☆
#525 [向日葵]
番外編*苺日記*
:08/08/28 03:45
:SO906i
:☆☆☆
#526 [向日葵]
神田家の三女、苺、満4歳。
天真爛漫で神田家の癒し系アイドル。
今回はそんな彼女を少し覗いてみましょう。
「苺、いーちーごっ。起きろよ」
朝はいつも兄である空のモーニングコールで起きる。
まだ眠い目をこすって必死に起きようとする姿は可愛らしい。
「……そらくんおはよー……」
「うんおはよう。早く降りて来いよ」
空はそう言って先に朝食へ向かってしまった。
残された苺は、いつも一緒に寝ているお気に入りのパンダのぬいぐるみに可愛らしくおはようのキスをしてベッドから降りる。
:08/08/28 03:51
:SO906i
:☆☆☆
#527 [向日葵]
階段を降りて、リビングに着けば、美味しそうな匂いが部屋を満たしていた。
「おはよう苺」
苺と入れ替わりで出ていきすれ違いざまに頭をひと撫でし、洗面所に向かう桜。
神田家の次女で、気が強いがしっかりしている。
そして苺は台所から現れた人物を見て目を輝かす。
その人は苺に気づくと、優しげな微笑みを浮かべた。
「えつおねえちゃんっ!おはようっ!」
「ハイおはよう。今日は早く起きれたんだね。偉い偉い」
神田家の長女、越。
:08/08/28 03:56
:SO906i
:☆☆☆
#528 [向日葵]
共働きの両親に変わって家事と兄弟の事を面倒見ている彼女。
優しくて苺が大好きな姉だ。
越は抱きついてきた苺を抱き締めると、椅子に座らせて手際よく朝食の準備をする。
そして越の背後には、いつもべったりとくっついている人物がいた。
「ちょっと柴!準備出来ないから離れて!」
「えーやだー」
越の恋人である柴は、家の前にいたのを越に拾われた。
拾われた当時に、越から色々聞かされたが、幼い苺にはあまり理解は出来ず、とりあえず仲良くしなきゃならないとだけは分かった。
:08/08/28 04:02
:SO906i
:☆☆☆
#529 [向日葵]
「苺と仲良くご飯食べてて!」
渋々といった感じで、彼は苺のすぐ隣の席に座った。
それをじーっと見ていた苺に気づいた彼は、自分達とは違う色の目を細めて柔らかく微笑む。
「おはよう苺。さ、食べよっか」
苺には、何故自分達と色が違うのか分からなかったけれど、その色がとても温かい色に見えたし、何より苺はこの柔和な空気をまとっている柴が大好きだった。
にへーっと笑った苺は、柴と口をそろえて元気に「いただきます」と言った。
―――――――――…………
「じゃ柴、苺の事よろしくね」
:08/08/28 04:07
:SO906i
:☆☆☆
#530 [向日葵]
柴が来るまでは越が苺の保育園の送り迎えをしていたが、今は柴に任せている為越は学校へ向かう。
ちなみに桜と空はもう行ってしまった。
「苺、じゃあまた帰ってきたら遊ぼうね」
「うんっ!」
「じゃ、行ってきます!」
とドアを開けようとした越の腕を、柴が引っ張る。
そして苺がいるのも構わず、越の額にキスをした。
「いってらっしゃい」
満足気に笑って手を振る柴の一方で、越は真っ赤になって「いってきます」と呟いて出ていった。
:08/08/28 04:12
:SO906i
:☆☆☆
#531 [向日葵]
それを苺はにこにこしながら見守る。
苺にはまだ恋愛関係というのは分からないが、越も柴も、お互いがお互い大好きなんだなぁとは思っている。
「さて苺、カバン持って行こうか」
「うん!」
小さな黄色い肩かけのカバンを持って、小さな靴を履く。
柴と手を繋いで、苺は仲良く保育園へ向かった。
柴の存在は女だらけの保育園では注目の的だ。
苺は少し自慢気になる。
「じゃあ、また迎えに来るからね」
:08/08/28 04:17
:SO906i
:☆☆☆
#532 [向日葵]
そのまま去って行こうとする柴を、苺はじーっと見つめる。
柴は瞬きを繰り返して「何?」と訊ねた。
「しばちゃん、いちごにはちゅーうってしてくれないの?」
大好きなものにはキスをする。
ただ彼女にはそれぐらいの認識しかなく、その1つの動作に様々な想いがこめられているかは知らない。
だから柴は少し照れるように口元を片手で軽く隠す。
「あのね苺あれはー……。ま、いっか。いってらっしゃい」
かぶっている黄色い帽子を取って、頭にキスを落とした柴は手を振って苺を見送る。
苺は嬉しそうに笑い、教室へと向かって行った。
:08/08/28 04:21
:SO906i
:☆☆☆
#533 [向日葵]
「いちごちゃん」
「あ、みよちゃんおはよーっ」
苺の1番の友達だ。
可愛らしい星がついたゴムで高く2つにくくられている。
「いちごちゃんまたあのおにいちゃんときたの?」
「うんっ!しばちゃんっていうの!」
2人は教室にある、ままごとセットで遊ぶ為準備する。
プラスチックで作られた包丁やまな板、マジックテープでつけられた野菜は、真っ二つに離れるように出来ている。
フリルがついたエプロンをつけて、本当にお母さんになったような気分になれば、何故か嬉しくなる。
もっとも、苺の場合は越を思い浮かべるが。
:08/08/30 03:09
:SO906i
:☆☆☆
#534 [向日葵]
「そのおにいちゃん、やさしい?」
「すごくやさしいよ!いちごだいすきなんだぁっ!」
満面の笑みで答える苺を、お兄ちゃんがいないみよは羨ましく思った。
だから言ってみる。
「じゃあ、こんど、みよもいっしょにあそんでいい?」
すると苺の笑顔はゆっくり消えていき、逆に眉を寄せ、口を真一文字にキュッと結ぶ。
「だめっ!」
「どうしてー?」
「ぜぇーったいだめなの!しばちゃんとあそんでいいのは、いちごとそらくんだけっ!」
:08/08/30 03:13
:SO906i
:☆☆☆
#535 [向日葵]
何故怒られたのか分からないみよだが、これ以上言ってケンカをするのは嫌だったので、口を尖らせて渋々「わかった」と呟いた。
それを聞いた苺は元の愛らしい笑顔を浮かべてままごとを始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「皆ぁー。今からお絵描きしますが、今日は、皆が大好きな人を描いて下さいねー」
子供たちは元気に返事をし、自分専用の道具箱からクレヨンを取り出した。
配られた大きい画用紙に、それぞれの絵を描き始める。
「いちごちゃんなにかくのー?」
「えへへ、ないしょーっ!」
:08/08/30 03:18
:SO906i
:☆☆☆
#536 [向日葵]
みよは「ふーん」と言って肌色のクレヨンを握る。
隣では楽しそうに、でも真剣に苺が絵を描く。
先生は皆の絵を見回っていた。
そして苺の絵を目に止める。
「苺ちゃんは何描いてるのー?」
先生が近づいていた事を知らなかった苺は気づくとすぐに絵を隠した。
だが小さな手では全ては隠れきれていない。
「せんせいみちゃだめっ!せんせいみちゃったら、しばちゃんたちにきょう、なにかいたか、いっちゃうでしょっ?」
「しばちゃん?……ああ、苺ちゃんとこの頃一緒に来るお兄ちゃん?」
:08/08/30 03:24
:SO906i
:☆☆☆
#537 [向日葵]
「うんっ」
「いいなぁ、あんなカッコイイお兄ちゃんで。先生も欲しいよー」
先生は軽い気持ちで言っただけだった。
しかし苺の表情は曇り、険しくなっていった。
「あげないもんっ!せんせいにしばちゃんぜーったいあげないもんっ!」
クレヨンと画用紙を持つと、苺は教室の隅へと行ってしまった。
先生は呆然としてしまう。
何故なら苺があそこまで怒ったのは初めて見たからだ。
いつもはおっとりとしていて、聞き分けのいい子なのにと、先生は苺を見る。
:08/08/30 03:29
:SO906i
:☆☆☆
#538 [向日葵]
苺はすっかり怒っているのか、こちらに背を向けてまた絵を描いている。
その小さな胸に、どんな思いを秘めているのか、先生は突然の苺の怒りに戸惑っていた。
苺は一生懸命絵を描いていた。
大好きな人を思い、その人の笑顔を思い浮かべ、喜んでくれるかとワクワクしていた。
その人に1番に見て欲しいから、先生にだって見せたくはないのだ。
先生は、1番大好きな人じゃない。
1番大好きなのは……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「苺が?」
:08/08/30 03:35
:SO906i
:☆☆☆
#539 [向日葵]
あっという間に時間は過ぎ、保育園に柴が迎えに来た。
「ええ。ちょっと怒らせてしまいまして……。私が原因だとは思うんですが、もしかしたら何かあったのかなぁって……」
柴は足元にいる苺を見た。
苺は拗ねるみたいに口を尖らせ、柴の足にくっついている。
「苺ちゃん、じゃあまた明日ね。さようなら」
しかし苺は挨拶をしなかった。
柴は少し困った顔をして、苺の頭を軽くポンポンと叩き、挨拶を促す。
少しからかうように、また先生が言った。
「さようなら言ってくれないと、柴お兄ちゃんは先生がもらっちゃうぞーっ」
:08/08/30 03:41
:SO906i
:☆☆☆
#540 [向日葵]
すると苺は先生を睨みつけ、目にうっすら涙を浮かべる。
「せんせいなんて、だいっきらいっ!」
苺は保育園を飛び出して行ってしまった。
「苺っ!すいません、失礼します」
柴は急いで後を追いかけて行った。
小さい子の足は思ったより早い。
なので柴は更に急ぐ。
転びでもしたら大変だと焦りながら。
そしてようやく捕まえる。
「コラ苺っ!先生にあんな事言っちゃだめだろっ!」
:08/08/30 03:45
:SO906i
:☆☆☆
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