*柴日記*
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#741 [向日葵]
一斉にかかってくる。
祐子は無意識にそれをかわし、一人ずつに攻撃をくわえていった。
祐子の口角が、不気味に上がる。

「よえーんだよ……。バーッカ」

逆上した女子たちは、また一斉に祐子に飛びかかった。
祐子も負けじと攻撃する。
しかし数が多すぎる。
体に何発も重い衝撃を受ける。

……数分後、決着はついた。
祐子の勝利。
荒い息を繰り返して、攻撃してきた女子たちは地面に崩れている。

祐子もボロボロだった。
もしかしたらどこかの骨が折れているかもしれない。

⏰:08/11/29 23:04 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#742 [向日葵]
壁を支えに、歩いて行く。

痛い。
けれどそんな事とは別に祐子は涙を流していた。
声を出して泣いてしまえば、やっぱり体は痛く、それ以上に胸が痛かった。
それでも息が出来ないくらい激しく泣く。

そして一瞬突き抜けた頭の鋭い痛みに耐えきれず、祐子はどさりと地面に倒れ込んだ。

――――――――………………

「祐子ちゃん……っ!」

再び目を開いたら、まず目に入ったのは翠と病院の天井だった。

「翠……ちゃん……」

⏰:08/11/29 23:09 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#743 [向日葵]
体か重い。
右を見れば点滴。
左を見れば、包帯が分厚く手に巻き付いていた。
巻き付いているのは手だけではなく、足が自由に動けないからして足もそれは沢山巻き付いているみたいだった。

「目を覚ましてくれて良かったぁ……」

翠はボロボロと涙を流す。
祐子はそんな可愛らしい母を見てフッと笑った。

部屋のドアが勢いよく開いたと思うと、父が息を切らせて入ってきた。

「祐子っ!大丈夫かぁっ!」

額に汗を浮かべている。
全力疾走で来てくれたのだろう。

⏰:08/11/29 23:14 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#744 [向日葵]
そんな二人を見て、祐子は嬉しくなったと同時に情けなくもなった。
失恋しただけでヤケを起こして、こんなにも心配をかけて。
自分は本当に駄目な奴だ……。

「ごめんね……。ごめん、二人共……」

涙が溢れる。
そんな祐子を父は優しく見つめ、柔らかく頭を撫でてくれた。
母は「良かった」と何度も繰り返し、涙を流しながら祐子の涙を拭う。

喧嘩をすることはよくない。
初めて祐子は思った。

一朗も、こんなに心配してくれてたから、祐子に喧嘩を止めてほしかったのかもしれない。

⏰:08/11/29 23:19 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#745 [向日葵]
*アンカー*
>>2-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>500-600
>>600-700
>>700-800

*感想板*
>>682

⏰:08/11/29 23:22 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#746 [向日葵]
ついそんな事を思ってしまう自分が、どうしようもなく情けない気がした……。







祐子の怪我は、夏休み中に治り、退院を迎えた。

何かを察した翠は、残り少ない夏休みを田舎の方で過ごさないかと提案してきた。

丁度そこには翠の母、つまり祐子の祖母と親戚が一緒に住んでいて、なんだったら遊びに行こうと言った。

祐子は悩まずに直ぐに行くと返事をした。

⏰:08/12/02 00:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#747 [向日葵]
一朗が家に来そうだったからだ。

現に、祐子の着替えを取りに帰ったりした時、翠が一朗らしき姿を何回か見たと言っていた。
一朗はもちろん、クラスメイトにも病院の住所は教えていない為、お見舞いに来るものはいなかった。

だから一朗も来なかった。
それでも、先生に聞けば教えてくれるだろうに……。

もう、どうでも良くなった……?

どちらにせよ、一朗と向き合える自信はなかった。

逃げたい。
今はそうしか思わなかった。

⏰:08/12/02 00:21 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#748 [向日葵]
田舎へ来て、古びた祖母の家の縁側で、祐子はぼんやりしていた。
回りは山と畑ばかり。
時々聞こえる畑を耕したり、遠くの山で聞こえるカラスの鳴き声は、時間がゆっくりと過ぎているのを感じさせた。

オレンジ色の夕焼けが柔らかい。
荒んだ心を段々と癒してくれる。

「なに感傷に浸ってんのよっ」

言葉と共に、背中を平手で思いきり叩かれた。
唐突の攻撃に祐子はむせる。

「なによ、さやか姉」

さやかは祐子の2つ上の親戚だ。

⏰:08/12/02 00:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#749 [向日葵]
姉御肌で、一人っ子の祐子はさやかを慕っていた。
さやかはニカリと笑うと、祐子の隣に座る。短パンで白く長い綺麗な足を投げ出す。
体にフィットしているタンクトップは、彼女の体を引き立てている。

「……別にそういう訳じゃ……」

「隠したって無駄無駄。ユウは分かりやすいんだから」

ユウとは、祐子のあだ名だ。

「そんな事ないよ」

「じゃあ当ててあげる。ズバリ、好きな人関係でしょっ!」

人差し指を立てて得意気に言う。
そんな元気なさやかとは反対に、祐子は大きくため息を吐いた。

⏰:08/12/02 00:32 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#750 [向日葵]
「あれ?違うの?」

「……。いいや、当たり」

「で、なんなの?翠ちゃんや圭ちゃんが心配してるわよ」

祐子は膝を抱え、目の前にある植木をじっと見つめた。

語ろうとして、口を開くもやっぱり閉じる。
それを何回か繰り返しながら、頭の中で色々と整理をしていく。

「あたしは、そいつの事を何も知らなかった。そいつにとって、あたしは多分一番大切な人なのに、そいつは何も言ってくれないし、教えてくれない……」

今、彼が何を思ってるかなんて分からない。

⏰:08/12/02 00:37 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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