よすが
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#147 [蜜月◆oycAM.aIfI]
駅員に教わった通りに二十分ほど歩くと、山道の入口が見えた。
「あー、ここだ!」
サトルが〈T山 山道入り口こちら〉と書かれた案内板を見つけて、歓喜の声をあげた。
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:08/04/09 23:16
:SH903i
:APNEtQ/Q
#148 [蜜月◆oycAM.aIfI]
案内板が立てられているものの、その先にある道は遊歩道のような歩きやすいものには見えなかった。
案内板に従って山道に足を踏み入れたけれど、やはり舗装もなく地面が剥き出しで、山道というよりはただのけもの道のように思えた。
――この道の先で、あたしは見つけられたんだ……。
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:08/04/09 23:17
:SH903i
:APNEtQ/Q
#149 [蜜月◆oycAM.aIfI]
:08/04/10 01:11
:SH903i
:eoZecOgw
#150 [蜜月◆oycAM.aIfI]
昨日サトルがコピーしてくれた記事には、あたしが発見された詳しい場所が記されていた。
頂上に続く道から少し逸れた森の中に、あたしは倒れていたらしい。
「ハイキング日和だねー、今日は!」
サトルは無邪気にこの散策を楽しんでいるようだ。
跳びはねるように坂道を登ったかと思えば、木の幹や枝に触れてみたり。
都会育ちのサトルにとって、こんな自然の中で新鮮な空気を吸うことは珍しいのかもしれない。
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:08/04/11 01:59
:SH903i
:WPZmRcek
#151 [蜜月◆oycAM.aIfI]
かくいうあたしも、この町に住んでいた頃のことは何も覚えていないのだけれど。
――でも……なんとなく、なんとなくだけどここは、
……懐かしい。
そう感じた。
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:08/04/11 02:00
:SH903i
:WPZmRcek
#152 [蜜月◆oycAM.aIfI]
山道に舞い散った落ち葉を踏み締める靴の音、道の両脇を埋め尽くす木々の匂い、そこら中に生えている草花の手触り、風に吹かれた葉と葉のざわめき。
それら全てが、あたしの記憶を呼び起こそうと訴えかけて来ているような気がする。
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:08/04/11 02:01
:SH903i
:WPZmRcek
#153 [蜜月◆oycAM.aIfI]
あたしはサトルの後ろを歩いていた。
彼の足取りには迷いが無く、あたしはただその足跡だけを追いかける。
時折、あたしの方を振り返って他愛のない言葉をかけてくれるサトルの姿に、これがただのハイキングならどんなに楽しいだろうか、と思わされた。
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:08/04/11 22:28
:SH903i
:WPZmRcek
#154 [蜜月◆oycAM.aIfI]
そんな楽しい気分とは裏腹に、朝から感じていた胸騒ぎは大きくなる一方だった。
もしこれが記憶の戻る予兆であれば、今のあたしにとっては喜ぶべきことである。
しかし、そうではない、という確信のようなものが、あたしの心の中にあった。
この先に、あたしの生きる行方を狂わせてしまう何かが待ち構えている気がして仕方なかった。
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:08/04/11 22:29
:SH903i
:WPZmRcek
#155 [蜜月◆oycAM.aIfI]
どれぐらいかかっただろうか、一つ目の分かれ道に辿り着いた。
随分歩いた気がしたけれど、まだまだ先は長いようだ。
分かれ道の真ん中に、〈山頂まで6km こちら〉、〈休憩所 こちら〉という二つの案内板がそれぞれ逆の方向に向けて立てられている。
目的の場所を指し示す案内板に従って、あたしたちは足を進めた。
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:08/04/11 22:32
:SH903i
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#156 [蜜月◆oycAM.aIfI]
「結構辛いね、坂道が……」
サトルが息を切らしながら、あたしを振り返る。
「うん、足場も悪くなってきたね」
上へ上へと登るに連れて、だんだんと道が悪くなってきている。
岩や石が埋まっていたり、木の根が縦横無尽に延びていたりで、平らな場所など一つもない。
大低の人は、さっきの休憩所を目的地にしているのだろう。
だんだんと周囲が鬱蒼としてきて、道幅もかなり狭くなった。
まだ夕方でもないのに、生い茂った葉のせいで辺りは薄暗い。
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:08/04/11 22:47
:SH903i
:WPZmRcek
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