・・万華鏡・・
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#287 [果樹]
私はそれ以上何も言えなくなり、お父様の部屋を出て自室に戻ってベッドに伏せた。
「婚約者なんていらないのにっ・・・!」
また頬を涙が伝った。
――――――――・・・・
「よろしかったら僕と一曲踊っていただけますか?」
:08/06/10 05:04
:P902iS
:☆☆☆
#288 [果樹]
まただ。
きっと婚約者候補だろう。
さっきからダンスの誘いがひっきりなしにくる。
私は壁の花で充分なのに。
「ごめんなさい。私、気分が優れないので失礼します」
相手に軽く会釈をして、椅子から立ち上がると私はテラスに繋がる扉を開いて外の風にあたる。
:08/06/12 00:55
:P902iS
:☆☆☆
#289 [果樹]
「はぁ・・・」
パーティなんてつまらない。
50人の婚約者候補・・・。
もう少ししたらお父様から紹介されるだろう。
抗うことは出来ない。
お父様のお言いつけは絶対。
私は結局自由にはなれないのね。
「おや?君はもしかしてつかさお嬢さん?」
:08/06/12 00:56
:P902iS
:☆☆☆
#290 [果樹]
名前を呼ばれたので声の主を探すと、タキシード姿の男の人がテラスの柵に寄りかかるようにして立っていた。
顔は月の光を背中に浴びているせいでよく見えない。
「そうですけどあなたは?」
「君の婚約者候補、とでも言うべきかな?つかさお嬢さん」
:08/06/12 00:59
:P902iS
:☆☆☆
#291 [果樹]
含みのある言い方をされて眉間に皺が寄るが、招待客なので無下には出来ない。
私はなるべく角が立たないように笑顔を作る。
「そうですか。本日はわざわざ足を運んで頂いてありがとうございます。それでは私はこれで失礼します」
長居は無用とばかりに踵を返して戻るところで、後ろから声をかけられた。
:08/06/12 01:01
:P902iS
:☆☆☆
#292 [果樹]
「ねぇもうちょっと話さない?」
「遠慮します」
と言いたかったけれど、中に戻ってもまたダンスの誘いが嵐のように来るだけなので、ここの方がまだマシだと思い、私はテラスでこの男の相手をすることにした。
・・・・・・・・・・・・・
「君の家は随分としきたりに煩い家のようだね」
:08/06/12 01:10
:P902iS
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#293 [果樹]
「古くからある旧家ですので、決まり事は絶対なんです」
男の言葉に貼りつけたような笑みを作る。
「ふぅん。しきたりを重んじる旧家か。自由なんか皆無だろうね」
「あなただって私と変わらないんじゃありません?」
男の言葉に私が問掛けると、男はクスッと笑いを溢す。
:08/06/12 01:12
:P902iS
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#294 [果樹]
「そうだけど。俺は自由が欲しくて逃げた人間だから」
「え?」
「俺たちの住む世界は窮屈で仕方がない。やれ習い事だ。やれ勉強だと縛られた中の自由しかない。それはまるで籠の鳥だ。だから俺は籠から逃げ出した。空をおもいっきり飛んでみたかったからね」
空をおもいっきり飛んでみたい・・・か。
それは何度私が願った、叶わない望みだろう。
:08/06/12 01:15
:P902iS
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#295 [果樹]
「君は逃げ出さないの?」
問掛ける男に私もクスッと笑みを一つ浮かべる。
「無理ですよ。連れ戻されてしまいましたから」
「自由が欲しくないの?」
自由?
そんなの欲しいに決まっている。
でも・・・。
:08/06/13 22:24
:P902iS
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#296 [果樹]
.
「自由が欲しいなら俺がくれてやるよ」
.
:08/06/13 22:26
:P902iS
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