・・万華鏡・・
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#151 [果樹]
そして開口一番に上條先輩は昨日のことを口にした。


「ごめんな写真のこと・・・。リカから全部聞いてん。きもいやんなぁ。あんなん見せられたら」

うつ向いているため、上條先輩の表情までは分からなかった。

でも声は、私の胸を締め付けるくらい切ないものだった。

⏰:08/06/04 02:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#152 [果樹]
「俺な、実は涼ちゃんのことずっと前から知っとってん」

顔を上げた上條先輩が軽く笑顔を作る。

「ずっと前から・・・?」

「せや。そやなぁ・・・もう一年くらい前やったかな?毎朝毎朝渡り廊下にいて、なんや幸せそーな顔して目ぇキラキラさせてる涼ちゃんが印象的やってん。せやからついシャッター押してもうた」

⏰:08/06/04 02:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#153 [果樹]
上條先輩はその時のことを思い出すように遠くを見つめて話す。


「俺な、自分が綺麗と思うたもんはカメラに納めな気が済まん質やねん。せやから涼ちゃんを見たとき迷わずシャッターを押してん」

上條先輩の目が私を捕える。

胸が早鐘を打つように高鳴っているのがわかる。

⏰:08/06/04 02:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#154 [果樹]
なんで?

なんでこんなにドキドキするの?


「それからやったかな?俺は毎朝渡り廊下に行ってん。そこには必ず涼ちゃんが居って、相変わらずキラキラした目ぇで滉太のこと見とった」

少し悲しそうに上條先輩が笑う。

⏰:08/06/04 02:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#155 [果樹]
「涼ちゃんは気付かんかったと思うけど俺、涼ちゃんに話かける前からずっと俺、渡り廊下で昼寝しててんで?」

白い歯を見せて笑う上條先輩はどこかやっぱり悲しみを纏っていた。

なんでこの人はこんな悲しそうに笑うの・・・?

「まぁ、涼ちゃんの目ぇはいつも滉太に向いててんから気付かんでもしゃーないんやけど・・・」

先輩はまたうつ向いてしまった。

⏰:08/06/04 02:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#156 [果樹]
「・・・正直羨ましかってん」

「え・・・?」

ぼそりと言った上條先輩の言葉の意味が分からず、私は聞き返す。

すると先輩は顔を上げ、ふっと笑って、ゆっくり口を開いた。

「あんなキラキラした目ぇで涼ちゃんに見られてた滉太が俺は羨ましかってん。いつのまにか、その目で俺を見て欲しゅうなった」

⏰:08/06/04 02:16 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#157 [果樹]
「せんぱ・・・」

語尾まで言葉が続かない。
体が震える。


「せやからあの日涼ちゃんに声かけてん。赤の他人で終りたなかったから」

先輩は相変わらず笑っている。

悲しそうに、辛そうに笑っている。

⏰:08/06/04 02:17 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#158 [果樹]
「毎日毎日涼ちゃん撮ってる間にいつのまにかあんなに溜ってしもてんなぁ」

上を軽く見上げて上條先輩は、ははっと自潮ぎみに笑いを溢した。

「ごめんな。嫌な思いさせて。写真は気味悪いやろから全部捨てる」

私に向かって真剣な顔で言う先輩。

先輩の手が私の方に延びてきたが、先輩は途中でその手をピタッと止めて、握り拳を作ると、だらんと下に垂らした。

⏰:08/06/04 14:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#159 [果樹]
先輩の顔を見るとなんだか眉間に皺を寄せて眉毛を垂らし、顔を歪めていた。

「せんぱ・・・」

「ほんまごめん!」

机から下りた先輩が私の言葉を遮って頭を下げて私に謝る。

「顔・・・あげてください」

私は、震える声でそれだけ言う。

⏰:08/06/04 15:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#160 [果樹]
「最後に一つだけ聞いてくれるか?」


顔を上げた先輩は私をじっとみて真剣な顔で言った。

私は首を縦に振るだけで精一杯だった。

でも先輩はそんな私をみて優しく、ふっと笑うと椅子に腰を下ろした。

⏰:08/06/04 15:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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