○アダムの唄○
最新 最初 🆕
#184 [紫陽花]
「そう言えば自己紹介してなかったわね」

思い出したように言った少女は真っ直ぐに、央里、傳の前に立ち薄い唇を開いた。

「私の名前は羽梶 ハルキ(ウカジ ハルキ)。チャームポイントはこの灰色の髪。あんた達のことは衛さんからの手紙で知ってる。宇峰 央里君と野胡瀬 傳君でしょ?」

⏰:08/09/13 18:14 📱:F905i 🆔:1P.Qublk


#185 [紫陽花]
央里たちは面食らったようにうなずくしか出来なかった。

衛の手紙のおかげで、本来自己紹介すべき央里たちは何も言う必要はなかったのだ。

「付いて来て。單柵村を案内するから」

そう言ってハルキは央里達に手招きをする。


これが灰色の髪を持つ少女、ハルキと出会った瞬間だった。

⏰:08/09/13 18:16 📱:F905i 🆔:1P.Qublk


#186 [紫陽花]
―――――――…………

―――――………

「でか……」

央里は言葉を失った。

ハルキに言われるまま付いて行き、木でできた“單柵村”と書かれた看板をくぐり抜けると、大きくどっしりとした樹が村の真ん中にそびえ立っていた。

⏰:08/09/15 15:19 📱:F905i 🆔:Yui8CdQQ


#187 [紫陽花]
「この木は何百年もここを守っているの」

段々と近づけば、その木の無茶苦茶なデカさが際立っていく。

「ふぁ〜。なんてデカさだ……」

その木の根元まで来たときに傳も感嘆の声を漏らした。

幹の直径が20メートルほどありそうな巨大な木に、驚くのも無理はない。

⏰:08/09/15 15:21 📱:F905i 🆔:Yui8CdQQ


#188 [紫陽花]
ハルキの説明では、この木が單柵村の中心部にあたり、その周りを円を描くように家や学校、役場などが建っているらしい。

「この木を中心に見て、北に役場。西に学校。南に図書館。東に村への入り口があるのよ。
そして、私が案内できるのはここまで」

「なんで?」

途中までハルキの話に相づちを打っていた央里は、キョトンとした顔で聞いた。

⏰:08/09/15 15:22 📱:F905i 🆔:Yui8CdQQ


#189 [紫陽花]
央里は、これからどうしたらいいのかハルキが知っていると思っていたので、ここで別れるなんて考えてもいなかったのだ。

「一旦、荷物を置きに家に帰るだけよ。まぁ話が聞きたいなら役場かどっかに村長がいるから探してみれば」

初対面だというのにサバサバとした口調で話すハルキは、どこか頼れるリーダーのような男らしい雰囲気を持っている。

少なくとも央里はそう感じるのだった。

⏰:08/09/15 15:23 📱:F905i 🆔:Yui8CdQQ


#190 [紫陽花]
それに、ここまで案内してもらっただけでも感謝しなければならない。

これ以上ハルキに迷惑をかけてはいけないと、央里は納得するしかなかった。

「じゃね」

そう言ったハルキは央里たちに背を向け、右手をヒラヒラと振りながら軽快な足取りで走り去っていった。

⏰:08/09/15 15:25 📱:F905i 🆔:Yui8CdQQ


#191 [紫陽花]
二人の目の前にそびえ立つ巨大な樹木。

さらにこの村はこの木を中心に構成されているとハルキは言っていた。

「とりあえず、あのハルキって子が言ったように村長さんを捜そうぜ。常識的に考えたら、挨拶もしなきゃだろ?」

体の前で手を組み、そのままゆっくりと腕を上げ、おもいっきり伸びをしながら央里が言った。

⏰:08/09/16 19:43 📱:F905i 🆔:eD2ujIn2


#192 [紫陽花]
「そうだね。じゃあ、北へレッツゴー……」

無理矢理テンションをあげたようなやる気のない返事をしながらも、いつもどうりの口調で傳は賛成する。

そして二人はあの大きな木に背を向けて北へと一歩踏み出した。

⏰:08/09/16 19:44 📱:F905i 🆔:eD2ujIn2


#193 [紫陽花]
―――――――…………

―――――…………

光のない、暗闇の支配するあの森とはうって変わって、單柵村の上空は雲一つない空の中にぽつんと浮かぶ太陽によって燦々と輝いていた。

コンクリートで舗装されていない道。

木造の家。

柔らかな風に揺れるピンクの花。

⏰:08/09/16 19:45 📱:F905i 🆔:eD2ujIn2


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194