○アダムの唄○
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#194 [紫陽花]
「こんな綺麗な場所があるなんて知らなかった」
人によって踏みならされた、少し広い道を歩きながら央里は感嘆の声を漏らす。
自分たちの住んでいた町とそんなに遠くないこの場所に、こんな村があったなんて央里は知らなかったのだ。
:08/09/16 19:46
:F905i
:eD2ujIn2
#195 [紫陽花]
「そりゃそうだよ。
特にこの單柵村の人々は表の世界から隠れるように生活しているからね……」
風になびく前髪を人差し指で整えながら傳が話す。
「なんで?」
:08/09/16 19:47
:F905i
:eD2ujIn2
#196 [紫陽花]
「單柵村のほとんどの人は“探す才”をもってる……」
その才を発揮できる役職といったらスパイとか探偵とか、いわゆる、影の中での情報がパートナーの仕事が向いてるわけ。
常に情報を味方としてるから、世界の裏事情をよく知っいるのも当然。
それ故に、命を狙われるし、才を悪用しようと企む者から拉致される可能性だってある。
:08/09/19 23:48
:F905i
:W2ZbM5co
#197 [紫陽花]
まぁ、それほど確実に依頼したことを探してくれるってことなんだけどね。
「なるほど……」
央里はウンウンと首を縦に振り、傳の丁寧な説明に相槌をうった。
「じゃあさ、もう一つ質問!!」
先ほどまで相槌をうっていた央里がいきなり空に向かって手を挙げ、まるで生徒が先生に質問するときのような格好をとる。
:08/09/19 23:50
:F905i
:W2ZbM5co
#198 [紫陽花]
「はい。宇峰君」
そんな央里のふざけたジョークに、生徒を指名する先生の真似をして合わせる傳。
「“ネイク”ってなんなんですかー?」
“ネイク”
それは何度となく央里、傳の両者を狙った謎の組織の名前。
だが、央里にその組織についての知識は全くと言っていいほどなかったのだ。
:08/09/19 23:51
:F905i
:W2ZbM5co
#199 [紫陽花]
「役場までまだ時間がかかるみたいだし、説明しとこうか……。ちょっと長くなるけど……」
手っ取り早く話すと“ネイク”は敵。
理由は僕達の最終目的である「地球滅亡回避」を邪魔しようとするから。
あちらさんは“運命を変える才”を持っている人物を消せば、「地球滅亡」を回避できなくなると考えたわけ。
だから僕、とゆーか央里は何度も殺されそうになったんだけど……。
:08/09/19 23:53
:F905i
:W2ZbM5co
#200 [紫陽花]
「ここまで大丈夫……?」
央里はゆっくりと縦に頭を動かす。
いつもの無口な傳の、饒舌な説明に、ただただ耳を傾けるしか出来なかった。
「じゃあ、話を続けるよ……」
ネイクは“三鬼心”と呼ばれるトップ三人と、下っ端の人間で構成されてる。
あっ、下っ端っていうのは最初に央里を狙った黒スーツの男のこと。
アイツら、黒スーツの男らは数え切れないほど存在する。
そしてトップとは今日出会った紅を含めて三人いるんだ。
:08/09/19 23:56
:F905i
:W2ZbM5co
#201 [紫陽花]
三鬼心のメンバーは『紅』とまだほかに『浅葱』、そしてネイクを設立させたと言われる『朽葉』と言う人物がいる。
僕はまだ紅にしか会ったことがないんだけど、あとの二人もそーとーな切れ者らしい……。
それはもう、目的達成のためならどんな犠牲も払わない鬼のような連中だと聞いてる。
:08/09/20 23:47
:F905i
:q0JD9SlA
#202 [紫陽花]
もちろん殺人だって数え切れないほどしてるだろーね。
だから『三』人の『鬼』のような『心』を持つ集団、イコール『三鬼心』と呼ばれてるんだ。
「これが、僕の知ってるネイクの全てだよ……」
長いことしゃべっていた傳はフゥとため息を付き、乾ききった唇を潤すかのように舌を唇に這わす。
:08/09/20 23:48
:F905i
:q0JD9SlA
#203 [紫陽花]
その様子を見ながら、央里はゴクリと生唾を飲み込んだ。
“なんて連中と関わっちまったんだ……”
柔らかに流れる風とは反対に央里の心の中には黒くドロドロとした、不安という名の闇がとぐろを巻いていた。
肌をなぞるふんわりとした風さえも、いつの間にか表れていた鳥肌を逆なでするだけ。
“なんで俺、こんなことしてんだろ……”
周りの暖かい景色に背くように、央里の心は不安と恐怖で満たされていった。
:08/09/20 23:49
:F905i
:q0JD9SlA
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