○アダムの唄○
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#189 [紫陽花]
央里は、これからどうしたらいいのかハルキが知っていると思っていたので、ここで別れるなんて考えてもいなかったのだ。

「一旦、荷物を置きに家に帰るだけよ。まぁ話が聞きたいなら役場かどっかに村長がいるから探してみれば」

初対面だというのにサバサバとした口調で話すハルキは、どこか頼れるリーダーのような男らしい雰囲気を持っている。

少なくとも央里はそう感じるのだった。

⏰:08/09/15 15:23 📱:F905i 🆔:Yui8CdQQ


#190 [紫陽花]
それに、ここまで案内してもらっただけでも感謝しなければならない。

これ以上ハルキに迷惑をかけてはいけないと、央里は納得するしかなかった。

「じゃね」

そう言ったハルキは央里たちに背を向け、右手をヒラヒラと振りながら軽快な足取りで走り去っていった。

⏰:08/09/15 15:25 📱:F905i 🆔:Yui8CdQQ


#191 [紫陽花]
二人の目の前にそびえ立つ巨大な樹木。

さらにこの村はこの木を中心に構成されているとハルキは言っていた。

「とりあえず、あのハルキって子が言ったように村長さんを捜そうぜ。常識的に考えたら、挨拶もしなきゃだろ?」

体の前で手を組み、そのままゆっくりと腕を上げ、おもいっきり伸びをしながら央里が言った。

⏰:08/09/16 19:43 📱:F905i 🆔:eD2ujIn2


#192 [紫陽花]
「そうだね。じゃあ、北へレッツゴー……」

無理矢理テンションをあげたようなやる気のない返事をしながらも、いつもどうりの口調で傳は賛成する。

そして二人はあの大きな木に背を向けて北へと一歩踏み出した。

⏰:08/09/16 19:44 📱:F905i 🆔:eD2ujIn2


#193 [紫陽花]
―――――――…………

―――――…………

光のない、暗闇の支配するあの森とはうって変わって、單柵村の上空は雲一つない空の中にぽつんと浮かぶ太陽によって燦々と輝いていた。

コンクリートで舗装されていない道。

木造の家。

柔らかな風に揺れるピンクの花。

⏰:08/09/16 19:45 📱:F905i 🆔:eD2ujIn2


#194 [紫陽花]
「こんな綺麗な場所があるなんて知らなかった」

人によって踏みならされた、少し広い道を歩きながら央里は感嘆の声を漏らす。


自分たちの住んでいた町とそんなに遠くないこの場所に、こんな村があったなんて央里は知らなかったのだ。

⏰:08/09/16 19:46 📱:F905i 🆔:eD2ujIn2


#195 [紫陽花]
「そりゃそうだよ。
特にこの單柵村の人々は表の世界から隠れるように生活しているからね……」

風になびく前髪を人差し指で整えながら傳が話す。

「なんで?」

⏰:08/09/16 19:47 📱:F905i 🆔:eD2ujIn2


#196 [紫陽花]
「單柵村のほとんどの人は“探す才”をもってる……」

その才を発揮できる役職といったらスパイとか探偵とか、いわゆる、影の中での情報がパートナーの仕事が向いてるわけ。

常に情報を味方としてるから、世界の裏事情をよく知っいるのも当然。

それ故に、命を狙われるし、才を悪用しようと企む者から拉致される可能性だってある。

⏰:08/09/19 23:48 📱:F905i 🆔:W2ZbM5co


#197 [紫陽花]
まぁ、それほど確実に依頼したことを探してくれるってことなんだけどね。

「なるほど……」

央里はウンウンと首を縦に振り、傳の丁寧な説明に相槌をうった。

「じゃあさ、もう一つ質問!!」

先ほどまで相槌をうっていた央里がいきなり空に向かって手を挙げ、まるで生徒が先生に質問するときのような格好をとる。

⏰:08/09/19 23:50 📱:F905i 🆔:W2ZbM5co


#198 [紫陽花]
「はい。宇峰君」

そんな央里のふざけたジョークに、生徒を指名する先生の真似をして合わせる傳。

「“ネイク”ってなんなんですかー?」

“ネイク”
それは何度となく央里、傳の両者を狙った謎の組織の名前。

だが、央里にその組織についての知識は全くと言っていいほどなかったのだ。

⏰:08/09/19 23:51 📱:F905i 🆔:W2ZbM5co


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