○アダムの唄○
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#212 [紫陽花]
「浅葱君のそれは便利ですよね。どこにでも行けるんですから」

うらやましそうに紅は浅葱の手に握られているチョークを凝視した。

「そうでもないよ。
確かにこの“神の足跡”を使えばどこへでも移動できるけど、神力使うから疲れるんだよねー」

「傳君の“アダムの唄”と同じ能力ってことですか……」

⏰:08/09/25 19:35 📱:F905i 🆔:K8hH923.


#213 [紫陽花]
神力、それは以前まで神様のみが使える不思議な力だったが、
ここ最近では“アダムの唄”を筆頭に神力をもつ不思議な道具が数多く発見されていた。

「まぁね。紅は知らないかもしれないけど神力使うのってなかなか疲れるんだよ!!」

「そりゃ、神様の力ですから」

「傳って奴もかなり無理して使ってると思うよーっと、できた!!」

⏰:08/09/25 19:36 📱:F905i 🆔:K8hH923.


#214 [紫陽花]
パンパンと手を叩いて、手に付いたチョークの白い粉を払う。

先程まで円の輪郭だけ描かれていたものが、今では紅の身長よりも大きく、中心部まで全て白く塗りつぶされた円が出来上がっていた。

「よし。帰りますか!!」

浅葱は円の中心部に手を添えると、次の瞬間、その手はゆっくりと幹の中に吸い込まれていく。

⏰:08/09/25 19:37 📱:F905i 🆔:K8hH923.


#215 [紫陽花]
「紅ー!!早くしないと道閉じちゃう!!」

木の幹から顔だけひょっこりと出し、浅葱は叫ぶ。

「はいはい、じゃあ失礼します」

そして紅も浅葱の作った不思議な空間に身を沈めたのだった。

⏰:08/09/25 19:38 📱:F905i 🆔:K8hH923.


#216 [紫陽花]
――――――…………

――――………

「これが、役場?」

紅たちが朽葉の命令通りネイク本部へ帰宅している間に、央里たちは單柵村の役場にたどり着いていた。

「役場だね……」

二人の目の前には弥生時代に出てきそうな、木と藁でできた建物がどっしりと構えていた。

⏰:08/09/28 17:39 📱:F905i 🆔:VnJKaQbo


#217 [紫陽花]
しかし、いくらどっしりとしていても建物の大きさは普通の一軒家程度。
周りに立ち並ぶ住居となんら変わりない。

違うものといえば、住居に比べ建物が大きいことと、入り口の前に【單柵村 役場】と書かれた標識が立っているだけ。

「じゃあ、入ろうぜ」

そう言って央里は戸に手をかけた。ガラガラと音をたて、役場の戸を右方向にスライドする。

⏰:08/09/28 17:41 📱:F905i 🆔:VnJKaQbo


#218 [紫陽花]
「こんにちはーって、あれ?」

入ってすぐ、央里は違和感を覚えた。

戸を潜り抜けると目の前には、いくつもの鉄でできた机が立ち並び、クリーム色の壁には高級そうな絵画が飾られ、至る所に観葉植物たちが育てられている。

まるで、どこかの高級ホテルのロビーのよう。

……だが、ここには普通、あるべき“モノ”がなかった。

⏰:08/10/01 17:56 📱:F905i 🆔:V1UNLGhA


#219 [紫陽花]
この部屋に漂う違和感はそのせいだろう。

央里が感じた違和感とは……

「人がいない?」

外見からは想像できないほど綺麗に整えられた役場内部には、誰一人として“働く人”の姿が見られなかった。

いくら小さな村とは言え、村の中心である役場に人がいないなんて不自然きわまりない。

⏰:08/10/01 17:57 📱:F905i 🆔:V1UNLGhA


#220 [紫陽花]
「傳、どーゆう事だよ!?」

空っぽの部屋に驚きを隠せず、央里は左後ろに立っている傳を振り返り、声を荒げる。

「僕に八つ当たりされても困るよ……」

傳も不思議そうに眉をひそめ、一歩、また一歩、役場の中へ入っていく。

「だけど、こんな「二人とも何してんの?」

不意に、傳のさらに後ろから声が飛び出した。

⏰:08/10/01 18:02 📱:F905i 🆔:V1UNLGhA


#221 [紫陽花]
突然の声に二人は一瞬驚きに肩を震わせた。

だがそこに立っていたのは、

「羽梶 ハルキ……さん?」

思ってもみない登場に二人は目を丸める。

ハルキの家がどこにあるのかは知らないが、30分ほど前に彼女は央里たちに背を向けて走り去った。

ならば家は南の方角にあると考えていいだろう。

⏰:08/10/03 19:15 📱:F905i 🆔:efzwfXwo


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