○アダムの唄○
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#222 [紫陽花]
南にある家に荷物を置き、反対側である北の役場に着くのが央里たちとほぼ同時というのは、いくら何でも早すぎる。
ハルキの呼吸は落ち着いたもので、走ってきたわけではなさそうだ。
「もう一回聞くけど、アンタ達何してんの?」
開け放たれた戸に寄りかかるような体勢をとりながら央里達を見るハルキの瞳には、少しだけ苛立ちの色が現れていた。
心なしか、風になびく灰色の髪でさえ刺々しく見える。
:08/10/03 19:17
:F905i
:efzwfXwo
#223 [紫陽花]
「いや、だから、君に言われたように役場に来たんだけど……」
「アンタ達……。どう見たって、ここに人がいないでしょ!?だったら他の階を探すとか、人を探すとか、なんか色々できるでしょ!!黙って見てれば……応用力のない人間ね!!!!」
ハルキの苛立ちの原因は、部屋の中に呆然として立ち尽くしている央里たちにあったらしい。
「あんたらそれでも運命を変える救世主なわけ!?ったく苛々する!!!!!」
:08/10/03 19:18
:F905i
:efzwfXwo
#224 [紫陽花]
少し口を開け、唖然とする央里たちを差し置いてハルキの口は次々と毒を吐く。
「本当にあんたちに運命なんて変えられんのかしらね!?」
それも“馬鹿”“阿呆”などの直球的なものではなく、嘲るような皮肉のこもった毒。
そしてその毒の言葉は確実に央里の痛いところをついていた。
:08/10/03 19:20
:F905i
:efzwfXwo
#225 [紫陽花]
だが、いくら女だからといって初対面に近い人物からこんなにも皮肉を言われる筋合いは、ない。
央里の苛立ちも限界に近づいていた。
「こっちだって黙って聞いてれば、おま「ハルキ、そこら辺でやめときなさい」
央里が反撃しようと口を開いた瞬間、背後からしゃがれた低い声が飛び出した。
:08/10/03 19:21
:F905i
:efzwfXwo
#226 [紫陽花]
その声は張りつめていた刺々しい空気を一瞬にして、そして、たった一言で雪解けの春のようにふんわりと和ませる。
「ったく、儂の孫はとんだ暴れ馬だな……」
それと同時に、また違う声も聞こえた。
しかし今度の声はしゃがれたものではなく、芯のあるしっかりとした張りのある声。
:08/10/05 17:52
:F905i
:OpvDvjGI
#227 [紫陽花]
「じいちゃんに、しげ爺……」
さっきまで罵倒の言葉を吐いていたハルキも驚きの表情を浮かべる。
央里と傳はハルキが落ち着いたのを確認してからゆっくりと振り返った。
背後からの声に殺気や悪意は、ない。
数は少ないが、何度も修羅場をくぐり抜けてきた二人の耳がそう伝えていた。
:08/10/05 17:53
:F905i
:OpvDvjGI
#228 [紫陽花]
すべてを包み込むような柔らかい声に、いつの間にか二人の警戒心は解かれていた。
「央里殿に傳殿だな?先程は儂の孫が失礼した」
二人の目に飛び込んできたのは、こちらもまた二人の老人たち。
:08/10/05 17:55
:F905i
:OpvDvjGI
#229 [紫陽花]
>>228×→二人の目に
○→振り返った二人の目に
他にも誤字脱字は沢山あると思いますが、気にせず読んでいただけると幸いです;;;
:08/10/05 18:18
:F905i
:OpvDvjGI
#230 [紫陽花]
向かって右側にたつ老人は銀縁の眼鏡を掛け、群青色の着物を着ている。
銀縁の眼鏡の奥にはハの字に曲がった、開いてるのか開いていないのか分からない目。
眼鏡の老人とは対照的に左側の老人は、がっちりとした体格に藍染の着物を着て、キツくつり上がった目をしている。
:08/10/07 00:54
:F905i
:/hfRFL0M
#231 [紫陽花]
そして、おでこから顎にかけて頬には一本傷。
その傷によって誰もが、彼が壮絶な過去を持っているのだろうと、想像せざるを得ない。
「申し遅れましたが、私の名前は重ねて守ると書いて“重守(シゲモリ)”と言います。まぁ、村のみなさんからは“しげ爺”と呼ばれていますけど」
しゃがれた声の老人が、ハの字の目をより一層細めながらにっこりと笑った。
:08/10/07 00:57
:F905i
:/hfRFL0M
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