○アダムの唄○
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#239 [紫陽花]
安堵感のある部屋なのだが、誰一人として口を開こうともせずに重苦しい空気が辺りを包んでいた。

「さてさて、この村一番の茶葉より煎れましたお茶ですぞ」

そこへ障子を開け、人数分のお茶を持った重守が入ってきた。

そしてマサムネの隣、つまり央里の正面に当たる場所に座る。

⏰:08/10/15 00:04 📱:F905i 🆔:Lp9Y1HJs


#240 [紫陽花]
一部分だけ窪んだ壁には、水墨画の掛け軸があり、その下には生け花が置いてある。

足元からほのかに染み出した畳の匂いが、この部屋に入った瞬間に鼻孔に広がり、何とも言えない安堵感を作り出す。


そん部屋に、央里、傳、ハルキ、マサムネは一つのちゃぶ台を囲んで座っていた。

安堵感のある部屋なのだが、誰一人として口を開こうともせず、重苦しい空気が辺りを包んでいた。

⏰:08/10/19 19:33 📱:F905i 🆔:DhUAfdwQ


#241 [紫陽花]
「さてさて、この村一番の茶葉より煎れましたお茶ですぞ」

そこへ障子を開け、人数分のお茶を持った重守が入ってきた。

そしてマサムネの隣、つまり央里の正面に当たる場所に座る。

「さてさて、なにから話しましょうか?」

重守独特のハの字の目をたらして、にこりと笑う。

その姿は、苛々としたこの部屋の空気を一瞬にして浄化する不思議な笑み。

⏰:08/10/19 19:34 📱:F905i 🆔:DhUAfdwQ


#242 [紫陽花→渚坂 さいめ]
※注意

自サイトを公開し始めたので、ハンネを紫陽花から『渚坂 さいめ』へと変更します

ご了承ください

⏰:08/11/02 07:58 📱:F905i 🆔:TAVhPyyk


#243 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「あの、ずっと気になっていたのですが『瞬光村』とは……?」

央里の隣に座っていた傳がおずおずと言葉を発した。

「以前僕がここに来たときには瞬光村なんてなかった……」

「そのことについては、村長である儂が説明しよう。良いか、重守?」

重守は一瞬の躊躇いもなく、得意の笑みをこぼし頷いた。

⏰:08/11/02 07:59 📱:F905i 🆔:TAVhPyyk


#244 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「さて、どこから説明しようかの……」

傳殿の言う通り5年ほど前まで“瞬光村”は存在しなかった。

以前の瞬光村は村としてではなく、「ヤマト」という一つの組織として闇の世界に根を張っていたのじゃ。

⏰:08/11/02 08:00 📱:F905i 🆔:TAVhPyyk


#245 [紫陽花→渚坂 さいめ]
單柵村に“探す才”を持つものが多いように、瞬光村の人間は戦術に長けた才を持っておる。

馬術・体術・足が速い者……

それはありとあらゆる実践向けの才を持つ者が、政府の命令により戦にむけて「ヤマト」に集まった。

⏰:08/11/02 08:00 📱:F905i 🆔:TAVhPyyk


#246 [紫陽花→渚坂 さいめ]
余談じゃが、ハルキなんかは親からの遺伝による手先の器用さに加えて己の才で足も早いもんだから、今では瞬光村一番の器用者じゃ。


「ハルキが村一番……?」

央里はゴクリと唾を飲み込む。

「なによ。なんか文句でもあるの?」

眉をキッと釣り上げ、ハルキは獲物をねらう猫のように鋭く央里を睨む。

⏰:08/11/02 08:01 📱:F905i 🆔:TAVhPyyk


#247 [紫陽花→渚坂 さいめ]
「こらこらハルキ、やめんか。話を続けるぞ」

以前まで瞬光村住民のほとんどは戦という戦に駆り出され……あぁ、もちろん村となる前の「ヤマト」の時じゃぞ。

こんな言い方は気に入らんのじゃが、当時の各地で起こる戦の90%は何らかの形で「ヤマト」が介入していた。

戦いに溺れていたんじゃよ……。

毎日が地獄のようじゃった。

来る日も来る日も返り血を浴び、洗っても洗ってもこびり付いた血の臭いをとることはできなんだ……。

⏰:08/11/08 14:56 📱:F905i 🆔:ar2HhlBI


#248 [紫陽花→渚坂 さいめ]
そこまで言うとマサムネは哀しそうに俯いた。

マサムネの言葉の一つ一つが央里たちの胸に突き刺さり、きゅうっと締め付ける。

「ちょうど5年ぐらい前じゃ、『ヤマト』にとって耐え難い事件が……」

「じいちゃんごめん、私ここから先は聞きたくないの……。向こう行ってるわ」

「……あぁ」


マサムネの言葉を遮るようにハルキはこの場から出て行った。

⏰:08/11/08 14:57 📱:F905i 🆔:ar2HhlBI


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