○アダムの唄○
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#272 [渚坂さいめ]
何もできない自分が悔しいが、幸いにも隣には瞬光村が位置している。いきなり現れたネイクへの戦闘にも対応できるだろう。そう、今はこれが一番の得策。

傳はそう考えていたのだ。


「馬鹿言うな。何のために親方のところで修行したんだと思ってんだ!!俺の出番に決まってんだろーが!!」

そう言って央里は腰につけていた革のベルトからあるものを抜き取った。

⏰:09/02/24 00:48 📱:F905i 🆔:ri4.PPek


#273 [渚坂さいめ]
眩しい太陽の光をも吸い込む漆黒の側面。その小さく無機質な体に似合わないシャープなライン。

どこからどう見ても拳銃。
いきなり目の前に現れたソレにさすがの傳も焦りを隠せなかった。


「な、央里!!それ本物なのか……?」

「馬鹿!!ただのエアガンだよ。
本物なんて持ってたら銃刀法違反じゃねーかよ!!」

⏰:09/02/24 00:49 📱:F905i 🆔:ri4.PPek


#274 [渚坂さいめ]
けらけらと笑って銃身を振り回す央里。本物の拳銃ならば、その鉛の銃身を央里のような少年が軽々と振り回す事なんて不可能だろう。


「親方がくれたんだけどさ、今のエアは馬鹿に出来ねーよ」

そういって銃身を見つめる央里。まるで傷ついた体の一部を癒すように優しい視線は、もうこの銃が央里によく馴染んでいることを示していた。

⏰:09/02/24 00:49 📱:F905i 🆔:ri4.PPek


#275 [渚坂さいめ]
「で、それを使ってどーする気……?」

「聞きたい?」

「…………」


またもケラケラと笑う央里。

隣を走り去る單柵村の大人たちは、まるで異端なものを見るかのような怪訝な顔をして央里たちを見ていた。

⏰:09/02/24 00:50 📱:F905i 🆔:ri4.PPek


#276 [渚坂さいめ]
「とりあえずネイクの所に行こうぜ。俺の修行の成果を見せてやるから!!」

銃をベルトにしまい央里は声を張る。その声には不安や迷いなどはなく、ただただ央里の自信ばかりが響いた。

⏰:09/02/24 00:50 📱:F905i 🆔:ri4.PPek


#277 [渚坂さいめ]
―――――…………

――――………

一方、黒いスーツの集団を従えた浅葱は單柵村の村人の抵抗もむなしく、まさに村へと強行突破を試みようとしていた。

人数が多いのを武器にして單柵村の周りの木々たちを片っ端から倒していくスーツの集団。

もちろん、その指揮を執っているのは水色のスーツを身にまとった三鬼心の一人である浅葱だ。

⏰:09/03/01 00:13 📱:F905i 🆔:iz.avE96


#278 [渚坂さいめ]
「あ゙ー、なんで俺が……」

そう言い捨てて彼は自分の前髪をかきあげる。

ズシンと音を立ててなぎ倒される木々たちの頭上には皮肉なほど真っ青な青空が広がっていた。

そう、まるで浅葱のスーツのように鮮やかな青空。

浅葱は以前チョークのような「神の足跡」と呼ばれるものを持っていたが、今回彼の手には何も握られていなかった。

⏰:09/03/01 00:13 📱:F905i 🆔:iz.avE96


#279 [渚坂さいめ]
「浅葱様。今回は神の足跡を持ってこなくて良かったのですか?」

青空の下、腕を組みぶっちょうずらの浅葱に対して一人の黒スーツの男が話しかけた。

男は自分よりはるかに年下の少年に敬語で、それもかなり腰を低くして話しかけなければならないということをどう思っているのだろうか。

だが、そんな不満などを漏らせば確実に消される。それがネイクという組織だった。

⏰:09/03/01 00:13 📱:F905i 🆔:iz.avE96


#280 [渚坂さいめ]
「いいんだよ。今回は朽葉様からのお届けものを宇峰央里に渡してやるだけだからね」

浅葱は組んでいた腕をパッと開き胸ポケットから白い封筒を取り出した。

さながら、それが先ほど浅葱が言っていた『お届けもの』なのだろう。

⏰:09/03/01 00:14 📱:F905i 🆔:iz.avE96


#281 [渚坂さいめ]
「そ、そうですが、いつ戦闘になるかも……」

「五月蝿いな。お前、何が言いたいわけ?」


男は生唾とともに言いかけた言葉をゴクリと飲み込んだ。

生々しい音が静かな森の中に響き渡る。

「あのさぁ、誰に向かって言ってるか分かってんの?」

⏰:09/03/01 00:14 📱:F905i 🆔:iz.avE96


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