○アダムの唄○
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#31 [紫陽花]
「それより、おうちゃん。病院行ってきた?今日は検査の日でしょ」
靴を脱ぎ、靴下までも脱いでいた央里の動きが一瞬止まる。
「い、いや……行こうとしたんだけど「ふ〜ん。行こうとしただけなんだ」
まさに蛇に睨まれた蛙。央里は目を泳がせ、背を向けている真紀に苦笑いをする。
:08/07/28 00:21
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#32 [紫陽花]
「大変だったんだよ!!ホントに色々あって……」
そこまで言って央里は口を閉じた。
“殺されそうになったなんて言えるかよ……”
親にこれ以上、心配をかけたくない。それが央里の本心だった。
「あんたね――…」
はぁ、と真紀は大きなため息を吐く。
:08/07/28 00:23
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#33 [紫陽花]
央里は半年に一度、病院へ通っている。
生まれた時から肋骨が一本欠けており、それを不思議に思った医者は半年に一度病院へ来てレントゲンを撮るように央里の両親に話していた。
「まぁいいわ……着替えてきなさい。すぐ夕飯にするから」
「……おう」
央里は煮え切らない表情で台所を通り抜け自分の部屋へと進んだ。
「ついにあの子もアイツらに見つかってしまったのね……」
央里のいなくなった台所で真紀は呟いた。
その顔はどこか悲しげで、やりきれない、といったものだった。
:08/07/28 00:24
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#34 [紫陽花]
:08/07/28 00:28
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#35 [紫陽花]
:08/07/30 07:24
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#36 [紫陽花]
――――翌日――――
央里はいつものように教室にいた。まるで昨日の黒スーツの男が夢であったかのように、央里の周りは時を刻んでいる。
「ねぇ、ねぇ。今日転校生来るんだってぇ〜」
「マジ!?男!?女!?」
「かっこいいといいなぁ〜」
「あっ!!2組の矢田君たち、別れたらしいよ〜」
「マジで〜!?」
クラスの女子の関心はつねに噂や人の恋愛について。
:08/07/30 07:25
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#37 [紫陽花]
「誰からその情報仕入れたんだか……」
群れる女子たちを横目に央里は昨日のことを考えていた。
“なんで俺が……?”
“そもそもアイツは誰だ?”
そんなことを考えているうちに学校内にはHRを始めるチャイムが響き渡り始めた。
:08/07/30 07:26
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#38 [紫陽花]
「ほら――。席付け〜」
チャイムと同時に央里のクラスの担任である中島が声を張り上げながら教室に入る。
体育教師である彼は、いつもナイキのTシャツを愛用し、短パンにサンダルといったラフな格好で教壇に立つ。
「え〜、今日は転校生を紹介する。喜べ女子ぃ!!転校生は男だ〜!!」
次の瞬間、一斉に女子の声は黄色く、そして1オクターブ高くなる。
:08/07/30 23:37
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#39 [紫陽花]
「じゃあ、入ってこい」
そして、中島はドアのところに立っているのであろう転校生に声をかけた。
そして、転校生は躊躇いながらも中島の隣、すなわち教壇の前に立つ。
彼の髪は少しワックスを使って流れを作っており、ほかの学生と比べれば髪の色が薄い。
それに、少したれ目な瞳の色も黒ではなく茶色。
加えて肌の色も白いため貧弱そうなイメージを与えそうだが、決して細いわけではなく、しなやかな体つきと言った方がしっくりくる。
:08/07/30 23:38
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#40 [紫陽花]
「野胡瀬 傳(のこせ つたえ)です。よろしく……」
傳はニコニコと愛想を振りまくような自己紹介はせず、他人に興味は無いといったように人を拒絶するような態度で淡々と、自己紹介した。
“無愛想な奴……でも、女子がほっとかないタイプだな”
傳が中島の指定した席に座る姿を横目に、央里はまたも昨日のことに意識を引き戻した。
:08/07/30 23:40
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