○アダムの唄○
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#44 [紫陽花]
「あぁ〜、宇峰君ね。端にいるのは宇峰 央里君よ。彼、1人が好きみたい」
“宇峰央里……うみね……おうり……!!!!”
次の瞬間、まるで何かを思い出したような、驚きの表情へと傳の顔は一変した。
「アイツが……!!」
これまでクラスの生徒からの質問さえも無関心に返事をしていた傳が初めて見せた驚きと好奇心の目に、質問を受けた女子は目を見張る。
:08/08/01 23:56
:F905i
:csJNuxtY
#45 [紫陽花]
「なに?知り合いとか?」
「……いや、違う。」
やはり生徒からの質問に素っ気なく答える傳を見て、女子は
「そう、なの?」と言い残して疑問の残る頭のまま友達の元へ去っていった。
「アイツがアダムの……」
小さく漏らした傳の声と、不敵に笑う彼の口元に誰一人として気付く者はいなかった。
:08/08/01 23:57
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#46 [紫陽花]
――――――…………
―――――………
「で、何でお前が横にいるわけ?」
央里は嫌みったらしそうに視線を右に振る。
「別にいいじゃん……帰る方向が一緒なだけだよ……」
揺れる電車の中、央里の右隣には今日転校して来た傳の姿があった。
どうやら央里と傳の家の方向が一緒らしく、偶然同じ車両に乗り合わせることになったのだ。
:08/08/01 23:58
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#47 [紫陽花]
「ただでさえ帰宅ラッシュで人が多いってのに……転校生まで一緒かよ」
央里は吊革に右手を乗せ、ぶら下がるような形で愚痴をこぼす。
「……着いたみたいだけど」
電車は央里の住む町へと停車した。
ドアが開いた瞬間、冷房の効いた車内へ一気に手を伸ばす熱風は、外と中の気温差を十分に体感させる。
そして、央里と傳は隣に並ぶ形で駅の外へと出た。
:08/08/03 01:47
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:zJcFs6SU
#48 [紫陽花]
「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど……」
「なんだよ、たった一日でクラスの人気者になった転校生」
大きな道路沿いを歩いていたときに傳は央里に話しかけた。
「そーいう言い方やめてよ……君の『央里』って名前、誰がつけた……?」
傳は興味深そうに問う。
:08/08/03 01:48
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#49 [紫陽花]
「名前?たしか親父がつけたって言ってたよーな……」
眉間にしわを寄せて考え込む央里の隣で、傳が小さく
「やっぱり……」
と言った。もちろん央里には聞き取れないほどの小声で。
「あとさ、女の子から聞いたんだけどあんた一人が好きなわけ……?」
:08/08/03 01:49
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#50 [紫陽花]
「はぁ!?何でお前にそんなこと言わなきゃ「見つけた……」
央里と傳が口論していると、背後から聞き覚えのある冷たい声がした。
「おまえ!!」
央里の表情が一気に固くなる。
そう、背後から声をかけたのは昨日央里の命を狙った、黒スーツの男だった。
:08/08/03 01:50
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#51 [紫陽花]
「この前は逃げられちゃったんだよね〜だから今回はすぐに殺してあげるから♪」
今回も楽しそうに『殺してやる』と宣言する。
「おい、アイツやべーから逃げるぞ!!」
央里は小声で傳に話しかける。そう易々と逃げられるわけ無いと思っていたが、ここで転校生まで危険にさらすわけにはいかない。
央里の背中をいやな汗がつたう。
:08/08/03 01:52
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:zJcFs6SU
#52 [紫陽花]
「君はもう“ネイク”からも狙われているのか……」
傳はやれやれといったように、がっくりと肩を落とす。
「おっ!!央里君の隣にいるのは野胡瀬族の傳君じゃないか!!!いや〜ここで会えるなんて、君たちもかなり切羽詰まってるみたいだね」
やはり男は傳にでさえ楽しそうに話した。
黒スーツの男には喜怒哀楽の喜しか感情がないのか?
央里がそんな疑問を抱くほどにスーツの男の声は弾んでいた。
:08/08/03 01:54
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#53 [紫陽花]
「って、お前アイツと知り合い?」
央里は驚きを隠せなかった。
二度も自分を殺そうとしている奴と、今日転校してきたばかりの奴が知り合いだったなんて偶然なのだろうか。
「知り合いじゃないよ……正しくは敵さ……」
そういい残すと傳は右肩に背負っていた鞄をドスっと地面におろし、何やらごそごそと探し始めた。
:08/08/03 01:56
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