○アダムの唄○
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#49 [紫陽花]
「名前?たしか親父がつけたって言ってたよーな……」
眉間にしわを寄せて考え込む央里の隣で、傳が小さく
「やっぱり……」
と言った。もちろん央里には聞き取れないほどの小声で。
「あとさ、女の子から聞いたんだけどあんた一人が好きなわけ……?」
:08/08/03 01:49
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#50 [紫陽花]
「はぁ!?何でお前にそんなこと言わなきゃ「見つけた……」
央里と傳が口論していると、背後から聞き覚えのある冷たい声がした。
「おまえ!!」
央里の表情が一気に固くなる。
そう、背後から声をかけたのは昨日央里の命を狙った、黒スーツの男だった。
:08/08/03 01:50
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#51 [紫陽花]
「この前は逃げられちゃったんだよね〜だから今回はすぐに殺してあげるから♪」
今回も楽しそうに『殺してやる』と宣言する。
「おい、アイツやべーから逃げるぞ!!」
央里は小声で傳に話しかける。そう易々と逃げられるわけ無いと思っていたが、ここで転校生まで危険にさらすわけにはいかない。
央里の背中をいやな汗がつたう。
:08/08/03 01:52
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#52 [紫陽花]
「君はもう“ネイク”からも狙われているのか……」
傳はやれやれといったように、がっくりと肩を落とす。
「おっ!!央里君の隣にいるのは野胡瀬族の傳君じゃないか!!!いや〜ここで会えるなんて、君たちもかなり切羽詰まってるみたいだね」
やはり男は傳にでさえ楽しそうに話した。
黒スーツの男には喜怒哀楽の喜しか感情がないのか?
央里がそんな疑問を抱くほどにスーツの男の声は弾んでいた。
:08/08/03 01:54
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#53 [紫陽花]
「って、お前アイツと知り合い?」
央里は驚きを隠せなかった。
二度も自分を殺そうとしている奴と、今日転校してきたばかりの奴が知り合いだったなんて偶然なのだろうか。
「知り合いじゃないよ……正しくは敵さ……」
そういい残すと傳は右肩に背負っていた鞄をドスっと地面におろし、何やらごそごそと探し始めた。
:08/08/03 01:56
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#54 [紫陽花]
「あった……」
傳が取り出したのは一冊の古びた本。
本の厚さは3センチほどもあり、辞書の厚みをなくしA4サイズまで引き延ばしたような形をしている。
所々紙が剥げ、茶色く変色している表紙には「アダムの唄」と書かれていた。
:08/08/03 01:57
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#55 [紫陽花]
「こんな時に読書かよ!!」
央里は怒ったように傳を睨む。それに対して、傳は少し驚いたように央里を見てこう言った。
「君は“アダムの唄”についても知らないのか……」
はぁ、とため息を付きながら傳は立ち上がる。
「さて、“ネイク”の使者さんは、これを知ってるよね……?」
:08/08/03 23:37
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#56 [紫陽花]
強がってはいるが央里の膝が震えていると気付いていた傳は本を左手に持ち、傳は央里をかばうような形で一歩前に進む。
その傳の表情には余裕さえ感じられた。
「知っているも何も、我々の道標だよ、ソレは」
“ネイク”の使者である黒スーツの男は以前にもましてニタニタと気味の悪い笑みを浮かべていた。
少なくも、傳の後ろに隠れるように立っている央里にはそう見えた。
:08/08/03 23:39
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#57 [紫陽花]
「じゃあ、この本の裏技知ってる……?」
傳は、まるで悪戯を仕掛けた子供のようにニヤっと笑ったあと右手に持つ“アダムの唄”に視点を落としペラペラとページをめくっていった。
「裏技って?」
央里は一歩前にでている傳に問う。
「ねぇ、央里はここから逃げたい……?」
:08/08/03 23:40
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#58 [紫陽花]
「あ?そりゃ、逃げたいに決まってんだろ!!って、俺の質問はスルーか!?」
「じゃあ、ここから逃げたいって強く願ってて……」
訳が分からなかった。それでも央里は傳の言葉に圧倒され意識を集中するしかなかった。
「話し合いは終わったかね?」
黒スーツの男はニヤニヤと笑みを絶やさず笑いかけた。
:08/08/04 23:56
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