○アダムの唄○
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#64 [紫陽花]
央里の頭上にハテナマークが飛び交う。
ソレを見ていた傳は少し口元を緩ませ、すかさず一言付け加えた。

「僕、今日から真紀さんと衛さんの家にお世話になるから…「はぁぁぁああああ!?」

静かな夕暮れの中央里の叫び声だけがこだました。

衛とは央里の父である。
傳が真紀と衛の名前を口に出したことにも驚いたが、それ以上に“お世話になるから”の言葉に反応を見せた。

⏰:08/08/06 20:42 📱:F905i 🆔:Zot1GjyU


#65 [紫陽花]
「おまッッッ!!なんで!?」
「そんなに僕と居られるのが嬉しいの?」
「そーじゃなくて!!俺んちに泊まるのかよ!?」
「うん」
「はぁああ!?訳わかんね!!」

央里は両手を頭に当て自分の髪の毛をグシャグシャに引っ掻き回した。
まるで悪い夢でも見ているように。

⏰:08/08/06 20:44 📱:F905i 🆔:Zot1GjyU


#66 [紫陽花]
「別にいいじゃん。これの秘密知りたいんでしょ……?」

傳は鞄の中からチラリと覗くアダムの唄を指差す。

「ま、まぁ」

「じゃあ、立ち話もなんだし帰ろうか……」

「お、おう」

すっかり傳のペースにはまってしまった央里は渋々、傳を家へと案内した。

⏰:08/08/06 20:45 📱:F905i 🆔:Zot1GjyU


#67 [紫陽花]
―――――――………

―――――………

「はい、はい。その通りでございます。すいません。本当に申し訳ありません」

ある薄暗い廃屋の中で黒スーツの男は携帯の向こう側の相手に謝罪の言葉を並べていた。
額にはうっすら汗。
スーツの男は最後まで相手に敬意を払いながら電話を切った。

「もう私に“次”は無いみたいですね……」

スーツの男は廃屋の窓から、沈みかける夕日を見てつぶやいた。

⏰:08/08/06 20:46 📱:F905i 🆔:Zot1GjyU


#68 [紫陽花]



3頁
《真実という現実》


⏰:08/08/06 20:48 📱:F905i 🆔:Zot1GjyU


#69 [紫陽花]
―――――――………

―――――……

「お〜か〜え〜り〜」

玄関の扉を開けるとリビングから母・真紀の声が玄関まで響いてきた。

「ただいま〜……お袋、お客さんだよ」

央里は傳の方をチラリと見て露骨に嫌そうな顔をしてから真紀に傳の存在を知らせた。

⏰:08/08/06 20:49 📱:F905i 🆔:Zot1GjyU


#70 [紫陽花]
「あらあら、もしかして傳君?」

エプロンで手を振きながらひょっこりと真紀は現れた。
夕食の準備をしていたのだろう、リビングからは以前と同じようにカレーの匂いが漂ってくる。

「はい。すいませんが、今日はお世話になります……」

傳は深々と頭を下げ真紀に挨拶をする。
その姿を見た央里は
“なにいい子ぶってんだよ!!”
と、またも唇の端をピクピクとひきつらせ露骨に怪訝そうな顔をした。

⏰:08/08/06 20:51 📱:F905i 🆔:Zot1GjyU


#71 [紫陽花]
「まぁまぁ、礼儀正しい子ね。話は聞いてるわよ。さぁ、上がって……って鍋火にかけっぱなしだったわ!!」

真紀は傳に得意の凛々とした笑顔で微笑む暇もなくバタバタとリビングへと舞い戻った。

「央里のお袋さん、元気な人だね……」

「まぁな」

央里は少し呆れながら真紀の元気さを肯定して、「でも自慢のお袋だよ」と付け足した。

⏰:08/08/06 20:52 📱:F905i 🆔:Zot1GjyU


#72 [紫陽花]
――――――………

―――――……


「ちょ、お前どんだけカレー好きだよ」

央里は隣に座り黙々とカレーを食べる傳を見ながら呟いた。

「激ウマ……」

食べる手を休めずに傳は感嘆の声を漏らす。ちなみに今食べてるカレーは大盛で3杯目。

⏰:08/08/08 00:25 📱:F905i 🆔:vLwGHzXU


#73 [紫陽花]
「カレーは世界で一番美味しいですよね。真紀さんのカレー本当に美味しいです……」

「あらあら、美味しいって言ってくれるなんて母さん嬉しい〜!!おかわりいかが?」

「すいません。頂きます……」

そして傳は4杯目に突入した。

「遠慮ってものを知れよ」

「カレーは僕の大好物なんだよ……」

深いため息をはきながら、もういいやと言うように央里は首を振った。

⏰:08/08/08 00:26 📱:F905i 🆔:vLwGHzXU


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