○アダムの唄○
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#88 [紫陽花]
盗むところを神に目撃されたアダムは急いでイヴのもとへ走り出し、逃げようとした。

だけど神は神力と呼ばれる不思議な力を持っていたから、逃げるアダムを追いかけながら日記を燃やそうとしたんだ。

邪悪な知識を手に入れてしまったアダムに渡すぐらいなら燃やしちゃえと思ったんだろうね。

「ちょ、神様どんだけ短気……」

「それだけこの本は大切なものだったってこと……」

⏰:08/08/14 01:20 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#89 [紫陽花]
日記にはこれから地球にどんなことが起こるかが事細かに記されていたからね。

今から地球に降り立つ自分たちに神の日記さえあれば、どんな天災も回避できる。

アダムはそう考えたんだよ。

まぁ、神は日記を燃やすことに成功したんだけど、アダムは神と同じぐらい頭のキレる奴だった。

その証拠に神に本を燃やされる寸前に2〜3頁を素早く破り地球へと持ち去った。

⏰:08/08/14 01:22 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#90 [紫陽花]
「それが“アダムの唄”の元となるものだよ……」

真夏の夜、宇峰家には傳の声だけが響き渡っていた。
誰一人と口を開くものはおらず、傳の話に耳を傾ける。

そして傳の話はまだ続く。

「地球に降りたったアダムは盗んだ日記を元に、ある一冊の本を作った……」

その本には原本である神の未来予想日記に似た、数々の予言が記された。

⏰:08/08/14 01:23 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#91 [紫陽花]
まぁ、アダムも神様の子である以上、未来を推測または予測するぐらいの能力は持っていたみたいだから。

「神の未来予想日記の切れ端から作られた本が、この“アダムの唄”なんだ……!!」

話し終えた傳は央里の瞳を見ながら、事前に真紀に出されていた水を一口のんだ。

⏰:08/08/14 01:24 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#92 [紫陽花]
“おいおい、突拍子すぎだろ……”

たった5分程度話を聞いただけなのに、央里はまるで映画を見た後のような気だるさを感じていた。

この古びた本にこんな過去が隠されていたなんて……。

最初はただのタネも仕掛けもあるおかしな本とばかり思っていた。

興味本位で話を聞いたものの、この本の壮大な過去に見合うほどの反応をどうやって見せたらよいのか分からない。

⏰:08/08/14 01:25 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#93 [紫陽花]
「なぁ、これ……って、本当に全部事実だよな?」

何も言わず傳は頷いた。

「その証拠に、ここを見て……」

傳は“アダムの唄”の表紙をめくり、1頁目を央里に見せた。
茶色く変色した紙に黒いインクで書かれたような文字が記されている。

「なんだこれ?日本語でもないし英語でもない……」

薄い茶色の紙の上には子供の落書きのような、何かの記号のような、不思議な“形”をしたものが書かれていた。

⏰:08/08/14 23:06 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#94 [紫陽花]
「これはイルドュラス文字といって、神の住む世界で使われていたと言われる文字だよ……」

央里が物珍しそうにイルドュラス文字を眺めた後、ピクッと何かに気付いたように頭を上げた。

「なぁ、お前はこれが読めんの?」

「僕はこの文字をひらがなを学ぶ前に覚えさせられたんだ。だから読むことが出来るよ……」

文字を学んだ日々が懐かしいとでもいうように、どこか穏やかな優しい口調で答えた。

⏰:08/08/14 23:06 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#95 [紫陽花]
「そして、ここにはこう書いてある。『私たちの子孫はやがて地中から生活に変化をもたらす油を手に入れるだろう』ってね……」

「油?……まさか油って!?」

「そう。今の僕たちの生活を支えている“石油”を表している……」

もちろん何万年、何億年前に石油の存在を知る者などいない。

なのに“アダムの唄”は、はっきりと石油について予言を記している。
これは神とアダムの予言の力の証拠だ。
他にも色々な予言が書かれててあるよ。

そしてまた傳は1頁めくった。

⏰:08/08/14 23:08 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#96 [紫陽花]
「ここからまた予言が始まるんだけど「ちょっと待て」

さらに説明を続けようとする傳の言葉を央里が遮った。
傳は突然の言葉に驚いたように央里を見る。

「なぁ、大事なことを忘れてたけど、その神様の日記と俺がなんで関係あんだよ?」

神だの予言だの自分には全く関係ないファンタジーなことばかり話されてもピンとこない。

それによく考えてみれば、何故自分のことから、こんなに話が肥大しているのかも分からない。

⏰:08/08/14 23:09 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#97 [紫陽花]
「そのことは父さんから話そう」

今まで沈黙を守っていた衛が急にしゃべりだした。

「衛さん……」

「説明ありがとう。でも、ここからは宇峰の問題だからね。ちょっとだけ口を挟ませてもらうよ」

そして衛は顔だけを隣にいる央里に向け、ニヤリと笑って

「ちょっと長くなるけど集中しろよ」

そう忠告した。

⏰:08/08/14 23:12 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


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