○アダムの唄○
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#94 [紫陽花]
「これはイルドュラス文字といって、神の住む世界で使われていたと言われる文字だよ……」

央里が物珍しそうにイルドュラス文字を眺めた後、ピクッと何かに気付いたように頭を上げた。

「なぁ、お前はこれが読めんの?」

「僕はこの文字をひらがなを学ぶ前に覚えさせられたんだ。だから読むことが出来るよ……」

文字を学んだ日々が懐かしいとでもいうように、どこか穏やかな優しい口調で答えた。

⏰:08/08/14 23:06 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#95 [紫陽花]
「そして、ここにはこう書いてある。『私たちの子孫はやがて地中から生活に変化をもたらす油を手に入れるだろう』ってね……」

「油?……まさか油って!?」

「そう。今の僕たちの生活を支えている“石油”を表している……」

もちろん何万年、何億年前に石油の存在を知る者などいない。

なのに“アダムの唄”は、はっきりと石油について予言を記している。
これは神とアダムの予言の力の証拠だ。
他にも色々な予言が書かれててあるよ。

そしてまた傳は1頁めくった。

⏰:08/08/14 23:08 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#96 [紫陽花]
「ここからまた予言が始まるんだけど「ちょっと待て」

さらに説明を続けようとする傳の言葉を央里が遮った。
傳は突然の言葉に驚いたように央里を見る。

「なぁ、大事なことを忘れてたけど、その神様の日記と俺がなんで関係あんだよ?」

神だの予言だの自分には全く関係ないファンタジーなことばかり話されてもピンとこない。

それによく考えてみれば、何故自分のことから、こんなに話が肥大しているのかも分からない。

⏰:08/08/14 23:09 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#97 [紫陽花]
「そのことは父さんから話そう」

今まで沈黙を守っていた衛が急にしゃべりだした。

「衛さん……」

「説明ありがとう。でも、ここからは宇峰の問題だからね。ちょっとだけ口を挟ませてもらうよ」

そして衛は顔だけを隣にいる央里に向け、ニヤリと笑って

「ちょっと長くなるけど集中しろよ」

そう忠告した。

⏰:08/08/14 23:12 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#98 [紫陽花]
アダムは人間だ。
だからいずれ死を迎える。

そこら辺のことを考えてアダムはイヴと共に、生きているうちに沢山の子孫を残していった。

といっても、せいぜい10人程度だったらしいが……。

たが、そこで大事なことはアダムたちが子を作ったってことじゃない。

その子孫たちにアダムの素晴らしい才能が分け与えられたってことだ。

⏰:08/08/14 23:13 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#99 [紫陽花]
アダムは唯一の神から生まれた人間。
だから神も自分の持つ才能を全てとはいかないが、数多く与えた。

「は?才能って?」

黙って話を聞いていた央里だが思わず疑問を口に出していた。

「ん〜……例えばクラスに一人は、ずば抜けて足の速い人いるでだろ?その人はアダムの『俊足の才』を持ってるんだよ」

頭のいい人は『勉学の才』
話が上手い人は『話術の才』
とか色々才の種類はある。

そして必ず一人一つ才を受け継ぐようにアダムの血のシステムが、我々の体の中には造られているんだ。

⏰:08/08/14 23:14 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#100 [紫陽花]
「じゃあさ、俺にもその才ってのがあんの?」

「もちろんさ!!」

得意そうに衛は断言した。
切れ長の目を不自然なぐらい少し垂らしながらではあったが。

だが、そんな衛を横目に見ながら央里は一瞬真紀の瞳が悲しげに曇ったことを見逃さなかった。

「じゃあ聞くけど、お袋。俺の才って何なの?」

⏰:08/08/14 23:18 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#101 [紫陽花]
父親譲りの切れ長の細い目を少しつり上げて央里は問う。

真紀は下唇を軽く噛み、いつもはクリクリと可愛らしく動いている瞳をギュッと瞑り、ゆっくりと重い口を開いた。

「央里、あなたの才は……」

真紀は今にも泣きそうな顔で央里を見つめる。

たった数秒の躊躇いが央里を何故か不安にさせた。

“なに躊躇ってんだよ!?”

そしてまたも数秒躊躇ってから真紀は意を決したように前を、央里を見据え叫んだ。

「あなたの才は……『運命を変える才』なのよ……!!」

⏰:08/08/14 23:23 📱:F905i 🆔:Ex7GHojw


#102 [紫陽花]





「……はぁ?運命?」

⏰:08/08/15 21:32 📱:F905i 🆔:.7hhoXCo


#103 [紫陽花]
「央里、さっきアダムの予言の話したよね?あれには続きがあってさ……」

今度は傳が口を開いた。

パサリと乾いた音を立て、またも“アダムの唄”をめくり、指である一点を示す。

「アダムの唄の最後に……そう、この頁に『夏が終わる頃、地球は滅びる』って書いてあるんだ……」

「はぁ?本当にその予言あたんのかよ?外れないわけ!?」

⏰:08/08/15 21:33 📱:F905i 🆔:.7hhoXCo


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