【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#1 [桃色◆OQUMeZqegU]
【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!
投下スレッドです

企画概要や質問は総合案内所へ↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3870/

このスレは9/7(日)12:00にオーダー解除されます、それまでは書き込めません

>>2-5投下の注意やその他諸々

⏰:08/09/03 11:07 📱:SH706i 🆔:☆☆☆


#2 [桃色◆OQUMeZqegU]
投下時間は9/7(日)12:00〜26:00まで!

投下時の注意

※このスレでは、普段使っているHNは使わずに『捨てトリップ』のみを使って書き込んでください!
トリップに関してはこちらをご覧あれ↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3870/

・投下する前に、必ず「今から投下します。作品タイトルは〇〇〇です」という宣言をしてください!
宣言は早かった人が先です。同時に2人が宣言したら、早かった人がまず投下、その人が終わってから次の人が投下、という流れでお願いします
また、誰かが投下中の時はは宣言などはせず、投下が終わってからにしてください

⏰:08/09/03 11:11 📱:SH706i 🆔:☆☆☆


#3 [桃色◆OQUMeZqegU]
・投下が終わったら、アンカーで自分の作品をまとめて下さい。それが投下終了の合図にもなるのでお願いします

・2作品以上投下する作家さんは、宣言は1回でおkです。1度宣言したら続けて全ての作品を投下しましょう

・やむを得ず投下ストップする際は、必ず「投下ストップします」とレスしてください
戻ってきたら再び投下宣言をして(もちろん誰かが投下中の場合は終わってから)、投下再開してください
この場合は順番に関わらず、再投下する作家さん優先で投下します

⏰:08/09/03 11:12 📱:SH706i 🆔:☆☆☆


#4 [桃色◆OQUMeZqegU]
アンカー
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:08/09/03 11:12 📱:SH706i 🆔:☆☆☆


#5 [桃色◆OQUMeZqegU]
関連スレURL
【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【総合案内所】
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3870/

【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投票スレ】
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3873/

⏰:08/09/03 11:13 📱:SH706i 🆔:☆☆☆


#6 [桃色◆OQUMeZqegU]
 

いよいよ短編祭スタートです!


.

⏰:08/09/14 12:00 📱:SH706i 🆔:☆☆☆


#7 [◆BBhDve0Trg]
今から投下します!
季節はずれですが、タイトルは「サンタにプレゼント」です。

⏰:08/09/14 13:02 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#8 [◆BBhDve0Trg]
 
・・・12月。

また、この季節がやってきた。

「おう、サンター」

「サンタ!!プレゼントくれ」

「サンター。俺、新しいマフラー欲しいんだけど」

(・・・だーかーらー)

「俺は、サンタじゃねぇ!!」


……サンタにプレゼント…

.

⏰:08/09/14 13:05 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#9 [◆BBhDve0Trg]
 

俺の名前は三田一輝(みたかずき)。

「さんた」じゃなくて「みた」。

放課後。

俺の事をサンタと呼ぶクラスメイトを怒鳴り付けた俺は、そのまま教室を出た。

(あーくそっ!!どいつもこいつも!!もとはと言えばあいつが・・・)

「サンター!!」

後ろから、あいつの声が聞こえた。
.

⏰:08/09/14 13:07 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#10 [◆BBhDve0Trg]
 
俺は「みた」。

「サンタ」じゃないから振り向かない。

無視して歩いていると、後ろから制服を引っ張られた。

「もーサンタ!!無視するな!!」

こいつは中井優子。

中学からの腐れ縁。

ちなみに、サンタと呼び始めたのもこいつ。
.

⏰:08/09/14 13:08 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#11 [◆BBhDve0Trg]
 
「俺はみた!!てか、お前がサンタって呼ぶせいで、他の奴らにも呼ばれるんだけど!!」

背の低い中井を見下ろして怒鳴る。

「・・・そんな怒鳴んなくてもいいじゃん。サンタって、この時期いっつも機嫌悪いよね」

中井は、フンッとそっぽを向いた。

(・・・誰のせいか分かってんのか)

「お前に、俺の気持ちは分かんねーよ。てか、何か用??」
.

⏰:08/09/14 13:09 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#12 [◆BBhDve0Trg]
 
「あ!!そうそう・・・」

言いながら、中井はカバンの中をゴソゴソとあさる。

そして、1枚の紙切れを取り出した。

「はい!!これ」

そう言って、紙を俺に渡す。

「・・・クラス会??」

紙の1番上に、「☆平成18年度宮川中3Bクラス会☆」と、大きく書いてある。
.

⏰:08/09/14 13:10 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#13 [◆BBhDve0Trg]
 
「そう!!中3の時の!!私と絵美が幹事なんだけど、来れる??」

俺は、紙にザッと目を通した。

「は??てか、わざわざクリスマスイブにやるの??」

イブって言ったら、恋人達の聖夜だろ。

「あ、そっか。サンタは、イブはプレゼント配りで大忙しだもんね」

「・・・おい」

俺が睨むと、中井は無邪気に笑った。
.

⏰:08/09/14 13:11 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#14 [◆BBhDve0Trg]
 
「大丈夫だよ!!調べたところ付き合ってるのは、元3Bカップルの美穂と進藤君だけだから。2人一緒に来れるらしいし」

笑顔で言う中井の手元には、Vサイン。

(・・・お前、自分で言ってて虚しくならないか??)

なんて思った事は、口には出さない。

(・・・あいつら来るのか)

「サーンタ!!で、来るの??来ないの??」

ぼーっとしていると、中井が言った。
.

⏰:08/09/14 13:13 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#15 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・行くよ」

「んー分かった!!忘れないでよ!!」

中井はメモをとると、回れ右して走っていった。

俺は、もう一度紙をじっくり見る。


『・・・ごめんね』


忘れたはずの声が聞こえた気がして、俺は頭を左右に振った。

(・・・もう、一年か)

.

⏰:08/09/14 13:13 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#16 [◆BBhDve0Trg]
――――――――


中二の秋から中三の冬まで、俺には彼女がいた。

それが美穂。

告白したのは俺から。

美穂は、明るくて頭も良くて綺麗で・・・自慢の彼女だった。

.

⏰:08/09/14 13:14 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#17 [◆BBhDve0Trg]
 

『・・・他に好きな人ができたの』


中三の冬、十二月の初め。

そう、ちょうど今頃の時期。

美穂が別れ話を切り出した。

.

⏰:08/09/14 13:16 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#18 [◆BBhDve0Trg]
 

美穂の進路希望は、県内で五本の指に入る進学校。

一方俺は、そことは比べ物にならない普通の県立高校。

美穂が好きになったのは、美穂と同じ高校を目指す進藤。

まぁ、よくある話。

その後、二人は無事志望校に合格し、進藤からの告白で付き合い始めた。

.

⏰:08/09/14 13:17 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#19 [◆BBhDve0Trg]
 

『・・・ごめんね』


別れる時、本当につらそうに美穂は言った。

きっと、俺のことを嫌いになったわけじゃない。

それはよく分かった。

なのに・・・

.

⏰:08/09/14 13:17 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#20 [◆BBhDve0Trg]
 

『もう、いーよ』


俺の口から出たのは、ひどく冷たい一言。

・・・あの時の美穂の泣きそうな顔が、瞼の裏に焼き付いて離れない。


何度も、何度も後悔した。

あの時、もっと優しい言葉をかけてやれたなら。

あんな顔、させずにすんだのに。

.

⏰:08/09/14 13:18 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#21 [◆BBhDve0Trg]
――――――――


「・・・ここか」

イブ当日、俺は中井に渡された紙を見て、店の名前を確認していた。

(・・・よし)

店のドアに手をかける。

「あれー?サンタ?」

声をかけられて、俺はドアに手を当てた状態で止まった。

(この気の抜けた声は・・・)
.

⏰:08/09/14 13:20 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#22 [◆BBhDve0Trg]
 
俺はゆっくりと声のした方を向く。

・・・予想通り。

振り向くと、いや、正確には振り向いて少し下を向くと、中井が不思議そうな顔で俺を見上げていた。

「なに?サンタも遅刻?」

中井は何が楽しいのか、笑いながら言った。

「あぁ、電車乗り過ごして・・・てか中井も?幹事のくせに?」

「ほら!!早く入ろ!!」
.

⏰:08/09/14 13:21 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#23 [◆BBhDve0Trg]
 
質問には答えずに、中井は俺を押し退けてさっさと店の中に入っていく。

(・・・おいおい)

呆れながら中井の後に続く。

その時、中井が俺の方を振り向いた。

そして、まるで俺の心を読んだかのように、へへっと笑ってみせた。

.

⏰:08/09/14 13:22 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#24 [◆BBhDve0Trg]
――――――――


「あ、サンタ!!おせーぞー!!」

部屋に入ると、すでに全員揃っていた。

「わりぃ!!電車乗り遅れた」

言いながら俺は、空いていた席に座る。

視界の隅に、美穂と進藤が隣同士に座っているのが見えた。

俺はさりげなく視線をずらして、二人を視界からはずす。
.

⏰:08/09/14 13:23 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#25 [◆BBhDve0Trg]
 
まともに見る勇気は、まだない。

「あ、優子おそーい!!てか幹事のくせに遅刻って!!」

トイレに寄っていた中井が、遅れて部屋に入ってきた。

「ごめーんー!!」

手を合わして謝る中井。

(ふ・・・言われてら)

中井は座る暇もなく、もう一人の幹事である三宅に引っ張られ前に出る。
.

⏰:08/09/14 13:24 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#26 [◆BBhDve0Trg]
 
「えー・・・ではやっと全員揃ったので」

三宅が言う横で、中井は慌ててかぶっていたニット帽を取る。

「みんな、飲み物の準備はいいですかー?」

「おー!!」

そこでみんな、それぞれの飲み物を手に持つ。

俺のとこには、すでにコップにつがれたジュースがあったのでそれを持つ。
.

⏰:08/09/14 13:25 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#27 [◆BBhDve0Trg]
 
「え!?私持ってないよぉ」

と言いながら焦る中井に、そばに座っていた美穂が飲み物を渡しているのが見えた。

「それでは!!今日全員揃って集まれたことを祝して!!」

「「かんぱーい!!」」

結局、全部三宅が仕切っていた。

・・・中井が前に出た意味はあったのか?

.

⏰:08/09/14 13:26 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#28 [◆BBhDve0Trg]
――――――――


「・・・はー、さみぃ」

俺は一人店から出て空を見上げた。

中の盛り上がりは最高潮で、熱気もすごい。

温まった体に、外の寒さは身に染みた。

空には二三個星が見えるだけで、他は黒。

その黒さが、吐いた息の白さを際だたせる。

息は徐々に色を失い、他の空気と混ざり、溶けて消えた。
.

⏰:08/09/14 13:27 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#29 [◆BBhDve0Trg]
 

美穂と進藤は、超が付くほどお似合いだった。

周りの奴らは俺を気遣ってか何も言わなかったけど、俺から見てそうなんだから、他の奴らから見てもそうなんだろう。

視界の隅に時々うつる美穂の笑顔は、昔と変わらずまぶしかった。

・・・あの頃、俺に向けられていた笑顔。

.

⏰:08/09/14 13:28 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#30 [◆BBhDve0Trg]
 

俺は今日、本当は、付き合っていた頃のように普通に話せることを期待してた。

あ久しぶり、とか言って。

何事もなかったかのように。

けど実際は、視界の隅に映る二人を見るのが精一杯で、目すら合わせられなかった。

.

⏰:08/09/14 13:29 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#31 [◆BBhDve0Trg]
 

別によりを戻したいとか思ってるわけじゃない。

いや、そうなるのを全く期待していなかったって言ったら嘘になる。

けど今日、幸せそうな美穂を見て、進藤の隣で笑う美穂を見て、そんなことは有り得ないんだって実感した。

そして、あの頃の思い出と、優しい言葉をかけられなかった後悔だけが残った。

.

⏰:08/09/14 13:30 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#32 [◆BBhDve0Trg]
 

最後の最後にあんなに冷たかった俺を、美穂は嫌いになっただろうか?

俺と付き合ったことを、後悔しなかっただろうか?


カランッ

店のドアの開く音がした。

どうせ知らない人だろう、と俺は後ろを振り向きもしない。
.

⏰:08/09/14 13:31 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#33 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・一輝」

声が、聞こえた。

聞き慣れていたはずの声。

(・・・これって)

まさかと思いながら、俺はゆっくりと振り向く。

「・・・美穂」

そこには、美穂がいた。

驚く俺をよそに、美穂は俺の隣に並ぶ。
.

⏰:08/09/14 13:32 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#34 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・一輝、変わってないね」

冷たい風に長い髪をなびかせながら、美穂は言った。

「・・・美穂もな」

俺は、平然を装って答える。


いや、むしろ綺麗になったよ。

そんなこと言えないけど。

.

⏰:08/09/14 13:33 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#35 [◆BBhDve0Trg]
 

美穂は髪を押さえて、ふふっと笑った。

俺はそんな美穂を、今日初めて正面から見た。


・・・あぁ、美穂だ。

笑った顔も、一つ一つの仕草も、何もかもが大好きだった。

大好きだった。

なのに・・・
.

⏰:08/09/14 13:34 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#36 [◆BBhDve0Trg]
 
あの時、傷つけてごめん。

優しくなれなくて、ごめん。


「・・・美穂」

「ん?」

美穂がきょとんとした顔で俺を見る。
.

⏰:08/09/14 13:34 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#37 [◆BBhDve0Trg]
 
(・・・あ)

言いたいことはいっぱいありはずなのに、いざとなると言葉が出てこなくて、俺は固まってしまった。

顔が赤くなるのが分かる。

そんな俺を見て、美穂は優しく微笑む。

「・・・一輝、私ね」

口を開いた。
.

⏰:08/09/14 13:35 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#38 [◆BBhDve0Trg]
 
「一輝のこと、本当に好きだったよ」

そう言って、美穂は少しうつむいた。

長い髪がさらりと揺れる。


・・・美穂に、こんなこと言ってもらえるとは思ってなかった。

俺も・・・今なら言えると思った。

もう、絶対に後悔したくない。

.

⏰:08/09/14 13:36 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#39 [◆BBhDve0Trg]
 

俺は冷たい空気を吸い込んだ。

今は、夜空の星でさえも自分を応援してくれている気がする。

(・・・よし)

「・・・俺さ、ずっと後悔してたんだ」

白い息とともに、吐き出すように言った。

美穂が、真剣な顔で俺を見る。
.

⏰:08/09/14 13:37 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#40 [◆BBhDve0Trg]
 
「最後に・・・美穂に冷たい言葉しか掛けれなかったこと」

美穂は、驚いたような顔をした。

「美穂のこと、好きだったのに・・・泣きそうな顔させた」

俺は目をつむって、頭を下げた。

「・・・あの時は、ごめん」

.

⏰:08/09/14 13:38 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#41 [◆BBhDve0Trg]
 

やっと言えた。

謝ったからって、傷つけた事実が変わる訳じゃないし、ただの自己満足かもしれない。

けど、言わずにはいられなかった。


「一輝・・・顔上げて」

美穂に言われて、俺はゆっくりと顔を上げる。

それを確認して、美穂は口を開いた。
.

⏰:08/09/14 13:39 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#42 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・よかった。私、一輝に嫌われたかと思ってたから」

美穂の言葉に、俺はブンブンと首を横に振った。

そんな俺を見て、美穂は微笑んだ。

「自分勝手だけと・・・一年以上付き合って、嫌われて終わるのって悲しいから・・・ずっと、聞きたかったの」

言った後、今度は美穂が頭を下げる。
.

⏰:08/09/14 13:40 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#43 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・今まで、本当にありがとう。一輝と付き合って、すごく楽しかった」

美穂が言った。


心が軽くなった気がした。

ずっと胸につっかえていたものが、すーっと消えていくのが分かった。

あぁ・・・美穂も同じだったんだ。

.

⏰:08/09/14 13:41 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#44 [◆BBhDve0Trg]
 

「・・・美穂」

美穂が顔を上げる。


俺も、ずっと言いたかったことがある。

あの時言えなかった言葉。

今度こそ、伝えたい。


美穂の顔を見て、自然に笑えた。

「俺も・・・今までありがとう・・・幸せになってな!!」
.

⏰:08/09/14 13:42 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#45 [◆BBhDve0Trg]
 
ずっと言いたかった言葉。

それを聞いて、美穂は大きくうなずいた。

そして、照れたように笑う。

「今日、来てよかった。一輝と話せてよかったよ。・・・優子に感謝しなきゃな」

「へ?中井?」

俺が言うと、美穂はしまったという風に口を押さえた。
.

⏰:08/09/14 13:43 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#46 [◆BBhDve0Trg]
 
俺の顔を見て、へへっと笑って見せる。

「えっと、じゃぁ先入るね!!」

そう言って美穂は、そそくさと店の中に戻っていった。

俺は頭にハテナマークを浮かべたまま、その場に立ち尽くす。

(・・・ま、いっか)

.

⏰:08/09/14 13:44 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#47 [◆BBhDve0Trg]
 

俺も、来てよかった。

話せてよかった。

・・・もう、大丈夫だ。


もう一度空を見上げて、店のドアを開けた。

「わわっ!!」

その瞬間、声がした。

(・・・この間抜けな声は)
.

⏰:08/09/14 13:46 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#48 [◆BBhDve0Trg]
 
下を向くと、案の定中井がいた。

俺と目が合うと、やばいといった顔をして不自然に目をそらす。

「・・・何してんだよ」

俺は呆れながら言った。

「いや!!たまたま偶然、ね!!」

明らかに怪しい身振り手振りを交えながら、中井が言う。

.

⏰:08/09/14 13:47 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#49 [◆BBhDve0Trg]
 

『・・・優子に感謝しなきゃな』


その時、さっき美穂の言っていたことが頭をよぎった。

(・・・こいつ)

中井が俺の顔をちらりと見て、観念したようにひひっと笑った。

「美穂とはちゃんと話せた?」

そして、心配そうに言う。
.

⏰:08/09/14 13:48 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#50 [◆BBhDve0Trg]
 
(あぁ・・・中井のお陰なのか)

俺は、中井を見て笑った。

「・・・ありがとな」

言いながら俺は、部屋に向かって歩き始める。

そんな俺を見て、中井は少し驚いた顔をした後、嬉しそうに笑った。

「どういたしまして!!」

.

⏰:08/09/14 13:49 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#51 [◆BBhDve0Trg]
――――――――


ガラッ

部屋のドアを開けると、みんな一斉にこっちを見た。

「サンタと中井どこ行ってたんだよー!!遅刻コンビ!!」

「何かゲームやるぞ!!」

そんな言葉に、俺は手を合わしながら謝る。

向こうの方で、美穂が笑っているのが見えた。
.

⏰:08/09/14 13:50 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#52 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・ふ」

(・・・ふ?)

小さく笑い声のした方を見ると、中井が肩を震わせて笑っていた。

「・・・何そんな笑ってんの?」

俺が聞くと、中井は自分の口元で手招きした。

俺はかがんで、自分の耳を中井の口元に近付ける。
.

⏰:08/09/14 13:51 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#53 [◆BBhDve0Trg]
 
「あのね・・・サンタと中井、だって!!」

中井が俺の耳元に手を添えてこそっと言った。

「・・・?」

言った後また中井は笑ったが、俺にはさっぱり何のことか分からない。

そんな俺に気づいて、中井は少しすねたような顔をした。

「だーかーらー」

そう言って、もう一度口を近づける。
.

⏰:08/09/14 13:52 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#54 [◆BBhDve0Trg]
 
「サンタ・トナカイ!!」

そして、今度は分かりやすく、区切って言った。

(・・・あ)


本当だ。

言われて初めて気づいた。

サンタとトナカイなんて・・・今日にぴったりだな。

嫌だったはずのそのあだ名が、急にくすぐったく感じた。

.

⏰:08/09/14 13:54 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#55 [◆BBhDve0Trg]
 

なんだか可笑しくて、俺も笑えてきた。

中井も満足げに笑う。

「何こそこそ話してんだよー!!早く座れ!!」

さっき「サンタと中井」と言った奴が言って、俺たちは顔を見合わせてまた笑った。

この様子だと、周りの奴らも言った本人も気づいてないようだ。

「行こっ!!」

中井が自分の席に向かって歩き出す。
.

⏰:08/09/14 13:54 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#56 [◆BBhDve0Trg]
 
「あ!!おい、雪!!」

その時、進藤が窓の外を指さして言った。

空から白い結晶がパラパラと舞い降りている。

「え、うそ!?」

「わー!!」

みんな口々に言いながら窓に近づく。

「雪!!」

中井も目を輝かせて、窓の方へ向かう。

途中、中井が俺の方を振り向いた。
.

⏰:08/09/14 13:55 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#57 [◆BBhDve0Trg]
 
「ほら、サンタ!!」

そう言って、本当に嬉しそうに笑った。

その笑顔は、美穂に負けないぐらいまぶしくて、輝いて見えた。

.

⏰:08/09/14 13:57 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#58 [◆BBhDve0Trg]
 

・・・その瞬間、俺の中で中井が、一人の女の子に変わった。

けど、そのことに俺自身が気づくのは、まだもう少し先の話・・・。


・・・明日はクリスマスだ。

.

⏰:08/09/14 13:58 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#59 [◆BBhDve0Trg]
>>8-58
サンタにプレゼント

投下終了です!
次の方どうぞ。

⏰:08/09/14 14:01 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#60 [◆67oIOf49hA]
投下させて頂きます

「幸せの象徴」

⏰:08/09/14 14:05 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#61 [◆67oIOf49hA]
私はずっとそこで1人だった。

いつものように、そよ風が心地よくあたり、時々私を訪ねる友と親しみのキスを交わす。

でも、ずっと1人だった。

そんなある日、流れていく白い雲を眺めていたら、あなたが私の前に現れた。

優しい笑顔で私に近づいてきた貴方は、そっと触れて、頭を撫でてくれる。

「君は1人ぼっちなの?さみしいね……」

その優しい手つきに、私の心は温かさで満ちていった。

指先1本1本が、私を気遣うように動く様が、たまらなくいとおしく感じる。

⏰:08/09/14 14:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#62 [◆67oIOf49hA]
その時、遠くで誰かがあなたを呼んだ。
それに返事をしたあなたは、私の方を向いて、また優しく微笑むと、「またね」と告げて去って行った。

私はその後ろ姿をずっと見つめる。

[またね]

ここにずっといれば、またあなたに会えるのかしら。

頭には、まだ触れられた温かさが残っている。

誰も私に見向きしないなか、あなただけは私に触れ、「さみしいね」と気持ちを分かってくれた。

嬉しかった。
そんな人は初めてだったから。

⏰:08/09/14 14:08 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#63 [◆67oIOf49hA]
あなたが「またね」と言ってくれるなら、私はずっとここないるよ。

ずっと待ってるよ。

あなたに会いたいから……。

でも、あなたは来なかった。
ずーっとずーっと来なかった。

でも、私は待ち続けた……。

明日なら、あなたに会えるかもしれないでしょ?
明日なら、またあなたが微笑んでくれるかもしれないでしょ?

あなたと交わした小さな約束。

それを守るために、私はずっとここにいるよ……。

「あれ、あなた」

たまにしか私を訪ねない友人が、いつもの派手な服で身をまとい、やって来た。

⏰:08/09/14 14:09 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#64 [◆67oIOf49hA]
「なぁに?」

「まだいたの?」

「だって、約束したんだもの」

「でもあなた、自分で言ったじゃない。もう無理だって」

待つのが無理なのじゃない。
私の体が無理なのだ。
私は短い一生を終えようとしている。

体はボロボロで、立っているのだってやっとだ。

前はあんなに近かった白い雲が、今ではこんなにも遠い……。

あなたが来ない日が続いた。
私の命が途絶える日が近づいてきた。

⏰:08/09/14 14:10 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#65 [◆67oIOf49hA]
早く来て……。
せめて最後に一目だけ会いたいの……。

意識が薄れる中、近くにある建物の鐘が大きく何回も鳴り響いた。

必死にその方を見れば、そこからたくさんの人が出てくる。

そして、私は見た。
花びらが舞う中を、白い服で身を包んで楽しそうに笑っているあなたを。

隣にいる誰かと一緒に笑っているあなたを……。

でもいい……。
それでもいいの……。

もう一度会えた。
それが嬉しい。

⏰:08/09/14 14:11 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#66 [◆67oIOf49hA]
あなたが幸せならそれだけでいいの。

ありがとう。

あの日、私に気づいてくれて。
寂しさに気づいてくれて。
温かな気持ちをくれて。

幸せに……。
どうか幸せに……。

ああ、もう時間だ。
いかなくちゃ……。

―――――――――…………

「あ……っ」

「どうしたの?」

「この前来た時は元気だったのに。ホラ、可愛い花だろう?1人ぼっちで咲いてたから気になったんだ」

⏰:08/09/14 14:12 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#67 [◆67oIOf49hA]
「あらこれスズランじゃない。見つけたって事は、私達、幸せになれるのでしょうね」

彼女は微笑む。

彼は1輪の花を手にとった。

もうシャキリと立つことが出来ないしなったその花を見た彼は、どうしてか泣きたい衝動にかられた。

ふわりとやわらかな風が吹いた時、彼は確かに聞いた。

―ありがとう―

小さな小さな可愛らしい声は、やがて風とともに溶けていった……。


-end-

⏰:08/09/14 14:13 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#68 [◆67oIOf49hA]
「幸せの象徴」

>>60-67

次の方どうぞ

⏰:08/09/14 14:14 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#69 [◆EOLHvvAOaU]
今から投下します
「雨のち…」

⏰:08/09/14 14:18 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#70 [◆EOLHvvAOaU]
シ 
きっと…私達は……
私と雅也は
もうダメなんだ


そんな事を思い
携帯を握り締めながら
冷たい雨に打たれていた



雅也は雨が好きだった
あれ…?
でも、何で雨が好きなんだったっけ?



今となっては…もう思い出せない
 

⏰:08/09/14 14:19 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#71 [◆EOLHvvAOaU]
 
昔はきっと
答えられたはず…


私達…いつから
こーなってしまったの?



今日は本当なら5年記念日を祝うはずだったのに


私は雨に打たれながら
二人の終わりを
予感していた
 

⏰:08/09/14 14:20 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#72 [◆EOLHvvAOaU]
 
きっと二人に溝が出来始めたのは
私が雅也に
プロポーズしたあの日



……………………………



「ね…雅也。私達あと半年で5年だね?」


私はもう通い慣れた
雅也の部屋でくつろぎながら話を切り出す
 

⏰:08/09/14 14:21 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#73 [◆EOLHvvAOaU]
 
雅也は夢追い人で
漫画家を目指していた
その為今も
今度応募する為の原稿にペンを走らせながら
私の話しに相槌をうつ



「んー…」



そっけない返事…
いつからかな?
二人一緒にいるのに
一人みたいに感じる様になったのは……
 

⏰:08/09/14 14:22 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#74 [◆EOLHvvAOaU]
 
一緒に居ればいるほど
素敵な事が増えてく
そんな時代はもう終わってしまったのかな…?



私も、もう30手前…
正直結婚に焦りを覚えている
けど結婚の『け』の字も出てこない
だから決めた。



「ね、雅也…。
結婚…しよ?」
 

⏰:08/09/14 14:22 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#75 [◆EOLHvvAOaU]
 
平然を装って言ったけど
本当は心臓が激しく波打っていて、その心臓音が雅也に聞こえないか
内心ハラハラしていた



でも、私は心の中で安心してたのかもしれない
“四年半も一緒にいるんだから!”とか
“タイミングを計ってるんだ”とか

そんな風に
雅也がプロポーズしない理由を勝手に決め付けていた
 

⏰:08/09/14 14:23 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#76 [◆EOLHvvAOaU]
 
だから雅也の言葉は
私を奈落の底へと突き落とした



「ごめん。無理だ」



たった一言で済まされた
私の一世一代の決心

その日から雅也とは
前の様で前みたくない
そんな見えない【溝】が出来てしまった気がする
 

⏰:08/09/14 14:23 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#77 [◆EOLHvvAOaU]
 
それから2ヶ月
全く生理が来なかったから産婦人科に来ていた

もともと生理は不順な方だったから2ヶ月来ないのは、ざらだった



「…またストレスかな」



暢気にそんな事を思っていた私に先生は
意外な一言を私に告げる
 

⏰:08/09/14 14:24 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#78 [◆EOLHvvAOaU]
 
「妊娠4ヶ月目に入ってますよ。なんでもっと早く来られなかったんですか??」



とその後も注意事項や
中絶するなら早い方がイイなど色々話してくれたけど
私の耳に先生の言葉は全く届かなかった



妊娠…?赤…ちゃ…ん?

⏰:08/09/14 14:26 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#79 [◆EOLHvvAOaU]
 
私は直接雅也の顔を見て話すのが怖くて
電話で妊娠の事実と
産む決意を告げた


雅也はただ「そっか」としか答えてくれなかった



産んでくれ。とも、産むな。とも言われなかった

 

⏰:08/09/14 14:26 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#80 [◆EOLHvvAOaU]
 
私の中で産む
と、決めていたから
雅也がなんと言おうと
どーでも良かった


けど…本当は
喜んでほしかったんだ
でも、もう無理なんだね




私達はその後一度も会う事もなく
数カ月が過ぎた頃
雅也から一通のメールが届いた
 

⏰:08/09/14 14:27 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#81 [◆EOLHvvAOaU]
 
記念日当日だった



いつも記念日は
毎回、同じ場所・同じ時間に待ち合わせて
馴染みの店で食事をする


これが毎年変わらない記念日の過ごし方だった



しかし…
雅也からのメールは…
 

⏰:08/09/14 14:27 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#82 [◆EOLHvvAOaU]
 
=======================今日バイト。終わるの夜だから、終わったら亜由美の家に行くよ。
=======================


というものだった
私は仕方なく出掛ける準備をやめて
コンビニに飲み物等を買いに行く事にした




コンビニに入ろうとした時、後ろから男に呼び止められ後ろを振り向く
 

⏰:08/09/14 14:28 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#83 [◆EOLHvvAOaU]
 
「あっ!やっぱり!
雅也の彼女の亜由美ちゃんだよね?」


呼び止めて来たのは
雅也の
バイト先の同僚だった



「あぁー!佐々木さん」



「雅也、デビュー決まったんだってね!おめでとう!!」
 

⏰:08/09/14 14:29 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#84 [◆EOLHvvAOaU]
え…?あっ…そっか
発表昨日だったんだ…
でも私…雅也から何も聞いてない



「雅也には今度おごって貰わなくちゃなぁ!
今日だってワザワザ、シフト交換してやったんだし!雅也も休みだし、これから二人でお祝い?」





は………?
シフト交換した?
だって雅也…今日バイトだってメール………
 

⏰:08/09/14 14:29 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#85 [◆EOLHvvAOaU]
 
「おっと!バイトに遅れる!!じゃあ雅也に宜しくなぁー」



そうして佐々木さんはその場を去って行った
私はすぐ雅也の携帯に電話をかけるが
何度コールしても出ない




あぁ……そっか
私避けられてるんだね
 

⏰:08/09/14 14:30 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#86 [◆EOLHvvAOaU]
 
私は雅也の携帯に留守電を残した



『あの場所で待ってます今日来なかったら…
…もう終わりにしよう』



待ってるうちに雨が降り出した。時計を見ると約束の時間からはすでに2時間過ぎており
時計の針は15時を指していた
 

⏰:08/09/14 14:31 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#87 [◆EOLHvvAOaU]
 
やっぱり…ダメなんだ
そう思っていると
フワッと後ろから抱きしめられる



「……え……?」



振り向くと
そこには、息を切らした
雅也の姿があった



「雅也…」
 

⏰:08/09/14 14:31 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#88 [◆EOLHvvAOaU]
 
「亜由美!!!
身重なのに雨に打たれて何やってんだ!?」


雅也の怒鳴り声が頭に響く


「……て…今日バイトじゃないんでしょ?
……私と会いたく…なくて………嘘…」



全部を言い終わる前に
私は再び雅也の腕の中にいた
 

⏰:08/09/14 14:32 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#89 [◆EOLHvvAOaU]
 
「あぁーもう!!こーれ!これ買ってたの!!」



そう言って
差し出されたのは
小さいけど
ピカピカに輝く
ダイヤの指輪だった





「え……?だって…結婚は無理って……」
 

⏰:08/09/14 14:33 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#90 [◆EOLHvvAOaU]
 
「…だから、それは!未熟者で中途半端な俺じゃ結婚は無理だから!」


そう言って濡れた頭を
ガシガシとかくと
今度は少し拗ねた様に



「…だから必死に頑張ってデビューも決まって、賞金で指輪も買ったから今日ビシッと決めようとしたのに……お前は…」


と言うと
優しく唇を重ねた
 

⏰:08/09/14 14:33 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#91 [◆EOLHvvAOaU]
 


「俺にはお前と赤ちゃんが必要なんだ。亜由美…俺と、結婚してくれ」



シンプルだけど
雅也らしい素敵な
プロポーズだった





気付いたら
あんなに降っていた雨は
すっかり止んでいた
 

⏰:08/09/14 14:35 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#92 [◆EOLHvvAOaU]
 
ねー雅也。
私思い出したよ
雅也が雨を好きな理由



雨が降ると虹が見えるからだよね?





虹は大きく大空に
弧を描き
私達を祝福してる様だった
 

⏰:08/09/14 14:36 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#93 [◆EOLHvvAOaU]
 


私達は昔の様に
手を繋ぎながら歩いた



左手の薬指には
キラキラのダイヤの指輪
空には鮮やかな虹






「雅也幸せになろーね」
 

⏰:08/09/14 14:37 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#94 [◆EOLHvvAOaU]
【投下終了】

タイトル:雨のち……
◆アンカー◆
>>70-93


次の方、どうぞ…

⏰:08/09/14 14:39 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#95 [◆1jVUKlu67k]
今から投下します!!

タイトル
【決めゼリフ】

⏰:08/09/14 16:35 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#96 [◆1jVUKlu67k]
「結婚しよう!!……ん〜ありきたりすぎだ……」

そう言って太郎はうなだれた。

風呂上がりに腰にタオルを巻いただけの姿で鏡とにらめっこするのも日課となってしまった。

鏡の前でのプロポーズの練習は、かれこれ五日目。

同時に、彼女に指輪を渡せないでいる日数も五日目。

⏰:08/09/14 16:36 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#97 [◆1jVUKlu67k]
こんなに言葉を考えているのに、これといった決めセリフが思いつかないなんて自分の国語力のなさにため息がでる。

「俺が幸せにするから………いや、なんか違うんだよね……」

まだ乾き切っていない髪の毛から滴り落ちる滴は、太郎を慰めるように優しく頬を伝う。

半裸で鏡に映った無気力な自分は、どうしようもなく滑稽で、今日の練習はここまでにする事にした。

⏰:08/09/14 16:36 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#98 [◆1jVUKlu67k]
「もう2年か……」

湿った髪の毛をドライヤーで乾かしながら、太郎は2年前の記憶の糸を手繰り寄せる。

彼女と出会ったのは、薔薇の刺のようにチクチクとした鋭い風が吹き荒れる冬の日。

当時彼女は週に一回水曜日に、駅前でティッシュを配るアルバイトをしていた。

⏰:08/09/14 16:37 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#99 [◆1jVUKlu67k]
茶色に染めた短い髪を冷たい風になびかせながら、一生懸命ティッシュを配る姿に、気付いたらもう釘付け。

それからと言うもの、毎週水曜日は何度も彼女の前を通り、数え切れないほどのティッシュを家に溜めていった。


そんなストーカー混じりの行為を毎週していれば、さすがに彼女も気付くわけで……

「あの、そんなにティッシュ欲しいんですか?」

キレイに整えられた眉をひそめ、苛立ちを露わにして問う。

⏰:08/09/14 16:38 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#100 [◆1jVUKlu67k]
明らかに自分は嫌悪されていると分かってはいるものの、みるみるうちに自分の中の“何か”がキュウっと締め付けられる。

人はこれを切なさと呼ぶのだろうか。

「いや、あの、目的はティッシュじゃなくて、あなたなんです……あれ?」

この言葉はまずい、と思った瞬間にはもう遅かった。

乾いた音が冬空に響く。

⏰:08/09/14 16:38 📱:F905i 🆔:☆☆☆


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