【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#258 [No.018◆vzApYZDoz6]
荒れ果てた大地で、男は限界に刻一刻と近づいていた。
敵は予想外に多い。だが、彼はそれでいいと思っていた。
でなければ自分がここにいる意味がない。
「でも…倒れる訳にはいかない…!」
殿軍とは厳しいものだ。
多勢を相手にしなければならず、決して帰還は許されない。
褒め称えるものがいたとしても、それを見るのは叶わない。
だが、それでもいいと思っていた。
少なくとも仲間を守るための覚悟は背負ってきた。
そしてそれは、彼だけではなかった。
「よう、ボロボロじゃねーか兄さん」
「!?」
:08/11/03 19:50 :P903i :LUmIhgZI
#259 [No.018◆vzApYZDoz6]
目の前に現れたのは、同じ覚悟を背負った者。
己の命と等しく大切な戦友だった。
「お前ら……何しに?」
「何しにってそりゃー、てめーを助けに来たに決まってんだろ」
「さてと。後は私たちがやるけど…どうする?」
「ま、無理はしねー方がいいんじゃねーの?」
「……ふん。これぐらい…どうってことないさ!」
体に力が湧いてくる。
背負ったものが、少しだけ軽くなった気がした。
「そんじゃー、いっちょ暴れてやりますか!」
「2人とも気をつけてね」
「ああ。…生きて帰って、酒でも飲もうぜ!」
頷きあい、3方に別れて敵の元へ駆け出す。
勝ちは見えない殿戦闘。それでも3人は戦った。
例え彼らの望みが叶わなくとも、同じ覚悟を背負っている仲間がいるから。
:08/11/03 19:50 :P903i :LUmIhgZI
#260 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 19:55 :P903i :LUmIhgZI
#261 [No.019◆vzApYZDoz6]
「うーん……」
「どうしたの女将?」
「僕はなんで女将をやってるんだろう、って思って」
「そりゃあ女顔だからでしょ?」
「いや僕男だよ?女将って女性がやるものじゃないのかなぁ…」
「まぁ先代の女将が病気で引退したはいいけど、代わりがいなかったもんねぇ。あなた次男だしいいんじゃない?」
「いや次男だからといって女将になる必要はない気がするんだけど…」
「気にしないの。さ、お仕事、お仕事っと」
「はぁ…もしかしてずっと女将続けなくちゃいけないのかなぁ…せめて声がもっと低ければ断る理由も──」
「すみません、予約してた鈴木です」
「──はいはい、ありがとうございます。鈴木様ですね、あちらのお部屋ですよ!ご案内致しますね〜」
「……何だかんだでやっぱりサマになってるじゃない。さ、お仕事、お仕事っと」
「……はぁ…僕、本当にこれでいいのかなぁ…」
:08/11/03 19:56 :P903i :LUmIhgZI
#262 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 19:59 :P903i :LUmIhgZI
#263 [No.020(1/2)◆vzApYZDoz6]
「125、126、127・8・9…130!」
先程から数えているのは、倒した敵の数だった。
倒しても倒しても湧いてくる敵を前に、途中から数を数えて今のでちょうど130人目。
実際はもっと倒しているはずだ。
近くの敵を粗方倒したところで、仲間と背中合わせになった。
「オメー何人やった?」
「さぁ…いちいち数えていない」
「なんだ、つまんねーの」
言いながら、向かってくる敵に銃口を向ける。131人目。
それにしても数が多い。2人合わせて300人以上は倒してる筈だが、一向に減る気配がない。
敵の銃弾はほとんど当たらないが、さすがに集中力は続かない。
こちらの銃は弾装無限のコスモガンだから、弾切れはありえない。
しかし敵は一個大隊なので、向こうのネタ切れもありえない。
敵が弾を撃ち尽くすまでに、こちらの集中力が切れて撃ち殺されることも否めない。
なんとかする必要がある。
:08/11/03 20:01 :P903i :LUmIhgZI
#264 [No.020(2/2)◆vzApYZDoz6]
「オメー何か考えろよ。このままじゃちょっとキツいぜ?」
「君が裸になればいいじゃないか。口調は男でも性別は女だしね」
「んなこと言ってるとオメーを先にブチ殺すぞ!!……チッ、湧いてくるんじゃねーよ!」
次から次へと襲いかかる敵を前に、軽口を叩く仲間を相手にする暇もない。
寄ってくる相手から順に撃ち落とす。135人目。
だが依然として数が減る気配はない。
こうやって確実に倒していくしか方法はないだろう。
135人目が地に臥したのを合図に、軽口な男も銃を構える。
「じゃ、そっちは頼んだよ。いつでも服を脱いでくれ」
「うるせー、大きなお世話だこのド変態が!」
それを口火に、群がる敵の中へ轟音とともに駆け出した。
:08/11/03 20:02 :P903i :LUmIhgZI
#265 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:04 :P903i :LUmIhgZI
#266 [No.021◆vzApYZDoz6]
日もどっぷり浸かった放課後の音楽室。
茜色の夕陽が射し込む部屋の片隅で、フルートを奏でる少女がいた。
軽やかでいて心に響く音色に誘われた1人の青年が、窓からその少女を眺めている。
演奏が終わると、青年は手を叩いて喜んだ。
「すげーすげー、感動しちゃったよ俺」
「ありがとう。…あなたは?」
「ああ、俺? これだよこれ」
そう言って青年は、おもむろに懐から1枚の布切れを取り出した。
否、布切れではない。淡いピンク色で、レースの装飾がついている。
「体育館のロッカー室でこれ盗ってきた帰りにフルートの音色が聞こえてさー、来てみたr」
「キャー!! 下着泥棒よ、誰かー!!」
:08/11/03 20:05 :P903i :LUmIhgZI
#267 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:07 :P903i :LUmIhgZI
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