【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#311 [No.040(2/3)◆vzApYZDoz6]
俺は娘を一瞥してから、隣の女性に頭を下げた。
「すみません、お義母さん」
「いいのよ。…少しでもこの子との時間を過ごしてちょうだい」
俺の両親はどちらも早くに亡くなっている。
他に兄弟もいないので、嫁の両親に娘を育ててもらえないかとお願いすると、泣きながらに快諾してくれた。
義母も義父も娘を大切に育ててくれるだろうし、俺の気持ちまで案じて、こうして毎日のように娘を連れて病気に来てくれる。
こんな不良上がりな父親に育てられるよりは、娘もいい子に育つだろう。
結果として、良かったと思う。
お義母さんやお義父さんには申し訳ないけど、俺の身内はほとんど死んでしまっているし、悲しむ奴もそんなにいない。
医者に宣告された余命はあと2か月。
思い残す事なんて、何もない。
そう、何もないんだ。
「パパ…?」
ハッと我に帰ると、娘が俺の膝の上で不思議そうに見上げていた。
「どうしたの?」
「……いや……」
娘の顔を見ていると、急に死が怖くなる。
もう思い残す事などないと思っていても、そう思い聞かせても、俺の脳は頑なにそれを拒絶する。
死にたくない、生きていたいと、悲痛の叫びを上げる。
:08/11/03 21:23 :P903i :LUmIhgZI
#312 [No.040(3/3)◆vzApYZDoz6]
うるせぇよ、どうせ何やっても助からないんだ。
希望なんて、持つだけ無駄なんだ。
俺は、2か月後にはこの世にいないんだよ。
「パパ? 泣いてるの?」
娘の顔がちらつくが、視界に霞んで良く見えなかった。
続いて頬を滴が伝っていく。
俺は無意識に娘を抱き締めていた。
「パパ…? どうしたの?」
横でお義母さんがすすり泣く声が聞こえる。
そうだよ。俺はまだ死にたくない、生きていたい。
そんなの当たり前だ。
でも、死ぬんだ。
2か月後には、俺の存在はこの世から消えるんだ。
この世に未練なんて残せないんだ。
「……パパ、早く元気になってね。また一緒に遊ぼうね」
娘が小さな腕で、か弱い力で抱き返してきた。
まだ小学生にもならない娘にまで気を遣わせるなんて、最悪な父親だ。
:08/11/03 21:25 :P903i :LUmIhgZI
#313 [No.040(4/3)◆vzApYZDoz6]
「…ああ…元気になったら、一緒に遊ぼう」
そうして娘の頭を撫でてやりながら、思った。
俺が未練を残そうが残すまいが、死にたがろうが生きたがろうが、2か月後には死ぬ。
俺ができることは、俺自身が死に備えることじゃない。
少しでも他の連中が悲しまないようにすることだ。
俺はもう一度、娘の頭を撫でてやった。
娘が帰った後で、俺は煙草に火をつけた。
今日何本目かも分からない、でも今日初めての煙草は、少しだけ苦かった。
:08/11/03 21:25 :P903i :LUmIhgZI
#314 [No.040(4/3)◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:31 :P903i :LUmIhgZI
#315 [No.041、046(1/3)◆vzApYZDoz6]
どこにでもあるような神社の片隅。
(*゚ー゚)「……なんだろう、これ?」
(*゚∀゚)「きっと洞窟じゃない?」
(*゚ー゚)「それは見ればわかるよ…にしてもこんな場所があっあんだねー。この鈴は…なんだろう?」
(*゚∀゚)「行ってみよ!」
(*゚ー゚)「えっ、ダメだよ…まだ稲刈り終わってないし」
(*゚∀゚)「そんなのあとでやればいいじゃん!」
:08/11/03 21:32 :P903i :LUmIhgZI
#316 [No.041、046(2/3)◆vzApYZDoz6]
(*゚∀゚)「……はい、というわけで洞窟の中!」
(;゚ー゚)「…誰に説明してるの?」
(*゚∀゚)「気にしない気にしない」
( ((( ∵)すす〜っ
(*゚∀゚)「うわっ!」
(;゚ー゚)「だ、誰ですか?」
( ∵)σ「………」
(*゚∀゚)「何、この鈴がどうかしたの?」
(*゚ー゚)「あっ、鈴にこの人の顔が…」
(*゚∀゚)「入口にあった鈴に顔…てことはあなたの家だったり?」
( ∵)「……」
(;゚ー゚)「……みたいだね」
(*゚∀゚)「それはどうも、お邪魔しました〜」
:08/11/03 21:33 :P903i :LUmIhgZI
#317 [No.041、046(3/3)◆vzApYZDoz6]
(*゚∀゚)「はい、ところ変わって再び神社の片隅!」
(;゚ー゚)「だから誰に説明してるの?」
(*゚∀゚)「気にしない気にしない」
(*゚ー゚)「でも、まさか人の家だったなんて…」
(*゚∀゚)「ていうかここって私たちの敷地じゃなかった?」
(*゚ー゚)「………」
(*゚∀゚)「………」
(;゚ー゚)「……あの人、何者なんだろう……」
(*゚∀゚)「気にしない気にしない。さぁ稲刈り再開!」
完…?
:08/11/03 21:33 :P903i :LUmIhgZI
#318 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:36 :P903i :LUmIhgZI
#319 [No.042◆vzApYZDoz6]
「原因を究明しようか」
明け方に近い深夜のファミレス。
店主とみられる男と、バイトか何かであろう少女が、店を閉めた後の静かな2人掛けのテーブルを挟んでいた。
「まずは情報を整理しよう。事が起きたのは何時頃だ?」
「午前1時過ぎだと思います…」
「確か16番テーブルだったな?」
「はい、1時前までは確かにお客様がいました…」
「そして君が少し目を離した、間にお客様が消え失せていた、と」
「はい、すみません……」
「これは誘拐か、それとも殺人か…何れにせよ数分の間にお客様を連れて消えたことになる。だが窓は破られていないし、入り口を通れば気付くはずだ…一体どうやって……」
(ただの食い逃げだと思うけどなぁ……)
:08/11/03 21:37 :P903i :LUmIhgZI
#320 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 21:38 :P903i :LUmIhgZI
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