【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#293 [No.030(3/3)◆vzApYZDoz6]
「ちゃんと覚えてるよ」
「ならいい。さぁ、そろそろ0時じゃ、バイクに乗れ」
ジジイが地図をしまいながら、傍らにあるバイクのサドルをポンポンと叩いた。
俺はプレゼントの入った袋を担ぎ上げ、促されるままにバイクに乗り、エンジンをかける。
エンジンはかかったが、驚いた事に排気音はしない。ジジイが言ってたやつだろう。
たぶん、姿も見えていないはずだ。空の飛び方は分からないが何とかなるだろう。
「ワシは他を回らんといかんからついていかんぞ。まぁせいぜい頑張れや」
腕時計で時間を確認し、秒読みを開始する。
23時59分54秒。…5、4、3、2、1──
「──じゃあ、行ってくる!」
「失敗するんじゃないぞ」
0と同時に地面を蹴り、スロットルを回す。
ほとんど間もなく、車輪が地面から離れて車体が浮き上がった。
続いて急激な加速上昇。
こちらを見上げて手を振るジジイに続き、眼下に広がる郊外の街も、みるみる小さくなっていく。
「最初はロンドン経由でフランス北部、だったな」
頭の中で地図を確認し、後ろに目をやる。
プレゼントが詰め込まれた袋についているワッペンが、ニヤニヤといやらしくこちらを見ていた。
これはジジイの趣味らしい。
「ヘマなんかするかよ。さて、と…行くか!」
高度が十分上がったところで、スロットルを回した。
今夜の俺は、サンタクロースだ。
俺が乗ったバイクは、イギリスの上空を静かに駆け抜けていった。
:08/11/03 20:44 :P903i :LUmIhgZI
#294 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:48 :P903i :LUmIhgZI
#295 [No.032(1/2)◆vzApYZDoz6]
「兄ちゃん、ミルクちょうだい」
「瓶1本だね。200セントだよ」
「え、高くない? もうちょっとまけてよ」
「そんな事言われてもねぇ…じゃあ10セントだけなら」
「んなもん消費税にすらならないじゃん! 200セントまけてよ」
「それじゃタダじゃないか…どこの子か知らないけど困ったねぇ」
:08/11/03 20:49 :P903i :LUmIhgZI
#296 [No.032(2/2)◆vzApYZDoz6]
「アメあげるからさ。お願い、母ちゃんに安く買ってこいって言われてるんだよ!」
「すごい母ちゃんだな…仕方ない、じゃあ20セントおまけだ。これ以上は無理だよ」
「実は150セントしか持ってなくて…」
「絶対にそれが理由でしょ。……仕方ない、今回は150セントにしてあげるけど、次からはちゃんと持ってくるんだよ?」
「やりー! 150セントって言ったね!?」
ちゃりちゃりーん
「って200セントあるじゃん!」
「言ったんだから150セントで売ってよ」
「まったく仕方ないな。ほら、売ってあげるよ」
「へへへ、母ちゃん喜ぶぞー。じゃあね、兄ちゃん!」
「次からはちゃんと買うんだぞー!」
「分かってるってー!」
「……ふー、行っちゃったか。…お釣りを渡さなかった事には気付かれなかったな。大人を騙そうなんて20年早いぜ少年!」
完…?
:08/11/03 20:50 :P903i :LUmIhgZI
#297 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:51 :P903i :LUmIhgZI
#298 [No.033◆vzApYZDoz6]
今日も1人の夜がやって来る。
窓から見える月を眺めながら、今日も想う。
あなたはどんな未来を見るのだろうか。
私はどんな未来を見ていたのだろうか。
その未来はもう叶わない。
あなたはどんな未来を望んでいたの?
あなたはどんな未来を築こうとしたの?
「……ねぇ、あなたの──」
私が共に歩むのは駄目だったの?
あなたの未来はそこにしか無かったの?
絶対に、私はあなたの隣を歩けないの?
1人の夜は、もう嫌だから。
「──後を追ってもいいかな?」
:08/11/03 20:52 :P903i :LUmIhgZI
#299 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:53 :P903i :LUmIhgZI
#300 [No.034、039◆vzApYZDoz6]
蝉の鳴き声をBGMに、真っ白な砂浜。
キラキラと光る方に目をやると、そこには波打つガラス。
空にはやたらめったらもこもこした積乱雲。なんか青雲のCMに出てきそうな。
「そう、海!」
「海だな」
「感動が薄いですよ、ワトソン君!」
「それは忝ない、何に感動すればいいか教えてくれんかね」
「だから海に!」
「うん、コンクリ抱えてダイブはきっと気持ちいいぜ姐さんよ」
「いえなんでもありませんアニキ! でもすごいねー、こんなところに海があったなんて」
「いや、でも車停めて見るほどか…?」
「これだから男は…この綺麗な海を堪能しようとは思わないの?」
「水着すら無いのに海で何するんだよ…」
「だから感d「よし帰ろう」
:08/11/03 20:54 :P903i :LUmIhgZI
#301 [◆vzApYZDoz6]
:08/11/03 20:56 :P903i :LUmIhgZI
#302 [No.035◆vzApYZDoz6]
「イタズラとは違うのよ」
そう彼女は言って、今できあがったばかりのたこ焼きを口に運んだ。
ハフハフと口の中でたこ焼きを転がし、ちょうどいい熱さまで冷ましてから口を動かす。
「その気になればあんただってすぐに消せるわ。こんな見た目じゃ分からないでしょうけど」
それを言うなら俺だってそうだ。いやむしろ俺のが強いに決まってる。
だが、可哀想なので口には出さなかった。
かわりに俺もたこ焼きに爪楊枝を突き刺す。
以外と硬い、見た目より肉厚なようだ。
「狐っていう動物は古今東西様々な場面で出てきた。私は特に日本でね」
彼女は頬張っていたものを早々と燕下し、すぐに次のたこ焼きを口に入れる。
狐は猫舌ではないらしい。
「今回は、その連中が全員一堂に会するの」
全員ってことは多少、いや、多くの取材がいりそうだ。
彼女が3つめのたこ焼きに手をつけたので、つられて俺も2つめに口を運んだ。
残るたこ焼きはあと1つ。
「まぁ、メインは私になるんだけど、それもあなた次第ね。……そろそろ時間だ、じゃあ」
俺次第だと空気になってしまいそうな気がするが。
去っていく彼女を見送りながら、最後のたこ焼きを頬張った。
:08/11/03 20:57 :P903i :LUmIhgZI
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