【コラボ企画】秋のラノベ祭り投下スレ【withイラスト板】
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#51 [あんみつ]
ガッ!
俺はペンダントを勢いよく取ると、遠くの茂みに向かって投げた。
「あっ!」
レジーが叫ぶ。
ペンダントは、キレイな弧を描いて、茂みに消えた。
「おい!アーク!」
レジーが後ろから俺の腕を掴んだ。
俺は、その手を振り払って言う。
「何なんだよ!急にんなこと言われて納得できるわけねーだろ!選ばれたって・・・何で俺なんだよ!」
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:08/11/03 13:23 :D904i :3PH3.VE6
#52 [あんみつ]
言った瞬間、レジーの顔が歪んだ。
振り払われた手を力なくおろして、唇を噛む。
が、すぐに拳を握りしめ、顔をキッと引き締めた。
「・・・俺が選んだんだよ!俺は、ずっと・・・」
ガサッ!
レジーの言葉を遮って、ペンダントが消えた茂みから音がした。
俺たちは揃ってそっちを見る。
見ると、茂みはまるで生きているかのように揺れ動いていた。
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#53 [あんみつ]
ガサガサという音は、徐々に大きくなっていき、それと共に茂みの揺れも激しさを増す。
(・・・何だ?)
俺たちは無言でそれを見ていた。
が、次の瞬間、レジーが何かを思い出したように急に顔色を変えた。
そして叫んだ。
「アーク!逃げろ!」
「え?」
ドンッ!
地面が揺れた。
俺はバランスを崩して、その場にしりもちをつく。
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:08/11/03 13:25 :D904i :3PH3.VE6
#54 [あんみつ]
レジーはそんな俺の腕を掴んで、小さな体からは想像も付かない強い力で、俺を引き起こした。
「走れ!」
レジーに引かれるまま走り出す。
その時、
「ギギャー!!」
何かのけたたましい鳴き声がした。
俺は思わず後ろを振り向く。
「なっ・・・何だ、これ」
目の前の信じられない光景に、息をのんだ。
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#55 [あんみつ]
あまりの恐怖に足が固まる。
「アーク!」
気付いたレジーが俺の名を呼ぶ。
しかし、俺は固まったまま動けない。
目の前には、見たこともない生き物。
茂みから出てきたそいつは、ライオンの様なたてがみを持ち、それは針金のように固く尖っていた。
銀色の毛皮に覆われ、体の大きさは俺の身長を優に超えている。
そして、この世の悪をすべて集めたような漆黒の目。
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:08/11/03 13:27 :D904i :3PH3.VE6
#56 [あんみつ]
・・・そう、その姿はまるで魔物。
恐怖と驚きで声が出ない。
「危ない!」
レジーが叫ぶ。
俺目掛けて、鋭い爪が振り下りる。
ドンッ!
間一髪のところで、レジーが俺を突き飛ばした。
爪が地面に刺さって、鈍い音が響く。
その振動で木々が揺れた。
俺は地面に倒れ込む。
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:08/11/03 13:28 :D904i :3PH3.VE6
#57 [あんみつ]
「・・・いってー」
頭をさすりながら起き上がると、目の前にはレジーの背中。
その向こうには、地面に爪が刺さったままの生き物がいた。
体をうねらしながら爪を引き抜こうともがいている。
爪が抜けるのも時間の問題だろう。
レジーは俺をかばうように、俺と生き物の間に立っていた。
「・・・くそ」
レジーがつぶやく。
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:08/11/03 13:29 :D904i :3PH3.VE6
#58 [あんみつ]
が、突然意を決したように、生き物の出てきた茂みに向かって走り出した。
そのまま茂みの中に消える。
俺は相変わらず動けなくて、レジーを目で追うだけで精一杯だった。
正直、自分がここまで情けないとは思わなかった。
その時、恐れていたことが起きた。
ザッ!
音ともに爪が地面から抜けて、生き物は自由を取り戻す。
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:08/11/03 13:30 :D904i :3PH3.VE6
#59 [あんみつ]
そいつはシューシューと息を吐きながら、ゆっくりと俺の方を向いた。
(・・・やばい!)
そう思うのに体は動かない。
だんだんと距離が縮まっていく。
(なんで・・・こんな目に・・・)
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:08/11/03 13:31 :D904i :3PH3.VE6
#60 [あんみつ]
もとはといえば、あのペンダントのせいだ。
ペンダントを置いていったあの男のせいだ。
選ばれた?
世界を救う?
何なんだよ。
なんで俺なんだよ。
なんで・・・
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:08/11/03 13:32 :D904i :3PH3.VE6
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