人生の案内板
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#800 [わをん◇◇]
わたしのからだを取り巻く熱が引くまでに、かなり時間が掛かった。
とっぷりと暮れた夜空の下、公園のベンチにいた。さっきの公園とは違う公園。いまにも切れそうな街灯に視線を送りながら、あたまを抱える。
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#801 [わをん◇◇]
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#802 [わをん◇◇]
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#803 [わをん◇◇]
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#804 [わをん◇◇]
変わっていない。九年前と。あの頃は子供だった、なんて、笑ってしまう……わたしは、いまも子供だ。変わっていない。九年前と。九年前に、気持ちを置いてきてしまったのかもしれない。だけど、気付いてしまった。
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#805 [わをん◇◇]
九年もの間、全く気付かなかったことに、わたしは、気付いてしまった。じわりじわりと熱が蘇ってくる。
わたしは、
孝が、
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#806 [わをん◇◇]
満天の星空の下、わたしはこころの奥底に秘めた気持ちを隠した。暗い暗いこころの奥に。二度と上がってこないように。気付いてしまった以上は、仕方がない。わたしは死んだのだ。わたしにはもう、道は残されていない。希望はないのだ。失望することがわかっている以上、封印してしまおう。
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#807 [わをん◇◇]
それが良い……そうしよう。その日、わたしはベンチで夜を明かした。
月曜日の朝になった。
退屈とは拷問に近い。
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#808 [わをん◇◇]
孝がいるから学校に行く気もしないし、家に帰る気もしない。わたしはいつか消えるのだろうか。その時は、昨日の気持ちも消えていくのだろう。その先には、天国か地獄があるのかな。その時は、昨日の気持ちも一緒に持って行くのだろう。
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#809 [わをん◇◇]
そこで、初めて自分が女々しいことに気付いた。こうした考えを巡らすのは、隠したはずの気持ちが漏れだしている証拠ではないか。振り出しに戻った気がして。こころが空っぽになった気もした。膝をぱんっ、と叩いて立ち上がる。
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