人生の案内板
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#794 [わをん◇◇]
張り合い相手がいなくなったのを、寂しがってくれていたのだろうか。初めて見た、孝のそんな姿を。九年前に反発しだした関係が、九年ぶりに修復に向かった気がした。よくわからないが、気恥ずかしさでいっぱいになる。この感覚は知っていた。昔、体験したことがある。
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#795 [わをん◇◇]
ランドセルを落としたあの放課後の時と同じだった。自らの熱と、場の空気と、何より恥ずかしさに耐え切れなくなったわたしは、逃げるようにその場を離れた。
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#796 [わをん◇◇]
わたしは走った。顔の熱は冷める兆しはなく、走るスピードを上げてみる。しかし。息切れはしないし、全力疾走なのに思うように速くない。夢の中の全力疾走のような感じだ。それでも。わたしは走った。息切れはないが、疲労感が込み上げてくる。
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#797 [わをん◇◇]
からだが脱力しきって走るのを止めたとき、空を見上げれば茜色の夕空が夜を待っているところだった。嗚呼、不思議だ。わたしは死んだ。なのに。生きていたときより、こころが躍っているような気がする。
:23/01/06 18:43 :Android :pRdUKMH2
#798 [わをん◇◇]
わたしは怖かった。道標がない未来に怯えていた。突然、影のように闇に紛れて消えてしまうんじゃないかと。突然、煙のように空気に混ざって溶けてしまうんじゃないかと。だけど、いまは違う。わたしは、怖くない。
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#799 [わをん◇◇]
からだが熱い。実際の所、死んでから体温や気温などを感じる機能は遮断されていた。だから熱い、というよりは熱い気がするの方が正しいと思う。どちらにせよ、わたしはいま、赤面しているだろう。
:23/01/06 18:44 :Android :pRdUKMH2
#800 [わをん◇◇]
わたしのからだを取り巻く熱が引くまでに、かなり時間が掛かった。
とっぷりと暮れた夜空の下、公園のベンチにいた。さっきの公園とは違う公園。いまにも切れそうな街灯に視線を送りながら、あたまを抱える。
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#801 [わをん◇◇]
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#802 [わをん◇◇]
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#803 [わをん◇◇]
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