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#1 [蛍火]
:09/01/28 13:57 :auCA3C :Sv2HRysI
#2 [蛍火]
―――pm 16:00
腰まである栗色の髪を軽く巻き、薄めのメイクをする
そして今日も鏡に映った自分の顔を見て母を思い出す
泣きながら私を追い出した母の顔が
脳裏に焼き付いて離れない
あの時した選択は間違っていたのか
正解だったのか…
未だに答えは出ないまま…
:09/01/28 14:20 :auCA3C :Sv2HRysI
#3 [蛍火]
容姿端麗な母から生まれた私は、
中学入学頃から母に似てきて
その容姿を見事に引き継いだ
身長はぐんぐん伸び
モデル並みの私の容姿に
思春期真っ盛りの男子達は群がってくる
そのせいで女子からは
冷ややかな視線を浴び
徐々に虐められるようになった
今まで仲良くしていた女友達は、
手の平を返したように
全員敵に周り
人ってこんなにも簡単に裏切るんだ、
と痛感した
:09/01/28 14:29 :auCA3C :Sv2HRysI
#4 [蛍火]
日に日に虐めはエスカレートし、
体中に痣が増えていく
何度も母に虐められていることを
告げようとしだが
優しい母に心配かけたくない、
それ以上に余計酷くなるかもしれない、
と言う恐怖の方が強く
母には言えなかった
:09/01/28 15:52 :auCA3C :Sv2HRysI
#5 [蛍火]
しかし体は正直で
いざ学校に行こうとすると吐き気が襲ってくるのだ
学校は休みがちになり
一週間に2日くらいしか登校しなくなった
そんな私に母もようやくイジメに気づき
学校側に相談しに行くが
生徒同士の問題ですので…
と、全く聞き耳を立ててはくれなかった
:09/01/28 15:56 :auCA3C :Sv2HRysI
#6 [蛍火]
そんなある朝、
またいつもの吐き気に襲われ
トイレにこもっていると
―――――――ドンドン!
「絢音(アヤネ)!絢音っ!」
母が慌てた様子でトイレのドアを叩いた
「なに?どしたの?」
トイレの中から尋ねると
「お友達が迎えに来てくれたわよ!」
:09/01/28 17:09 :auCA3C :Sv2HRysI
#7 [蛍火]
「え…なんで…?」
体中が硬直し血の気が引いた
どうして?何の為に?
何でいきなり?
疑問しか浮かばない
「ほらぁ!待たせてるんだから早く出てきなさい!」
母の嬉しそうな声が私を呼ぶ
:09/01/28 17:25 :auCA3C :Sv2HRysI
#8 [蛍火]
行きたくない…
どうしよう
「絢音?行かないの?」
母が心配そうに聞いてくる
どうしようどうしようどうしよう
でもせっかく来てくれたし…
母にも迷惑かけたくない
「…………行く」
:09/01/28 18:32 :auCA3C :Sv2HRysI
#9 [蛍火]
トイレから出て母に笑顔で答えた
「大丈夫?気分が悪くなったらすぐ帰ってくるのよ?」
母は心配そうに私を見つめるが
私に友達が出来たんだろう、
と思っているみたいで嬉しそうだった
小さい頃から母は私にとても優しかった
私が泣いていると頭をいつも撫でてくれた
だから虐められるのは母のせいだ
こんな顔に産んだ母のせいだ
そんなことは少しも思わなかった
:09/01/28 18:46 :auCA3C :Sv2HRysI
#10 [蛍火]
「じゃあ、行ってくるね」
「行ってらっしゃい!具合悪くなったらすぐ帰ってくるのよ!」
母に笑顔で見送られ私は外に出た
この時、無理して行かなければ
母に休むって言えてたら
ねぇ、私の選択は間違っていたのかな…?
:09/01/28 18:59 :auCA3C :Sv2HRysI
#11 [蛍火]
――――――
――――
「まーまっ」
「痛っ!」
鏡の前で動かない私の髪が
思いっきり引っ張られた
「もう痛いじゃない!髪は引っ張っちゃダーメ」
「だってママぼーってしてるんだもん」
ぷいっと顔を逸らしホッペを膨らます
そんな姿に自然と笑みが零れる
:09/01/28 19:22 :auCA3C :Sv2HRysI
#12 [蛍火]
「のーぞーみっ!ほら拗ねてないでこっちおいで?」
チラッとこちらを向くと
またそっぽを向いて
「やーだもん」
「おいでって」
「いーやーよ」
「なでなでしたげるから」
「いらないもん」
………なにこれ反抗期…?
前はもっと素直だったのに!
まぁいいや
そ〜っと後ろから近づき
「拗ねてる子にはこちょこちょの刑!」
:09/01/28 19:34 :auCA3C :Sv2HRysI
#13 [蛍火]
「きゃははは//ママやめてやめて!こちょこちょやめて〜」
「まだまだ〜!こちょこちょこちょこちょ〜」
望実は小さく丸くなり必死にもがいている
もう4歳かぁ
ふと壁に掛けてある時計を見上げる
:09/01/29 01:37 :auCA3C :S4zYO/GE
#14 [蛍火]
「あ゙ぁ!!もう18時!?」
時間経ち過ぎ…
「マーマ?」
「ちょっと急いでご飯用意するから待っててね」
「はぁい!」
あぁどうしよう
遅刻かな…
10分程でオムライスとサラダが完成した
:09/01/29 02:00 :auCA3C :S4zYO/GE
#15 [蛍火]
「ご飯出来たから食べるよ〜」
望実はお気に入りのスプーンを持って
とことこ走ってきた
「あ!のぞみのオムライスくまさんだ!」
「可愛いでしょ〜」
「ママのはくまさんにしないの??」
望実はまだケチャップの付いていない私のオムライスを覗き込む
「あ〜じゃぁママのもくまさんにしようかな♪」
まぁ何でもいいんだけどね(笑
ケチャップを取ろうと
手を伸ばすと
「んっ?」
サッと望実にケチャップを取られてしまった
:09/01/29 02:16 :auCA3C :S4zYO/GE
#16 [蛍火]
「ママのはのぞみがやってあげる!」
そう言うと私のオムライスに
くま?犬?きつね?
色々ごちゃ混ぜになったような動物を描いた
「はいっ犬さんだよ♪」
あっ犬だったんだ!
望実はわんちゃん好きだもんね
今は無理だけど
そのうち飼ってあげたいなぁ
:09/01/29 02:29 :auCA3C :S4zYO/GE
#17 [蛍火]
「ごちそうさま〜」
「ごっちょさまでしたっ」
急いで茶碗を洗い着替えをする
「ママ、おしごと??」
望実が支度をする私を寂しそうに見つめてくる
「うん、ごめんね望実…
今日は大家のおばぁちゃんが
寝るまで来てくれるから、
良い子にしててね?」
「……。分かったぁ!」
:09/01/29 10:21 :auCA3C :S4zYO/GE
#18 [蛍火]
一瞬悲しそうな顔をしたが
すぐに笑顔に戻り
元気よく返事をした
子供なりに気を使っているようだ
寂しい思いさせてごめんね…
―――ピンポーン
あ、大家さんだ
「はーい!」
:09/01/29 10:30 :auCA3C :S4zYO/GE
#19 [蛍火]
「こんばんわ絢音ちゃん
おまんじゅう持ってきたよ」
ドアを開けると
白髪頭に腰を丸めた大家さんがにっこりと微笑んだ
「おばあちゃん、いつもありがとう」
「いいんだよ〜私にはこのくらいしか出来ないんだから…
申し訳ないのう」
「そんな事ないよ!
すごい助かるし
私も早くちゃんとしたとこで働くから」
「あまり無茶したらいかんよ?」
「うん!ありがとう
じゃ望実の事よろしくお願いします」
:09/01/29 12:51 :auCA3C :S4zYO/GE
#20 [蛍火]
「おばあちゃんパズルやろ〜」
望実は手にパズルを持って私とおばぁちゃんの元にやってきた
「おぉ望実ちゃん今日はパズルかい
一緒にやろうかね」
「うんっ!ママはお仕事がんばってね!」
私を見上げ可愛らしい笑顔を向ける
そんな望実の頭をポンポンと撫でながら
複雑な思いを胸に私は家を出た
:09/01/29 13:21 :auCA3C :S4zYO/GE
#21 [蛍火]
19時か…
間に合わないな
いちお電話入れとくか…
電車に乗り早足で仕事場に向かう
夜の街は派手な彩りでライトアップされ昼間とは全く違う街になる
露出の激しい服をまとう女達に
いやらしい目つきで女を追う男共
:09/01/29 14:11 :auCA3C :S4zYO/GE
#22 [蛍火]
そんな中をパーカーにジーンズという地味な格好をした私は小走りで走る
人混みは上京して5年経つというのに未だに慣れない
鬱陶しい
息が苦しくなる
でも弱音なんか吐いてはいけない
私は強くなったんだ
愛する我が子の為に
自分自身生きる為に
私は今日も体を売る
:09/01/29 15:37 :auCA3C :S4zYO/GE
#23 [蛍火]
人混みを掻き分け先を急ぐ
今日は特に人が多いな…
あぁもう!急いでるのに
「さくら!」
突然耳元に大きな声が響き、
それと同時に誰かに腕を強く掴まれた
:09/01/29 15:59 :auCA3C :S4zYO/GE
#24 [蛍火]
驚いて後ろに振り返るとスーツ姿で背の高い男が私の腕を掴んでいた
どうやら人違いをしているようだ
「どちら様ですか?離して下さい」
私はそう言いながら掴んでいる手を振り払おうとするが
男は私を見たまま固まったように動かない
なんなのこの人…
「あの!急いでるんで離して下さい!」
私はきつく睨んでさっきよりも大きな声で言った
:09/01/29 17:28 :auCA3C :S4zYO/GE
#25 [蛍火]
「あ…あぁすまん、人違い」
男はようやく手を離すと私をまじまじと見てきた
「あんた名前は?」
は…?見ず知らずの他人に名前言う訳ないじゃない
「なんでですか?」
「いいから名前」
「教える必要ないですよね」
「なんで?早く名前」
「………」
「聞いてんだけど」
し つ こ い !
なんなの本当に
新手のナンパ?
こういうのは無視に限る
:09/01/29 19:19 :auCA3C :S4zYO/GE
#26 [蛍火]
見てくれてる人とか…いますかね(´・ω・`)
:09/01/29 19:20 :auCA3C :S4zYO/GE
#27 [蛍火]
私はもう一度
男の顔を睨みつけ走り出した
「あっ…おい!」
男の声が聞こえたが振り返らずそのまま仕事場まで走った
はぁっ…はぁ…
疲れた…
これから余計疲れる行為をするというのに、、、
:09/01/29 19:35 :auCA3C :S4zYO/GE
#28 [蛍火]
「遅いぞ!葵!」
仕事場に着くと店長に怒鳴られた
「…すみません」
「とりあえず一本入って客待たせてるから、さっさと着替えて行け」
私は店にあるドレスを手にとり着替えメイクを濃くした
:09/01/30 10:33 :auCA3C :8O6TFm.Y
#29 [蛍火]
さすがにジーンズとパーカーで仕事は出来ない
ピンクのドレスに身を包むと、この体は商売道具へと変わる
部屋の前に着き軽くノックをする
コンコン…
「どうぞ〜」
ガチャ
「大変お待たせしました。葵です。」
40代後半くらいだろうか
軽いメタボぎみの客は
もう既にベッドの上でパンツ一枚になっている
:09/01/30 12:55 :auCA3C :8O6TFm.Y
#30 [蛍火]
私の体を上から下まで舐めるように見ると私に近付いてきた
「葵ちゃん遅かったねぇ
おじさん待ちくたびれちゃったよぉ〜」
気持ち悪い
何度抱かれても
やはりヤる前は抵抗がある
これは仕事だ
私には金が必要なんだ
大丈夫、何も怖くない
:09/01/30 13:11 :auCA3C :8O6TFm.Y
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