○最後の四季○
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#1 [ゆり]
なんの迷いもなく

濁りもない

想いをくれた。


そんな
あなたが
とても

とても

好きだったけれど。

⏰:06/08/31 13:27 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#2 [ゆり]
バタン

いってきますの
挨拶もなしに
あたしは家を出る。

だって誰もいないし。


両親が別居始めて
もう2年か。
 

⏰:06/08/31 13:28 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#3 [ゆり]
バイトまでの道程。
一人歩く。

今日も空は変わらないし
でも風が少し強い。

こうやってまた
夏が終わって
秋が来るんだ。


「あ〜ぁ…」

何に対してか
わからないけど
溜め息が出る。

⏰:06/08/31 13:29 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#4 [ゆり]
バッチリ髪を巻いて
ヒールを鳴らして歩いても

最近あたしは
いつもこんな感じだ。


満たされないまま
何を求める訳じゃなく
失う事も出来ないでいる。
 

⏰:06/08/31 13:38 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#5 [ゆり]
2週間前から
パチンコ屋でバイトを始めた。
理由は
まぁ-お金。

キャバは彼氏の隼人に止められたし

なんだかんだで
夜の仕事をする程度胸はないし。

ちょ-ど近くにあったパチ屋に決めたんだ。

隼人は渋りながらも
頑張れよって言ってくれてる。
 

⏰:06/08/31 13:39 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#6 [ゆり]
夜12時まで
バイトをして

煙草を吸わないあたしは
バイトの皆と溜まる事もなく
さっさと着替えて
店を出る。


「高原さん」

低い声で
名前を呼ばれて
振り返る。

同じバイトの大橋くん。
少しパーマ掛かった茶色い髪が
昔好きだった人に似てる。
 

⏰:06/08/31 13:41 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#7 [ゆり]
「送ってく。
乗りなよ。」

「ほんと?
ありがと。」

薬指が輝く手で
車のドアを開けてくれる。

あたしの薬指にも
違う輝きがある。


「わざわざ
ごめんね。」

「近いし
全然いいよ。」

隼人が
こんな風に
女の子車に乗せてたら

あたしはたぶん
泣くだろーな。

とか思いながら
助手席に座る。
 

⏰:06/08/31 13:42 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#8 [ゆり]
こんな所見たら
隼人も泣くんかな。


でも夜道をさ
一人で歩いて
何かあるよりは
いいじゃん?

なんて
言い訳してみたり。
 

⏰:06/08/31 13:45 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#9 [ゆり]
近いから
すぐに家の前。

「お疲れさん。」

「ありがと。」

ガチャッ

車からおりて
笑顔を作って
「おやすみ。」


何食わぬ顔で
真っ暗な家の鍵を開ける。
 

⏰:06/08/31 13:48 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#10 [ゆり]
飼ってるにゃんこが
あたしの足に纏わり付く。
こいつはほんと
あたしと違って
可愛いな。

キャットフードを
お皿に流し入れ

隼人にただいまのメール。

隼人からおかえりのメール。
 

⏰:06/08/31 13:50 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#11 [ゆり]
変わらない
繰り返し。

平凡で単調な
こんな毎日を
きっと

幸せって
呼ぶんだろうね。


でも
あたしは弱くて
悪い女。


あの日から。
あたしは変わってしまったんだ。
 

⏰:06/08/31 13:51 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#12 [ゆり]
隼人と付き合って
2年を迎えた夏。


何気ない
当たり前の日々が
幸せだった。

あたしは。


隼人はそう思ってなかった?
幸せはもう
あんたにとっては
当たり前に
なっていたのかな。
 

⏰:06/08/31 13:55 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#13 [ゆり]
「ゆり!これ可愛くね?」

「うーわ…それはないわ」


この日は車で
アウトレットに来ていた。
メンズの服を見てる。

相変わらず
隼人の好みはおかしい。
 

⏰:06/08/31 13:56 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#14 [ゆり]
「だいたいさぁ〜
可愛いじゃなくて
カッコイイ視点で選ぼーよ」

腕を組みながら
呆れ返るあたし。
よくある光景。


「え〜可愛いじゃん…」

「ハイハイ。
あ、このTシャツかっこいくない?」
隼人に合わせてみる。 

⏰:06/08/31 13:58 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#15 [ゆり]
「あ〜かっけ-!似合う?♪」

「似合う似合う。」
(だからあのダサイキャラTはやめて)

「惚れる?♪」

「惚れる惚れる。」
(だからこれにして)

「まじで?♪
でもさっきのも可愛くない?」

「はーいコレに決定!
買ってこい!」
 

⏰:06/08/31 13:59 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#16 [ゆり]
バシッと叩くと
ゆりチャン冷た-いとか
ブツブツ言いながら
レジに向かって歩いて行った。


向かう途中で
携帯を見てた。


最近やたら
携帯ばっかり見てる。

普通に
カンだけど
なんかあるよね。
 

⏰:06/08/31 14:01 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#17 [ゆり]
あ-あ。
浮気ですか?
勘弁して下さいよ。


あたしは隼人に
過去に一度
体の浮気とかじゃないけど
信用を壊された事がある。

だから
トラウマ。

もう
裏切られるのは
嫌だし
傷付くのも
嫌。
 

⏰:06/08/31 14:03 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#18 [ゆり]
「ゆりチャン!おまたせ〜」

「いいのあって良かったね♪」


周りから見れば
色黒な男と
色白な女が
その場限りの恋をして
手を繋いで歩いてる。

そんな風にしか
見えないだろうけど

実際
いろいろあるんです。
こんなうちらにだって。
 

⏰:06/08/31 14:06 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#19 [ゆり]
ファ-ストフード店で
飲み物を買って
席に座る。


また
隼人が携帯を気にする。

「ねぇ」

あたしの声に
携帯から視線を上げた。

「ん?」

「誰とメールしてるの?」
 

⏰:06/08/31 14:09 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#20 [ゆり]
不安をごまかす様に
あたしはグラスの氷を
ストロ-で突きながら聞いた。


「着うたとか見てるだけだよ!」

あらら。
そんな言い訳?
頭悪いなぁ。
 

⏰:06/08/31 14:10 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#21 [ゆり]
「最近急にだよね。
携帯ばっか気にして
どーかした?」

笑いながらゆったけど
怖い笑顔だっただろーな。


「どうもしないって!笑
新しい着うたあるかな-とか見てただけだし!」
 

⏰:06/08/31 14:12 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#22 [ゆり]
「…ふーん。」


あーあ。
やっぱ何かある。
悔しい。
ムカつく。
あたしに嘘つくなんて
たいした度胸だなちくしょ-。
 

⏰:06/08/31 14:13 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#23 [ゆり]
「携帯見せて。」


あちゃー
言っちゃいました。
今まで20年生きてきて
一度も言わなかった台詞。
 

⏰:06/08/31 14:16 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#24 [ゆり]
変なプライドがあるあたしは
相手の全てを知りたがる事を
ずっと出来ずにいた。

そこまでのめり込んでるって
思わせたくないから。

男を調子に乗らせない。
安心させない。

猫みたいに気まぐれな
微妙な距離を保つのが
あたしの付き合い方だった。
 

⏰:06/08/31 14:20 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#25 [ゆり]
でもとりあえず
そのプライド捨てました。

だって
気になる。


「えーなんもないって!笑」

「じゃあいいじゃん
見せてよ」

手を出して催促する。

「ほら!サイト見てるだけだよ!」
 

⏰:06/08/31 14:22 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#26 [ゆり]
いやいや。
そんなとこから
サイトが映った
携帯の画面見せられてもね。


あたしが見たいのは
メールですから。


でもこれ以上は
無理だ。

あープライドめ。
捨て切れなかった。
 

⏰:06/08/31 14:24 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#27 [グミ]
ゆりチャンだぁ。
前の話も、隼人クンの話も読ませてもらったよ。今回も続き気になっちゃう。ガンバってね☆

⏰:06/08/31 17:00 📱:N901iC 🆔:☆☆☆


#28 [ゆり]
グミチャン☆
読んでくれてありがとォ(^-^)少し更新します☆

⏰:06/08/31 20:51 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#29 [ゆり]
「あっそ。」

もうやめた。
意味ないや。

なんかあるって
わかっちゃったし。


隠すなら
もっとマシな嘘で

もっと上手く
隠してよね。

バカ男。
 

⏰:06/08/31 20:53 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#30 [ゆり]
「まじなんもないよ?!」
笑いながら
隼人が焦る。

「わかったよ」
いつも通りの
あたし。

「も〜…怒らんでよー」

「…」

一気にウーロン茶を
飲み干して
席を立った。
 

⏰:06/08/31 20:54 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#31 [ゆり]
「行こ!」

気にしてない
そぶりは出来ても

笑顔で許せる程
かっこよくは
なれない。


「ゆり待ってよ〜」

隼人は膨れっ面で
あたしの手を取る。

振り払いたいけど
我慢我慢。
 

⏰:06/08/31 21:22 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#32 [ゆり]
「あたしも服見る〜ッ」

「うん♪
あっちの方
ゆりの好きそーな店
いっぱいあったよ!」

「じゃ-連れてって☆」

隼人は嬉しそうに
本当に嬉しそうに
笑って

あたしの肩を抱いて
歩き出した。
 

⏰:06/08/31 21:23 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#33 [ゆり]
この日は青い空が
果てしなく広がっていて

暑い夏の
日差しも強くて


隼人はあたしの日焼けを
気にしてくれていたね。

日影を探して歩いてくれたり

大きな手で
日が当たらない様にしてくれたり。
 

⏰:06/08/31 21:28 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#34 [ゆり]
そんな
無条件の優しさは

もういらないから


信用だけは
壊さないで
欲しかった。


あたしはあんたと
一緒に居られたら

それだけで
幸せだったんだよ。
 

⏰:06/08/31 21:29 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#35 [ゆり]
あたしの買い物を済ませて
アウトレットを出た。


帰り道の途中
洋食屋さんで夕飯を食べていた時

なにがどうなってかは忘れたけど

隼人が他の女の子と
メールしてたのが発覚。
 

⏰:06/08/31 22:01 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#36 [ゆり]
隼人の口から
メ-ルしてた事を
リアルに聞いた時は
マジでショックだった。

わかってはいたけど
あくまで妄想だったから

現実って
痛いな。
 

⏰:06/08/31 22:06 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#37 [ゆり]
あたしは
「うーわ」
って言った。


笑い飛ばしたかった。

そんな気持ちとは真逆に
涙が込み上げてきた。

堪えたけど。
 

⏰:06/08/31 22:08 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#38 [ゆり]
「あ〜
泣きそうだわ、ほんと。」


軽く笑いながら
目に溜まる涙を押さえた。


「でも俺にゆりがおるのは
向こうも知ってるし
なんもないよ?!」
 

⏰:06/08/31 22:10 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#39 [ゆり]
ハイハイ。
でもあんたさ
アド変した時ゆったじゃん。

ゆりと
家族と
学校の奴にしか
教えてないよ
って。

女の子と
メールなんて
してない
って。

なんもないなら
なんで
嘘ついちゃった?

上手い言い訳で
納得させてよ。
お願いだから。
 

⏰:06/08/31 22:12 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#40 [ゆり]
「あたしはさぁ…
メモリに女の子がいるとか
メールしてる子がいるとか
そーゆうのはいいんだよ。
言ってくれれば。
嘘つかれてた事が
悲しいだけ。」


食べかけの
オムライス。

このお店にも
二人で
よく来たよね。
 

⏰:06/08/31 22:15 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#41 [ゆり]
あたしが絶対
中途半端に残すのを
お腹いっぱいなのに
食べてくれたよね。


その後すぐ
お腹痛いとか
言い出して
毎回あたしが背中あっためたんだ。


そんな優しくて
情けないとこに
呆れてたけど

大好きだった。
 

⏰:06/08/31 22:17 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#42 [ゆり]
「嘘って言うけど
頻繁にメールしてる訳じゃないじゃん!
そりゃ毎日なら浮気にもなるけど…
俺はゆりだけだし」


「…もういいよ」


どうせあんたは
「こんな事くらい」って
思ってるんでしょ?
 

⏰:06/08/31 22:18 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#43 [ゆり]
でもね
あたしにとっては
した事の大きさなんて
どーでもいいの。

嘘ついてメールしようが
内緒で会おうが
キスしようが
えっちしようが

全部同じ。

した事自体が
問題だから。

様は
信用の問題だよ。
 

⏰:06/08/31 22:19 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#44 [グミ]
ゆりチャン☆
なんか読んでて心配。色々聞きたいけど、ネタばらしになっちゃうから…。
更新待ってるね!

⏰:06/08/31 22:34 📱:N901iC 🆔:☆☆☆


#45 [ゆり]
☆グミチャン→前作も読んでくれてたとか本当に嬉しいなァ(T-T) 総合に感想板作ったのでよかったら来て下さい☆ありがとう♪

⏰:06/08/31 22:38 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#46 [ゆり]
 

「…もー無理。」


あたしは
オムライスを見たまま
呟いた。


「…」

隼人は
うんざりした様に
溜め息を
吐いた。


それが過去の傷痕に
深く刺さった
気がしたんだ。
 

⏰:06/08/31 22:40 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#47 [ゆり]
「なんで隼人がキレてんの?笑」

「だって俺なんもしてないじゃん!」

「…ほんとにそう思うの?」

「だって…気持ちが浮ついたとかじゃないし
会った訳でもないし
俺はお前だけだって!」

「…」


あーオムライスが冷めちゃう。
食べよ。
 

⏰:06/08/31 22:42 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#48 [ゆり]
「なぁ…
ほんとにゆりだけだよ」


卵ふわふわだな-。
チキンライスもおいしいし。
優しい味。

「聞いてる?
俺まじでなんもやましい事ないよ?」


今日は絶対
全部食べ切ろう。
 

⏰:06/08/31 22:44 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#49 [ゆり]
「ゆり…なんか言ってよ」


やば。
下向いてたら
涙出てきちゃったよ。

「ゆり?泣いてんの?」


あー
悔しい。
泣いたら認める事になる。

こんなに隼人が
好きなんだって。
 

⏰:06/08/31 22:45 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#50 [ゆり]
「美味しいから
感動して
泣けてきただけ。」


あたしは滲むスプーンで
必死にオムライスを食べた。

財布から千円を出して
隼人の前に置いて
席を立った。

「じゃーね。」
 

⏰:06/08/31 22:47 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#51 [ゆり]
「…も〜…なんで…」

隼人はこんなあたしに
完璧呆れたみたい。


仕方ないじゃん。
突っ走っちゃう性格は昔からだし。

仕方ないじゃん。
あたし傷付いちゃったんだし。

勝手なのは謝るけど

仕方ないじゃん。

あんたがめっちゃ好きなんだから。
 

⏰:06/08/31 22:50 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#52 [ゆり]
店から出ると
生ぬるい風が
頬に当たった。

「あ〜食べ過ぎた…」

あたしは涙を拭いて
駅に向かって
歩き出した。

今は暗いけど
電車乗ったら
顔見えるよな。

化粧直ししとこう。
 

⏰:06/09/01 00:11 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#53 [ゆり]
近くのビルの
トイレに入った。

カチャカチャ…

ファンデを探してると
携帯が鳴った。

着信は
隼人から。

いつもなら無視するけど
なんか
どうでもよかった。
 

⏰:06/09/01 00:12 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#54 [ゆり]
ピッ

「もしもーし」

「…お前今どこ?」

少し怒ってる声。

なんでそっちが怒るんだよ-。

「トイレだよ☆」

熱くなるのすら
もう馬鹿馬鹿しい。

どんだけ言っても
あいつには解らないし。
 

⏰:06/09/01 00:15 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#55 [ゆり]
「どこの?
てかお前どうやって帰んの?」

「電車で帰るよ☆
隼人も気をつけて帰ってね♪」

「送ってくよ…
危ないじゃん」
 

⏰:06/09/01 00:16 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#56 [ゆり]
「大丈夫大丈夫!!
帰れるよ☆」

「…どこのトイレにおるの?」

あたしはビルの名前を言った。

頭ん中はポッカリしてて

怒りも悲しみも
もうなかったんだ。
 

⏰:06/09/01 00:17 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#57 [ゆり]
化粧直しをして
トイレを出ると
ちょうど隼人が来た。
汗かいてた。


お互い無言で
隼人はあたしの手を掴んで
歩き出した。


あたしの歩幅に合わせて

ゆっくり。
 

⏰:06/09/01 00:20 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#58 [ゆり]
ビルを出て
駐車場まで
人が少ない道を歩く。

隼人が静かに口を開いた。

「ゆり…無理とか言わんといて。」

「…」

「俺お前しかいねーから」

「…」

何を言われても
風みたいに
通り抜けてく。

あたしには
もう無意味な言葉。
 

⏰:06/09/01 00:23 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#59 [ゆり]
「メールしてたのはごめん。
でもやましい事ないから」

「…隼人…」

「なに?」


隼人に手を引かれ
下を向いたまま言った。

「あたしね
付き合ってく上で
1番必要なのって
愛じゃなくて
信頼だと思うんだよ。」
 

⏰:06/09/01 00:25 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#60 [ゆり]
「…うん
お前昔からそう言ってたよな」

「だからね
あたしは今も
隼人の事が好きだけど

信頼はなくなった。

だから付き合ってく事
出来ない。」


好きならいーじゃんね
って
自分で思いながら伝えた。
 

⏰:06/09/01 00:27 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#61 [ゆり]
隼人は黙ったままで
手を少し強く握った。

あたしの大好きな手。

熱いくらいの体温も

冷え性なあたしには
心地よかったんだよ。
 

⏰:06/09/01 00:30 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#62 [ゆり]
「でも俺
お前の事好きだもん」


何回そう言われて
許して来ただろう。

あたしも随分勝手な女だし
たくさん困らせたけど

嘘は言った事ないよ。
本当に大事に
してきたつもりだよ。

伝わってた?

あたしの想い。

ねぇ隼人…
 

⏰:06/09/01 00:36 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#63 [ゆり]
溜め息を飲み込んで
言葉を返した。

「あたしも好きだよ。
でも信じられないの。
ごめん」

「…別れるとか嫌だよ」

「じゃああたしだけ
傷付いてくの?
信じて裏切られてを
繰り返さなきゃいけないの?」
 

⏰:06/09/01 00:38 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#64 [ゆり]
「もう裏切らない…」


「…それも信じられない」


「…」


「一回で直らなかったら
一生直らないよ。」
 

⏰:06/09/01 00:40 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#65 [ゆり]
車についた。
乗り込んでも
隼人はエンジンをかけない。

あたしも何も言わなかった。



隼人は傷付いた顔して
被害者みたいな空気出して
ほんといいよね。

自分が壊しといて
離れてくのは嫌だ嫌だって
どんなん?

毎回毎回。
あたしより勝手だよ。 

⏰:06/09/01 00:42 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#66 [ゆり]
あたしは

疑われるより
疑う方が
辛いと思う。

許して貰えないより
許せない方が
辛いと思う。


両方後者は
あたし自身。


ほんとは
疑いたくない。
許したい。

でも自分じゃ
どうしようもないんだもん。
 

⏰:06/09/01 00:47 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#67 [ゆり]
あたしは今
どんな顔してる?

今まで以上に
色を失って

今まで以上に
冷たい瞳に
なっているかな。

なんか
吹っ切れた
喪失感。

それは多分
諦めから
きてる。

もう
いいや。

どうでもいい。
 

⏰:06/09/01 00:48 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#68 [ゆり]
「そんなに別れたくないなら
別れなくていいよ。」

静かな車内に
あたしの声が少し響いた。


「え?」

「いいよ。
隼人がしたい様に
すればいいよ。」
 

⏰:06/09/01 00:50 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#69 [ゆり]
「でもゆりは別れたいんでしょ…?」

あー
堂々巡り。
あたしが何言っても
どうせあんたは
だだこねて
別れないくせに。

「どっちでもいい。」

「なにそれ…」

あー
めんどくさい。

何言っても
こんなんじゃん。
 

⏰:06/09/01 00:51 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#70 [ゆり]
「あたしにどうしろって言うの?」

頭ん中が
ぐしゃぐしゃ。

もう傷付くとか
傷付けるとか
うんざりだよ。

「…俺は別れたくないんだって…」

ハンドルに手を置いて
隼人が俯いた。
 

⏰:06/09/01 00:54 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#71 [ゆり]
「じゃあ別れない。
それでいいでしょ?」


「…ゆり
俺の事好き?」

「好きだよ」

「…今回はごめんな」

「うん」

隼人はあたしを抱き寄せて
キスをした。
 

⏰:06/09/01 00:55 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#72 [ゆり]
好きだけど
大好きだけど

隼人の事
信用出来ない。

こんな風に
他の子とも
キスしたんだろうな。


あたしの特技は
妄想。
マイナスの妄想なんて
永遠と出てくる。


考えるのやめよ。

いいんだ。
もう…
 

⏰:06/09/01 00:56 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#73 [ゆり]
あたしはこの日から
変わった。

表面は変わらない。
笑って怒って悲しんで。

でも内面
完全に冷めてた。

「どうでもいい。」

傷痕が痛む度に
これが口癖になった。 

⏰:06/09/01 00:58 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#74 [ゆり]
隼人からの想いに
満たされる事も
なくなった。

いつもどこかで
疑う気持ちが消えてくれなかった。

心から信じる事が
出来ないんだから
満たされないのも
仕方ないね。
 

⏰:06/09/01 01:00 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#75 [あやぽん]
頑張れッ

⏰:06/09/01 02:34 📱:SH700i 🆔:C5pDNgNw


#76 [桜]
>>30-80

⏰:06/09/01 05:22 📱:P902iS 🆔:LFpQf7DA


#77 [ゆり]
あやぽんチャン☆
桜さん☆
ありがとォ(*´∪`*)

⏰:06/09/01 08:33 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#78 [ゆり]
こうして夏は進んでいったんだ。


今日もバイト。

疲れた…
休憩室に入った瞬間
勢いよく扉が開いた。

「ゆりチャ〜ン♪
休憩かぶったにゃー♪」

この黒くてライオンみたいなヘア-の男
三上達也。一個下。
黙ってればカッコイイのに。
 

⏰:06/09/01 08:35 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#79 [ゆり]
「そーだにゃ〜」

「しかも二人きりだにゃーん♪」

「にゃ〜ん」

意味不明な会話をしつつ
自販機で
お茶を買う。

三上くんは煙草に火をつけ
しゃべり出す。
 

⏰:06/09/01 08:37 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#80 [ゆり]
「ゆりチャン
彼氏とはどーよ?」

「まぁ普通」

「あらぁ〜
倦怠期〜??」

「いやもうラッブラブ」

「あはは(笑
俺の彼女飛んだし〜
ってか消えちったぁ!」

「消えたとか
どんなん(笑」
 

⏰:06/09/01 08:38 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#81 [ゆり]
いいなぁ。
そーゆうラフな付き合い。

本気の愛とか
もう疲れたよ。

嫉妬とか
束縛とか
不安とか
信用とか

なにもなくて
次から次へ
渡り歩いて。

傷付いたり
傷付けたりも
なくて。
楽だろうなぁ。
 

⏰:06/09/01 08:41 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#82 [ゆり]
「俺寂しい〜!」

ライオンが吠えてる。

「笑
…あたしも寂しい。」

少し笑って
席を立って
ゴミ箱に缶を捨てた。
 

⏰:06/09/01 08:44 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#83 [ゆり]
「ゆりチャン
なんかあったなりかー?」

心配そうな
純粋な瞳。

いいな。
あたしの瞳はもう
濁っちゃったよ。

昔みたいに満たされる事
一生ないだろうな。

「大丈夫なりよ〜(笑」

次の休憩の人達が入ってきて
あたし達は仕事に戻った。
 

⏰:06/09/01 08:47 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#84 [ゆり]
バイトを終えて
外に出る。
夏の匂いは消えてきて
今日は少しだけ
肌寒い。


「お疲れ」

大橋くんだ。

「あ、お疲れ様」
 

⏰:06/09/01 08:49 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#85 [ゆり]
「今日も歩き?
送ってくよ。」

「ありがと。」

ガチャ…

バタン

「明日バイト入ってる?」

車に乗り
シートベルトを締めた瞬間
大橋くんが言った。
 

⏰:06/09/01 08:50 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#86 [ゆり]
「明日は〜休みだよ。
やっと4連勤終わったの」

「そっか〜お疲れ。
明日休みなら
今からどっか行かない?」

びっくりした。
三上くんならまだしも
大橋くんはそんな事言う感じに
見えないから。
彼女いるし。
 

⏰:06/09/01 08:51 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#87 [ゆり]
「あ、朝から予定あったりする?」


彼女さんの事が気になった。
隼人の顔が過ぎった。

でも
どうでもよかった。


「ううん、いいよ」

あたしはそう答えてた。
 

⏰:06/09/01 08:53 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#88 [ゆい]
ゆりさんぁんたさー人と好きになるってゅーのわぉ互いの価値観を分け合って成長していくもんなんだょ!男だって我慢してくれてんだからあんたも理解しなよ!自分がほかの人とメールしないだけでそれわあんたの価値観ぢゃん!その価値観をあわせてくれちゃうモルモットがいいわけ?って思いました

⏰:06/09/01 20:17 📱:D902i 🆔:0sGc3WIQ


#89 [ゆり]
ゆいさんへ☆
言いたい事めっちゃわかります(>_<)
価値観を押し付けるのわ良くないってコトですよね(*ノω<*)
あくまでこれはあたしの隼人との時間の中で作られた恋愛観、二人の約束なので…×
不快にさせてしまったならすみませんでした(*´`*)

⏰:06/09/02 00:23 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#90 [ゆり]
「いいの?
どこ行こっか〜」

「大橋くんが行きたいとこでいいよ〜」

「海とか行く?」

「あ、行きたい!」

「よしっじゃあ出発」

途中でコンビニに寄ったりして
1時半くらいに着いた。
真っ暗。

波の音が
染み渡る。

堤防を二人で歩いた。 

⏰:06/09/02 00:25 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#91 [ゆり]
「高原さん〜てか
ゆりちゃんでいい?」

「ああなんでも」

「じゃあゆりちゃんで(笑
寒くない?」

「大丈夫だよ☆」

「てかヒール大丈夫?
コケたらほかって帰るからな」

「うわヒドッ
すごい勢いで追い掛けるでいいよ」

「怖ッ(笑
…ほら、手。」
 

⏰:06/09/02 00:27 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#92 [ゆり]
少し先を歩いてた大橋くんが
あたしの方に右手を出した。

「ありがと。」

あたしは左手で
握った。

あったかいな。


「…俺が言うのもおかしいけど
こんなとこ来てて
彼氏怒らない?」

「怒るんじゃないかな」

「なんじゃそら(笑
大丈夫なの?」
 

⏰:06/09/02 00:28 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#93 [ゆり]
「大丈夫じゃないよ。
でも
いいんだ。」

それ以上
大橋くんは何も聞かなかった。


あたしはいつから
こんな弱くて
こんな勝手で
いつも何かのせいにして
大切なものを
自分から遠ざける様に
なったんだろう。
 

⏰:06/09/02 00:32 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#94 [ゆり]
隼人に言った。
自業自得って言葉。

今あたしにも
当て嵌まる。

わかってるつもりでも
出来ない事ばかり。


歩いてると
大橋くんが止まった
から
あたしも止まった。

「俺彼女とケンカしたんだー」
 

⏰:06/09/02 00:34 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#95 [ゆり]
ありきたりな展開。

二人で傷の舐め合いか。
なんか虚しいね。


「なんで喧嘩したの?」

「めんどくさくなっちゃってさ」

「あはは
あたしと一緒だ。」
 

⏰:06/09/02 00:37 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#96 [ゆり]
「そーなの?」

「うん
あたしは自分が
めんどくさい。」

「重傷だな(笑」

「重傷ですね…」


少し沈黙があって
波の音を聞いてた。

一定に打っては返って。
あたしには
悲し過ぎるくらい
優しい音だった。

⏰:06/09/02 00:41 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#97 [ゆり]
「あー!さみぃ」

いきなり大橋くんはそう言って
あたしを抱きしめた。


「あったけ〜」

「…」


やっぱ人って
あったかい。

温もりって
いいなぁ…

そんな事を
考えてた。

でも風が冷たくて
心が
寒い。

埋まらない。
 

⏰:06/09/02 00:44 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#98 [ゆり]
「大丈夫か?」

「うん」

隼人以外の人の香りなんて
2年ぶり。

改めて気付く。

隼人の腕に愛が溢れてた事。
隼人の腕にいつも優しさがあった事。
 

⏰:06/09/02 00:49 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#99 [ゆり]
「ごめ…
もう…離して」

身体を離すと
二人の間に
冷たい風が吹いた。

「ごめん」

大橋くんは頭を下げて謝った。
 

⏰:06/09/02 00:52 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#100 [ゆり]
「ううん…
彼女の事
めんどくさくても
信じられるうちは
大事にしてあげて下さい。」


大橋くんは
まだきっと
彼女さんに満たしてもらえるから。
満たしてあげられるから。
だから、ね。
 

⏰:06/09/02 00:54 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#101 [ゆり]
夜中の3時過ぎに家に着いた。

携帯を見ると
隼人からのメールはなかった。

多分あたしがバイト終わる前に
寝たんだろう。

昔居酒屋でバイトしてた時は
終わるのが夜中の2時でも3時でも
起きててくれたのになぁ。
 

⏰:06/09/02 00:55 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#102 [ゆり]
隼人があたしに
慣れれば慣れるほど

あたしは隼人に
求めるものが多くなる。

昔はこうだったのに…
って
比べてしまう。

ずっと変わらないで
なんて

無理だよね。
 

⏰:06/09/02 00:59 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#103 [ゆり]
身体は疲れてるのに
いろんな不安で
全然寝れなくて
明け方に寝た。

お昼に起きた。
夏休みの醍醐味。

バイトがないので
隼人と遊ぶ。
 

⏰:06/09/02 01:15 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#104 [ゆり]
「寂しかったよ〜!!」

これ隼人の台詞。
ほんと女の子みたい。
「あたしも!」

「ゆりバイト入れ過ぎだよ〜(*´`*)」

「うーん…ごめんよ」


だって夏休み明けには
あんたの誕生日があるから
稼がなきゃだもん。
 

⏰:06/09/02 01:19 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#105 [ゆり]
「どこ行こっか〜♪」

運転しながら
隼人はゴキゲン。

あたしに会っただけで
こんな笑顔になってくれるとか
感動だな。

そこは昔から
変わってないね。

ありがと。
 

⏰:06/09/02 01:22 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#106 [ゆり]
「隼人行きたいとこないの?」

「ん〜…
ゆりと買い物もしたいしーカラオケもいいな〜♪
あーでも1番はラブホかな!」

「それだ!」


ムードもなにもなく
ラブホに決定。

ルンルンな隼人が
可愛かった。
 

⏰:06/09/02 01:26 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#107 [ゆり]
「久しぶりだね〜」

ホテルのエレベーターに乗り
部屋に着いた。

隼人は暑い暑い言いながら
脱ぎ出した。
ちょっと早いよお兄さん。
 

⏰:06/09/02 01:29 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#108 [ゆり]
そんな隼人を横目に
あたしはソファに座って
テレビを付ける。

ドラマの再放送がやってた。
好きな俳優が出てる♪

「かっこいー♪」

「え、俺?♪」

「そうそう」

「せめてこっち見て言ってよ!笑」
 

⏰:06/09/02 01:33 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#109 [ゆり]
隼人は膨れっ面で
あたしの方に来て
両手を引っ張って立たせた。

「え〜ドラマ見たいよ〜」

「じゃ-ベットで見ようよ〜」

「わかったぁ」

テレビを回転させて
ベットに入った。
 

⏰:06/09/02 01:35 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#110 [にゃんちゅ]
ちょッとー!!笑))ゅりサン会いたかった☆覚えてるかゃーアタシのコト笑))ちょぅど昨日無性に二番目の四季読みたくなって読もぅと思ったら…コレ発見してマヂビックリしましたΣ(ノ∀`*)今回の内容…不安で仕方なぃ!!(РД`q)今回も終わりまで見守ってるカラ頑張って+.(・∀・)+.

⏰:06/09/02 06:33 📱:P901iS 🆔:XIdqFUQ6


#111 [ゆり]
にゃんちゅサン☆
(;ω;)(;ω;)(;ω;)
嬉し過ぎです。読み返してくれよ-としたとかッいい人!!今回の内容は多分あたしへの反感が多くなると思うからあたしも書くの恐かったりします。
でも感想や意見をくれる事を感謝しながら頑張るんで最後までよろしくデス☆書き込みありがとォ♪

⏰:06/09/02 09:02 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#112 [ゆり]
ベットに入ると
お兄さんが興奮し出しちゃったので
ドラマを見るのを断念。

「はいッゆりチャンばんざーい♪」

「…たまにはロマンティックに脱がしてよ」

「え-?どんな風に?」

「ちゅ-しながらとかさぁ〜!」

「わ、わかった!」
 

⏰:06/09/02 09:07 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#113 [ゆり]
「あ-もぉいいよ(笑
笑えてきちゃった」

「ごめん〜勉強しとくから!」

「いや教科書通りは好きじゃないわ。
全ては経験から生まれるものよ。」

「名言出ました-!!
38ペ-ジにメモッときます先輩。」
 

⏰:06/09/02 09:12 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#114 [ゆり]
あたし今まで37個の名言を残してたんだ。

「…それよりあーた、ドラマ見ていい?」

「やーだ!!」

可愛いな〜隼人は。
あたしより可愛いな。

テレビを消して枕元の電気を調節した。
 

⏰:06/09/02 09:15 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#115 [ゆり]
隼人の上に乗ってキスしながら服を脱ぐ。
隼人を脱がす。

男と女…逆っすよ。

「あ〜もーやべぇ」

「早いって(笑」


あたしは男の荒くなる息に1番感じる。

Sかな。いや、Mもいけるな。
どっちでもいいか。
 

⏰:06/09/02 09:22 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#116 [桜]
>>40-100
>>101-200

⏰:06/09/02 09:24 📱:P902iS 🆔:WKFggLB6


#117 [ゆり]
下着は絶対隼人が脱がす。
これは彼の意地らしい。
意味わからん。

「あ〜まじいいなお前!
ここ!い〜ね〜このライン!この肌!最高!」

「…」

褒めてくれるのは嬉しいけど…
ほんとム-ド無くすの上手いよね。
感心しちゃう。
 

⏰:06/09/02 09:28 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#118 [ゆり]
桜サン☆
アンカ-ありがとうございます、嬉しいデス(^-^)

⏰:06/09/02 09:29 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#119 [ゆり]
それから騎乗位で
合体!!

こっからはもう二人の世界ってゆーか
一人の世界ってゆーか
溺れるだけ。

えっちはいいね。

なんか全部

忘れられるし。
 

⏰:06/09/02 09:32 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#120 [ゆり]
名前を呼んでくれる。
その声に入ってる
愛はきっと本物。

2年毎日一緒なんだから
それくらい分かるよ。

でもなんでだろう。

やっぱり寂しい。
やっぱり悲しい。


隼人に映ってるのは
ほんとにあたしだけかな。
 

⏰:06/09/02 09:35 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#121 [ゆり]
「あー気持ちよかった!!」

隼人が横で倒れてる。

あたしは天井を見てる。

「汗かいたな〜!ゆりチャン一緒にシャワ-浴びよ♪」

「ゆりチャンダウン中〜先入っててくりりん」

「悟空ー!!」

そう言って隼人はお風呂場へ行った。
 

⏰:06/09/02 09:39 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#122 [ゆり]
あたしは
この言葉に出来ない気持ちに
戸惑ってた。

好きなのに
何がいけないんだろう。
何で満たされないんだろう。

信じてないから?

あたしどうしたらいい?



ブ-ブ-…

…携帯?
 

⏰:06/09/02 09:42 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#123 [ゆり]
身体を起こして
布団を取ると
隼人の携帯が転がってた。

脱がした時に
ジ-パンから落ちたんだ。

部屋が暗かったから
光ったウィンドウの文字が

ハッキリ見えた。
 

⏰:06/09/02 09:46 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#124 [ゆり]
着信

若菜



あー


見たくなかった。


元カノの名前じゃん。

 

⏰:06/09/02 09:47 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#125 [ゆり]
ショックなのかな。

なんか笑っちゃった。


携帯に布団をかけて
また横になった。

さっきと違って
天井が滲んで見えたから

これは現実なんだな。って
思った。
 

⏰:06/09/02 09:51 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#126 [ゆり]
「ゆりー!!まだー!?」

お風呂場からの
隼人の声。

あたしはあくびしながら
お風呂場に行った。
涙が溜まってたから
ごまかす為に。

「ゆりチャン遅いよ〜眠いの?」

「うん頑張り過ぎたぁ」

「確かに!笑」
 

⏰:06/09/02 09:56 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#127 [ゆり]
一人だったら
シャワー浴びながら
バレずに
泣けるのに。


それも出来なくて

問い詰める事も
出来なくて


ただ必死に

普通を演じたんだ。
 

⏰:06/09/02 10:02 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#128 [ゆり]
二人で湯舟に浸かった。

隼人が将来の話をしてた。

子供は男の子と女の子両方が欲しいとか

俺がお風呂掃除するからゆりは洗濯係ね、とか。

本当に幸せそうに話すから

何が本物かわからなくなるよ。
 

⏰:06/09/02 10:08 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#129 [ゆり]
あたしは冷静だった。

頭が真っ白だったから。


隼人の話に頷いて
微笑む事が
精一杯だった。


また嘘つかれた。
元カノに番号教えてないって
ゆったくせに。

せめて男の名前で登録するとか
してよね。
 

⏰:06/09/02 10:14 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#130 [ゆり]
「のぼせるから上がろっか♪」

隼人は先に出て
バスタオルを渡してくれた。

「ありがと」

「拭いてあげよっか?」

「恥ずかしいからいい〜」

部屋に戻って
隼人はベットに寝転がった。

あたしはソファから隼人を見てた。
 

⏰:06/09/02 10:19 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#131 [ゆり]
携帯に気付いたみたい。

開いてチェックしてる。

横顔で表情はあんまりわかんなかった。

メールを送った感じで
携帯を閉じた。

 

⏰:06/09/02 10:22 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#132 [ゆり]
「誰にメールしたの?」

とは
聞けなかった。

恐かった。

これ以上
隼人の口から
嘘を聞きたくなかった。


「ねー隼人」

「ん?!なに?」
 

⏰:06/09/02 10:23 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#133 [ゆり]
「あたし昨日ね
バイト先の男の子とドライブ行ったの」

「うそ!!」

「ほんと。
ごめんね。バイト終わってから送ってもらったし。」

「そっか…
でも何かあるよりはいいし。うん。」

怒ってよ。

あたしみたいに
怒ってよ。
 

⏰:06/09/02 10:27 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#134 [ゆり]
「怒らないの?」

「言ってくれたからいいよ!内緒にされてたら嫌だけど」


内緒か…

隼人は内緒だらけだね。

もうあたしにはわかんないよ。

何がなんだか。

信じれるものがなくなっちゃったよ。
 

⏰:06/09/02 10:31 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#135 [ゆり]
隼人

あたしは別に
優しくしてくれなくても
喧嘩ばっかりしてても

信じられたら
傍に居れると思うんだよ。

あたしはただ
ずっと一緒に居たいだけなのに。
 

⏰:06/09/02 10:34 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#136 [ゆり]
何事もなかったかの様に
毎日は過ぎた。

そんな中
両親が離婚。

成人過ぎたあたしでも
それなりにショックで


本当に独りぼっちになった
気がした。
 

⏰:06/09/02 10:38 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#137 [あやぽん]
今回も毎日見てまあす頑張ってねえ

⏰:06/09/02 18:09 📱:SH700i 🆔:OwcL6KsA


#138 [かけぽん]
なんか今回の話は、ゆりさんのわがまま?みたいに思っちゃうのは私だけ?隼人さんが可哀想だって、ゆりさん隼人さんよりひどい事してないですか?隼人さんの浮気っぽい行動がイヤなら、ゆりさんもしない事!じゃない?隼人さんがちゃんと話せば許せるのかな?また話してくれたらくれたで悩むでしょ?なんか、ゆりさんの気持ちが今、私には理解出来ないの……ゴメンナサイ!その後の展開がすごく気になっちゃう最後はハッピーで終わってね!

⏰:06/09/02 22:26 📱:F902i 🆔:y/vIcJho


#139 [ゆり]
あやぽんサン☆
前からずっと応援してくれてて本当にありがとう(;ω;)

かけぽんサン☆
ありがとう♪あ-…やっぱり今回の話わ他の事件を飛び飛びで書いてしまったので…ダメですね(*´`*)伝えたい事が伝わらない話になってしまった。どうしよう…
今これからを迷い中です×
今日はほんま疲れてしまったので更新はすみませんm(__)m

⏰:06/09/03 00:29 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#140 [さくら]
ゆりさん毎日お疲れさまですOU<艸) 私も隼人サンの四季、ゆリさんの〇二番目の四季〇と読ませていただいた一人です 私も信頼は大切だと思っていますどおか、信頼を取り戻して隼人サンと‥‥ッて思ッていますこれからも見てるので頑張ッてください()キャッ

⏰:06/09/03 00:35 📱:N902i 🆔:Ea8s/Jzs


#141 [あんな]
私も信頼って大事だと思うなぁ…。人によって許せる範囲も違うし価値観もみんな違うから、最後はやっぱり信頼で繋がってると思うよユリチャンが伝えたいこと書いてください。応援してます

⏰:06/09/03 07:51 📱:D701i 🆔:2VtzsKXI


#142 [ゆり]
さくらサン☆
読んでくれてありがとうございますッ☆
ほんと励まされますッ(´Д`)
上手く伝えられないけど…最後まで書くのでこれからもよろしくデス(*ノω<*)☆

⏰:06/09/03 12:43 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#143 [ゆり]
あんなサン☆
信頼について、考えて下さって嬉しいです。
読んでくれた方全員は無理だけど、一人にでも何か残る話になれば…と思っています。
本当にありがとデス♪(^-^)

⏰:06/09/03 12:47 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#144 [ゆり]
両親が離婚したからといって

別に今までの生活が
変わる訳じゃない。

お母さんはいなかったし
お父さんも帰ってこないし

家であたしを呼んでくれるのは
にゃんこだけ。

ずっとそうだったんだから

大丈夫。
 

⏰:06/09/03 12:51 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#145 [ゆり]
ただ違うのは


心が
埋まらなくなった事。


隼人と居ても。

 

⏰:06/09/03 12:53 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#146 [ゆり]
夏の真ん中。

学校が始まる。

もう将来について
考え
就職の事も
段々現実になってくる。
 

⏰:06/09/03 12:55 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#147 [ゆり]
妥協出来ない性格だけで

手に入れた
順位
手に入れた
数字

それはあたしに
プレッシヤ-を与えるだけで
何の役に立つだろう。

恵まれた国のオ姫サマ?

ドレスなんてもう
こんなにボロボロなのに。

⏰:06/09/03 13:02 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#148 [ゆり]
就職担当の先生が
皆を集めて話をする。

隣から友達が小声で話しかけてくる。

「ゆりチャンならどこでも即採用だよね♪成績いーし顔いーし〜」

「じゃあ顔パスかね(笑」

「間違いない!笑
面接官は顔とおっぱいで落ちるよ♪」

「んなとこ行きたくないわ笑」
 

⏰:06/09/03 13:09 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#149 [ゆり]
誰もがみんな
同じ様な事を言う。

悪気はない。
ただ褒めてくれてるんだって思う。

でも今のあたしには
追い詰められる言葉。

出来て当たり前。

分かる人なんていないかもしれない。
でも一気に墜落したらって考えると
不安でたまらなくなる。
 

⏰:06/09/03 13:12 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#150 [ゆり]
頑張ってねって

もー何回言われればいいの?

なんて
子供染みた事
考えてる。

頑張ったねって言って欲しいだけ。

ちゃんと頑張るから
もう頑張らなくていいよって
言って欲しいだけだよ。

あたしそんなに走り続けられる程

足腰強くないって。

⏰:06/09/03 13:16 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#151 [ゆり]
「ゆーりー!!」

「隼人〜声でかいって」

隼人も同じ学校。
彼はまぁアホだったけど
「ライバルはゆり!!」
とか言って
下の成績から
中くらいまで上がった。
すごい奴だ。

「帰ろ♪」

「うん!」
 

⏰:06/09/03 13:20 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#152 [ゆり]
隼人のチャリの後ろに立って
夏の風を受ける。

「就職どーしよう…」

あたしがそう漏らすと
隼人は言った。

「ゆりならどこでも行けるって!頑張れよ!」

「…あたしもう頑張りたくないわ」

「何言っとんの!!
お前が頑張らんでどーすんだよ」
 

⏰:06/09/03 13:25 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#153 [ゆり]
どうもしないよ。


だって
なんも残らなかったよ。

家族も壊れたし
信頼も壊れたし

神様は
乗り越えられる奴にしか試練を与えないって
言うけど

あたし乗り越えられるかな。

こんな不安で
たまらない毎日。
 

⏰:06/09/03 13:32 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#154 [ゆり]
夜は泣いた。

訳なく
壁を叩いたりした。

リスカはしなかった。

けど確実に
あたしは何かに
押し潰されてた。
 

⏰:06/09/03 13:36 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#155 [ゆり]
学校の授業はどんどんハードになる。

実習も増えて
朝から夕方までが毎日。

あまりご飯も食べれなくなって


バイト中に倒れた。
 

⏰:06/09/03 13:39 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#156 [ゆり]
頭が真っ白で
体中の血液がなくなった様な
感覚。

一人でカウンタ-を回してたから
気付いてくれたのはお客さんだった。

でも声が聞こえない。
声も出ない。

真っ白な世界に

自分独りだった。
 

⏰:06/09/03 13:42 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#157 [ゆり]
あー
あたし死ぬのかな。

隼人をたくさん
傷付けた罰かな。

まぁいいか。

ちょうど疲れてたところだし。


でも最後に

やっぱ隼人に
会いたい。
 

⏰:06/09/03 13:45 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#158 [ゆり]
そんな事
考えてたら

だんだん周りの声が
聞こえてきた。

ああ
常連のおじさんだ。
大橋くんだ。
三上くんだ。
社員さんだ。

あれ
隼人がいないじゃん。

「はやと…」

ハッキリ覚えてる。
最初に出た言葉がこれだった。
 

⏰:06/09/03 13:48 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#159 [ゆり]
でもここはパチ屋。
呟いた声なんて聞こえない。

あたしはそれに
涙が出てきた。

隼人に声が届かない。

隼人がどっか行っちゃう。

いない。
いない。

隼人がいない。
 

⏰:06/09/03 13:50 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#160 [ゆり]
「高原さん!!」

「ゆりちゃん!?」

みんなの声だ。

でも隼人の声で呼んで欲しいよ。

「救急車!」

その言葉に
あたしは首を横に振った。

「大丈夫です…」

意識と共に
真っ白な世界から
日常に戻った。
 

⏰:06/09/03 13:54 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#161 [ゆり]
あたしはフラフラする身体を

両脇から抱えられて
事務所の奥の部屋に
寝かせてもらった。


「大丈夫?!」

「すいません、ちょっとクラッとしただけです…大丈夫だから戻って下さい☆」

笑ってそう言うと
心配そうに冷たいお茶を持ってきてくれた。
 

⏰:06/09/03 13:57 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#162 [ゆり]
「なんかあったらすぐインカム(皆が付けてるマイク。内線みたいなもの)で呼ぶんだよ?」

「はーい☆ありがとうございます」

パタン

ドアが閉まった。
あたしは天井を見上げた。
 

⏰:06/09/03 14:00 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#163 [ゆり]
白い天井。
そこに
あいつの顔が浮かぶ。

認めたくなかった。

だけどあたしは
完全に隼人に依存していたんだ。
 

⏰:06/09/03 14:21 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#164 [ゆり]
小さい頃から
幸せではあったけど

当たり前にあるはずの

両親の愛を
あたしは見た事がなかった。

過去の恋愛も
純愛ってのは
見た事がなかった。

そんな中で
作り上げられた

あたしという人格。
 

⏰:06/09/03 14:23 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#165 [ゆり]
サバサバしてて
男っぽい性格。

頑固で
負けず嫌いで
プライド高くて
妥協しない。

上手く人に甘えられない。
弱音を吐かない。
止まる事は許さない。

そんなあたしだから
そりゃ強いって
思われる。
 

⏰:06/09/03 14:26 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#166 [ゆり]
あたしも自分は強いって
思ってた。

強い自分が好きだった。

何もしないで
文句、弱音ばかり吐いてる奴は嫌いだったから。

でももう認めるしかない。

本当はめっちゃ
弱いって事。

隼人に支えられて
生きてるって事。
 

⏰:06/09/03 14:29 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#167 [ゆり]
自分で思ってた以上に
傷は深かった。


隼人の
ほんの些細な裏切りだけで。

たいした事じゃない。

でも理屈じゃない。

こんなに不安定になってしまった。

ねぇ隼人


どこにも行かないで。
 

⏰:06/09/03 14:33 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#168 [ゆり]
次から次へ
涙が落ちてゆく。

こんな気持ち
何ていうんだろう。


コンコンッ
ガチャ

ドアがいきなり開いた。


「あ〜ら〜…
泣いてるじゃーん」


三上くんだった。
 

⏰:06/09/03 14:37 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#169 [ゆり]
涙でぼんやりした視界の中
三上くんが隣に来たのがわかった。

「…大丈夫なりかー?」

瞬きもしないあたしの瞳。
涙は止まらない。

三上くんが指で拭った。

 

⏰:06/09/03 15:39 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#170 [ゆり]
「なんも言わなくていいけど…
ちょっと横にいさせてね」

少し笑って
そう言った。

切ない声だった。

全部わかってる様な
そんな声だった。
 

⏰:06/09/03 15:43 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#171 [ゆり]
静かな空間で
時間がゆっくり流れる。

「お茶飲む…?」

「…いい…」

三上くんは
なんとなく少しだけ
隼人に似てる。


「ゆりちゃん…」

隼人に呼ばれた様な
感じがした。
 

⏰:06/09/03 15:52 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#172 [ゆり]
頭を少し傾けて
天井から三上くんの方を見た。

「…そんなに頑張らなくていいよ。」



呼吸が乱れる。
涙が溢れる。

好きとか
愛してるとかより

ずっと欲しかった。
 

⏰:06/09/03 15:58 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#173 [ゆり]
なんにも言えなくて
ただ赤ちゃんみたいに
泣いてた。

恥ずかしいくらい泣いてた。

三上くんは
そんなあたしに驚きもしないで

「よしよし」って

手を握ってくれた。
 

⏰:06/09/03 16:01 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#174 [ゆり]
全てが
壊れた訳じゃない。

今までの自分が
無意味だった訳じゃない。


隼人に似た手は
そう言った。

倒れた体に
染み込む
熱いくらいの体温。


「彼氏に電話しなさーい♪」

悲し気に笑いながら
三上くんは休憩室に置いてあった
あたしの携帯を渡してくれた。

⏰:06/09/03 16:06 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#175 [ゆり]
あたしはそれを泣きながら
無言で受け取った。


三上くんは
笑って

「いっぱい泣くのはいい事だ♪」って
言って

部屋を出て行った。

あたしは横向きに転がったまま
携帯を見つめた。
 

⏰:06/09/04 12:20 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#176 [ゆり]
もうすぐ21時か…

隼人…
何してるかなぁ。


ピッ…

プルルル…プルルル…

なかなか出ない。

留守電に繋がっちゃった。

もう一回。

ピッ…

プルルル…プルルル…

「…はぁ-い♪もしもおし?」
 

⏰:06/09/04 12:25 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#177 [ゆり]
…あれ?

携帯を耳から離して
画面を確認。

ちゃんと隼人の携帯に
かけてるよなぁ。

「もしもお-し?
誰え??」

後ろはガヤガヤしてる。
クラブって感じじゃないし
多分居酒屋?

なんで女の人が出てるの???

⏰:06/09/04 12:31 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#178 [ゆり]
電話の相手は
かなり酔っ払ってる様子。

ろれつが回ってない。

あたしは頭が回ってない。

「間違えましたー」

そう言って
電話を切った。


呼吸は落ち着いてる。

でも心臓は
確実に早くなってた。
 

⏰:06/09/04 12:34 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#179 [ゆり]
「ん〜…」

あたしはゆっくり体を起こして
お茶を飲んで

更衣室に向かった。

「帰ろ-…」

ふらふらする。
霞む視界のまま
着替えて鏡を見た。
 

⏰:06/09/04 12:37 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#180 [ゆり]
「ひど…笑」

髪を軽く整えて
軽くメイク直しをした。

事務所に行って
社員さんに帰る事を告げ様と思ったら
誰もいない。

仕方なく店内へ行った。
 

⏰:06/09/04 12:41 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#181 [ゆり]
爆音の中で
ぼけ-っと社員さんを捜す。

「頭に響くよ…」

そんなあたしを見つけてくれたのは三上くん。

「何しとんのッ寝てなきゃダメじゃん!!」

「帰る〜…」

「ん?何?!」
 

⏰:06/09/04 12:46 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#182 [ゆり]
音に声が消される。

三上くんは顔を近付けて聞いてくれた。

「ああ!帰るのね!わかった!インカムで社員さんに言っとくから」

「ありがとう…」

何から何まで
ほんますいません。

「ちょっと待ってて!!」

三上くんはインカムで話してた。
 

⏰:06/09/04 12:50 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#183 [ゆり]
あまり瞬きしない瞳
相変わらず働かない思考回路

あたしは向きを変えて
裏から帰ろうとした。

「ちょっと待ってて!!」

肩を叩いて三上くんは更衣室に走って行った。

「後ろ姿も
隼人に似てるなぁ…」
 

⏰:06/09/04 12:54 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#184 [ゆり]
あたしはただ
ぼーっと
してた。


数秒?数分で着替えた三上くんが息を切らしながら来た。

「送ってくからおいで」

心配そうな顔。
あたしは大丈夫だよ。

「でも仕事…」

「いーから♪社員さんにも送ってあげてって言われたし!」

⏰:06/09/04 13:00 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#185 [ゆり]
「…ありがとう」

「素直でよろしい!」

子供みたいに
笑って
裏のドアを開けてくれた。

ザアアアア-…ッ

「うわッまぢ!?」

目が覚める様な
雨の音。
 

⏰:06/09/04 13:03 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#186 [ゆり]
「す-ごいね…」

「ね〜!
俺車回してくるから
ゆりチャンここで待っててね」

「あ、はい」

傘も指さずに
駐車場に走って行った。

なんか皆優しいなぁ。
恵まれてるよ
あたしは。
 

⏰:06/09/04 13:07 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#187 [ゆり]
ザアア…

タイヤが水溜まりを蹴って
あたしの前に静かに止まった。

ガチヤ

「お邪魔します…」

「どーぞどーぞ♪」

うあ-やばい。

「三上くんって香水クロ-ム?」
 

⏰:06/09/04 13:15 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#188 [ゆり]
「お-!よくわかったね!最近ずっとクロ-ムだよ」

あたしは匂いに敏感。

音楽でも思い出したりするけど
匂いは特に思い出す。

クロ-ムは
隼人が付けてる香水。
 

⏰:06/09/04 13:18 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#189 [ゆり]
「ゆりチャン気分大丈夫?」

「…うん」

目を閉じたら
隼人と居るみたいで
ちょっと幸せ。
なんて
三上くんに失礼な事
考えてた。

「よかった♪
彼氏とは大丈夫だった?」

「…彼氏…今誰といるんだろ…」

「え??」
 

⏰:06/09/04 13:21 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#190 [ゆり]
「さっき電話したらね〜
女の人が出たんだー」

笑いながら言った。

なんでかわからないけど
笑うしかなかった。

こんなあたし
ますます惨めに
見えるかな。

「まじか…」

片手でハンドルを握り
前を向いたまま三上くんは苦い顔をした。
 

⏰:06/09/04 13:25 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#191 [ゆり]
バックから携帯を出してみたけど
隼人から連絡はない。

「なんか…こんな事ってほんとにあるんだね!
ドラマの中みたい」

笑うあたしに
何も言わず
悲しそうに微笑んだ。

「この夏は
踏んだり蹴ったりだよ」

溜め息が出る。

もうほんとに終わりなのかな

あたし達。

⏰:06/09/04 13:31 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#192 [我輩は匿名である]
ゆりさん血液型何ですかぁ

⏰:06/09/04 13:43 📱:D902iS 🆔:.DL1ha5E


#193 [ゆり]
匿名さん☆
ふつ-にA型です(笑)

⏰:06/09/04 14:15 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#194 [ゆり]
「よし
彼氏んとこ行こ-か」

「うん………
ん???」

思わず顔を上げた。

「いや、会わないと
ほんとの事わかんないっしょ」

「…」

全くその通りです。

「…でもどこいるか
わかんない」

「もっかい電話出来る?」
 

⏰:06/09/04 14:20 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#195 [ゆり]
さっきの事が蘇る。

今度またあの人が出たら
完全に終わりな気がした。

さっきのは間違いだって
思えなくなる。

でももう
涙は出ない。

やけくそで行こう。


携帯画面に隼人の名前を出して
手を伸ばした。
 

⏰:06/09/04 14:24 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#196 [ゆり]
「高原ゆり!行きまーすッ!!」

「いってらっしゃ〜いッ!!笑」

三上くんは
ビストロの中居くん並の声で
あたしの背中を押してくれた。

親指で
通話ボタンを押す。

ピッ…

…プルルル-…プルルル…
 

⏰:06/09/04 14:27 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#197 [ゆり]
これ以上
きっと傷付く事は
ない。

もう怖くも
なんともない。


相手が電話に出た。

「もしもお-し!こちらわかなあ♪」

チーン。

やられたぜ。
 

⏰:06/09/04 14:29 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#198 [ゆり]
なんかもう
怒りも悲しみもないし

ショックも通り越して

めっちゃ笑えてきた。

人間っておもしろい。

「アハハ!若菜チャン?あたしーゆりチャン!!隼人いるー??」

相手側がガヤガヤうるさいから
あたしも大声で答えた。
 

⏰:06/09/04 14:33 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#199 [ゆり]
「おいおい大丈夫かよ…笑」

とりあえず駅の方に走りながら
三上くんは苦笑いしてる。

でもあたしはめっちゃ楽しい。

頭おかしくなったかなぁ。

「隼人っちー!!ゆりちあんから電話よー!!」

「アハハ!!」
 

⏰:06/09/04 14:36 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


#200 [ゆり]
ベロベロに酔ってるのに
ちゃんと電話に出てくれる若菜ちゃんに
なんか笑えた。

「今どーなってんの!?」
横から小声で三上くんが聞く。

「今彼氏呼んでもらってる!笑
電話出たの元カノちゃんだった!」

「はぁー!??」
 

⏰:06/09/04 14:40 📱:V703SH 🆔:CRozBxLc


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