もう二度と・・・
最新 最初 🆕
#501 [林奈]
「大丈夫か?」


「うん。ごめんね。連絡取らずにいて」

「いいよ。当たり前だと思うし」


私はアキヤに実の父親の話をした。

⏰:07/05/23 10:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#502 [林奈]
「林奈が会いたいと思わないなら会わない方がいい。今恨んでるのか?」


「分からないんだ。今恨んでないなんて自信持って言えないよ」


「なら会わない方がいいと思う。もう少し時間がいるんじゃないか?」


アキヤの言う通りだと思った。
今自分にきちんと許せる余裕はない。


この話は聞かなかった事にしようと思った・・・。

⏰:07/05/23 10:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#503 [林奈]
私はノブヒロの事も父親の事も考えないようにしてた。


仕事に打ち込んでいれば、きっと大丈夫なんだって思ってた。なのに・・・。


そんな私に追い込む悩み・・・。

⏰:07/05/23 11:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#504 [林奈]
仕事が日勤で終わり、家に着いた時、玄関に見慣れない靴。

ピンときた。


「お帰り」


帰った私に気付き出て来たのは母親だった。

⏰:07/05/25 08:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#505 [林奈]
「何しに来たの?」

私は冷たく言った。顔を見たらやっぱり醜い言い方しかできない・・・。



「話があるから」


母は少し寂しげな顔だった。

⏰:07/05/25 08:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#506 [林奈]
父が帰ってくるまで待った。


その間、話すこともなく無言だった。


母は見ない間に痩せてた。老けたような感じ。


私はどことなく切ない気持ちになってたんだ。

⏰:07/05/25 08:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#507 [林奈]
30分くらいしてから父が帰ってきた。

母は私に話をし始めた。


「父親に会いたいと思わない?」


私はドキッとした。

思わず父の顔を見てしまった。

⏰:07/05/25 09:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#508 [林奈]
父は笑顔で言う。



「俺の事は気にするな」



私は父の言葉を聞いて、素直な気持ちを話した。

⏰:07/05/25 09:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#509 [林奈]
まだ両親を許せていないこと、会いたいかどうかなんて分からないけど、どんな人なのかだけ知りたいということ・・。

すると母はため息をついた。


「あのね、あんたの父親は会いたがってるんだよ」


私は今さら会いたがる理由が分からなかった・・。

⏰:07/05/26 00:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#510 [林奈]
「何で今さら会いたいわけ?逃げたような人がさ」



「今さらじゃないよ。5年前に偶然会ってから、あの人仕切りにあんたに会いたがってる。ただ謝りたいんだってさ」



私は謝りたいと聞いて無性に腹が立ったんだ。

⏰:07/05/26 13:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#511 [林奈]
読みにくくないですかね?よかったら感想お願いしますm

⏰:07/05/26 14:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#512 [林奈]
「は?なにそれ?謝りたいってなに?どんな思いだったと思ってんの?私がどんだけ辛い思いしてたのかその人分かってんの?」



腹が立ってるのに、なんで?なんでこんなに泣けるの?


涙が止まらなかった・・・。

⏰:07/05/26 15:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#513 [くひ]
読みやすいですよ☆
毎日楽しみにチェックしてます♪
これからも頑張ってください☆

スペースすみません(>_<)

⏰:07/05/26 17:10 📱:N901iC 🆔:☆☆☆


#514 [ビームサベール]
ちゃんと毎日確認してますよ(≧∀)b"これからもどんどん更新して下さいね☆
スペースごめさいm(._.)m

⏰:07/05/26 17:13 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#515 [あやめ]
大丈夫だよッ
この調子でファイト

⏰:07/05/26 19:08 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#516 [林奈]
みんな、ありがとうyつまらんことばっか気にしてごめんねm

⏰:07/05/26 20:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#517 [林奈]
そんな私を見て父は言ってきた。


「お前、本当は甘えたいんじゃないのか?俺にはちゃんと甘えられなかっただろう?もう我慢しなくていいんだぞ」



父の優しい顔。



けど何か少し寂しそうだった。

⏰:07/05/27 04:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#518 [林奈]
“ほんとは会いたいのかもしれない。今まで逃げるように押し殺してきたのかもしれない”


私はふとそう思ったんだ。


もう大人としての会話ができるんじゃないか。


私は決意した。

⏰:07/05/27 04:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#519 [林奈]
母と一緒に、父親のいる町に行った。


新幹線で一時間半。そこは海の見えるキレイな町だった。


新幹線の中、母は父親の事を話してきた。

⏰:07/05/27 04:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#520 [林奈]
私が住んでる町で、偶然母は父親と再会した。
何十年も会っていなかったのに、お互いにすぐ分かったらしい。
当時私を殴ってしまってた事、借金がある事、全部話した時、父親は泣いたそうだ。


「一目でいいから会わせてほしい」


父親は私が家出をしてる間、頻繁に家に来ていた事がわかった。

⏰:07/05/27 04:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#521 [林奈]
けど育ての父は、そんな父親を責める事なく、繰り返し説得してたらしい。


「あの子が二十歳を過ぎるまで待ってほしい。きちんと受け止められる年まで」

って・・・。

⏰:07/05/27 04:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#522 [林奈]
私を思い必死になってた父。


私は思わず涙が出てた。


どんな思いだったんだろう・・・。


それを考えただけで切なくなった。

⏰:07/05/27 15:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#523 [林奈]
駅からまた一時間車を走らせた田舎。


待ち合わせ場所にした小さな喫茶店に入った。


そして数分後、ドアの鈴が鳴り、私も母も見入った。


するといたのは、中年の男の人・・・。

⏰:07/05/27 15:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#524 [林奈]
「タツヒコ」


母が口走った。


タツヒコと言う人は私達に近付いた。


「林奈ちゃん?」


タツヒコという人は私に聞いた。

⏰:07/05/27 16:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#525 [林奈]
「はい」


「初めまして。今日はありがとう」


優しい顔をした。


私はそんなタツヒコさんに一瞬ためらった。

⏰:07/05/28 08:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#526 [林奈]
「この人があんたの父親」


“分かるよ。分かるけどどう話せばいいか分からない”


戸惑いを隠せなかった私。



そんな私にタツヒコさんは言った。

⏰:07/05/28 09:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#527 [林奈]
「緊張するよね」


苦笑いだった。


沈黙が続いた時、私から口を開いた。

⏰:07/05/28 11:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#528 [林奈]
「何で逃げたんですか?」


「育てるだけの力がなかったんだ」


「だからって逃げるなんて卑怯だと思わなかったんですか」


「ほんとに申し訳ない。何度も後悔した。君にどんだけ辛い思いさせたかと思うと、苦しくてたまらなかった。ほんとにほんとにすまなかった」



涙目になってた。

⏰:07/05/28 12:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#529 [林奈]
一見怖そうな人で泣くような人ではないのに、タツヒコさんは、目にいっぱい涙を溜めてた・・・。


今までの恨みをぶつけるつもりだったのに・・・。


あんな顔されたら言えなくなってた。

⏰:07/05/28 12:21 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#530 [林奈]
「親が離婚した時や父親が他にいる事が分かった時は、ほんとに辛かった。母に殴られてた時期も。でも家を出てどうしようもない事してきた。けどそんな私をお父さん達は受け入れてくれた。血の繋がりのない私を、真剣に思ってくれた。だからあなたの事を急に父親だとは思えません」



ありのままを話したんだ。

⏰:07/05/28 13:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#531 [ビームサベール]
頑張って下さい(≧∀)b"
応援してます☆

⏰:07/05/28 13:11 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#532 [林奈]
ビームさんありがとう!
また更新します。

⏰:07/05/29 09:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#533 [林奈]
「そりゃそうだよね。俺もそれは分かってた。けどただ会いたかった事だけ分かってもらいたい」



すると母は私に聞いた。


「林奈はまた会いたいと思う?」



「分からない。もう会いたいと思わないかもしれない。けど、こうやって会えたのも縁なんだとは思う」


私はノブヒロの話をした。

⏰:07/05/29 09:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#534 [林奈]
まさかノブヒロの叔父さんだった事なんて、一瞬も考えもしなかった・・・。


それはタツヒコさんも母も同じだった。

“運命”だったのかもしれない・・・。

⏰:07/05/29 09:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#535 [林奈]
ノブヒロは生前、タツヒコさんに話していたそうだ。


「これも運命なんだよ。一度は会わなきゃダメだよ」


亡くなる前日、電話をしてきたそうなんだ。


ノブヒロの思い。
父親の思い。
そして母の思い。


私はこれからきちんと受け止めていきたいと思った。

⏰:07/05/30 07:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#536 [我輩は匿名である]
主は凄い素直で羨ましい
私も父親一回はあいたいなぁ

⏰:07/05/30 08:54 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#537 [林奈]
我が輩さん、コメントありがとう!人はみんな元々素直なんだと思うよ。ちょっと考え変えるだけで、素直になれると思う。

⏰:07/05/30 18:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#538 [林奈]
私はタツヒコさんを、「お父さん」とは最後まで呼べなかった。


けどタツヒコさんはそれを承知してたんだと思う。


けど、複雑な気持ちの中から生まれた新しい思い・・・。


“きちんと生きなければいけない”

⏰:07/05/30 18:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#539 [林奈]
帰りの新幹線の中、私は一人思ってた。

家に着き、母と別れる時、母が意外な事を言ってきた。

⏰:07/05/30 18:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#540 [林奈]
「ねぇ林奈、今までごめんね。あんたにはいっぱい辛い思いさせちゃったね。あんたが一番辛い時も側にいてあげられなかったね。ほんとにごめん。今までしてあげられなかった事してくから」


照れくさそうに話す母。


意外過ぎて、うなずくことしかできなかった。

⏰:07/05/30 18:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#541 [林奈]
母の背中からどこか強いモノを感じた。


母を見送りながら、私は自然に涙が出てきた。


“こんな日が来るなんて思わなかった”

一生許さない。


そう思ってた時なんてどうでもよく感じたんだ・・・。

⏰:07/05/30 18:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#542 [林奈]
嬉しかった。
ただただ嬉しかったんだ・・・。


大人になり、今までの事を全て受け止められる。


私は母と真剣に向き合えるような気がした。

⏰:07/05/30 18:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#543 [林奈]
タツヒコさんと会ってから何か気持ちが晴れたようだった。

仕事をしてても、何か前とは違う。


きっと本当は会いたかったんだと思う。

⏰:07/06/01 19:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#544 [林奈]
アキヤに父親と会った事を話した。


「これから二人のお父さん大事にしなきゃいけないな」


アキヤは言った。
心のどこかで引っかかっていた思い。


私は本気で、
“幸せになりたい”と思った。

⏰:07/06/01 19:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#545 [林奈]
ろくでもない過去を抱えて、幸せになる資格なんて本当はないとは思う。


けど、“幸せになりたい”って心から思えたんだ・・・。


そして周りの人を幸せにしなきゃいけない。

⏰:07/06/01 19:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#546 [(´Д`)]
涙がとまらない

⏰:07/06/01 21:36 📱:SH851i 🆔:☆☆☆


#547 [我輩は匿名である]
>>250-600

⏰:07/06/01 22:12 📱:SH902i 🆔:☆☆☆


#548 [林奈]
ノブヒロの四十九日が過ぎ、アヤさんから電話があった。


「報告があるんだ」

「なに?」


「赤ちゃんがいる」

「え?」


「ノブヒロとの子ができたんだ」

⏰:07/06/03 13:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#549 [みほ]
>>1-300
>>301-600

⏰:07/06/03 14:03 📱:SH902i 🆔:☆☆☆


#550 [林奈]
話を聞くと、三ヶ月目に入ったと言う。私は素直に、「おめでとう」が言えなかった・・・。



アヤさんがこれからどうするのかが心配で、素直に言えずにいたんだ。

⏰:07/06/03 20:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#551 [キティ]
>>300-400
>>400-600

⏰:07/06/04 08:26 📱:D903i 🆔:☆☆☆


#552 [林奈]
その日のうちに私はアヤさんの家に行った。



「アヤさんどうするの?」



「産むよ。だってお腹の子には罪はないし、ノブヒロの子どもを残したい」



「大丈夫なの?」

⏰:07/06/04 18:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#553 [林奈]
「わからない。これは私のエゴなんだと思う。父親がいない事で生まれてくる子は傷付くかもしれない。けどね、授かった命は無駄にはしちゃいけないよ」



悲しそうな顔なのに、もう母親の顔をしてた・・・。

⏰:07/06/04 18:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#554 [林奈]
アヤさんの決意は堅かった。


これからの困難を全て背負うつもりなんだね・・・。


ねぇノブヒロ、あなたの大切な人は、本当に強くて優しい人なんだね。



きっと悔しいよね・・・。

⏰:07/06/05 09:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#555 [林奈]
我が子を抱けない気持ち・・・。



アヤさんの妊娠が分かり、私は久々にトモミ達に会った。

⏰:07/06/05 09:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#556 [林奈]
アヤさんの妊娠を二人に話した。二人も私と同じ、複雑な顔をしたんだ。



「アヤさん本当に大丈夫なのかな?」


ヒロコが言った。



「私も思ったんだ。でももう母親の顔してたよ」



私の言葉に少し安心した顔をした二人。

⏰:07/06/05 09:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#557 [我輩は匿名である]
>>100-500

⏰:07/06/05 14:06 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#558 [我輩は匿名である]
>>450-550

⏰:07/06/05 14:52 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#559 [林奈]
私達にできる事。
それは、アヤさんと生まれてくる子の幸せを願うだけなのかもしれない・・・。


そしてアヤさんの報告から二週間後、私はアキヤに呼び出された。

⏰:07/06/05 23:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#560 [林奈]
久々に会う。
だからどことなく緊張してた。


ドライブをしながらなわいもない話。
いつも通りだった。

そしてキレイな並木道。


夕日が差し込む中、車を降りた。

⏰:07/06/05 23:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#561 [キャンディ]
読んでマス

うまく書けてるので感情移入できます
涙もたくさん流しました
完結マデ見届けマス
頑張って下さい

⏰:07/06/05 23:11 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#562 [林奈]
キャンディさん、ありがとうIこれからも頑張るねI

⏰:07/06/06 11:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#563 [林奈]
優しいアキヤの手。私はアキヤの手を離したくない。


そう思った。


並木道の先にある大きな池。
夕日が反射してキレイだった。

⏰:07/06/06 11:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#564 [林奈]
切ないほど、その光景はキレイで、それはきっとあの時だからだったんだろう。


「結婚しよか」



私を見るまっすぐな目。


聞き間違い?

⏰:07/06/06 11:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#565 [林奈]
「今なんて?」


「結婚しよ」



言葉がすぐに出なかった。
あまりにも嬉しくて、でも驚いた。

⏰:07/06/06 11:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#566 [林奈]
「俺じゃ頼りないかな?」



「そんな事絶対にない。私こそ、お嫁さんにして下さい」



そして私の左手の薬指にはめてくれた、指輪・・・。

⏰:07/06/06 11:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#567 [林奈]
すごくすごく嬉しかった。
何度拭ってもまた出る涙・・・。


こんなに嬉しい涙はもうきっと出ないかもしれない・・・。

私はそう思った。

⏰:07/06/06 11:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#568 [林奈]
“この人と幸せになりたい”


心の底から思った。

ほんとにほんとに、“運命”を感じた。

アキヤ、あの時の私ね、あなたとの幸せを信じたんだよ?
もう離れたくないって願ったんだよ?


この気持ちはあなたに今届いてますか?

⏰:07/06/06 11:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#569 [林奈]
そのままアキヤは、私の家に来た。


父に挨拶。
アキヤの横顔は、すごい強張ってたね。

「急にどうした?」

何の予想もしていない父の言葉。

⏰:07/06/06 11:38 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#570 [林奈]
「結婚させてください」



「は?」



驚いた父の顔。



けど我に返り、下を向いた父。

⏰:07/06/06 12:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#571 [林奈]
「そうか」


「お父さん?」


あまりにも素っ気ない父の言い方に、私はビックリした。


すると返事をしないまま立ち上がった父。

⏰:07/06/06 13:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#572 [林奈]
どこに行くのかと思い、着いて行った先は、洗面所。


顔を洗いながら肩が震えてたんだ。



「よかったな。よかったな」


小さな声で泣いてた・・・。

⏰:07/06/06 13:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#573 [みほ]
>>450-600

⏰:07/06/06 16:47 📱:SH902i 🆔:☆☆☆


#574 [林奈]
父の背中。
すごくすごく優しかった・・・。


声をかける事ができず、居間で父を待った。


するとビール片手に持ち、ニコニコで来た父。

⏰:07/06/06 23:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#575 [林奈]
「祝い事には酒しかないだろ」



父の照れた言い方。

私もアキヤも父の優しさに自然と笑みがこぼれてたんだ。

⏰:07/06/06 23:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#576 [林奈]
“幸せ”


こんな気持ちが一生続いてほしい・・。

私は願った・・・。


でもやっぱり、私に幸せなんて似合わないんだね・・・。

⏰:07/06/07 01:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#577 [林奈]
ねぇ、アキヤ?
私に幸せなんて似合わないよね?


「似合わないよ」


笑いながら答えてほしい・・・。



この瞬間だけでいいから。
どうか答えて・・。

⏰:07/06/07 01:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#578 [林奈]
アキヤからのプロポーズ。


私は嬉しくて舞い上がってた。


仕事中も意味もなくニヤついて、嬉しすぎて私はサオリやトモミ、ヒロコに電話で報告。


みんな私の幸せを、願ってくれてたね。

⏰:07/06/07 01:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#579 [林奈]
そんな幸せからどん底まで落ちた理由。


それは突然だった。


真夜中の1時。
アキヤからの着信。

寝ぼけたまま出た。

⏰:07/06/07 01:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#580 [林奈]
「夜中にごめんな」

「どうしたの?」


「ただ声が聞きたくなっただけだよ」


おかしい。
こんな時間に声を聞くためだけにかけてくるなんて・・・。

「ほんとは何があったの?」


アキヤは黙った。

⏰:07/06/07 02:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#581 [林奈]
「どうしたの?」


もう一度聞いて、やっと答えてくれた。


「林奈は、俺のために介護の仕事辞めれるか?」



「分かんない。アキヤも仕事も大事だから」

⏰:07/06/07 22:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#582 [林奈]
「なんで?」


「ううん、なんでもない。遅くにごめんな」


重たい口調で電話を切ったアキヤ。


私は何か嫌な予感がしてた・・・。

⏰:07/06/07 22:21 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#583 [林奈]
けど、それ以上聞いちゃいけないような気がして、私はそのまま寝てしまってた・・・。



朝になり、メールが来てた。


『別れてほしい』


アキヤからだった。

⏰:07/06/07 22:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#584 []
おもしろくなぃ

⏰:07/06/07 22:48 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#585 [林奈]
おもしろくないなら読んでもらわなくて結構です。
おもしろくするために書いてるわけではないんでm

⏰:07/06/08 00:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#586 [キャンディ]
続き気になります

頑張って下さい

⏰:07/06/08 13:04 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#587 [林奈]
キャンディさん、ありがとうI
今から更新します。

続き↓↓


アキヤからのメールは、私の頭の中を真っ白にさせた。


何度も受信先を見直しても、やっぱりアキヤだった。
携帯をボーっと見つめたまま何分経ったんだろう・・・。

⏰:07/06/08 13:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#588 [林奈]
起きた父が私に挨拶してきた。


あの日が仕事が休みでほんとに良かったと思う。



あまりにもビックリしすぎてアキヤに連絡を取る事が頭から離れてたんだ・・。

⏰:07/06/08 13:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#589 [林奈]
ご飯を食べることも、トイレに行くことすらも忘れ、気付いたらお昼。


私はようやくアキヤにメールした。


『あのメールは本気なんだよね?』


すぐに返事は来なくて、来たのは夕方だった。

⏰:07/06/08 13:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#590 [林奈]
電話がかかり、アキヤと会った。


何から聞けばいいのか分からず、アキヤを横にしても何も言えなかった。

⏰:07/06/08 13:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#591 [林奈]
「あんなメールしてごめん」



「急に何?」



「俺、親の事話してなかったよな?」


「うん」


アキヤは深刻な顔をしながら話してくれた。

⏰:07/06/08 13:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#592 [我輩は匿名である]
>>300-550

⏰:07/06/08 15:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#593 [我輩は匿名である]
>>350-600

⏰:07/06/08 15:20 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#594 [我輩は匿名である]
>>001-250
>>252-500

⏰:07/06/08 21:28 📱:N701i 🆔:☆☆☆


#595 [林奈]
アキヤの親は、アキヤが7歳の時に渡米した。お父さんがアメリカで起業した。アキヤは英語も分からないし、知らない土地に行くのが怖くて、親戚の家に預けられたそうだ。正月しか会えない事に、いつしか慣れてきた何年か前、お父さんの持病が悪化している事を、お母さんから聞かされたそうだ。

⏰:07/06/09 08:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#596 [林奈]
そんな時、私と出会い、アメリカに行く事を先延ばししていたアキヤ。私との結婚を考え、お母さんに言うと反対された。私をアメリカに連れてくる事は、私にとって大きな負担になるから。けどお父さんのあとを継げるのはアキヤしかいない。アキヤは随分悩んだ。私を待たせるわけにはいかない。だから別れようと思ったらしい。
アキヤの気持ち。


複雑だった・・・。

⏰:07/06/09 08:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#597 [林奈]
嫌われたわけではない。
けど、私はどう答えればいいのか分からなかった。


「なぁもう一度聞いていいか?今の仕事好きか?」



「好きだよ」



「そっか。俺な、お前の仕事を辞めさせてまで付いて来て欲しいなんて言えない。それにお父さんも許すはずがないだろ。娘を知らない土地に快く送り出す親なんていないよ」

⏰:07/06/09 09:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#598 [林奈]
アキヤの気持ちは決まってた。


私は泣くとかそんなものすら越してしまうくらい、辛かった・・・。



「行かないでよ」


何度言いたくなっただろう・・・。

⏰:07/06/09 09:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#599 [林奈]
私とアキヤはその日を境に別れた。


幸せだった日から、突きつけられた現実。


受け止めるしかなかった。


アキヤもいっぱい悩んだんだと思う。
けど、私は思ったんだ。


アキヤがお父さんを選んでくれてよかったって・・・。

⏰:07/06/09 09:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#600 [林奈]
お父さんじゃなく、私をもし選んでいたら、私はきっと怒ってたと思う。


この世に一人しかいない父親を、見離すような事はしてほしくなかったから。

⏰:07/06/09 09:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#601 [我輩は匿名である]
主さんわ本当に本当に
人の幸せを考えてるんですね(p*>д<q)
いつも見てます
頑張って書いてください☆

⏰:07/06/09 12:39 📱:P903i 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194