〇ニ番目の四季〇
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#201 [ゆり]
ウーロンを取ってもらい
隼人はコーラを飲みながらまた隣に座った。
それと同時に
あたしはずっと気になってた事を聞いた。
「今日どうしたの?」
「え…あぁ…別に」
視線を落として気まずそうな横顔を見て
女関係だな、と思った。
「そっか…」
それ以上聞くのはやめた。
あたしも辛いから。
:06/05/31 19:32 :V703SH :SVEbQfnA
#202 [ゆり]
すると話題を変えるように隼人が口を開いた。
「ゆりちゃんは?先輩とどうなの?」
高橋さんの話になっても
動揺しなかった。
自分で思ってるよりずっと
ケジメは付いてたみたいだ。
「今日、もう会わないって言ったよ」
:06/05/31 19:39 :V703SH :SVEbQfnA
#203 [ひLI]
なンかねえ-
ゆりチャンの文章読ンでるとその絡みとかが
頭のでポワー…ンて
自然と思LI浮かぶと
すごLIねえ-ッて思うよ
最初から最後まで
一気に読ンぢやLIたLI
:06/05/31 19:41 :N901iC :epfGqGAg
#204 [ゆり]
ひいサン☆ほんとにィー!?(*≧□≦*)
なんか説明不足のとこが多いで分かりにくぃかな…って思ってたァ。いつも読んでくれてほんとありがとォッ♪
:06/05/31 20:50 :V703SH :SVEbQfnA
#205 [ゆり]
「えッ?」
隼人は驚いて少しコーラを拭いた。
あたしは笑った。
「いや笑い事じゃないから…で、どうなったの?」
「ん〜押し倒されたりしたけど、最後までは出来なかったの。」
あたしは言わなくてイイ様な事まで話していた。
隠したりしたくなかったから、
あえて言葉は選ばなかったんだ。
:06/05/31 20:55 :V703SH :SVEbQfnA
#206 [ゆり]
隼人は戸惑った様に聞いた。
「…なんで出来なかったの?」
あたしは即答した。
「先輩のえりあしが稲葉くんに見えたから」
ほんと、えりあしが全て気付かせてくれたんだもん。
先輩に被る程、隼人の存在はあたしの中で大きくなってたんだよ。
:06/05/31 21:15 :V703SH :SVEbQfnA
#207 [ゆり]
意味がわからん、みたいな顔をするから
とりあえず説明した。
だけど
隼人が好きとは言えなくて
「あたしもよくわかんない」って言葉で
気持ちを濁した。
けど隼人にだけは軽く見られたくなかった。
「でも…なんとも思ってない人とホテルなんて入らないよ」
あたしは少し笑って言った。
:06/05/31 21:22 :V703SH :SVEbQfnA
#208 [ゆり]
目が合った。
隼人は持っていたコーラを机に置いた。
あたしはその手を目で追った。
缶を置いた手はあたしの肩に回って、抱き寄せられた。
身体が触れる。
あたしは内心ドキドキで、
だけど唇が触れた瞬間
スイッチが入った。
:06/05/31 21:49 :V703SH :SVEbQfnA
#209 [ゆり]
キスをして
唇を離す。
隼人の手が少し震えてるのが分かった。
緊張した息遣いがめちゃくちゃ意外だった。
「ドキドキしてるね(笑」
隼人の胸に右手を当てて言うと
「ゆりちゃんってSなの?笑」
と言われたのを覚えてる。
「ん〜どーだろ笑」
そう言って今度はあたしからキスをした。
:06/05/31 21:53 :V703SH :SVEbQfnA
#210 [ゆり]
首に手を回して、
さっきまでの距離感を埋めるみたいに
唇を重ねた。
いつの間にか見てた番組も終わってた。
隼人はあたしの腰に回した手を延ばして
テレビを消した。
無音の部屋に
荒い息がやけに響いて聞こえた。
:06/05/31 21:58 :V703SH :SVEbQfnA
#211 [ゆり]
「こっち…」
隼人は呟く様にそう言って
あたしの手を優しく引いてベッドに連れて行った。
キスをしながら
髪や身体に触れる指先にいちいち反応する。
まだ少し濡れてる髪から
シャンプーの香りがする。
急に隼人の手が止まった。
:06/05/31 22:06 :V703SH :SVEbQfnA
#212 [ゆり]
「やべー…めっちゃ緊張する…」
隼人は手で顔を隠して言った。
その姿でやられた。
あんた可愛過ぎだよ。
「アハハ大丈夫?」
あたしはバスローブの襟元を掴み
上半身を起こして聞いた。
:06/05/31 22:10 :V703SH :SVEbQfnA
#213 [ゆり]
「だってゆりちゃんだよ?…どうしよう」
ブツブツ言い続ける隼人。
「じゃあ電気消そ!あたしも恥ずかしいし」
まるで初体験の二人
みたいな会話をしてた。
「ごめん…俺まじ情けねーじゃん」
「アハハ!大丈夫ッそんな反応あたしは嬉しい!」
:06/05/31 22:15 :V703SH :SVEbQfnA
#214 [ゆり]
電気を消して
枕元の薄暗い電気だけを付けた。
あたしはベッドの上で正座をしてる隼人にキスをした。
攻めない優しいキス。
「お前キス上手いな…」
隼人はしみじみと呟いて
押し倒しながらあたしのバスローブを脱がせた。
:06/05/31 22:22 :V703SH :SVEbQfnA
#215 [ゆり]
あたしは出会った時から隼人の手が大好きだった。
黒くて指が長くて血管が程よく浮いてて
手フェチのあたしのストライクの手。笑
その手に触られてるって思うだけで
かなりやばかった。
でも入れる直前
極度の緊張で隼人が萎えた。笑
:06/05/31 22:26 :V703SH :SVEbQfnA
#216 [ゆり]
「やべ!ちょっと待ってッ笑」
「あはは!!まじウケるし!さっきまでの元気はどこへ?」
「頑張れ俺!!」
めちゃくちゃ面白かった。
ムードはゼロだけど、なんか愛が溢れてる感じがしたんだ。
まぁそれから無事にひとつになれて
二人の初えっちは成功。笑
:06/05/31 22:31 :V703SH :SVEbQfnA
#217 [ゆり]
隼人の腕枕で横になる。
なんかこんな穏やかな気分は初めて。
いつも心は満たされなかったのに。
愛して愛される幸せって
こんな気持ちを言うのかな。
:06/05/31 22:35 :V703SH :SVEbQfnA
#218 [ゆり]
あの時
あんたがいきなり真顔で言った言葉、
今も忘れてないよ。
「生まれ変わってもまた
お前の事、好きになると思う。」
恥ずかしくて
茶化してごまかしちゃったけど
本当はとても嬉しかった。
:06/05/31 22:38 :V703SH :SVEbQfnA
#219 [ゆり]
付き合い始めた6月から
あたし達は学校でも放課後でも
毎日ずっと一緒にいた。
世間で言うラブラブってやつ。
乙女チックな響きに寒気するけど
ラブラブだった。
でも喧嘩もかなり多かった。
:06/05/31 22:43 :V703SH :SVEbQfnA
#220 [ゆり]
やっぱり遊び人だった男だから
女の子を目で追う。
ミニスカとか
綺麗なお姉さんとか
大好物。
「あんた…また見てたでしょ?」
「見てねーって!!」
こんなくだらない内容でしょっちゅう喧嘩。
まぁあたしが一方的に不機嫌になってるだけだけど…
:06/05/31 22:47 :V703SH :SVEbQfnA
#221 [ゆり]
あたしと隼人の過去は違い過ぎて
たまに泣けるくらい辛くなる。
過去なのに。
気にしても意味ないって分かってるのに。
あたしこんなヤキモチ妬いた事ないのに。
「ごめんね、あたしが心狭いんだわ」
いつもこんな風に自分に言い聞かせてた。
:06/05/31 22:51 :V703SH :SVEbQfnA
#222 [ゆり]
そんなある日
生理が遅れてる事に気が付いた。
あたしは毎月ちゃんと決まった週に来るから
急に不安になった。
心辺りは一度だけあったから…
:06/05/31 22:54 :V703SH :SVEbQfnA
#223 [ひLI]
LIやあ
ッッ
(゚
゚
)
マヂ、ドキX02するッて
でもゆりチャンみたLIな
高橋サンの時みたLIな
相手を想う恋愛、
隼人クンのよお-な
愛し愛される恋愛…。
してみたLI
相手を想う気持ちッてのをゆりチャンの
小説読ンで
改めて気付かされた
ありがと(ー∀ー)
:06/05/31 23:37 :N901iC :epfGqGAg
#224 [あやぽん]
:06/06/01 01:28 :SH700i :Yk04/EkE
#225 [ゆり]
ひいサン☆あやぽんサン☆いつもありがとォ(*≧m≦*)読んでくれてほんと嬉しいわァ〜ッ☆
:06/06/01 06:20 :V703SH :c.8GcieI
#226 [ゆり]
あたしは隼人に遅れてる事を言う前に
いろいろ考えた。
もし出来てたら…
うちはお母さんが出てっちゃって、お父さんも仕事で居ないって家だったけど
学費は払ってもらってた。
だから学校はちゃんと卒業しなきゃいけないって気持ちが
常にあった。
:06/06/01 06:24 :V703SH :c.8GcieI
#227 [ゆり]
こんなちゃらんぽらんな外見だけど
成績も良かった。
だからかえって
妊娠して全てを失う事が怖い
と感じてしまった。
予定日から一週間過ぎた頃
あたしは誰にも話せないまま学校を早退した。
:06/06/01 06:28 :V703SH :c.8GcieI
#228 [ゆり]
学校でもいつも一緒にいる隼人が
あたしが早退した事を気付かない訳ない。
学校から出て
とぼとぼ歩いていると携帯が振動した。
着信
隼人
一瞬ためらった。
すぐに言い訳を考えて
電話に出た。
「もしもし?」
「あ、ゆり?帰ったの?どうした?」
:06/06/01 06:33 :V703SH :c.8GcieI
#229 [ゆり]
「あ〜ちょっと体調悪くなっちゃってさァ」
演技混じった嘘をついた。
「まじで?大丈夫?」
「だいじょぶだよ〜帰って寝るわ」
「うん…気をつけて帰れよ」
そう言われて電話を切った。
電車とバスを乗り継いで家に帰った。
その間もずっと
妊娠の事を考えていた。
:06/06/01 06:40 :V703SH :c.8GcieI
#230 [ゆり]
おろす事になるのかな…
産んだとしても
赤ちゃんが幸せになれないとか
言うつもりは全くない。
隼人と二人なら
幸せなんて簡単に見せてあげられるって
思うから。
だけど
じゃあ隼人は?
幸せ感じられる?
:06/06/01 06:44 :V703SH :c.8GcieI
#231 [ゆり]
あたしは泣いてた。
なんで涙が出るって
自分が情けなくて
ズルくて
無力だから。
誰かの為って言いながら
結局自分の為。
やる事やって
責任取れないなんて
ありえないよ。
:06/06/01 06:47 :V703SH :c.8GcieI
#232 [ゆり]
携帯が鳴った。
隼人だ。
涙を拭いて
咳ばらいで声を整えた。
「もしもし」
「家着いた?大丈夫?」
「うん着いたよ〜大丈夫だからそんな心配しんで(笑」
「だって心配だもん…」
「女の子みたいに言うなよ笑
ありがと!まじ大丈夫だから。もうすぐ講義始まるでしょ?」
あたしは時計をチラ見して言った。
:06/06/01 06:53 :V703SH :c.8GcieI
#233 [ゆり]
てっきりそれで終わると思った。
でも隼人は続けた。
「…お前生理きた?」
正直めちゃくちゃびっくりした。
「なんで…?」
「だって今月腹痛いとか言わねーじゃん」
あたしは生理痛がキツイから毎月痛い痛い悶えてた。
その度隼人は腰さすってくれたり
バック持ってくれたりしてた。
:06/06/01 06:58 :V703SH :c.8GcieI
#234 [ゆり]
「きてねーんだろ?」
隼人は少し怒った声になった。
あたしはまた泣いていた。
「ゆり?」
涙で言葉が出ない。
だって
どうしたらいいのか分からない。
「お前泣いてんの?なんで俺に言わねーんだよ!」
珍しく隼人が声を荒げた。
:06/06/01 07:02 :V703SH :c.8GcieI
#235 [ゆり]
「…ごめん…」
やっと出た言葉がこれだった。
あたしは電話を切った。
ベッドに潜り込んで泣いた。
なんでもっと上手に
生きられないんだろ。
:06/06/01 07:05 :V703SH :c.8GcieI
#236 [ゆり]
1時間半くらい経った頃
また携帯が鳴った。
隼人からのメールで
「出てきて」って内容だった。
あたしはどこに?と思いながら
階段を下りて外に出た。
汗だくの隼人がいた。
:06/06/01 07:08 :V703SH :c.8GcieI
#237 [ゆり]
泣き過ぎで頭がぼーっとしてる。
「隼人…もう秋だよ?」
あたしは真顔で言った。
「うるせーよ!笑
チャリで来たんだから仕方ねーだろ」
息が上がってた。
「学校からチャリで来たの?」
「うん、全力疾走で笑」
隼人は笑顔で顔を流れる汗を拭いた。
:06/06/01 07:12 :V703SH :c.8GcieI
#238 [ゆり]
「…なんでぇ?」
あたしはアホな子みたいに
首を傾げて聞いた。
全然頭が働かない。
「ゆりに会いたかったから」
隼人はまた笑顔でそう言い
あたしの手を握った。
「検査するやつ…検査薬っつーの? 買ってきたから。
出来るか?」
:06/06/01 07:16 :V703SH :c.8GcieI
#239 [ゆり]
検査薬…
その言葉でようやく頭が働き出した。
「恐い…」
あたしは俯いた。
握られる手に力が入る。
「やらないままでも不安なだけだろ?
俺待ってるから」
しばらく俯いて
あたしは頷いた。
「わかった…」
:06/06/01 07:19 :V703SH :c.8GcieI
#240 [ゆり]
自転車にかけてあった袋を外し
あたしに渡す。
中にはポカリとプリンとポッキーも入ってた。
「ちゃんと出来たらポッキー食わせてやるよ」
笑って隼人が言った。
「それ新商品の苺のやつ?絶対食べたい」
「じゃあ頑張れ!俺ここにいるからな」
優しく笑ってくれた隼人に後押しされて
あたしは家に入った。
:06/06/01 07:25 :V703SH :c.8GcieI
#241 [ゆり]
トイレに入って
箱を開けて
説明書を簡単に読んで
検査した。
何を祈る訳でもなく、
時間が過ぎるのを待った。
結果は
陰性。
妊娠してなかった。
:06/06/01 07:27 :V703SH :c.8GcieI
#242 [ゆり]
あたしは無言のまま
検査薬を袋に入れて
ごみ箱の奥の方につっこんで
家を出た。
外には落ち着かない様子で煙草を吸う隼人がいた。
あたしに気付き煙草を消す。
「ゆり!どうだった?ちゃんと出来たか?」
「…出来た。だからポッキー」
あたしは右手を出した。
その手を強く握って
「後だよバカ!結果は!?」
と言った。
:06/06/01 07:35 :V703SH :c.8GcieI
#243 [ゆり]
「妊娠してませんでした…
お騒がせしてごめんなさい」
あたしは頭を下げた。
隼人は気が抜けた顔を見せた。
「まじで?」
その後に両手であたしの手を握って
大きな溜め息を吐いて言った。
「ゆり…ごめんな…」
:06/06/01 07:39 :V703SH :c.8GcieI
#244 [ゆり]
「…なんで?」
「不安だったよな、もっと早く気付いてやれなくて
ほんとごめん」
「…隼人って優しいね」
あたしはしみじみ感じた。
2時間くらいかかる距離をチャリで走ってきてくれた。
検査薬買うのも
恥ずかしかっただろうな。
あたしが好きなチョコレートもちゃんと買ってきてくれて
本当に嬉しかった。
:06/06/01 07:45 :V703SH :c.8GcieI
#245 [ゆり]
「ゆり、体調大丈夫?」
「うん大丈夫!ありがとッ」
隼人は右手で自転車を引き
左手であたしの手を握って歩き出した。
「公園でポッキー食おうぜ」
「食おう食おうッ♪」
あたしが笑ってるのを見て
隼人も笑ってくれた。
:06/06/01 07:51 :V703SH :c.8GcieI
#246 [ゆり]
公園に着いて
ベンチの近くにチャリを止める。
「こっち綺麗だよ」
そう言って綺麗な方のベンチに座らせてくれる。
自然に出る優しさが
ほんと凄いなっていつも思う。
こんな優しさに慣れてしまわないように
「ありがとう」は忘れない。
:06/06/01 07:52 :V703SH :c.8GcieI
#247 [ゆり]
座ると隼人はポカリをがぶ飲み。
「飲んでれば良かったのに(笑」
「お前が辛い思いしてる時に
のんきにポカリなんて飲めないっしょ」
「いやいや子供産んでた訳じゃないんだから…笑」
隼人は少し視線を落とした。
:06/06/01 07:56 :V703SH :c.8GcieI
#248 [ゆり]
「俺さ〜ずっと考えてたんだけど
子供出来てたら学校辞めて働くつもりだったよ」
真剣な横顔が
すごく嬉しかった。
「ありがと…」
「俺まじでお前と結婚するって誓ったし!」
「…誰にだよ笑」
「自分に誓ったの!」
一生懸命な隼人が愛しくて
本当に優しい気持ちに包まれた。
少し冷えた秋の風が
とても温かく感じたんだ。
:06/06/01 08:02 :V703SH :c.8GcieI
#249 [ひLI]
隼人クン優しスギ
ゆりチャンもちゃンと
考えてて偉LI
なンか見てて
ドキX02
したり
1囚でニヤX02したり
自分怖LIンです`(・З・)笑
:06/06/01 13:05 :N901iC :feSxTEu.
#250 [ケン]
:06/06/01 13:19 :N900i :HDd5zafM
#251 [ひLI]
ケンサン
やばイよねッッ
(゚
゚
)
更新されるの
すごLI楽しみなンだあ
ゆりチャン
がむばれ
+゚
:06/06/01 14:07 :N901iC :feSxTEu.
#252 [ゆり]
ひいチャン☆ケンサン☆
感想ありがとォ〜(*´∪`*)
ニヤAしちャうッ?(*≧□≦*)すいませんッ!!
:06/06/02 13:47 :V703SH :Zfxg/uXs
#253 [ゆり]
周りから見たら
幸せな二人に見えるはず。
でもあたしは
隼人の過去が乗り越えられずにいた。
あたしは
こんな茶髪に巻き髪で
軽そうに見られるだろうけど
頭は堅い。
今までコンパもした事ないし
ナンパについてった事もない
簡単に言えば
そんな真面目な道を歩いてきた自分が少し嫌だった。
:06/06/02 13:48 :V703SH :Zfxg/uXs
#254 [ゆり]
こんなあたしだから
隼人は好きになってくれたのかもしれないけど
隼人はコンパもして
ナンパもして
紹介とかもしてて
自分でも子供だなって思うけど
そんな過去の距離が
どうしようもなく嫌だった。
:06/06/02 13:50 :V703SH :Zfxg/uXs
#255 [ゆり]
「ゆり、寒くない?」
季節は冬。
あたしは相変わらず薄着。
「お前何枚着とんの?」
「2枚」
「ありえん!!もっと着ろって!風邪引くぞ!」
「大丈夫。皮下脂肪があたしを守ってるから」
「すぐあー言やこー言うなお前は(笑」
いつものやりとりが
幸せなのに
こんな寒い日は余計切なくなるんだ。
隼人は過去に何人とこうやって冬を越えてきたんだろう。
:06/06/02 13:52 :V703SH :Zfxg/uXs
#256 [ゆり]
あたしは昔から臆病だから
失った時に大袈裟に傷付いたりしないように
少し距離を空けて付き合ってきた。
だけど毎日一緒にいる隼人とは
上手に距離間が保てなくて
隼人ばっかりになる自分が
少し恐い。
こんな気持ちきっと
隼人には分からないかもしれないけど。
綺麗事で馴れ合う様な関係なんて
あたしは求めてないのに。
:06/06/02 13:56 :V703SH :Zfxg/uXs
#257 [ゆり]
雪が溶けて
桜が咲いて
春が来た。
あたし達が出会った季節。
毎日一緒にいるから
まだ1年なんて
なんか信じられないよね。
:06/06/02 13:59 :V703SH :Zfxg/uXs
#258 [ゆり]
そんな中
新入生歓迎会があった。
全部が崩れてしまった日。
今もまだ
辛い。
:06/06/02 14:01 :V703SH :Zfxg/uXs
#259 [ゆり]
その日
あたしはいつも通りで
髪を巻いて
香水をつけて
時計をはめて家を出た。
バスと地下鉄を乗り継いで学校へ向かった。
いつもは少し遅れてくるくせに
珍しくホームで隼人が待ってた。
:06/06/02 17:32 :V703SH :Zfxg/uXs
#260 [ゆり]
「おはよ〜♪」
「おはよ♪
朝からずいぶんご機嫌ですね☆」
あたしはこの瞬間から嫌な予感はあったんだ。
やたら髪はバッチリセットされてるし
香水はクロームだし。
お兄臭ムンムン。
(こりゃなんかやらかすな)
そう思いながら二人で学校に行った。
:06/06/02 17:35 :V703SH :Zfxg/uXs
#261 [ゆり]
午後の講義も終えて
夕方の6時から
新歓開始。
あたしは友達に「また後でね〜」と言って
隼人と会場まで向かった。
入口では4年の先輩が費用を集めてた。
「1年以外は3500円ね〜」
(高ッ!!食べ放題行けるじゃん)
そう思いながら財布から4000円を出した。
:06/06/02 17:43 :V703SH :Zfxg/uXs
#262 [ゆり]
「あッCHANELの財布かわい〜♪ ハイッお釣り500円ね〜♪」
その時なぁんか嫌な気分になった。
後で聞いたんだけど
この先輩、隼人がお気に入りだったんだって。
あたし宣戦布告されてたっぽい。
:06/06/02 17:53 :V703SH :Zfxg/uXs
#263 [ゆり]
なんも気付かないあたしは
愛想笑いで交わして
店に入った。
店は座敷で、10人ずつくらい仕切られてる所だった。
「ゆりちゃ〜ん!!こっちこっち☆」
遠くから友達が呼ぶ。
あたしは隼人に
「ごめん、ちょっと行くね!」
そう言って友達の所に座った。
:06/06/02 17:57 :V703SH :Zfxg/uXs
#264 [ゆり]
いつも隼人と一緒にいるから
友達と飲むのも久しぶり。
「今日は隼人クンじゃなくて、うちらと飲んでよね〜!」
「わぁかってるよ(笑」
あたしは友達に両端を固められて
軽い監禁状態だった。
:06/06/02 18:02 :V703SH :Zfxg/uXs
#265 [ゆり]
横には友達、
前にはカッコイイって騒がれてた
一年男子が数人がいた。
「先輩ってあのギャル男っぽい先輩と長いんすか〜?」
「ん〜もうすぐ1年だよ〜」
「長いっすねー!いいな〜」
「てか付き合ってんの知ってるんだ?笑」
「だって先輩達目立ちますもん(笑」
:06/06/02 18:06 :V703SH :Zfxg/uXs
#266 [ゆり]
そんな会話をしながら、
あたしはカクテルを飲んでた。
隼人はどこかな?
とか気にしながら。
「先輩〜」
いつの間にか隣には
一年ナンバーワンボーイが。
爽やか系。
色が黒い隼人に見慣れてたから
なんか新鮮だった。
「なに?」
:06/06/02 18:18 :V703SH :Zfxg/uXs
#267 [ゆり]
「メアドとか聞いたらヤバイっすか?」
「ん〜ヤバイっすね(笑」
「えー!!彼氏厳しいんですか?」
「厳しいってか、泣いちゃう(笑」
あたしはただ単純に
隼人が嫌がるだろう事はしたくなかった。
爽やかな顔して以外にしつこかったから
「ちょっとトイレ〜」
そう言って席を立った。
:06/06/02 18:23 :V703SH :Zfxg/uXs
#268 [ゆり]
あたしは素足でペタペタ歩いてトイレに向かった。
そこで見たのが
隼人と4年の先輩だった。
(うわッ)
あたしは見ちゃいけないものを見てしまった、
そんな感じでまだ多少余裕はあった。
:06/06/02 18:27 :V703SH :Zfxg/uXs
#269 [ゆり]
「隼人くん〜ケー番教えてよ〜♪」
「やー…」
「就活とかの相談乗るしさ♪いーぢゃん♪」
「ん〜じゃあコレ」
そう言って隼人は携帯を開き
先輩に渡した。
あたしのさっきまでの余裕は
木っ端みじんになった。
前に進めばいいのか
戻ればいいのか
分からない。
:06/06/02 18:33 :V703SH :Zfxg/uXs
#270 [ゆり]
結局あたしは
静かに回れ右をして
席に戻った。
「先輩おかえり〜♪」
「ゆりチャンおかえり〜♪」
爽やかボーイと友達がお出迎え。
「ただいま〜混んでて入れなかったぁ」
やばい、泣きそう。
そう思いながら
笑った。
:06/06/02 18:37 :V703SH :Zfxg/uXs
#271 [ゆり]
「まぢかぁー!また後で行っといで♪」
周りは楽しい雰囲気。
こんなとこで泣けないし、帰ったりして雰囲気壊せない。
話して
笑って
はしゃいでいても
頭ん中は
さっきの光景ばかり。
普段のあたしなら
飛び蹴りでもアッパーでもかましてやるのに
実際
ただ頭が真っ白になるだけ。
平気なフリでいっぱいいっぱいだった。
:06/06/02 18:41 :V703SH :Zfxg/uXs
#272 [ゆり]
次の瞬間
追い打ちをかける様に
ベロベロに酔った隼人が来た。
「みんな飲んでるー!?」
ビール瓶を両手に持って、
ありえんくらいのハイテンション。
周りは盛り上がってたけど
あたしはそんな隼人見たくなかった。
「ゆりちゃん!ちょー来て〜♪」
そう言うと同時に
隼人はあたしの腕を掴んで違う席に連れていった。
:06/06/02 18:44 :V703SH :Zfxg/uXs
#273 [ゆり]
その席には
一年の女の子ばっかり。
あたしは強引に隼人に肩を抱かれた。
「俺の彼女のゆりちゃんでーすッッ♪」
「いえーぃッッ♪」
「綺麗〜♪お似合い〜♪」
女の子達はきゃぁきゃぁ盛り上がる。
無理矢理席に座らされ
皆に見られて
あたしは人形か。
屈辱感でいっぱいだった。
:06/06/02 18:49 :V703SH :Zfxg/uXs
#274 [ゆり]
雰囲気だけは壊さないように
笑顔で席を立って
戻ろうとした。
裏で隼人に手を掴まれた。
「どうした?」
「何が?」
「なんか機嫌悪い?」
「別に」
実際隼人はそこまで酔ってなかった。
だからかえってムカついた。
酔ったフリしてあれだよ。
:06/06/02 18:52 :V703SH :Zfxg/uXs
#275 [ゆり]
「離して?
あたし向こうで飲むから」
「…わかった」
手の力が緩んだ瞬間
あたしは隼人から離れた。
トイレに入り
少し泣いた。
なんかよくわかんないけど
涙が出た。
:06/06/02 18:54 :V703SH :Zfxg/uXs
#276 [ゆり]
上を向いて
中指で涙を拭いて
鏡でチェックして
あたしは席に戻った。
友達は完全に潰れてて
隣に岩田くんがきた。
岩田くんは隼人の友達で、クラスメイト。
「ゆりちゃん、あいつちょっとヤバくない?」
あたしはカシスソーダを一口飲んだ。
「なんで〜?」
「やり過ぎっつーか、さっき一年の子の腰に手回してたし」
「…」
:06/06/02 19:01 :V703SH :Zfxg/uXs
#277 [ゆり]
「先輩とケー番も交換してたよ?」
「…ふ〜ん…やるね〜アイツも(笑」
何かごまかす様に
あたしは近くのグラスのお酒を飲み込んだ。
「苦いッ」
「あ〜それ俺のっすよ〜」
「あ、爽やかボーイの?いいじゃんいいじゃん!追加頼もうッ」
あたしはよくわかんないまま
夢中で違う事を考えようとしてた。
岩田くんは心配そうに
あたしを見ててくれた。
:06/06/02 19:06 :V703SH :Zfxg/uXs
#278 [ゆり]
それからあたしは
隼人の行く先も
行動も
聞こえてくる騒ぎ声も
全部見ないフリした。
午後9時。
「そろそろお開きだよ〜!!皆気をつけて帰ってね〜♪」
4年の先輩の声が響き渡る。
あたしは靴箱の鍵を手に取って
席を立った。
:06/06/02 19:10 :V703SH :Zfxg/uXs
#279 [ゆり]
「先輩!彼氏さんに飽きたら連絡下さい♪」
爽やかボーイはそう言って
アドを書いた紙をあたしに押し付け帰っていった。
「ゆ〜りチャン♪」
ご機嫌なテンションで肩を組んできた隼人。
あたしは
「酒臭い」
と一言言って手を払いのけた。
その時見たのが隼人と一年生の子のアイコンタクト。
:06/06/02 19:16 :V703SH :Zfxg/uXs
#280 [ゆり]
「彼女怒っちゃったんですかぁ?」
「なんかそうみたい」
そんなやりとりが
目だけで行われてた。
そして違う一年生の女の子軍団が
「先輩かっこい〜♪」
とかはしゃぎながら帰ってく。
それに「お疲れね〜♪」とか笑顔で手を振る隼人。
こんな気持ち
なんて言えばいいの?
:06/06/02 19:23 :V703SH :Zfxg/uXs
#281 [ゆり]
あたしは友達に笑顔でバイバイを言って
足早に店を出た。
早く誰もいない所に行きたかった。
歩きながら
涙は出てた。
(あたし涙腺緩過ぎ)
涙を拭いて
スピードを上げた。
交差点を渡ってる途中で
手を掴まれた。
:06/06/02 19:32 :V703SH :Zfxg/uXs
#282 [なみ☆]
頑張って
:06/06/02 21:21 :N900iS :piV1i12I
#283 [ひLI]
:06/06/02 22:39 :N901iC :edp75stM
#284 [ゆり]
なみチャン☆ひいチャン☆いつも応援してくれてほんとありがとッ(´∀`*)♪ちょっと更新するからよかったら読んで下さい☆
:06/06/03 10:48 :V703SH :ip8fjOhw
#285 [ゆり]
「離して」
あたしは冷たい声でそう言った。
それでも隼人は手首を強く握り
離さなかった。
あたしはもう
言葉で言えない感情に支配されてて
涙を堪える事だけに必死だった。
「何怒ってんの?」
息が整わないまま隼人が言う。
「…もういいから、離して」
:06/06/03 10:50 :V703SH :ip8fjOhw
#286 [ゆり]
不快。
この無神経な言葉も
強く握られる手の感触も
1年の女の子達も
メアド交換してた先輩も
今向けられてる視線も
街のネオンも
車のクラクションの音も
排気ガスの匂いも
全部が不快。
:06/06/03 10:55 :V703SH :ip8fjOhw
#287 [ゆり]
崩れちゃったね
二人に1番必要だった
二人を繋いでた
信頼が。
「話し聞けって…」
そう言って隼人はあたしを裏道に連れて行った。
不快な音や匂いが消えた。
だけど手の感触だけが残ってる。
「あたしは話す事なんてないよ」
:06/06/03 10:57 :V703SH :ip8fjOhw
#288 [ゆり]
その言葉に
最初隼人は逆切れした。
何もしてない、だとか
楽しめって言ったのはお前だろ、とか。
あたしは黙って聞いた。
聞くだけ情けなくなった。
何も言わないあたしに
今度は謝りだした。
調子乗りすぎた、だとか
皆を盛り上げたかったんだ、とか。
:06/06/03 10:59 :V703SH :ip8fjOhw
#289 [ゆり]
あたしは黙って聞いてたけど、
もう馬鹿馬鹿しくって、
薬指の証を外した。
生まれて初めてのペアリングだった。
別れの言葉と一緒に
隼人に投げた。
:06/06/03 11:01 :V703SH :ip8fjOhw
#290 [ゆり]
悲しい?
虚しい?
ううん、何より悔しい。
あたしにだって女としてのプライドがあるから。
隼人はコンクリートに落ちた指輪を無視して
背を向けたあたしの手を取った。
離して、と言う言葉も無視して
無理矢理キスをした。
:06/06/03 11:13 :V703SH :ip8fjOhw
#291 [ゆり]
唇を重ねて
全部なかった事にできたなら
どれだけ楽だろう。
あたしは涙が堪えられなかった。
もうどうしようもない
あたしだってなんとか出来るなら
なんとかしたい。
でももう戻れないよ。
:06/06/03 11:16 :V703SH :ip8fjOhw
#292 [ゆり]
子供みたいに泣くあたしを
隼人が無理矢理引っ張って
連れて入ったのはホテルだった。
適当に部屋番号を押して
エレベーターに乗った。
手は強く握られたままで、
目は合わさない。
隼人がこんなに強引になったのは初めてだ。
あたしはもう抵抗する気もなくなって、
黙って部屋に入った。
:06/06/03 11:19 :V703SH :ip8fjOhw
#293 [ゆり]
部屋に入ると
隼人は重い溜め息を吐いて
ベットに腰を下ろした。
「本当…ごめん」
その謝罪の言葉が
現実を連れて来て
あたしは唇を噛んだ。
ただ涙を堪えた。
:06/06/03 11:21 :V703SH :ip8fjOhw
#294 [ゆり]
こんな事くらいで泣きたくない
うるさく言いたくない
傷付いたなんて思いたくない。
これ以上涙を流さない事が
あたしのくだらないプライドを守る
精一杯だった。
さっきまでとは別人の様に
頭を抱えてうなだれる隼人がいた。
隼人は自分の隣を手で叩き、
来いと催促した。
:06/06/03 11:22 :V703SH :ip8fjOhw
#295 [ゆり]
あたしは黙って彼の隣に座った。
どうせ強引に抱かれるんだろう
と思いながら。
すると手を握られた。
強かったけど、
とても優しく感じた。
「許してもらうつもりはないけど…
また信じさせるから」
下を向いたまま、
隼人はそう言った。
:06/06/03 11:26 :V703SH :ip8fjOhw
#296 [ゆり]
また信じさせる?
たった3時間で
一年間積み上げたものを
簡単に壊したくせに。
チャラ男だった隼人を
あたしは信じてなかった。
どうせ浮気するんだろうって諦めてた。
やっぱり裏切られた時に
傷付くのが恐かったから。
だけど隼人は本当に変わって、
毎日あたしを想ってくれてた。
だからいつの間にか信じていたんだ。
:06/06/03 11:28 :V703SH :ip8fjOhw
#297 [ゆり]
別に内緒で会った訳でも
キスした訳でも
体の関係があった訳でもない。
こんなの世間じゃ
浮気なんて言わないのかもしれない。
こんな些細な事で…って
周りだって思うだろうし
自分だって情けないよ。
だけどそれだけ信じてた。
信じてたから。
:06/06/03 11:30 :V703SH :ip8fjOhw
#298 [ゆり]
あたしは隼人にキスをして
舌を絡ませながら上にまたがった。
「…早くやれば?
どうせ最後にもう一回やってから別れたいんでしょ?」
あたしは冷めた声で言った。
こんな最後に
感動的な馴れ合いなんて必要ない。
:06/06/03 11:33 :V703SH :ip8fjOhw
#299 [ゆり]
男はそんなもん…
あたしはそれだけの女。
そうやって割り切っていた方が楽。
心まで求めるから、
こんな風に傷付く。
あたしはもうこんな生き方しか出来ないし、
きっとこんな愛し方しか出来ないんだ。
ごめんね。
いつからこんなに弱くなったんだろう。
:06/06/03 11:35 :V703SH :ip8fjOhw
#300 [ゆり]
「…待って…話し」
隼人の声が少し震えた。
胸が痛んだ。
だけどもう無理じゃん。
戻れないじゃん。
あたしは苛立ちとか
切なさとか
ぐちゃぐちゃな感情で
隼人にキスをした。
隼人は何かをぶつけるように
あたしを抱いた。
:06/06/03 11:37 :V703SH :ip8fjOhw
#301 [ゆり]
あたしの大好きな手で
どうして他の子に触れたの?
あたしの大好きな声で
どうして他の人の名前を呼ぶの?
あんな隼人の姿
見たくなかった。
「…じゃああたし帰るね」
「ゆり」
服を着てベットを下りようとするあたしを
呼び止める隼人の声。
何か伝えなきゃいけない、
そんな気持ちが伝わってきた。
:06/06/03 11:40 :V703SH :ip8fjOhw
#302 [ゆり]
「俺別れたくない」
「…」
あたしは立ち上がって
バックを手に取った。
もう涙が溢れていた。
隼人に背を向けて言った。
「…好きになってくれてありがと」
ドアノブに手をかけた。
「待って…俺はまだ愛してる」
:06/06/03 11:43 :V703SH :ip8fjOhw
#303 [ゆり]
やっぱり隼人の声は少し震えていた。
愛してる?
そうだね、きっと
あたしから隼人への気持ち。
こんな理解出来ないくらいの想いを
愛って言うんだろうね。
「あたしも…」
少し笑って言った。
これだけしか言えなくて、
あたしはホテルを出た。
:06/06/03 11:44 :V703SH :ip8fjOhw
#304 [ゆり]
許せなくてごめんね。
たいした女じゃないのに
プライドばっかり高くてごめんね。
上手に愛せなくて、
ごめんね。
ホテルから出た道端で
思いっきり泣いた。
息が出来ないくらい、
声を上げて泣いた。
あたしの指に、
もう二人の証は
光っていなかったから。
:06/06/03 15:33 :V703SH :ip8fjOhw
#305 [我輩は匿名である]
:06/06/03 16:56 :N901iS :ukRFxzBU
#306 [我輩は匿名である]
:06/06/03 16:57 :N901iS :ukRFxzBU
#307 [ひLI]
ゆりチャンの気持ちわかる
愛してるッて感情やッたら、些細な事でも自分壊れてしまうモン…
どおでもよかッたら氣になンてしなLIし(・ε・`)
頑張れ…
:06/06/03 18:14 :N901iC :IVv8d/LA
#308 [あやぽん]
:06/06/03 18:53 :SH700i :kqHl5OAQ
#309 [ゆり]
匿名サン☆ひいチャン☆あやぽんチァン☆
読んでくれてありがとぉデスッ(*´`*)続き書きますネ☆
:06/06/03 19:50 :V703SH :ip8fjOhw
#310 [ゆり]
次の日−
重い瞼を開ける。
ベッドから手を伸ばし
バックの中から鏡を取り出し顔を見る。
「うわぁ〜…ブサッ」
腫れた目が
昨日の事は夢じゃないんだって
あたしに思い知らせた。
:06/06/03 19:55 :V703SH :ip8fjOhw
#311 [ゆり]
毎日の日課だから
携帯を開く。
何件もの隼人からの着信。
友達や
岩田くんからの心配のメール。
みんながあたし達の別れを心配するくらい
誰の目から見ても
隼人はやり過ぎてたって事なんだね。
メールを読めば
有り触れた
励ましの言葉。
:06/06/03 19:58 :V703SH :ip8fjOhw
#312 [ゆり]
男なんていっぱいいるよなんて
簡単に言わないで
ゆりチャンは強いからって
お願いだから決め付けないで
雨音が
こんなあたしを責める様に
窓を叩く。
あたしは
隼人だけを求めてた訳じゃないけど
失いたくないのは
隼人だけだったんだよ。
:06/06/03 20:02 :V703SH :ip8fjOhw
#313 [ゆり]
「あーお腹すいたッ!!」
自分を立ち上がらせる様に
大きな独り言を言って
部屋を出た。
外は雨だから
昼間なのに暗い。
相変わらず誰もいない家。
世界に一人になった。
本当
そんな感じ。
:06/06/03 20:09 :V703SH :ip8fjOhw
#314 [ゆり]
「なんもないなぁ…」
冷蔵庫を開けて
呟いて
閉める。
足元に飼ってるにゃんこが
喉を鳴らしながら
擦り寄ってくる。
「お前のご飯はあるからね」
あたしはキャットフードとミルクをお皿に入れた。
:06/06/03 20:13 :V703SH :ip8fjOhw
#315 [ゆり]
しゃがんで
撫でながら
美味しそうに食べる姿をただ眺めてた。
「あたしもさぁ…お前みたいに可愛かったらよかったのにな」
ちょっと笑って
あたしは言った。
昔
高1の時に付き合ってた人に
言われた事があった。
[ゆりって捨て猫みたいだな]
って。
:06/06/03 20:18 :V703SH :ip8fjOhw
#316 [ゆり]
拾って拾ってって
鳴いてばっかいるくせに
いざ抱き上げようとすると
噛み付く
って。
妙に納得したんだ。
甘えるのが
苦手だったから。
「あたしあの頃から
なーんも変わってないね」
あたしはそう言って
リビングを出た。
:06/06/03 20:22 :V703SH :ip8fjOhw
#317 [ゆり]
髪にワックスをつけて
寝癖アレンジして
軽くファンデつけて
でかサングラスつけて
コンビニに向かった。
雨は本降り。
なんか
空が代わりに泣いてくれてるみたいだった。
ご飯買って
家に帰った。
使い慣れた鍵を出して
ドアを開ける。
いつからだろう
「ただいま」って
言わなくなったのは。
:06/06/03 20:30 :V703SH :ip8fjOhw
#318 [ゆり]
あたしはこんな性格だから
不幸自慢みたいなのが嫌いで
自分はこんなに辛いんだよって
言うのが嫌で
平気な顔をする事が
強さだと思ってた。
だけど隼人を見てて思った。
自分の弱さを認めて
全部さらけ出せる
それ以上の強さって
きっとない。
:06/06/03 20:36 :V703SH :ip8fjOhw
#319 [ゆり]
それからのあたしは
隼人にだけ
弱音が吐ける様になった。
過去にあった辛い事も
本当は家に一人で
寂しい事も。
そしたら隼人は
毎日あたしが帰る時間に
「おかえり」のメールをくれた。
毎日。
それだけであたし
めちゃくちゃ救われたんだ。
:06/06/03 20:41 :V703SH :ip8fjOhw
#320 [ゆり]
春も夏も秋も冬も
一緒に過ごした。
隼人との時間は大き過ぎて
埋め方がわかんない。
こんな雨の日も
二人で一つの傘に入って
結局隼人はいっぱい濡れちゃってたよね。
「だから一人づつ傘さそーって言ったじゃーん」
って言うと
「ラブラブっぽいからいーじゃん!」
って隼人は笑った。
本当笑えるくらい
毎日優しかったね。
:06/06/03 20:48 :V703SH :ip8fjOhw
#321 [ゆり]
テレビを付ける気にもならなくて
無音の部屋で
ぼーっとしながら
おにぎりを食べた。
無意識に携帯を気にする自分がいる。
カチカチ…
画面に
隼人の名前を出して
少し眺めて
携帯を閉じた。
:06/06/03 20:53 :V703SH :ip8fjOhw
#322 [ゆり]
ピリリリリ♪
あたしは携帯に飛び付く。
受信メールは迷惑メール。
「はぁ…」
溜め息。
それからもずっと携帯をいじってた。
自分から離したくせに、
来てくれるのを待ってる。
今度こそ出よう。
そう思ってると
夜遅く携帯が鳴った。
:06/06/03 20:55 :V703SH :ip8fjOhw
#323 [ゆり]
着信
隼人
緊張して電話に出る。
「もしもし」
「あ、もしもし」
「何か用ですか?」
「あ、やー何してた?」
「別になんにも…」
「…そっか、えっと明日会えない?」
心臓がドキッとした。
:06/06/03 21:48 :V703SH :ip8fjOhw
#324 [ゆり]
「いいよ、何時にどこ行けばいい?」
平常心を装って
答える。
「じゃあ…昼にいつものとこで。大丈夫?」
「分かった、じゃあね」
ずっと待ってたくせに
素っ気なく終わらせてしまう。
素直じゃないというか可愛くない。
でもこれだけは素直に認めるよ、
あたしはまだ
隼人が好き。
:06/06/03 21:52 :V703SH :ip8fjOhw
#325 [ゆり]
次の日
曇り空の中
いつもの駅に降りた。
春なのに肌寒くて、
あたしは手に持ったバックを肩にかけ直し
ジャケットの前で腕を組んだ。
ホームの階段を上ると
見慣れた後ろ姿があった。
:06/06/03 21:54 :V703SH :ip8fjOhw
#326 [ゆり]
「おまたせ」
後ろから声をかけると
隼人が焦った様に振り返る。
「あ、うん、いきなりごめんね」
「いいよ」
いつも通り歩き出す。
気まずい空気なのに
何故かすごく安心したのを今でも覚えてる。
:06/06/03 21:58 :V703SH :ip8fjOhw
#327 [ゆり]
近くのファミレスに入り
禁煙席に座った。
「吸わないの?」
「煙草吸いながらする話しじゃねーし…」
その言葉で
あたしの心臓はまた早くなった。
メニューを開き
「アイスティー」
と言うと
すかさず隼人が
「ケーキは?」
と聞く。
いつもの会話。
それがなんか嬉しかった。
:06/06/04 09:20 :V703SH :Ecxpdyi.
#328 [ゆり]
「今日はいいや」
「珍しいじゃん」
隼人が少し笑った。
少しホッとした。
アイスティーとコーラがくると沈黙。
あたしは口を開いたけど
正直何言ったか覚えてない。
頭テンパってた。
隼人は
「…謝って済む事じゃないって分かってるけど
ごめん。
あの時、俺にお前引き止める権利なんてなかった。本当ごめんな」
そう言いながら
辛そうな顔をしてた。
:06/06/04 09:23 :V703SH :Ecxpdyi.
#329 [ゆり]
「ごめんはもういいよ…」
謝られるのはあんま好きじゃない
言われる度に自分が可哀相になってくるから。
「…でも俺、本気で好きだよ。お前の事」
「…」
「だから別れたくない」
「…」
あたしは下を向いてた。
正直どうしたらいいのか分からない。
好きだけど…
信じたいけど…
でも…恐い。
:06/06/04 09:26 :V703SH :Ecxpdyi.
#330 [ゆり]
「…これ…」
そういって隼人が
何かをあたしの前に置いた。
視線を上げると
あたしが投げ捨てた
指輪があった。
「…え」
静かに手に取る。
中に記念日が彫られてるシルバーリング。
確かにあたしのだ。
「お前の指輪そんな小さいんだな」
隼人が寂しそうに笑った。
:06/06/04 09:30 :V703SH :Ecxpdyi.
#331 [ゆり]
そして迷いない
いつもの瞳で言ってくれた。
「信じれなくても…俺は好きだから
それだけは分かって。」
その時の隼人の顔を見て
声を聞いて
あたしはもう一度
この人を信じようと決めた。
:06/06/04 09:32 :V703SH :Ecxpdyi.
#332 [ゆり]
理屈じゃない
ただあたしには
隼人が必要なんだ。
信じなきゃいけないって
気持ちじゃなくて
あたし自身が信じたいって
確かに思ったから。
:06/06/04 09:35 :V703SH :Ecxpdyi.
#333 [ゆり]
「つけて」
あたしは手を差し出して言った。
「え?」
「ゆーびーわ!
買った日も隼人がつけてくれたじゃん」
「えっあぁハイ」
隼人は焦って掌から指輪を取り、
震えた指先で薬指に指輪をはめる。
:06/06/04 09:37 :V703SH :Ecxpdyi.
#334 [ゆり]
「何震えてんの?(笑)」
「あ、すいません!」
「敬語だし(笑)」
「うんごめん…ゆり…本当ごめん」
指輪の光ったあたしの手を
両手で包んだ。
温もりは本物だ。
「次はないからね」
泣きそうなのを悟られない様に
強気で言った。
:06/06/04 09:39 :V703SH :Ecxpdyi.
#335 [ゆり]
「次やらかしたら
毛全剃りにするから」
「えッ下も?!」
「当たり前だし。
むしろ下を重点的にツルッツルにするから」
アイスティー飲みながら
真顔で言うあたしに
本気で恐怖感じた顔してた。
それ見て笑った。
「大変な彼女持ったね(笑」
「いえ、最高の彼女です…」
今度は二人で笑った。
また二人で笑い合えた。
:06/06/04 09:45 :V703SH :Ecxpdyi.
#336 [ゆり]
もう自分ばかり守る恋愛はやめるよ。
あたしも本気で
泣いてすがりつける様な
そんな恋がしたいから。
ファミレスを出て
手を繋いだ。
変わらない
あたしの
大好きな手。
二人少し恥ずかしくて
また笑い合ったよね。
愛してくれて
ありがとう。
:06/06/04 09:49 :V703SH :Ecxpdyi.
#337 [ゆり]
そして数日後
学校が始まった。
二人で登校すると
友達も一年も
驚いた顔してた。
「別れないっつーの」
隼人は小声でそう言って
あたしの肩を抱いて校舎に入った。
一年の女の子を見ると
まだ胸が痛んだ。
:06/06/04 09:53 :V703SH :Ecxpdyi.
#338 [ゆり]
その日から
1、2年合同の
男女別れた授業が中心になる。
クラス表を見て
「キッツ〜…」
あたしと隼人は苦笑い。
お昼一緒に食べる約束をして別れた。
教室に入ると
ありえない光景。
1年生の子が
いじめられてた。
漫画の世界みたいに
消しカス投げられたり。
:06/06/04 09:59 :V703SH :Ecxpdyi.
#339 [ゆり]
あたしは指定された1番後ろの席についた。
2年に知り合いの友達はいなかった。
皆静かで読書してるタイプ。
ハッキリ言って
浮いてるのが自分でも分かった。
「まぁいっか」
あたしは椅子にもたれて
とりあえず髪に逆毛立てて
髪だけでもテンション上げさせた。
:06/06/04 10:04 :V703SH :Ecxpdyi.
#340 [ゆり]
いじめられてるのは
本当普通の子。
ハデな訳でも
地味な訳でもない。
いじめてる子達は
新歓では関わりなかった
これまた普通の子達。
リーダーだけはギャルだった。
面倒臭そうなクラスだな…
そう思ったと同時に
先生が入ってきた。
:06/06/04 10:08 :V703SH :Ecxpdyi.
#341 [ゆり]
「オラッ!てめぇら席着け!!」
うわァ〜…
ゴリラ先生だよ。
あたしはまた面倒臭そうなキャラの登場で
溜め息が出た。
「今日から授業始めるから気合い入れろよ!!」
声でかいよ〜
頭ガンガンするよ〜
:06/06/04 10:12 :V703SH :Ecxpdyi.
#342 [ゆり]
みんな大人しい。
あたしの前の前の席にいじめられてる子が座ってた。
黒髪に消しカスいっぱいつけて
下を向いてた。
(可哀相だな…)
そう思っても
あたしは所詮
大衆の中の一人。
知り合いじゃない子を助けて
面倒な事になるのが嫌。
冷めてた。
:06/06/04 10:16 :V703SH :Ecxpdyi.
#343 [ゆり]
授業は無事に終了して
先生が出てった瞬間、
1番前の席のリーダーギャルが立ち上り後ろに歩いてくる。
「あーうぜー!まじうぜーし!」
そしていじめられ子チャンの机をガンッと蹴った。
「お前もうぜぇんだよ!消えろよ!!」
あたしは
怖ぇ〜ッと思いながらバックを持って教室を出た。
:06/06/04 10:21 :V703SH :Ecxpdyi.
#344 [ゆり]
食堂で隼人や友達と合流。
見慣れた顔に安心する。
なんかクラス変えでビビッてた高校の時みたいだ。
隼人と席について
あたしはAランチを食べながら話始めた。
「うちのクラスいじめあんの」
「は?まじで?」
「すごいよ!本当ドラマの中みたい」
「ゆりが一発言えば終わるんじゃね?笑」
:06/06/04 10:25 :V703SH :Ecxpdyi.
#345 [ゆり]
「なにそれ、どーゆー意味?」
「お前が1番怖いって意味(笑」
「あ?」
「ほら怖い(笑」
「そんな事ないし。
ねぇ隼人〜♪ゆりグリンピース嫌いなの〜食べて♪」
「出た。」
「ね?可愛いやら?」
「可愛いっす!」
こんな会話してたらいじめの話もどっかいっちゃってた。
:06/06/04 10:30 :V703SH :Ecxpdyi.
#346 [ゆり]
チャイムが鳴り教室に戻る。
相変わらずいじめられ子チャンの周りはぐちゃぐちゃ。
あたしが席に着くと同時にゴリラ登場。
やっぱりうるさい。
お腹いっぱいでいい気分が台なしだよ。
:06/06/04 10:34 :V703SH :Ecxpdyi.
#347 [ゆり]
しかも
いじめは見てみぬフリ。
これもよくあるパターンだ。
あたしは苛々を押さえながら
うるさい授業を真面目に受けて
その日を終えた。
それから数日もずっと
いじめは続くし
ゴリラはうるさかった。
あたしの苛々も限界。
:06/06/04 10:37 :V703SH :Ecxpdyi.
#348 [ゆり]
いつの間にか貧乏ゆすりとかしちゃってる。
やばいです。
でもこのクラス授業もあと3日だし、
堪えよう。
そう思ってた矢先
ゴリラがあたしを切れさせた。
あれは梅雨のじめじめした日で
余計苛々してたってのもあった。
:06/06/04 10:40 :V703SH :Ecxpdyi.
#349 [ゆり]
「この問題解いてみろ!!」
今日はやたら機嫌が悪いらしく
ゴリラは遠吠えのごとく吠えていた。
あたしの列の1番前
ギャル子ちゃんが当てられる。
「わかりません」
そう言うと
高速で教科書を丸めて
机をバーンッッ!!!!
「んなもんもわからんのか!!」
でた。こうゆうの嫌い。
その後ろも順に当てられ叩かれてく。
苛々ピーク。
:06/06/04 10:45 :V703SH :Ecxpdyi.
#350 [かな]
:06/06/04 10:53 :P901iS :AtWozpH2
#351 [ゆり]
かなチャン☆
感想嬉しぃですッありがとォ(´∀`*)
○二番目の四季○ってコトで、
二番目の女として越えた四季と
二番目に本気で好きになった隼人と越える四季、って意味を込めて書いてます。
もうちょっと続きますがよかったらまた読んでみて下さいo(^-^)o
:06/06/04 11:05 :V703SH :Ecxpdyi.
#352 [あやぽん]
:06/06/04 11:11 :SH700i :BJgc3oN2
#353 [ケン]
:06/06/04 11:58 :N900i :VWgddD0c
#354 [ゆり]
あやぽんチャン☆
いつもありがとぉッ(●^ε^●)♪
ケンサン☆
信じたいって心から思えるヒトに出会ッて欲しいです♪感想ありがとうッ(ё^▽^ё)
:06/06/04 13:52 :V703SH :Ecxpdyi.
#355 [ゆり]
ゴリラはいじめられ子チャンの横に立った。
「お前ら好い加減にしろよ…
お前はわかるだろーな?」
と言った。
彼女は怯えている様で
何も答えない。
こりゃーヤバイよ。
周りを見れば
か弱い女の子達が下を向いて
青ざめてる。
:06/06/04 13:58 :V703SH :Ecxpdyi.
#356 [ゆり]
ゴリラが静かにボロボロになってる教科書を丸める。
本当に獣の目付きだった。
あたしは席を立った。
一斉注目!!
今思うとかなり恥ずかしかったな…
でもその時は苛々して仕方なかった。
:06/06/04 14:02 :V703SH :Ecxpdyi.
#357 [ゆり]
あたしはゴリラの前に立って言った。
身長は負けてた。
「先生〜あんた好い加減にしやーよ」
普段は出ないけど
あたしはキレると名古屋弁が出る。
ゴリラは一瞬躊躇った顔をして
すぐ絡んできた。
「なんだと?
お前そんなチャラチャラした頭で学校に何しに来とるんだ?!」
:06/06/04 14:07 :V703SH :Ecxpdyi.
#358 [ゆり]
「先生は何しに来てるんですか?」
ゴリラの目付きはますます鋭くなった。
「何言っとるんだ?勉強を」
「教えてないよね」
「わかりませんって言ったらバシーンッ!!ガミガミ〜!!
そんなんで教えとるって言える?」
「…うるさい席に着け!!」
「図星なんやら?
でら適当だが(笑」
あたしは馬鹿にするように笑った。
:06/06/04 14:14 :V703SH :Ecxpdyi.
#359 [ゆり]
「じゃあお前、前の問題やってみろ」
ゴリラの顔
怒りで真っ赤。
なんでこの人教師になれたんだろって思った。
じゃあの意味がわからん…
そう思いながら黒板の前に行き
問題を解いた。
すごいねあたし。
この問題、本当にたまったま出来たの。
:06/06/04 14:19 :V703SH :Ecxpdyi.
#360 [ゆり]
「先生〜できました」
チョークを置いて振り返る。
「…正解だ」
よっしゃー勝ったッ!!
そんなん思いながら席に戻った。
「おい、お前名前は?」
きた。
「2年の高原ゆりです
単位落としたきゃ好きにしてください」
喧嘩売ったのあたしだもんな〜
自業自得だ。
:06/06/04 14:27 :V703SH :Ecxpdyi.
#361 [ゆり]
でもそれから
ゴリラは全くあたしに絡んでこなかった。
しかもバシーンッ!!も吠える事もなくなって
普通にいい先生になってた。
後で聞いたんだけど
前の学校で生徒にいじめられてたらしい。
だからナメられない様にあんな風になっちゃったんだって。
まぁよかったね。
:06/06/04 14:31 :V703SH :Ecxpdyi.
#362 [我輩は匿名である]
:06/06/04 14:31 :P902i :7s6mL/Xk
#363 [ゆり]
そして次の日
先生は大人しくなったけど
いじめっ子チャン達がまだうるさい。
朝から「うぜー」だの
「消えろ」だの「ブス」だの
本当に18歳かッて思うくらい
低レベルないじめです。
でも言われてる方は
きっとすごい痛い。
辛さって自分のものさしで測れるものじゃないから。
:06/06/04 15:00 :V703SH :Ecxpdyi.
#364 [ゆり]
外は相変わらず
じめじめと小雨。
あたしは机にひじ付いて
下向いて携帯いじってた。
その時。
バシャッ
あらららら
水ですね。
あたしにまでかかっちゃってますね。
「あ、すいませんッッ」
:06/06/04 15:05 :V703SH :Ecxpdyi.
#365 [ゆり]
きょどりながら
謝ってきたのは
いじめっコのリーダー。
あたしが無言でいると
いじめられっ子チャンの方を向いて叫んだ。
「オラッあんたが水かけて欲しいっつったんだろーが!
てめぇも謝れよ!」
いやいやいや。
そりゃないよリーダー。
:06/06/04 15:15 :V703SH :Ecxpdyi.
#366 [ゆり]
「すいません…」
ご丁寧に謝りに来る。
髪から水滴垂れてるし
(あたしもだけど)
さすがに可哀相。
あたしは言った。
「ギャル子ちゃん、ストレス溜まってるならあたしが話聞くよ?」
「えッ?」
「だからまぁ簡単に言うと、やめなね
こーゆうの」
リーダ-は下を向いて黙った。
:06/06/04 15:22 :V703SH :Ecxpdyi.
#367 [ゆり]
すると隣にいた茶髪ショートの子が言った。
「まゆみの彼氏…この子に取られたんですよ
だから…」
男関係かぁ。
ますますドラマの世界みたい。
「ふーん…それは辛かったね…」
正直どーーでもよかった。
この騒がしい面倒臭い状況から早く抜け出したかった。
気付いたけど
もうあさっててこのクラス終わりなんだ。
:06/06/04 20:49 :V703SH :Ecxpdyi.
#368 [ゆり]
「ギャル…まゆみちゃん!
まだ好きなら、ライバル落とすんじゃなくて
自分が上行きたまえ」
あたしは何故か殿口調で言った。
キーンコーン…
チャイムが鳴り普通に授業が始まり
その日はそのまま終えた。
帰りはいつも駅まで隼人と帰る。
:06/06/04 20:54 :V703SH :Ecxpdyi.
#369 [ゆり]
「ゆーりちゃん♪」
「おせーよ」
「ごめんごめん!」
まるで男と女が逆の会話。
でもこれがあたし達。
「あ〜ゆりはいい匂いだな〜
まじ臭いもん男だけのクラスとか。高校思い出すし」
「あー臭そうだね(笑」
二人で校舎を出る。
隼人と手を繋げる瞬間が
1番好き。
:06/06/04 21:01 :V703SH :Ecxpdyi.
#370 [ゆり]
「雨やんだね〜」
「そーだな〜
もうすぐ梅雨明けるんじゃねぇ?」
「だといいなぁ」
「あーてかコンビニ寄っていい?」
「うんッ」
セブンに入って二人で立ち読みをしてた。
するといじめられ子ちゃんが店の前を歩いて行った。
そえばいつも長袖だな〜こんな暑いのに。
そう思い
少し気になったけど
紫外線対策か、と思いすぐに雑誌を読み始めた。
:06/06/04 21:11 :V703SH :Ecxpdyi.
#371 [ゆり]
ジュースを取った隼人が声をかける。
「ゆり〜チョコは?」
「えッ待って!!」
「好きなの持ってこや〜」
「今日はグミな気分!
これ〜♪」
普段と変わらない
当たり前みたいな幸せ。
やっぱり素直になってよかった。
別れなくてよかった。
あたしは強く
そう思った。
:06/06/04 21:17 :V703SH :Ecxpdyi.
#372 [ゆり]
次の日
いつもの場所で隼人と別れ
あたしは教室への階段を登っていた。
(今日も暑いな〜)
カツカツカツ
あたしのヒールの音に混じって
スニーカーの音がした。
「あの…」
か弱い声に振り返ると
3段下に
いじめられ子ちゃんがいた。
:06/06/04 21:27 :V703SH :Ecxpdyi.
#373 [ゆり]
「あ、おはよ〜☆」
一瞬戸惑ったけど笑顔で言った。
「おはようございます…
あの、昨日はありがとうございました」
頭を下げられる。
「えッ全然いいよ、あたし余計な事しちゃったりした?」
その言葉に焦って顔を上げる。
「そんな事ないですっ」
「ならよかった!
一緒に教室行こか」
:06/06/04 21:32 :V703SH :Ecxpdyi.
#374 [ゆり]
少し笑顔を見せてくれて
隣にきて一緒に歩き出した。
身長は155aくらいで
少しぽっちゃりしてて
セミロングの黒くて綺麗な髪。
いつも男視点なあたしは
まさに萌え〜タイプの子だな、
と思った。
「えーと、下の名前なんてゆーの?
ごめんね、あたしほとんどの子知らなくて(笑」
「下は淳子です」
「淳ちゃんかぁ☆可愛いね♪」
恥ずかしそうに笑った。
萌え〜だねこりゃ。
:06/06/04 21:42 :V703SH :Ecxpdyi.
#375 [ゆり]
「高原先輩はなんで私の事助けてくれたんですか…?」
(や、助けるつもりではなかったよ。)
「ん〜…あーゆうの好きじゃないから…かなぁ」
曖昧に答える。
「いいなぁ…強くて」
彼女が呟いたと同時に教室に着いた。
もう彼女の席は綺麗だった。
「よかったね」
あたしが笑うと彼女も安心した様に笑った。
:06/06/04 21:47 :V703SH :Ecxpdyi.
#376 [ゆり]
席に着くとギャル子ちゃんグループが集まってくる。
「先輩、昨日はすいませんでした」
「あ〜いいよ〜
どーせ湿気で髪ペタんこだったし(笑」
今日は晴れてるから気分がいい。
自然にニコニコしてる自分。
「先輩って髪どーやってるんですかぁ?
まゆもそんな風にしたいです〜」
:06/06/04 21:53 :V703SH :Ecxpdyi.
#377 [ゆり]
「あーあたしはコテとカーラーを…」
いつの間にか巻き髪レッスンが開かれてた。
みんなとも仲良くなれて
満足にこのクラスでの授業を終わろうとしてた。
でも
帰りに教室を出ようとすると
呼び止められた。
:06/06/04 21:59 :V703SH :Ecxpdyi.
#378 [ゆり]
「淳ちゃん…どーしたの?」
「あの…ちょっと時間ありますか?」
「んん〜…」
隼人と帰る約束をしてる。
「今日はちょっと…」
断ろうとした瞬間、一気に罪悪感に襲われた。
「あッやっぱ大丈夫!ちょっと待ってね」
ピリリリッ
「はーい」
「あ、隼人?ごめんけど今日友達と用あるで
先帰ってて〜」
:06/06/04 22:06 :V703SH :Ecxpdyi.
#379 [我輩は匿名である]
:06/06/04 23:58 :N900iS :jupj/QHQ
#380 [ゆり]
「え〜!!…分かったよ〜」
「まじごめんね」
「帰ったらちゃんと連絡しろよ!」
「分かったぁ〜隼人も気をつけて帰ってね☆」
ピッ
携帯を閉じる。
「すいません…約束あったのに…」
淳ちゃんが俯く。
「全然大丈夫だよ☆
どこで話す?」
校舎を出るのも暑いので空いてる教室に入った。
:06/06/05 22:56 :V703SH :tPdHa1I.
#381 [ゆり]
いきなり二人きりで話すなんて
数日前から想像出来ない。
本当
些細なことで
人との繋がりって出来るものだ。
淳ちゃんは窓際の席に座った。
あたしはその隣の椅子に横向きに座った。
「先輩って…人生嫌になる事ってないですか?」
いきなりの質問に驚いた。
でも真剣な横顔だったから
真剣な質問なんだ
と思った。
:06/06/05 23:01 :V703SH :tPdHa1I.
#382 [ゆり]
「嫌になる事かぁ…
そりゃあるよ」
あたしはかなりの幸せ者だけど
全て嫌になる事もある。
家事も
恋愛も
学校も
将来も
全部捨ててしまいたくなる事もある。
でも全て捨てて自由になっても
あたしはきっとまた
その捨てたものを探し始めるんだろうって
思う。
:06/06/05 23:07 :V703SH :tPdHa1I.
#383 [ゆり]
淳ちゃんは下を向いたまま何も言わない。
あたしは聞いた。
「淳ちゃんは…人生が嫌になったの?」
「はい…」
右手で長袖の上から
左手首を強く握った。
瞬間になんとなく分かった。
この子リストカットをしてるんだ
って。
:06/06/05 23:11 :V703SH :tPdHa1I.
#384 [ゆり]
あたしにも経験がある。
お母さんが家を出てく前に
激しい夫婦喧嘩が
毎日毎日毎日繰り返されてた。
お皿は何枚も割れて
叫び声が響き渡ってた。
あたしは誰も憎めない
やり場のない気持ちを傷として残した。
死にたかった訳じゃないから
肩の辺りを切って
血を見て
落ち着いたりしてたんだ。
この事は誰も知らない。
:06/06/05 23:16 :V703SH :tPdHa1I.
#385 [ゆり]
どう聞いたらいいのか分からなかった。
でも何か訴えてるのは感じた。
「…痛い?」
普通に聞いてしまった。
淳ちゃんの横顔を見てたら
気付いてあげなきゃいけないって
気持ちになったから。
「…」
黙ったまま
小さく首を横に振った。
:06/06/05 23:20 :V703SH :tPdHa1I.
#386 [ゆり]
「リスカすると落ち着くんです…
だから痛みなんてない…」
蚊の鳴く様な声で呟く。
「そっか…」
「…気持ち悪いとか…思わないですか?」
「え〜?思いませんよ(笑
ほら」
あたしはTシャツの袖を捲くった。
深くはないけど
今も残ってる消えない傷痕。
淳ちゃんの目が一気に開いた。
:06/06/05 23:35 :V703SH :tPdHa1I.
#387 [ゆり]
傷を舐め合って
癒し合えるなんて思わないけど
少しでも
何か変われるなら
あたしはあっさり簡単に
初めて傷痕を人に見せた。
「もう切ってないんですか?」
「切ってないよ」
「どうやってやめられたんですか?私も強くなりたい」
強さかぁ。
そんなものあたしにはないな。
:06/06/06 07:23 :V703SH :Ks2JUYQU
#388 [ゆり]
ねぇ隼人
隼人はいつも
あたしが欲しがる言葉を
くれた訳じゃないけど
あたしが離れていかないようにと
いつも懸命に伝えてくれたね
その揺るがない想いを
時に疑い
時に信じた
あたしが持っていない強さを
隼人は持っていたよね
:06/06/06 07:30 :V703SH :Ks2JUYQU
#389 [ゆり]
傷付いても
好きだと言ってくれたよね
あんた懲りないねって
笑ってやったけど
その強さに
数え切れない程
救われてた。
あたしにもそんな強さがあったなら
過去を責めて
何度も隼人を苦しめなかったよね。
:06/06/06 07:32 :V703SH :Ks2JUYQU
#390 [ゆり]
「先輩?」
「…あ、ごめん!
あたしは原因が分かってたから…
問題が解決したら自然にやめられたよ」
「そうですか…」
寂しそうに俯く。
その時教室のドアが勢いよく開いた。
「お前らもう学校閉めるから帰れよ〜」
「あッはーい!」
二人で焦りながら教室を出る。
:06/06/06 07:43 :V703SH :Ks2JUYQU
#391 [あやぽん]
:06/06/06 09:19 :SH700i :aIOGq3rw
#392 [ひLI]
フムX02(・ε・`)゙
:06/06/06 15:45 :N901iC :XRCh60kQ
#393 [ゆり]
あやぽんチャン☆ひいチャン☆
いつもありがとう(;ω;)
:06/06/06 20:35 :V703SH :Ks2JUYQU
#394 [ゆり]
校舎から出ると
外はもう暗くなっていた。
「先輩って地下鉄ですか?」
「あ、うん…淳ちゃんは?」
「私あっちのマンションなんです」
「近いね〜!じゃぁ逆だぁ…残念。
ひとりで大丈夫?」
「私は全然大丈夫です!今日はいきなりすみませんでした。
よかったらまた一緒にお話してください」
淳ちゃんが可愛く笑った。
:06/06/06 20:40 :V703SH :Ks2JUYQU
#395 [ゆり]
「うん☆またゆっくり話そぉね!
じゃあほんと気をつけてね」
「ありがとうございます☆じゃあ」
小さく手を振って
歩いて行った。
少し見送って
あたしも歩き出した。
久しぶりにリスカの事思い出したなぁ…
自分は独りなんだって
訴えるみたいな痛み。
:06/06/06 20:45 :V703SH :Ks2JUYQU
#396 [ゆり]
ブーブー…
携帯が振動。
隼人から電話だ。
「はいもしもーし」
「ゆり?無事か〜?」
「無事よ〜今駅向かってる〜」
「お前まじ気をつけろよ」
「はいはーい(笑
心配ありがと☆」
電話の後ろからお母さんが
ご飯だよって呼んでるのが聞こえた。
:06/06/06 20:57 :V703SH :Ks2JUYQU
#397 [ゆり]
「ほらママが呼んでるよ☆ご飯食べてこい♪」
「あぁ〜うん…お前大丈夫か?着いたら絶対連絡しろよ!」
「わぁかったって(笑
じゃーね☆」
「はーいじゃあな〜」
携帯を閉じる
同時に溜め息。
隼人の家族は本当に仲が良い。
暖かくて
愛情に満ちてるのが
話を聞いてるだけのあたしにも分かる。
「いいなぁ…」
何度言っただろう。
:06/06/06 21:02 :V703SH :Ks2JUYQU
#398 [ゆり]
あたしは親に遊んでもらった記憶も
家族で食卓を囲んだ記憶もない。
でも親を恨んだ事はない。
お母さんもお父さんも好きだから。
ただ寂しいのは消えなくて
もうハタチになるのに
まだ夢見てる。
家族みんな仲良く
一緒にご飯が食べたい。
どんな感じなんだろう。
きっとすごく楽しくて
笑顔で
温かいんだろうな。
:06/06/06 21:08 :V703SH :Ks2JUYQU
#399 [あやぽん]
:06/06/07 02:33 :SH700i :2yUQ4X92
#400 [ぴょ]
ゅりさんはじめまして
三時ぐらぃから一気に読み出したらまぢハマりました
けーたぃで小説ょんだのはぢめてなんですけろ、ゅりさんまぢ凄ぃですね
ぁたし、今の彼氏とかぶってるとこ超ぁって
まぢ感激ですねっ
ぅちも今見てたでしょってなります
てか毎日です
だって妬ぃちゃぅんですもん
見て何がゃなの
トカゅってくるんですけどね、そーぢゃぁねーょ
みたぃな
これからも頑張ってくださぃ
〃読み続けますから
と同時に横で寝てる彼氏にこの小説読ませます
笑
:06/06/07 05:39 :N901iC :rey/ILzM
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