俺がホストじゃなかったら
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#85 [ゆう]
「それからだいぶ経って、ユウってホストを好きになったって報告された。あんたに高いボトル入れだした頃からヘルスで働きだしてた。あたしも最初は知らなかったんだけど‥掲示板見ててもさ、あんたはイロマクホストとかみんな言ってたしいいイメージなんてなかった」
俺は迷っていた
「それが俺の仕事だから関係ない」って最低な人間として終わらすか
「俺も後悔してる、直接謝りたい」と弁解するか
:07/07/06 02:01 :D902iS :☆☆☆
#86 [ゆう]
「とにかくあたしが許せないのは、エリコをソープで働かせたことと、そういう仕事してるからって汚く思ったのか知らないけど、知った途端もう店に来るななんてひどくない?エリコ傷ついたよ。今も」
「違う」
俺はおもわずハッキリとそう言ってしまった
「俺は確かにエリコさんをソープで働かせてしまいました。でもエリコさんがソープで働いてるって聞いた時も、汚いだなんて思わなかった」
「じゃあなんなの?」
「ただ‥俺のせいでソープで働いてるって知った以上、もう金は出させたくなかった。だから、店の外で会おうって。店には来ないでって」
「そう言ったの?」
「言ったけど‥どうとらえたかは分からない。ただ、軽蔑したからとかそんな理由じゃない」
「でもエリコさんには言わないでください」
俺はそう続けた
「なんで?」
女は顔をしかめた
:07/07/06 02:15 :D902iS :☆☆☆
#87 [ゆう]
「生半可に謝ったり優しくしたりしてまた店に来たら嫌なんで」
俺が、迷って出した答えはこれだった
本当は会って謝りたい
けどまた店に来るようになったらどうする?
俺のこと最低なホストだと思って、嫌いになって店に来なくなったんなら、それでいい
今のままがいい
そう思った
女も納得した
:07/07/06 08:14 :D902iS :☆☆☆
#88 [ゆう]
「あんたのこと最低でカスなホストだと思ってたけど‥そこまで最低ってわけじゃないみたいね」
別れ際女はそう言って、タクシーに乗り込んだ
もう夜は明けようとしていた
俺は店まで歩くことにした
:07/07/06 09:15 :D902iS :☆☆☆
#89 [ゆう]
「何しょんぼりしてんの、色恋枕営業ホストくん」
振り返ると、仕事帰りのレナが立っていた
「俺はそんな営業しませーん」
「よく言うわ笑」
「レナこんなとこで何してんの」
「歩きたい気分だったから送りパスしちゃったー」
レナは明るく笑った
「レナの家ここから歩きなんかめっちゃ遠いじゃん!笑」
やっぱバカな女だな
何かあったんだろうな、と俺は思った
「俺の部屋帰っとけば?」
俺はそれだけ言うとキーケースごとレナに手渡して店に戻った
レナも、俺の住む寮に向かって歩きだしていた
:07/07/06 11:42 :D902iS :☆☆☆
#90 [ゆう]
その日俺が部屋に戻ったのは朝9時だった
レナは俺のベッドで眠っていた
「うわぁ‥寝床とられた」
俺は仕方なく床で寝ることにした
それにさえ少し幸せを感じた
人を好きになるのは、ものすごく久しぶりのことだった
俺もいつの間にか眠った
:07/07/06 11:50 :D902iS :☆☆☆
#91 [ゆう]
俺は2時間後に目が覚めた
まだ正午にもなってなかった
レナは相変わらずスースー言って寝てる
俺はコンビニに行って、弁当と洗顔と化粧落としと歯ブラシと‥とりあえずレナがいりそうなやつを買って帰った
「おかえりぃ」
レナは起きてた
「おはよ、弁当食える?何か色々買って来たけど」
「ありがとー!さすがホスト、気が利くなぁ」
それからレナは
「生活してける材料があるから」
と、しばらく俺の部屋に居座ることになった
俺とレナの同棲?が始まった
:07/07/06 16:17 :D902iS :☆☆☆
#92 [ゆう]
するとレナは突然こうきりだした
:07/07/06 16:21 :N902i :☆☆☆
#93 [ゆう]
「私やっぱりできない!」
:07/07/06 16:22 :N902i :☆☆☆
#94 [ゆう]
「何でだよ!」
:07/07/06 16:23 :N902i :☆☆☆
#95 [ゆう]
「だってジョニーデップのモノマネなんかできる訳ないじゃない」レナはこう返した
:07/07/06 16:24 :N902i :☆☆☆
#96 [ゆう]
「いいか、付き合う前に言ったじゃないか俺はモノマネフェチだって」
:07/07/06 16:25 :N902i :☆☆☆
#97 [ゆう]
突然のレナの涙だった
その瞬間俺は呆然とした
なんて馬鹿なフェチだったのだろう
自然と涙がでてきた
「ごめんな、ごめんな・・」
:07/07/06 16:27 :N902i :☆☆☆
#98 [ゆう]
しかし次の瞬間レナは驚くべきことを口にした
「私・・・・やる!」
寝耳に水いや晴天の霹靂だった
:07/07/06 16:29 :N902i :☆☆☆
#99 [ゆう]
レナのモノマネは始まった。
数万人規模のオーディエンスが固唾を飲んで見守ったレナの第一声は・・・・
:07/07/06 16:32 :N902i :☆☆☆
#100 [ゆう]
「Hello・・・・」
つたない英語だがはっきりと彼女は口に英語を口にした
:07/07/06 16:33 :N902i :☆☆☆
#101 [ゆう]
しかし第一声を発してから約10秒間沈黙が流れた。
恐ろしく長く感じられた。しかしその後オーディエンスから物凄いブーイングを受けた
:07/07/06 16:36 :N902i :☆☆☆
#102 [ゆう]
「もうダメだ・・・・」そう思った俺はレナにリタイアのサインを送ろうとしたその時、レナは流暢な英語でこう切り返した
:07/07/06 16:38 :N902i :☆☆☆
#103 [ゆう]
「I'm sorry I have kept you waiting so long. I'm OK.Don't worry」
:07/07/06 16:40 :N902i :☆☆☆
#104 [我輩は匿名である]
N902i荒らしてんなょ
:07/07/06 17:22 :SH903i :☆☆☆
#105 [あゆ]
荒らし止めて下さい
主に失礼にも程がありますょ
:07/07/06 18:13 :SH902iS :☆☆☆
#106 [ぁぉぃ]
:07/07/06 19:49 :SH903iTV :☆☆☆
#107 [月]
荒らしウザイ‥けどウマイ‥
:07/07/06 21:44 :D703i :☆☆☆
#108 [ゆう]
:07/07/06 22:17 :D902iS :☆☆☆
#109 [ゆう]
「○○のレナちゃんと付き合ってんの?」
ふたり暮らしにも慣れて充実した日を過ごしていた時、トウヤが俺に聞いてきた
「は?なんで?」
俺はびっくりして聞き返す
「ホスラブ見てさー。なんか色々書かれてるよ」
「またそのサイトかよ」
「まぁ見てみなって」
そういうとトウヤは俺に携帯を差し出した
:07/07/07 11:20 :D902iS :☆☆☆
#110 [ゆう]
『この前ユウのマンションに○○のキャバ嬢が入ってくの見た』
『それレナだよ』
『たまに店でも見るよね』
『あの女ユウくんの何?』
『付き合ってんのかな?』
『でもレナは○○のセイヤに貢いでるよ』
『↑うわー最低!ユウくんを騙してるんだね』
『変な女にひっかかってユウくんかわいそう』
『レナきもい』
『性格悪そうだよね』
『ユウのことだから、レナに色かけてんじゃない?』
『どっちにしろレナって奴むかつく!』
『レナ消えろ』
:07/07/07 11:27 :D902iS :☆☆☆
#111 [ゆう]
俺はびっくりした
自分の客の中にこんな子がいるんだ‥
その驚きの反面、レナを悪く言われて無性に腹が立った
やっぱ俺と関わる奴みんな不幸になっちゃうな
そうも思った
:07/07/07 11:30 :D902iS :☆☆☆
#112 [ゆう]
「付き合ってないよ」
それだけ言うと俺はトウヤに携帯を返した
トウヤは
「ふーん、寝床にされてるだけか。ま、レナちゃんには気をつけな」
と言いスタッフルームに入っていった
レナの良さなんて、客やトウヤには分からない
俺だけが知ってる
そう思ったんだ
:07/07/09 15:24 :D902iS :☆☆☆
#113 [ゆう]
「寝床にしてるだけだよ」
それは真夜中だった
この日は店が休みの日だったから俺は家で寝てた
レナも出勤の日じゃなかった
俺はトウヤに言われた言葉がまた聞こえた気がして目を覚ました
声の主はレナだった
:07/07/09 15:34 :D902iS :☆☆☆
#114 [ゆう]
「あはは、うっそマジでー。ホスラブでもあたしボロカスだもんねー。ユウの家転がり込んでからまた一段と。こんな人気あったんだ、ユウって」
レナは少し声のトーンを抑えて誰かと電話していた
「まぁねー。男前だし結構優しいよー。でもやっぱいい人止まりなホストって感じー?あたしさ、足と飯はいたんだけど、家がなかったからさー。実家は嫌だったしマジ丁度良かったー」
俺は寝たふりをしていた
「あたしはセイヤ一筋なの!ユウみたいなさ、客がソープ嬢になって罪悪感感じてるようなお人好しに魅力は感じないかなーって。しかもキャラ作ってるしさー。人によって可愛い系で売ったりするけど、実際は超冷めてるよー。そういう所は腹黒くてあたし好みなのにねー。残念だよねー」
次の日俺はレナに
「寮にレナ住まわしてるのが店にバレたし俺も客を部屋に呼べないから、悪いけど実家帰って」
と言って合い鍵を返してもらった
俺の恋はここで終わった
:07/07/09 15:50 :D902iS :☆☆☆
#115 [ゆう]
俺はしばらくの間落ち込んだままだった
初めての失恋だった
ってか、物心ついた頃から今まで、誰かを好きになったことってなかった
付き合った人数は結構いたけど、ただそれだけだった
20歳にしてやっと、初恋と初失恋を経験した
今まで女を傷つけて来たそのツケがまわってきたのか?
そう思うくらい、俺のショックは大きかった
:07/07/09 16:01 :D902iS :☆☆☆
#116 [ゆう]
「ユウもレナに利用された男のひとり」
これで話しは片付いた
それからもちろん、レナと会うことはなかった
トウヤは俺を元気づけるために、俺をキャバクラに連れ回した
俺の傷は癒えぬまま、女癖がまた悪くなっていくだけだった
そんな時期にハルカに出会う
ハルカは最近よく店に来る、俺の客だった
:07/07/10 16:06 :D902iS :☆☆☆
#117 [ゆう]
ハルカは細客だったけど、無茶に飲ますようなこともしないし、ちょっとの間席を離れてヘルプに任せていても怒らない、いわゆる「休憩場所」だった
「お前の席が一番落ち着く」
そう言う度にハルカはニコニコ笑っていた
そんなに積極的じゃない、ホストと現実を割り切ってる子だと思ってた
だけどそれは突然だった
:07/07/10 16:13 :D902iS :☆☆☆
#118 [ゆう]
「付き合って?」
俺は耳を疑った
こんなことはよくあること
だけどそれを言ったのはハルカだった
「ごめんもう付き合ってると思ってた笑」
内心びっくりしながら俺はふざけて返した
ハルカからこんなこと言われるなんて思ってもみなかったから
:07/07/10 16:23 :D902iS :☆☆☆
#119 [ゆう]
本当か嘘か、色カノか本カノかも分からない所から俺たちの付き合いは始まった
だけどそれはすぐ分かることだった
付き合うことになった日のハルカの来店から一週間が経った
いつもなら2日に一回のペースで店に来ていたから、おかしいと思ってハルカに電話をかけた
:07/07/10 16:28 :D902iS :☆☆☆
#120 [ゆう]
「はい。ユウくん?」
ハルカは3コール目で出た
「ハルカ?最近会いに来てくれないじゃん。なんかあった?」
「‥だって彼女だから店に行くのはおかしいでしょ」
そう言われて俺はやっと気づいた
ハルカは本気だったんだ
俺は、軽はずみにOKしたことを後悔した
:07/07/10 16:35 :D902iS :☆☆☆
#121 [ゆう]
「その子やばいって」
そう言ったのはトウヤだった
「客とホストとして知り合った男に、真剣にそんなこと言うとか相当だね」
確かに俺もそう思った
けど今更ハルカを傷つけることは、俺が嫌だった
だけどその気持ちがハルカを傷つけた
俺はただのバカだった
:07/07/11 01:17 :D902iS :☆☆☆
#122 [ゆう]
ハルカとは店以外で会うことになった
ハルカは俺の『彼女』になった
それから毎日のように「早くホスト辞めて」「いつ辞めるの?」「あたしが本当の彼女だってみんなに言って」とか言うようになった
俺は正直それに疲れてた
けど誤魔化すだけで何も言えなかったんだ
:07/07/11 01:21 :D902iS :☆☆☆
#123 [ゆう]
ハルカの行動はだんだんエスカレートしていった
ハルカには、手首を切る癖があった
俺が仕事に行く度に
「腕を切った」
というメールや電話が来た
だから少しの間仕事を休んでみても、今度は「辞めてくれないから」という理由で手首を切った
店からは「ユウに休まれると困る」と言われ、まさに板挟みだった
俺は頭がおかしくなりそうだった
:07/07/11 02:20 :D902iS :☆☆☆
#124 [ゆう]
『ユウなんか早くホスト辞めろ』『本カノはハルカって子だよ』『ユウ辞めろ』
ホスラブの俺のスレにはこんな書き込みがあるとトウヤが教えてくれた
直感でハルカだと分かった
本気で辞めることも考えた
けど‥どうしてもハルカのためにこの仕事を辞めることは考えられなかった
俺は最低な人間
それは分かってた
:07/07/11 02:25 :D902iS :☆☆☆
#125 [ゆう]
ある日
俺はハルカを部屋に呼んだ
ハルカは嬉しそうにやって来た
そんなハルカに俺は別れを告げた
「俺にはこの仕事しかない。ハルカと出会えたのも俺がホストだから。この仕事辞めるとか今は考えられない。それをハルカが理解できないなら俺ら一緒にはいれないよ」
俺はそう言った
ハルカの表情が変わる
:07/07/11 02:28 :D902iS :☆☆☆
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