先輩と旅立ちの唄
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#191 [あかり]
それからもクラスの雰囲気にも慣れ、従順な日々を過ごしていた。

私はクラスの係決めで、前期の体育委員に立候補していた。
一年の最後のクラスマッチを、最後までやり遂げたかったとの思いで。

放課後―
全学年・全クラスの体育委員の集まりがあった。

⏰:08/10/31 07:33 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#192 [あかり]
ホームルームが早く終わったこともあって、
私は集合時間より早く教室に着いた。

一人の女の子がイスに座っていた。
上履きの色と初々しい表情からして一年生だった。

「こんにちはー。」
私は笑顔で声を掛けた。

⏰:08/10/31 07:43 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#193 [あかり]
「こんにちは!」

彼女の顔をよく見ると、くりくりとした大きな瞳、
発色のよい唇、美少女と思わせる顔立ちをしていた。

「私は一年三組の原 希緒といいます!
先輩の名前は何ですか?」

はきはきとしていて、元気な喋りで私にそう言った。

⏰:08/10/31 07:50 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#194 [あかり]
「希緒ちゃん、珍しい名前だね。

私は二年三組の木村あかりって言います。」

そこから話は広がり、学校は慣れた?とか、
担任の先生は誰?とか希緒ちゃんに聞いていたりしていた。

⏰:08/10/31 07:54 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#195 [あかり]
「あのぅっ、歓迎遠足の時に司会やった、
塩見タクロウ先輩ってチョーかっこいいですよねぇ!」

「…えっ?」
突然、彼女から先輩の名前が出て、私は驚く。

「私、塩見先輩みたいに黒ぶち眼鏡掛けてる人、
もうチョーチョー好きなんですよぉっ。」

希緒ちゃんの大きくて綺麗な瞳が、更にキラキラと輝く。

⏰:08/10/31 08:01 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#196 [あかり]
「うん、そうだね。
かっこいいねっ。」

私は合わせる感じで彼女に言った。

思えば、遠足の司会という大々的なことをしたのだから、
先輩の存在は、全校生徒に知れ渡ったということになる。

⏰:08/10/31 08:08 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#197 [あかり]
例えば、掲示板などにあるの中傷が書かれていたりすると、
違う人もその人に対して、同じように悪く思っている風にとらえてしまう。

これもまた、一つの人間心理らしい。

希緒ちゃんの話を聞いて、一年生の他にも、
あれ以来先輩に片思いをしてる子もいるだろうなと感じた。

私はそこで初めて、先輩には司会をやらないで欲しかったと、ヤキモチを妬いた。

⏰:08/10/31 08:19 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#198 [あかり]
そんなことを思っているうち、
やがて、次々と同じ体育委員であろう人たちが入って来た。

私はそのメンバーの中にいた、ある女の先輩に目をやった。

タクロウ先輩と同じクラスの、江戸川小春先輩という人である。

⏰:08/10/31 08:25 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#199 [あかり]
私は初めて見た時から、彼女の可愛らしさに同性であるものの惹かれ、
学校でその姿を見かける度、ポーッとしてしまう程見入ってしまう。

こんなに近くに小春先輩がいて、同じ空間にいるなんて、
タクロウ先輩の時とは違う、ドキドキ感が少しあった。

⏰:08/10/31 08:32 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


#200 [あかり]
「小春ちゃんの爪、かわいい〜。」
隣にいた女の先輩が言う。

そう言われた小春先輩は、両手を自分の目の前で広げ、「そうかな。」と恥ずかしげに小さな声でいった。

彼女の名前にピッタリの、ピンク色のマニキュアが、全ての爪にコーティングされていた。

私はそれを後ろの席から見ていた。

⏰:08/10/31 08:41 📱:SH705i 🆔:XycnrOFk


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