先輩と旅立ちの唄
最新 最初 全
#291 [あかり]
「あ、そろそろ行くー?」
藍美が時計を見て言った。
「あ、うん。そうしよっか。」
パンフレットを閉じる私。
先生が今日のホームルームの時間で、
「生徒会が食べ物の販売員を募集しているらしい。」
と言っていたのに対して、
私たちは興味をそそられ、それをやることにした。
二人で集合場所となっている教室まで行く。
:08/11/04 04:03 :SH705i :Of3VRH9k
#292 [あかり]
既に、教室にはたくさんの人でにぎわっていた。
販売員希望の中に、他のクラスの男子たちの顔も見える。
「きゃあっ、あかり。
あそこに克次先輩がいる!」
私にだけ聞こえるように、藍美は話した。
藍美が見つめる向に目を向けると、藍美の好きな克次先輩の姿があった。
「先輩もこのメンバーにいるんだあ!ラッキ〜!」
:08/11/04 04:09 :SH705i :Of3VRH9k
#293 [あかり]
二人で係まで登録をし、また教室へと戻った。
「一生の思い出に残る文化祭にしようね。
あかりも塩見先輩ともっとお近づきになれるといいねっ。」
「うん―。」
彼女のたくましさに、私は背中を押されたようだった。
文化祭は、先輩に絶対声を掛けるぞ―
決心した。
:08/11/04 04:14 :SH705i :Of3VRH9k
#294 [あかり]
文化祭開催が、もう明日へとなった日だった。
放課後、私は自分の席で、持っていた本を読んでいた。
周りには数人しかいなくて、とても静かであった。
「あかりっ。」
教室を入って来たやいなや、名美佳が私の方へと駆け寄ってくる。
:08/11/04 04:21 :SH705i :Of3VRH9k
#295 [あかり]
「ん?どうしたの名美佳?」
彼女の異様な表情に、私もすぐに異変を察知した。
「ちょっと廊下で話そうっ。」
周りに聞こえないようにか、彼女は話す場所を変えたがった。
私たち二人は廊下へと移動した。
:08/11/04 04:24 :SH705i :Of3VRH9k
#296 [あかり]
「あのね…。さっき女の先輩と話してた時に聞いたんだけどね…。」
「…?うん。」
「塩見…先ぱ…、かの…女が…いるんだって…。」
「え…。う、嘘…。」
名美佳からの思わぬ情報に、私は全身で震え上がった。
:08/11/04 04:28 :SH705i :Of3VRH9k
#297 [あかり]
「相手はね…、同じクラスの…江戸川…小春先輩…。」
「あ…。」
聞いたことのある名前で、それは私が同性で憧れを抱いている人だった。
体育委員の集まりの時にいた、三年生の中でも、特に可愛い容姿をしている先輩。
「そ、そうなんだ…。」
私は小さい声で、精一杯の返事をした。
:08/11/04 04:34 :SH705i :Of3VRH9k
#298 [あかり]
「ごめんね…。黙っていようかなって最初思ったけど、
やっぱり友達として、真実は伝えようって…。」
自分が悪いことでもしたように、謝る名美佳。
「ううんっ。むしろ本当のことが分かって嬉しいよ。
私がいつまでも気持ちを行動に移さないで、ただ遠くから見てるだけっていうのがいけないんだよね。
先輩に彼女が出来ても、全然おかしくないやーっ。」
彼女の優しさに、私は精一杯応えた。
:08/11/04 04:40 :SH705i :Of3VRH9k
#299 [あかり]
「江戸川小春先輩、すっごい可愛いよねー。」
帰りの船の中、翔馬に一番に話し掛けた言葉。
「陸上部のマネージャーの人だっけ。
サッカー部の練習の時、よく見るわ。
えーっ。ちょっと鼻がでかい。」
「…あんたねぇ、一体どんな人だったら可愛いって思うのよ!?」
「そりゃ俺だって、栗原沙弥さんは可愛いとは思ってるわ。」
「…。」
:08/11/04 04:49 :SH705i :Of3VRH9k
#300 [あかり]
「小春先輩とタクロウ先輩、付き合ってるんだってーっ。」
「タクロウって、お前の好きな人?あの帽子の。
それはドンマーイっ。」
「ちょっとぉ、少しは慰めてよねーっ!」
「…だからドンマイって言ってんじゃん。」
「翔馬の意地悪っ!」
:08/11/04 04:52 :SH705i :Of3VRH9k
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194