先輩と旅立ちの唄
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#301 [あかり]
「…諦めないといけないよねー。」
「もし俺が塩見さんの立場だったら、
江戸川さんからお前に乗り換えようとは思わないな(笑)。」
「もーっ!そんなことぐらい私も分かってるってばー!」
「アハハ。まあ後は別れるのを待つとか。」
「タクロウ先輩があの小春先輩に別れを告げるなんて、そんなの想像もつかないっ!」
:08/11/04 04:59 :SH705i :Of3VRH9k
#302 [あかり]
「そんなのはわかんないぜ。どちらかというと、江戸川さんの方がベタ惚れという線もある。」
「もーっ。悲しくなるからこの話はやめよう…。」
「自分から話したんじゃん。」
「とにかく!これからどうしていいか分からないよ…。
ずっと、好きだったのにさ…。」
:08/11/04 05:04 :SH705i :Of3VRH9k
#303 [あかり]
「まあ、心の中では何を思っても自由だぜ。」
かばんの中にあった紙パックのジュースに、ストローを挿そうとする翔馬。
「うん…。
私、せめて文化祭で先輩と写真撮りたいな…。」
「それくらいいいんじゃね。」
勢いよくジュースを飲む翔馬。
「ありがと。」
彼に聞こえないように、私は言った。
:08/11/04 05:09 :SH705i :Of3VRH9k
#304 [あかり]
そして、
文化祭一日目―
この日は一日中、藍美と出店の販売員を担当した。
といっても、私たちがやったことは、カレーの食券を、
希望者にひたすらお金と引き換えに配る係だった。
二人で一つの机に、仲良く座っていた。
その近辺では、主に三年生たちが、焼きそばやかき氷などをせっせと売っていた。
:08/11/04 14:51 :SH705i :Of3VRH9k
#305 [あかり]
「おーい、二人とも頑張ってるかーい。」
「あっ、いのちゃん。」
いのちゃんが、他のクラスの友達と共に、私たちの様子を見にやって来た。
「いのちゃん、写真撮ろう。あっ、皆で一緒に写真撮ろう。」
藍美にカメラを頼んで、思い出の瞬間をおさめたりしていた。
:08/11/04 14:56 :SH705i :Of3VRH9k
#306 [あかり]
顔なじみの人や、そうでない人、先生であったり、
色んな顔ぶれが、私たちの元へ食券を求めにやって来た。
そんな時間をやり過ごしている時だった。
「あ、小春先輩だ…。」
江戸川小春先輩が、女友達と出店へ買いにとやって来た。
販売員と親しげに話している所から、先程のいのちゃんたち同様、
きっと様子を見に来たのだろう。
:08/11/04 15:03 :SH705i :Of3VRH9k
#307 [あかり]
「藍美、小春先輩とタクロウ先輩、付き合ってるらしいよ…。」
昨日名美佳から告げられたばかりの事実を、私は藍美に話した。
「えっ、そうなの?
えーっ、エドコハ先輩は、もっと落ち着きのある人が好きなのかと思ってたー。」
私も、物静かな小春先輩のことだから、
てっきり大人な人じゃないと、合わないのかと思ってた。
タクロウ先輩は、大人びた見た目に似合わない、おちゃらけたやんちゃな人である。
:08/11/04 15:12 :SH705i :Of3VRH9k
#308 [あかり]
タクロウ先輩のことは、一年の希緒ちゃんや、後輩の怜香みたいに「かっこいい」と思う人もいれば、
「何あれ。」「調子乗ってる。」と、その存在をあまり良く思わない人とに、はっきりと分かれていた。
「エドコハ先輩、あの人でいいんだーっ。」
こんな台詞を吐く藍美も、どちらかというと、後者の立場であろう。
そんなやり取りをしていると、今度はタクロウ先輩が友達と出店の方にやって来た。
方向は、小春先輩のいる所。
:08/11/04 15:25 :SH705i :Of3VRH9k
#309 [あかり]
「タッちゃん。」
小春先輩が、先輩を愛称で呼んだ。
胸の奥が、ズキンと痛みだした。
少し離れた所にいた私にも、タクロウ先輩が、
明らかに"好きな人の目の前にいる"オーラになっているのが理解できた。
私はその光景を見るのをやめた。
:08/11/04 15:30 :SH705i :Of3VRH9k
#310 [あかり]
「あっ、エドコハ先輩が塩見先輩にお好み焼きを食べさせてる…。」
ずっと二人の姿を見ていた藍美が言い出した。
私は思わずもう一度目をやった。
ちょうどタクロウ先輩が、私とは背中越しになっていて何も見えない。
でも、先輩はかがんでいた。
小さな小春先輩に、合わせるようにかと。
藍美の言うとおりの映像が浮かんだ。
:08/11/04 15:39 :SH705i :Of3VRH9k
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