先輩と旅立ちの唄
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#401 [あかり]
何か話さなければ、と焦る。
でも、全く違う内容に持っていくのも、むしろもっと気まずくさせると思った。
私は、いつもうじうじして、自分からぶつかっていくのを、いつも避けて過ごしてきた。
こんな自分を、本当はずっと変えたいと思っていた。
きっかけを待っていた、どんな小さなことでもいいから―
:08/11/10 01:07 :SH705i :Fbl.ErEw
#402 [あかり]
自分の本当の気持ち―
日に日に、竜樹くんの存在が、大きくなっていってるような気がした。
それは、決して先輩への思いが、報われないからという理由ではないことを、願いたい―
フッと、今度は藍美の顔が浮かんだ。
藍美、私、新しい自分に出会いたい―
:08/11/10 01:13 :SH705i :Fbl.ErEw
#403 [あかり]
「私ね…。」
シーンとした空気の中、口を開いたのは、私からだった。
「私、竜樹くんと、もっと話したり、一緒にいたいなって思って…るんだ…。」
あっ!と思った時には、既に遅かった。
自分でも何故こんなことを口走ったのか、分からなかった。
:08/11/10 01:20 :SH705i :Fbl.ErEw
#404 [あかり]
「えっ!?」
彼が驚く。
唐突なことを言ってしまったので、引かれただろうか。
でも、後悔はしていない。
むしろ、すっきりしている。
はっきりしない自分とは、もう決別したかった。
どうにでもなっちゃえ―
半分投げやりな思いで、目をつむった。
:08/11/10 01:24 :SH705i :Fbl.ErEw
#405 [あかり]
「俺、めっちゃ嬉しいっす!
木村先輩が、俺のことそんな風に思っててくれてたなんて。」
「えっ?」
予想外の彼の言葉と嬉しそうな表情に、私はふいをつかれた。
「俺、こう見えても、女の人とはどう接していいかわかんないんすよ?
でも、そんなこと言ってたら、いつまでも木村先輩と距離縮まんないじゃんって。
最近はホント頑張ってましたよ(笑)」
:08/11/10 01:31 :SH705i :Fbl.ErEw
#406 [あかり]
竜樹くんが話すことを、隣で心臓をバクバクにしながら聞いていた。
相変わらず彼は、私をドキドキさせるのが上手い―
「俺、本当はもっと時間が経ってから言おうと思ってたんですけど…
先輩のこと、ずっといいなと思ってて…
よかったら、俺と付き合ってくれませんか?」
:08/11/10 01:44 :SH705i :Fbl.ErEw
#407 [あかり]
「あかり、さっきから顔が赤いわよ。
熱でもあるんじゃない?」
晩御飯を食べながら、私の額に、母が手を当ててきた。
「熱はないみたいね。」
家に帰ってからも、ずっと竜樹くんから言われた告白の言葉が、頭の中で反復していた。
:08/11/10 01:54 :SH705i :Fbl.ErEw
#408 [あかり]
帰りの船の中で、翔馬と怜香には、今日の出来事を話さなかった。
付き合ってください―
彼のその気持ちに、まだ返事は出していない。
どちらに転ぶにしても、中途半端な思いが、一番傷つけると思ったからだ。
したがって、翔馬たちにも、まだ報告するべきではないと考えた。
自慢めいたものにしたくないし、竜樹くんのことは大切にしたいからこそ、より。
:08/11/10 02:02 :SH705i :Fbl.ErEw
#409 [あかり]
お風呂に入っている時も、部屋にいる時も、布団の中で眠りに就こうとした時も、竜樹くんのことばかり考えていた。
私にとって、彼の存在とは…?
ただのよく話す、後輩の一人…?
ちょっと前までは、そうであったかも知れない。
でも、この頃は…
一人の、男性…―
:08/11/10 02:12 :SH705i :Fbl.ErEw
#410 [あかり]
次の日―
休み時間のことだった。
「ンフフ。
私、克次先輩と付き合うことになったから〜!」
藍美からの、突然の発表。
「えぇぇ〜!!
それははおめでとう!よかったね、藍美!」
私は感極まった声で、彼女を祝福した。
:08/11/10 06:50 :SH705i :Fbl.ErEw
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