先輩と旅立ちの唄
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#501 [あかり]
次の日の学校―

「克っちゃんにねー、修学旅行終わった後、Wデートしたいって言ったらいいよ、ってー。」
放課後、教室で課題のやり直しをしながら、藍美とお洒落をしていた。

「本当に?楽しみだなー。竜樹くんにも言っておくね。」

「そういえば土曜のデートどうだった?」

⏰:08/11/16 02:30 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#502 [あかり]
「え?ああ、いつものように楽しかったよ。」

「進展なしかー!(笑)
でも私も、意外と地味にコツコツいってるから、大丈夫よ。」

藍美は奥手な私を何かと気にかけているようだった。

彼の家に一晩泊まり、キスをし、胸を揉まれたことは、内緒にしておこうと思った。

⏰:08/11/16 02:36 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#503 [あかり]
「あかりちゃんっ。遅くなってごめんね。はい、これ。」
私たちの所に、同じクラスの下田さんという子がやって来た。

下田さんの実家はカメラ屋で、私は彼女に、文化祭の時に撮った写真の現像をお願いしていた。

「下田さんー。ありがとう。」

「ううん、全然。お金は明日でもいいから。」

⏰:08/11/16 02:40 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#504 [あかり]
私はさっそく、出来上がった写真を見ることにした。

藍美やいのちゃん、たくさんの友達と、笑顔で映ってる写真で溢れていた。

「ソーラン節、本当頑張ったよねー。」
クラス全員で、本番後に撮った写真を二人で見ながら、藍美が言った。

⏰:08/11/16 02:44 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#505 [あかり]
「あ…。」
私は一枚の写真に、目をやった。

はにかみ過ぎて顔の表情がおかしくなってる私と、
ニッコリ微笑んでるタクロウ先輩のツーショット写真。

体育祭の放課後、名美佳に協力してもらって、撮った写真だった。

「タクロウ先輩、笑ってくれてる…。」

⏰:08/11/16 02:51 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#506 [あかり]
先輩は、怠そうに映ってるだろうと想像してたから、何だか余計に嬉しかった。

「藍美、私、タクロウ先輩にも、修学旅行のお土産買いたいな。変かな…?」

「んー?もう恋愛感情ないんでしょ?」

「あ、そういう意味じゃなくて…日頃のお礼したいなって。」

⏰:08/11/16 02:57 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#507 [あかり]
「まあね。タクロウ先輩を思ってる時のあかり、輝いてたもんねっ。
あっ、今ももちろんそうだけど。
せっかくこうして出会ったんだしね〜。」

「うん!先輩に『ありがとう』って。
今年で卒業だしさ。」

⏰:08/11/16 07:36 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#508 [あかり]
そして、修学旅行が始まった―

早朝5時半に港に集合と、ハードスケジュールであった。

私は前日に、お母さんと一緒に学校の近くのホテルに宿泊していた。

そこから港まで、二人でタクシーで向かった。

⏰:08/11/16 07:41 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#509 [あかり]
既に港には、クラス分のバスが並んでいた。

私は母に別れを告げ、三組のバスに乗り込んだ。

クラスの半分くらいの人が、ぽつぽつと座っていた。

「あーかりっ。おはよっ。」
藍美に声をかけられた。
私は彼女の隣の席に座った。

私はよく寝坊をして学校を休む、翔馬のことが気になった。
まだ来ていない。
まあ、さすがの翔馬も、修学旅行には遅れず来るよね。

⏰:08/11/16 19:48 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#510 [あかり]
バスが走り出す―
先生が、出席を確認する。
クラス全員いるみたいだ。
バスの後ろからは、翔馬の笑い声が聞こえてくる。

バスは空港へと走っていった。
これから、長い旅が始まる―

⏰:08/11/16 19:56 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#511 [あかり]
ゆっくりと時間をかけて、バスは空港へと到着した。

生まれて初めての飛行機。
生まれて初めての海外旅行。

夏休みの合間に作成しておいた、パスポートに目を光らせる。

「いのちゃん〜!オーストラリア、ワクワクするねぇー。」

「おう、あかりちゃん。パスポートなくさんごとよ。おっちょこちょいなんやけん。」

「はーい(笑)。」

⏰:08/11/16 20:01 📱:SH705i 🆔:qd3N09Qw


#512 [あかり]
私たちの目的地はオーストラリアだが、
まずはシンガポールへと、飛行機は旅立っていった。

機内食は主食がタイ米で口に合わなかったりと、
次から次にフライトアテンダントさんがサービスをしてくれたりと
心も浮き立つ感じだった。

私は機内に設置してあるゲームをしたり、
パンフレットを読んだりしていた。

⏰:08/11/18 01:38 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#513 [あかり]
夕方4時過ぎ頃
飛行機は、シンガポールに到着―

初めての海外という感想は、"時差ぼけ"の意味を、理解出来たような気がした。

オーストラリア発の飛行機の出発時間まで、空港内を自由行動となった。
私はいのちゃんとお土産屋さんを回った。

⏰:08/11/18 01:46 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#514 [あかり]
そして、時間は夜へと変わり
本日二度目の飛行機―

今日の所は、機内で就寝となるようだ。

私はまたゲームをしたり、邦画を観たり、それなりに航空を楽しんでいた。

やがて、日付が変わると共に、機内の照明も全て落ちた。

辺りが一斉にしーんとなる。
私も、眠りに就こうとした。

⏰:08/11/18 03:24 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#515 [あかり]
BGMにと、ヘッドフォンでセットされてある音楽を聴く。

せっかくの機会なので、普段聴かないような系統をセレクトした。

男性シンガーのバラード曲が、私の体全体を包む。

なぜだか、涙がぽろぽろと出てしまった。

⏰:08/11/18 03:28 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#516 [あかり]
ちょっと前まで恋心を抱いていた、タクロウ先輩のことが頭に浮かぶ。

本当は、いつも心のどこかで、悲しみに暮れたいと思っていた。

その気持ちを抑えることで、自分の無力さを実感することから逃れていた。

涙が止まらない。

世の中には、報われないものもあるということを、思い知らされた恋だった。

⏰:08/11/18 03:39 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#517 [あかり]
でも今、私には竜樹くんという、大切な人がいる。

私の帰りを、待ってくれている人がいる。

『人は誰かを愛した分、誰かに愛される』
というようなことを、どこかで耳にした記憶がある。

これでいい―
これがいいんだ―

最近、この台詞を口癖のように唱えるようになった。

⏰:08/11/18 03:45 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#518 [あかり]
次の日―
飛行機は無事に、オーストラリアへと着陸した。

空港前に待機していたバスで、宿泊先のホテルに直行した。

各部屋は二人一組と決まっており、私はいのちゃんと相部屋をすることに、予め決まっていた。

⏰:08/11/18 16:07 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#519 [みい]
>>300-600

⏰:08/11/18 18:06 📱:P905i 🆔:s4DgSfkk


#520 [あかり]
みいさん

アンカー有難うございますm(__)m

⏰:08/11/18 20:42 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#521 [あかり]
宿泊先の部屋は、それぞれ広めのユニットバスがついており、清潔で快適なものであった。

私といのちゃんは、部屋にある小さい金庫に、パスポートを保管することにした。

「7070(ナオナオ)」と、いのちゃんの下の名前をあやかった暗証番号を登録した。

⏰:08/11/18 20:49 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#522 [あかり]
「いのちゃーん。テレビどこの局も英語でやってるよー!」

「当たり前やんあかりちゃん(笑)。
ここはオーストレィリアなんやから、オーストレィリア。」

「はぁ…今日夜勉強会なんて嫌やねー。
なにも海外まで来て勉強するなんてさ〜。」

「しょうがない。一応進学校っちゅう面目があるけん。
勉強したくてうずうずしとる人もおると思うよ。」

「うげぇー(笑)。」

⏰:08/11/18 21:03 📱:SH705i 🆔:0FKI4RAA


#523 [あかり]
ホテルで夕食を済ませ、
この日の夜は、二時間ほど広場で、先生から与えられた課題をやることが義務付けられていた。

出題されたものは、数学だった。

私は理系クラスに所属していながら、理系教科を何よりも不得意としていた。

数人の男子と一緒に考えるフリをしながら、彼らの答案を少々写させてもらった。

⏰:08/11/19 00:41 📱:SH705i 🆔:uh/6K/.M


#524 [あかり]
修学旅行とあってか、問題は少し易しく作られており、思っていたよりも苦痛を受けずにいられた。

勉強会の後は、班長会議というものが行われた。

私といのちゃんを含む班の班長は、成績優秀の唯ちゃんという子だった。

私といのちゃんは、その時間の合間に、代わりばんこでお風呂に入った。

⏰:08/11/19 00:49 📱:SH705i 🆔:uh/6K/.M


#525 [あかり]
班長会議が終わった後は、各班長は自分たちの班に、会議で決まったことを報告をする、というものだった。

私たちの班は、唯ちゃんたちの部屋に集まった。

明日は班毎で自由行動。
ここは日本じゃない、気を引き締めていかなきゃ―

⏰:08/11/19 00:58 📱:SH705i 🆔:uh/6K/.M


#526 [あかり]
次の日―
私たち一行を乗せたバスは、首都キャンベラへと向かった。

目的地に到着し、バスから降りた時、
他にも日本人の修学旅行生が、何校もいたことに驚いた。

キョロキョロ辺りを見渡す私。

その時、一人の男性に一目で視線がいった。
「えっ?…。」

⏰:08/11/19 01:07 📱:SH705i 🆔:uh/6K/.M


#527 [あかり]
「タ、タクロウ先輩…!?」

長身で、黒ぶち眼鏡をかけていて、黒のニット帽を被った男性がいた。

先輩の見なりにそっくりだったが、すぐに現地の人だと気がついた。

「…アハハ。こんな所にいる訳ないじゃん…。
馬鹿だなぁ、私…。」
先輩を追いかけていた時と、同じ鼓動の音がしていた。

⏰:08/11/19 01:13 📱:SH705i 🆔:uh/6K/.M


#528 [あかり]
そして、昼から夕方にかけて、各班の自由行動となった。

私たちの班は、まず集合場所の近くにある、デパートの中に入った。

2階、3階とエスカレーターで上りながら、順番に店内を見ていった。

⏰:08/11/19 19:43 📱:SH705i 🆔:uh/6K/.M


#529 [あかり]
最上階は、グッズ屋さんという感じだった。

私たちは、しばらくそこをバラバラになりながら見ていた。

私は、白いコアラの人形が陳列してあるのを発見した。

「わあ!いのちゃん見て見てー!
可愛いー!」

一目惚れした私は、それを買うことにした。

⏰:08/11/20 03:01 📱:SH705i 🆔:VJv4DOQI


#530 [あかり]
パン屋さんやスーパー、
日本の店などを回っていった。

会計する時、現地の店員さんとメモで会話したりと、
意思伝達のやり取りに、新鮮味を覚えた。

国籍が違っても、伝えたいという気持ちは双方同じであった。


「意外と通じるもんだよねー。
あ、あかりちゃん、このパン、部屋に戻ったら一緒に食べよー。」

⏰:08/11/20 03:42 📱:SH705i 🆔:VJv4DOQI


#531 [あかり]
その夜―
今日の自由行動も難無く終わり、それなりに楽しんだ。

夕飯は、ホテルのフルコースが、次々に出てきた。

お腹も十分に膨れ、いのちゃんと部屋に戻った私は、
今日買ったものをベッドの上に並べていた。

⏰:08/11/20 23:03 📱:SH705i 🆔:VJv4DOQI


#532 [あかり]
「このコアラのマウスパッドは、
パソコンをよく使うお兄ちゃんに!

あ!このコアラのぬいぐるみは竜樹くんにあげようっと!
ねぇ、いのちゃん、この子に名前つけたいと思うんだけど、何がいいかなぁ?」

「うーん、そうだなぁ…シロ、クリーム、ホワイトコアラ…。」

「…ホワちゃん!ホワちゃんにする!
ホワイトだから!」

「うん。いいんじゃない。
かわいいよ。」

⏰:08/11/20 23:07 📱:SH705i 🆔:VJv4DOQI


#533 [あかり]
修学旅行三日目―

今日は街を色々と観光した後、アトラクションのある所で、また班毎に、自由行動をするといった予定だ。

私は朝から、ひどい生理痛に見回れていた。
ずっと我慢をしていたが、あれこれ移動をしている内に、遂にそれにも限界がきた。

バスで相席をしていた藍美に、その痛みを訴えた。

「もっと早く言えば良かったのに!
私、鎮痛剤持ってるからあげる!」

「う、うん…。
ありがと…。」

⏰:08/11/22 00:10 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#534 [あかり]
私は次の美術館見学には行かず、
バスの最後列の席で寝ていた。

車内は、私と運転手さんだけ。

運転手さんは、ひたすら街を走行していた。

早く痛みが引いて欲しい―
神経をこの思い一点に集中させて、私は浅い眠りに就いた。

⏰:08/11/22 00:15 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#535 [あかり]
再び目を覚ました時―
運転手さんは、まだバスを走らせていた。

藍美に貰った薬が効いたのか、生理痛はすっかりおさまっていた。

バスは皆のいる所へ向かっていった。
次に行われるのは、写真撮影―
私は合流することにした。

⏰:08/11/22 00:20 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#536 [あかり]
「さっき行った美術館に、お笑い芸人のハンディの二人がいたよ〜!」

「えー、そうだったのぉ!?私も見たかったなぁー。」

クラスの集合写真で形をつくってる時、藍美と隣同士で、こんな話をしていた。

⏰:08/11/22 00:24 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#537 [あかり]
その後に、バスは自由行動を取るであろう場所に向かい、
まずは全校生徒で、外の景色が展望できるレストランで昼食を取った。

続いての自由行動では、私たちの班は、水族館やお土産さんを見て回った。

皆との思い出が、どんどん写真の中に収まっていく。

⏰:08/11/22 00:32 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#538 [あかり]
「見て見ていのちゃんっ。
帽子屋さんで、コアラのキャップ見つけたよ!
お母さんへのお土産!」

「キャハハハ!何コレ、可愛いやん。」

その日、ホテルに戻って―
今日買った、キャップ全体が、コアラの頭部になっているものを、いのちゃんに見せた。
耳もきちんとついてある。

「お母さんウォーキングが日課だから、これ被って歩いてほしいな。」

⏰:08/11/22 00:38 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#539 [あかり]
夜の11時半―
部屋を暗くし、二人とも就寝しようとする。

「そういえばさぁ…
私、いのちゃんの恋愛について、何も聞いたことないなぁ。」

窓側のベッドに寝ているいのちゃんに対して、こんなことを尋ねてみた。

⏰:08/11/22 00:44 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#540 [あかり]
「萩原まい先輩知ってる?」

「ん?うん。
陸上部のエースだよね?

江戸川小春先輩とたまに一緒にいるから、分かるよ。」

「あたし、あの人と同じ中学だったんだけど…
あの人、ずーっと好きな人がいたのよ。」

「そうなんだ。」

⏰:08/11/22 00:47 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#541 [あかり]
「で、そのまい先輩が片思いしてた人に、あたしが告られた訳。」

「えー!そうなのぉ!?
いのちゃん、何て返事したの?」

「…まあ、今では元彼っていう存在かな。」

「付き合ったんだ。」

⏰:08/11/22 00:50 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#542 [あかり]
「悪いことしたかなって、まい先輩に、って時々思うね!」

「うーん…それはしょうがないんじゃない?
男の人は、いのちゃんを選んだんだしさ。」

「あたし、塩見先輩に彼女が出来たって時、
あかりちゃん見るの辛かったなぁ〜。

"あの時のまい先輩、こんな感じやったかんなぁ"って。
まい先輩の気持ち知ってて、付き合ったから。」

⏰:08/11/22 00:55 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#543 [あかり]
「そんなに自分を責めなくて、大丈夫だよ。

タクロウ先輩を好きになって、幸せなことも苦しいこともあったから、
今、竜樹くんと真っすぐに向き合えてると思う。

人を思うことがどんなのかってことが、生かされてるよ。」

「なんだ結局、最後はノロケかい(笑)。」

「アハハ(笑)。」

⏰:08/11/22 01:03 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#544 [あかり]
「でもね、最近…
また時々タクロウ先輩を好きだった時のこと、思い出してるんだ…。

彼氏いるのに…これって、いけないことだよね。」

「…んー、一年以上も思いを寄せてた人を、簡単に忘れる方が、無理な話なんじゃないかなぁ。」

「私、先輩に修学旅行のお土産渡そうと思うんだ。
…ためらって、まだ買ってないけど。」

「本当の意味で前に進むために、それはそれでいいと思うよ。」

「うん!ありがとう!」

⏰:08/11/22 01:09 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#545 [あかり]
「まあ、そろそろ寝ますか。
明日も早いし。」

「今日はいのちゃんのことが聞けて嬉しかったな!
いつも私の話を聞いてばかりだったからさ。

私、今日のやり取りのこと、一生忘れないね!」

「そんな貴重に思わんくてもいいから!
恥ずかしいやん〜(笑)。」

「アハハ。明日もいい一日になるといいね。」

⏰:08/11/22 01:19 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#546 [あかり]
修学旅行四日目―
午前に、現地の高校生との、交流会が開かれた。
スポーツやゲーム、クイズなどをして楽しんだ。

昼過ぎになり―
バスは空港へと向かう。

オーストラリア最後での自由行動、空港内のお土産屋さんを、ひたすら回った。

⏰:08/11/22 01:28 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#547 [あかり]
「あかりちゃーん。もうすぐ時間なるよー。」
いつまでもぐずぐずしている私を、いのちゃんが店の前で声を掛けてきた。

「うん、ちょっと待ってー!
…あ、コレにしよ!」
私は一つのキーホルダーを手に取り、会計を済ませた。

⏰:08/11/22 01:31 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#548 [あかり]
その日の夜―
航空便は、またもやシンガポールに到着。
マーライオンや様々な観光地を訪ねた。

夕食のレストランで、中華料理を堪能する。

明日はいよいよ、我が家に帰る予定だ―
夜遅くに、日本行きの飛行機に乗り、私は土産話に思いを膨らませた。

⏰:08/11/22 01:35 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#549 [あかり]
次の日―
飛行機は地元の空港に到着し、私たちは災難に遭うことなく、日本に戻った。

帰りの船の中―
翔馬と、それぞれ旅行中に起こった出来事を、ひたすら話すのに盛り上がった。

「本当に楽しかったね。
またオーストラリアに行きたいな!」

「…ああ、俺も。」

⏰:08/11/22 01:42 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#550 [あかり]
修学旅行の後の、休み明けの学校―

「はい竜樹くん、オーストラリアのお土産だよ!」
放課後、私は缶のお菓子と、コアラの人形、
シンガポールで買った携帯ストラップを竜樹くんに渡した。

「わぁ!こんなにいいんですか?
あざーす、嬉しいっす!」

「この人形はホワちゃんっていう名前だよ。
このストラップは、私とお揃い。エヘヘ。」
私は同じのをつけてある携帯を、彼に見せた。

⏰:08/11/22 01:49 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#551 [あかり]
「そういえば、もうすぐクリスマスだね。
私、未央姉に竜樹くんのこと紹介したいな!」

「えっ!悪く思われたら、どうしよう!
でも、クリスマスは先輩と、都会の綺麗なイルミネーションを見て歩きたいな。」

「うん!行こうね!」

オーストラリアから帰った後も、私たちの仲は順調だった。

⏰:08/11/22 01:56 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#552 [あかり]
ある日の休み時間―

「見て見てーいのちゃん。
日本に帰る前の空港で、こんなへんてこなの見つけた。」
私はあの時買ったキーホルダーを、いのちゃんに見せた。

「これ、カモノハシじゃない?
癖になるかわいさやね。」

「カモノ…ハシ?
タクロウ先輩へのお土産にしようかなって思ってるよ!」

⏰:08/11/22 02:02 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#553 [あかり]
「このカモノハシのアホな感じが、塩見先輩のイメージにぴったりやね(笑)。」

私はこの日一日、キーホルダーをクラスの子に見せて回ったり、
いのちゃんと遊んだりしてた。

タクロウ先輩にどうやって渡すかは、あまり考えてなかった。
しばらく、かばんの中に入れておく日々が続いた。

⏰:08/11/22 02:07 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#554 [あかり]
二学期も、終盤に差し迫った頃―
夜、翔馬の家に、借りてた漫画を返しに行った。

翔馬の家は、私の家と近所だ。
彼の部屋で、二人でお喋りをしていた。

「なあ、お前、学校の掲示板見てる?」
翔馬が私に尋ねてきた。

⏰:08/11/22 02:11 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#555 [あかり]
「ネットの掲示板?
あるのは知ってるけど、見たことはないなあ。」

「じゃあ、これちょっと見てみろよ。」
翔馬が自分の携帯を、私に差し出してきた。

画面は、話に出ているサイトに、接続されてある。

⏰:08/11/22 02:14 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#556 [あかり]
『しおみんとエドコハちゃん、別れたらしいな!』

『まじで?仲良さそうやったのにー。』

『今度は俺が、小春を頂くゼ!(笑)』

『何で別れたんやろ。』

『エドコハの周りに対して無頓着な所が、
ねちっこいタクローと合わなかったんやない?』

掲示板には、匿名同士でこんなやり取りが、交わされていた。

⏰:08/11/22 02:22 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#557 [あかり]
「う、嘘…。本当に…?」
私は目を見開いて、ひどく動揺した。

携帯を持つ手も、震えてきた。

私の頭の中で、初めて先輩を見た時の光景が映った。

⏰:08/11/22 02:26 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#558 [あかり]
「先輩には幸せになって欲しかったのに、残念だ。

今、どんな気持ちでいるんだろ。」

「さあ…。
まあ、学校での様子で分かるんじゃね。」

「タクロウ先輩…。」

⏰:08/11/22 02:34 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#559 [あかり]
家に帰ってからも―
さっき知った事実が、頭から離れられなかった。

もし、竜樹くんと出会っていなかったら、
私は今頃、どうなっていたのだろうか…―?

布団の中、ついこんなことを考えてしまった。

⏰:08/11/22 02:38 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#560 [あかり]
それからの学校で見かける先輩は、いつもと変わらないようにも見えたし、空元気な風にも見えた。

翔馬から掲示板のURLを送ってもらって、時々サイトをチェックするようになったが、
あれ以来、それ関連の書き込みは見受けられなかった。

そして、終業式の日となった―
私は結局、タクロウ先輩にお土産を渡せないままでいた。

⏰:08/11/22 02:44 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#561 [あかり]
25日のクリスマスの日―

私と竜樹くんは、朝早くに特急列車で、未央姉の住む街へと向かった。


これから宿泊するホテルの手配などは、全て竜樹くんがやってくれていた。

私たちは列車の中で、旅行パンフレットを見ながら、お互い行きたい店などを言い合ったりしていた。

⏰:08/11/22 02:52 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#562 [あかり]
駅に着くと、未央姉と秋人さんが、入口の所で待ってくれていた。

「この子があかりの彼氏!?
ジョニーズにいそうね!」

それから私たち四人は、未央姉の車で、アミューズメントパークへと向かった。
秋人さんが助手席、私と竜樹くんが後部席といった感じだった。

⏰:08/11/22 06:19 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#563 [あかり]
車内で、これから行く場所の様子を、私と竜樹くんに説明する、未央姉たち。

久しぶりに会った二人は、一段と見なりに気をつけているように思えた。

未央姉は髪の毛がより明るくなっており、
ストレートロングの髪を、今日は派手に巻いていた。

秋人さんの方は、身に纏ってる全ての物が、高そうに見えた。

⏰:08/11/22 06:35 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#564 [あかり]
目的地に到着し、まずはイタリアンレストランで、皆でパスタを食べた。

食べ終えて少し雑談をし、席を立とうとした時、
「あー、ここは俺が全部払うから。」
と、秋人さんが私たちに言った。

私たちはその言葉に、甘えることにした。
竜樹くんが秋人さん位の年齢になった時は、
こんな風に、さらりと気を遣える人になって欲しいと思った。

⏰:08/11/22 08:52 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#565 [あかり]
「せっかく二人、ここまで来たけん、
これからは自由行動しようか!
色んな店があるけん、楽しんでおいで。」
店を後にしてから、秋人さんがこんな提案をした。

秋人くんの意見に従った私と竜樹くんは、
男性用の服屋を見て回ったり、このパークの名物である、巨大観覧車に乗ったりした。

⏰:08/11/22 08:59 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#566 [あかり]
夕方になって、私たち二組は再び合流し、乗ってきた未央姉の車まで、パークを後にした。

「私と秋ちゃんは、これから私の家に行くけど…
二人は街で遊ぶ?夜になると、イルミネーションが綺麗よ。」

「うん、そうする!」

「じゃあ、そこまで車出しとくわね。
困ったことがあったり、分からないことがあったりしたら、また連絡して。」

⏰:08/11/22 09:04 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#567 [あかり]
数十分して、車は繁華街に着いた。

クリスマスということもあって、街はカップルでごった返していた。

私と竜樹くんは、二人に別れを告げ、目についた店にひたすら入っていった。

⏰:08/11/22 09:10 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#568 [あかり]
外の景色も、すっかり暗くなってきた頃―

「竜樹くん!
少し時間もらっていい?」

「ん?別にいいすけど。」

「ごめんね。すぐ戻ってくるから!
その辺ぶらぶらしといて。また連絡する!」

私と竜樹くんは、一旦別行動を取ることにした。

⏰:08/11/22 09:13 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#569 [あかり]
彼と離れた後、私はとある人に、携帯から電話を掛けた。

プルル、プルル―

「…もしもし?」
二回ほどのコール音で、向こうは電話を取った。

「あ、もしもし悠介くん?
久しぶり、あかりです。

今、そっちに来てるんだけど…これから少し会えないかな?」

相手は夏休み、秋人さんを通じて知り合った、堀之内悠介くんであった。

⏰:08/11/22 09:18 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#570 [あかり]
15分ほど経ってから、私が悠介くんがやってきた。

彼はフード着きの灰色の服に、迷彩柄のズボンを履いている。

彼が、この繁華街の近くに住んでいることは、以前に聞いていた。

「ごめんね、突然呼び出して。」

「あ、いや別に…。
…それより、どうしたの?」

⏰:08/11/22 09:23 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#571 [あかり]
「はいコレ、メリークリスマス。」
私はチョコレートのお菓子を、彼に差し出した。

「こないだ修学旅行で、オーストラリアに行ってたんだ。
夏休み図書館に付き添ってたお礼に、と思って。」

「…あ、ありがとう…。」
彼はそれを受け取った。

⏰:08/11/22 09:26 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#572 [あかり]
「…今も秋人さんの彼女さんの所に遊びに来たの?」
首元を掻きながら、悠介くんが私に尋ねてきた。

「ううん。今日は彼氏とデートしに来たんだ。
あ、前言った片思いの人じゃないよ、エヘヘ。」

「…あ、そうなんだ…。
彼氏、出来たんだ…。」

「うん。今も待たせてるから、そろそろ行かなきゃ。
ごめんね、自分から呼び出しておいて。」

「…あ、別に。家で家族と過ごしてたから…。」

⏰:08/11/22 09:32 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#573 [あかり]
「それじゃあ、来年はお互い、受験頑張ろうね!」

「あ、あの。」
その場を去ろうとした時、彼が私を呼び止めた。


「ん?何?」

「…彼氏、どんな人なの?」

「んー、一つ年下だけど頼りがいがあって、優しくて面白い人だよ!」
私は笑顔で質問に答えた。

「…そか。お幸せにね。」

⏰:08/11/22 09:38 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#574 [あかり]
それから、また竜樹くんと合流し、手をつなぎながら街を歩いた。

未央姉が言っていた通り、あちこちにあるイルミネーションが宝石のように輝いていた。

夜の8時半頃、私たちは予約していたホテルに、チェックインしに行った。

⏰:08/11/22 09:44 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#575 [あかり]
ホテルの部屋で―
私たちは予め約束していた、プレゼント交換をすることになった。

私はアクセサリー店で買った男物のネックレスを、
彼はバーバリーのマフラーを、それぞれに渡した。

「ありがとう!すごく嬉しい!
これ、高かったでしょ?」

「親父の元でちょいと雑用して、そのバイト代で買いました(笑)。」

⏰:08/11/22 09:52 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#576 [あかり]
「ホテル代も全額出してくれるなんて…お金、大丈夫なの?」

「うちの家、金があるだけが取り柄ですから(笑)。」

彼の父親は、自営業をしているらしい。
彼の家に初めて行った時、そんな感じがしていた。

⏰:08/11/22 09:55 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#577 [あかり]
「んっ…。」
彼が私に、キスを求めてくる。
いつもとは違い、舌を入れてきた。

二人の舌が、口の中で絡まる。
激しいキスが続いた。

「…お風呂、入ってくるね。」
私は、続きを察したかのように、今自分が取るべき行動を取った。

⏰:08/11/22 10:02 📱:SH705i 🆔:e9leUYT.


#578 [あかり]
私がお風呂から出た後は、今度は彼が入浴しに行った。

私は、ホテルにあった薄いバスローブみたいなのを、着用していた。

彼がお風呂に入っている間、一人ベッドで横になっていた。

20分くらい経った後、彼が、腰にバスタオルを巻いたまま出てきた。

⏰:08/11/24 06:18 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#579 [あかり]
ベッドは部屋に二つあるのに、窓側のベッドで寝ている私の隣へ、彼も横になった。

「今日はホンマ楽しかったっす。」

「うん、私もー。
やっぱ都会は違うね。」

肌の露出が多い彼を、私は恥ずかしくて正視できなかった。

⏰:08/11/24 06:27 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#580 [あかり]
一瞬にして、二人の間に沈黙が走った。

そして、彼が小さな声で言った。
「…してもいい?」

⏰:08/11/24 06:30 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#581 [あかり]
「うっ、うん…。」
彼の目を見て言った。

即座に彼が、私の体に覆いかぶさるような体勢になる。

お互いお風呂に入る前よりも、激しくて濃厚なキスをした。

⏰:08/11/24 06:34 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#582 [あかり]
次の日―
窓から差し込む日の光で、目を覚ました。

隣にいる彼は、まだぐっすり寝ており、寝息が微かに聞こえてくる。

私たちは、クリスマスの夜に、初めて体を重ねた。

二人で一つの布団に被っている中は、産まれたままの姿である。

⏰:08/11/24 06:41 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#583 [あかり]
その日は昼過ぎに買い物をしてから、
夕方頃、また特急列車で地元に帰った。

冬休み―
年末年始は家族と過ごし、私と竜樹くんは電話とメールで、頻繁に連絡を取り合っていた。

そして、三学期が始まった―

⏰:08/11/24 06:46 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#584 [あかり]
「あけおめー、あかり!
年賀状、届いたよん。」

朝教室に入って、新年早々も元気そうな、藍美の声を聞く。

「藍美、何か嬉しそう。
何かいいことあった?」

「ううんー、むしろその逆。私、別れたし。」

「えぇっ!」
私の仰天した声に、近くに座っていた数人のクラスメートが、私の方を見た。

⏰:08/11/24 06:51 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#585 [あかり]
「あの人さー、見た目は頼りがいがありそうな感じなのに、実際は超ナヨナヨしてるからねー。

しかもさ、プレゼントしてくれたのと同じのを、ある店で見つけたんよ。
その値段が315円!
まじありえなくない?」

軽蔑したような表情で、藍美は事情を言った。

「ア、アハハ…。」
彼女の克次先輩に対する態度の激変に、とりあえず笑うしかなかった。

⏰:08/11/24 06:57 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#586 [あかり]
ある日―
その日の午前中に、私は気分が悪くて保健室のベッドで仮眠を取っていた。

一時間ほどした後、うつろながら目が覚めてきた。

カーテン越しに、保健室の先生と、一人の男子生徒の話し声が聞こえる。

「…最近、しおみんの奴、元気ないんだよねー。」
男子生徒のこの一言で、一瞬にして寝ぼけた状態から抜けた。

⏰:08/11/24 07:04 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#587 [あかり]
「元気だけが取り柄のタクロウだから、それは余計に心配ね。」
先生という立場から、意見を述べる保健室の先生。

「うーん、やっぱ彼女と別れたんが大きいんかなあ。」

タクロウ先輩は、今も小春先輩のこと引きずってるんだ…。

⏰:08/11/24 07:11 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#588 [あかり]
「タクロウ、卒業したら東京の方で就職なんでしょ?
そうなったらまた新しい出会いに恵まれるわよ。」


えっ―
保健室の先生のこの一言に、私は布団の中で目を見開いた。

タクロウ先輩が上京―
と、遠い…―

⏰:08/11/24 07:15 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#589 [あかり]
帰りの船の中―
怜香とお喋りをしながら、かばんの中にずっと入れたままでいた、
あのカモノハシのキーホルダーを触っていた。

「怜香、タクロウ先輩、卒業したら東京に行くんだって。」

「そうなの?え、それめっちゃ遠い。」
私が第一声に思ったことを、怜香も言い放った。

⏰:08/11/24 07:22 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#590 [あかり]
「もう会うことないよね…。」
私は、持っていたキーホルダーを見つめた。
相変わらず、惚けた顔をしていた。

「…。
前から思ってたんだけど、あかりちゃんさー。
…。」

「何?」
続きを言わない怜香に、私は聞き返した。

⏰:08/11/24 07:25 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#591 [あかり]
「…塩見先輩への思いを消化しきれてないまま、阿倍野くんと付き合った感じだなあ、と思って。」

「あ…。」
私は動揺し、思わず目をキョロキョロさせた。

⏰:08/11/24 07:29 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#592 [あかり]
竜樹くんとは、キスも、それ以上のこともした。

二人で安泰な日々を、それなりに築き上げていってるつもりだ。

しかし―

タクロウ先輩が小春先輩と破局した事実を知った時、
私の心の中で、何かがパリンと割れる音がした。

⏰:08/11/24 07:32 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#593 [あかり]
タクロウ先輩の彼女になりたいとか、彼の特別な人になりたいとか、そんなことは思ってないつもりである。

先輩に憧れを抱いてる人が沢山いるのなら、その中の一人でいい。

あの頃の私は、先輩のことを考えたり思ったりするだけで、幸せだった。

⏰:08/11/24 07:37 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#594 [あかり]
人間は、思い出や過去などを、美化してしまう生き物だと思う。

今の私がそうだ―
今目の前にある幸せに気がつかないで、
他のことばかりが余計に気になってしまう―

今の私には、間違っている部分が所々見受けられる。

⏰:08/11/24 07:46 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#595 [あかり]
数日後―

午前の授業が終わって、藍美と日課である、購買のパンを買いに行った。

その帰りの廊下で、向こう側から友達数人と歩いてる、タクロウ先輩とすれ違った。

⏰:08/11/24 08:04 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#596 [あかり]
他の人たちはにぎやかな様子だったが、先輩は一人だけ無表情だった。
―そんな印象を受けた。

私が先輩を好きだった時は、彼は我先にと馬鹿騒ぎをするような人であった。

最近、先輩を見かける度、昔との変化を、私なりに感じていた。

先輩は、変わった―
少なくとも、小春先輩と別れたことが影響で―

⏰:08/11/24 10:02 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#597 [あかり]
違う、違うよ怜香―
私は彼に未練がある訳じゃない―

彼と、幸せになりたいんじゃなくて―
彼に、幸せになってもらいたいんだ―

先輩の辛い表情なんか、見たくないよ…―

あの日私に疑問を抱いていた怜香に対して、心の中で叫んだ。

⏰:08/11/24 16:17 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#598 [あかり]
「最近さあ、神田亜矢子がうざいよね〜。」
放課後、藍美とコンビニに行く途中で、彼女がこんなことを言ってきた。

神田亜矢子は、私が一年の時に、私に陰湿な行為をしていた第一人者だ。

その彼女は現在、私と同じクラスの、川木くんという男子と交際している。

川木くんは翔馬と一番仲が良い人で、目が大きく、そこそこ整った顔立ちをしている。

⏰:08/11/24 16:29 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#599 [あかり]
彼と付き合うことになってから、亜矢子は頻繁に、私たちの教室に入り浸るようになった。

藍美はそのことが言いたいのだと、解釈をした。

「なんかさー、あの二人、空き教室でキス以上のことをしてたらしいよー。」
軽蔑するような表情をしながら、藍美は噂話をする。

⏰:08/11/24 16:34 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


#600 [あかり]
「でも、亜矢子って元彼だった先輩と、今セフレみたいな関係になってるらしいよー。」

「えっ、そうなの?!川木くんに夢中って感じがしてるのに。」

亜矢子の猛烈なアプローチがきっかけで、二人の交際がスタートしていたのを知っていた私は、その事実が意外だった。

⏰:08/11/24 16:47 📱:SH705i 🆔:KS/NgqI2


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