微妙な10センチ。〜最終〜
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#801 [あき]
私は、首をプルプルと横に振り、待ってとジェスチャー。
これは、最終手段。
いや。出来る事なら使いたくない。
本当は話し合いで、円満解決したいんだもの。

『私に、どうしろって言うの?』

《どうもしない。本気かって聞いてんだよ。あきは、これでいいのかって?このまま、さよならしていいのかって。》

突然の敵…いや、西条さんの優しい声。
哀しそうな声に
完全に強気発言で応戦体制に入っていた戦意は喪失しそうになる。

『そ…それでいいっ!』

それを慌てて奮い起こした。

⏰:09/12/14 02:55 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#802 [あき]
《そっか…。》

更に響く寂しそうな声。その声に心が折れそうになる。
なおちゃんの膝を強く握る。

『…考えたけど。
やっぱり、もう付き合えない。』

私のその言葉に、なおちゃんは細く息を吐いた。コンコンと膝を揺らし、私の顔を覗き込む。私は、小さく頷いて、目を反らした。

《自由がいいって事か?》

『そうじゃなくて』

《わかった。もういいよ。好きにすれば。》


諦めたのか、はたまた何かを感じ取ったのか、私の言葉に、西条さんはそう返事した。

⏰:09/12/14 03:08 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#803 [あき]
『…ごめんなさい。』

《俺も、あきの暮らしには、耐えられそうにないわ。》

『……』

《今の出先も、男といるんだろ?》

ここで、そうだと認めれば、話は早いのに、どうしても、言えなかった。なのに、西条さんは、電話の向こうで、笑って言った。

《否定しないんだな〃あ〜あ…やっぱり無理だったか…〃》

気付いてたんだ。
私と、なおちゃんの繋がり…

⏰:09/12/14 03:17 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#804 [あき]
『……』

《やっぱり駄目だったか!距離には勝てないのか〜っ。〃》

『…距離じゃないよ。私は、そんなの関係なかった。』

嘘じゃない。
あの時、私は間違いなく、近くのなおちゃんより、遠くの西条さんを選んだ。その気持ちは嘘じゃないのに。

《…どうだか〃》

ズキンと胸が鳴る。

最後の最後まで、西条さんは、私のそんな気持ちすら信じてくれていなかった。

やっぱり私達は、駄目なんだ。

そう改めて認識した。

⏰:09/12/14 03:24 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#805 [あき]
『それが駄目になった原因じゃん?
最後まで、西条さんは、私を信じてはくれないじゃない。
……私達は距離なんかじゃないよ。
気持ちが遠かったの。お互い歩み寄れなかったんだよね。〃』


《……その彼は、違うって?》

その質問に、私はちらりと、なおちゃんを見た。なおちゃんは、何か?と言わんばかりの顔で私達の話を聞いていた。その間抜けな顔に、私は、ぷっと吹き出してしまう。大丈夫だからと合図を送ると、納得したように、ソファーに座った。そして、私は、その部屋から出て行った。

⏰:09/12/14 03:40 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#806 [あき]
部屋を出て、静まり返った古びた階段に座り、西条さんに語る。

『…そだね。
その彼にも、いっつも怒られてるけどさ…
それでも、いつも私の言葉を聞いてくれたし、信じてくれてた。
でも、そうゆうのって言葉じゃないのね?
なんてゆうか…相手を認めてるか、認めてないかって事で。
それって、距離とか時間とか…関係ないんだよね。たぶん。〃』

私となおちゃんの間には、そんなもの関係なかった。時間も距離も…何も関係なかった。
ただ、相手を思いやるそれだけだった。
私と西条さんが築けなかったもの。

⏰:09/12/14 04:02 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#807 [あき]
《…その彼がやっぱり好き?》

『…好きかって聞かれたら、そうだけど、もう、私達の間には、そんなもの必要ないの。男とか女とか〃そんなんじゃなくなってるから。』

《…それが、理解できないんだよ。
男にしたら、そんな相手がいる彼女なんてたまんないよ?
これは、俺だけじゃないと思うよ?
たぶん、これからも、あきと、その彼の関係は、誰も理解できないんじゃないかな?》


『…そーだろうね〃
だから、これから先、私は、恋愛出来ないかもねっ〃つくづく思ったよ。』

⏰:09/12/14 04:09 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#808 [あき]
《それでもいいんだ?》

『…仕方ないと思ってる。私には、なおちゃん…彼の存在が大切なの。好きとか、そうゆうの抜きにして?私という人間に、彼という人間が必要なの。彼との関係は、壊されたくないし。壊したくない。』

《あきの、その気持ちは、やっぱりわかんないや〃》

『だろぉねーっ〃』


久しぶりに、西条さんの笑った声を聞いたような気がした。

暖かくて、優しくて。
初めて出会った頃の。
あの、じめじめした蒸し暑い空気の中で、フワリと靡いた優しい風のような声だった。

⏰:09/12/14 04:17 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#809 [あき]
《じゃぁ、そいつと結婚しちゃえよっ!なら、俺も諦めつくからっ!》

『あはは〃やめてよ〃もう無理だわっ!!〃』

そう笑った私に、西条さんは、最後の優しさを見せた。

《…したいんだろ?
他の誰でもなくて、その彼と。本当は、ずっと忘れてないんだろ?》

ドキンと胸が鳴った。
ズキンと胸が痛くなった。
電話を握る手が熱くなっていた。

⏰:09/12/14 04:21 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


#810 [あき]
『それはもう、いいの〃』

諦めなんかじゃなくて。これが私の心の言葉だった。
一度は夢みたそれを、手放したのは自分。
もう、望まないし。
期待もしない。
そう決めた。

《へ−…いいんだ。》

そんな私の答えに、西条さんは、驚いたように言った。
私は、ふふふと笑うと、いいんだよと、答える。
そして誰にも言った事のない、密かな夢を言った。
西条さんへの、最後の言葉。

⏰:09/12/14 04:42 📱:W64S 🆔:Xa3EAJMk


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