微妙な10センチ。〜最終〜
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#157 [あき]
『そうですよね…なんで悩んでるんでしょぉね…私。苦しいよ…』


そうなんだ。わかってた。
なおちゃんが好きなら、西条さんの言葉に苦しむ必要も、悩む必要もない。
誠の時も、たっちゃんの時も、私は悩まなかった。
確かに、二人を傷付けてしまったけれど。
答えなんて、決まってた。

なのに、どうして
この彼には
悩むんだろう。


それが
わからない。
だから

…苦しいんだ。

⏰:09/07/28 02:11 📱:W65T 🆔:n0g0IsUg


#158 [あき]
《君の本当の気持ち、教えて?俺、覚悟出来てるからさ。》

西条さんの優しい声に、私は、少しづつ、心の声を、ありのままを伝えた。
彼には言わなきゃいけないと、そう思えた。

『あのね…私にはね…』

なおちゃんの事。
いつも、二人でいた事。
ずっと友達だった事。
だけど、ずっと好きだった事。
一時は、未来が見えた事。だけど、今では未来が見えなくなった事。

寂しくて、不安で悲しくて…自分の気持ちがわからなくなった事。

そんな時、西条さんと出会ったんだと。
私は、最後にそう締めくくった。

⏰:09/07/28 02:29 📱:W65T 🆔:n0g0IsUg


#159 [あき]
《あの夜、泣いてたのは、その彼との事?》

『うん…』

《そっか…》

『私はね、彼との時間は、好きって感情を押し殺した日々だった。
腐れ縁には、邪魔な感情だったから?
だからさ、もういいやっ!!って何度も思ったのっ〃
…だけど、出来ないまま、こんな歳になっちゃって。〃やんなっちゃうよ…〃
ただ未来が欲しいだけなの。

幸せになりたいだけ…』

そして、最後に、私はそう言って―…泣いた。

⏰:09/07/28 02:46 📱:W65T 🆔:n0g0IsUg


#160 [あき]
西条さんは、それ以上、深く何も聞かなかった。
ただ、黙って、私の心の叫びを聞いてくれただけだった。
散々言って、散々泣いて、何だか、スッキリしたと笑う私に、俺って不利だよなぁって笑いながら。
それでも、やっぱり、気持ちは変わらないから。
と言ってくれた。
会いたいと言ってくれた。あの出張からひと月が過ぎた頃だった。

そして、後日。
私の自宅に、今度はプライベートで行く○○地方の三日間の往復チケットが、彼の名前で、送られて来たのだった。

⏰:09/07/28 02:58 📱:W65T 🆔:n0g0IsUg


#161 [あき]
――――――

一カ月振りに立つこの場所は、何も変わってはいない。忙しそうに行き交う人々。ロータリーをせわしなく出入りする車達。
あの駅ビル前、噴水のふちに座ると、数週間前、届いたチケットを眺める。
なにをしてんだろう…
そう思った。
先程届いた西条さんからのメールに、あと15分程で着くと書かれていた。
道が混んでいたらしい。
あと15分…
あと15分で
私達の何かが変わる。
頑なに守り続けた
仕事仲間
その枠から、あと15分で外れるのだ。

⏰:09/07/31 18:57 📱:W65T 🆔:ZWrhOOXQ


#162 [あき]
噴水を見つめながら、行き交う人々を、ただ漠然と眺めていると、携帯が鳴った。

ーピッ
『はい?』

《どこにいるのっ?》

なんだか、相手は急いでいるようだった。

『え…噴水の前ですけど…?着きました?』

《ちょ…〃どうして、そんな所にいんだよっ。早くっ!こっち来てっ!!急げっ!ぢゃなっ!》

『へっ?はっ…はいっ〃』

⏰:09/07/31 19:01 📱:W65T 🆔:ZWrhOOXQ


#163 [あき]
慌てて、ロータリーへと向かう。
ジメジメとした暑さの中、人の流れに逆らいながら、相変わらず重すぎる荷物と、高めのヒールが、私の体力を著しく消耗させた。
反対側、あのターミナルに出てみると、赤い大きな四駆車の前にウロウロと落ち着きのない人を確認した。

サラリと着流したポロシャツから伸びた長い手と、履き古したデニムをまとう長い足。

アイロンのきちんとかかったシャツに、ラインの伸びたズボン姿からは、やはり変わるけれど。
タバコを吸う姿は変わらなかった。

⏰:09/07/31 19:08 📱:W65T 🆔:ZWrhOOXQ


#164 [あき]
『あのっ!お…お待たせしましたぁ〃』

著しく体力を消耗した私は、息も切れ切れでやっとの声を出し、汗ばんだ体で、久しぶりの対面を果たす。優雅に颯爽と現れるつもりだったのに、悲しいったりゃありゃしないよ。

『うすっ〃久しぶりっ!てか、早く乗ってっ!』

また軽々と荷物をトランクに詰め込むと、彼は運転席へと回った。慣れたように、ひょいと乗り込む。

『は…はいぃぃ…〃』

ちび助の私には、大きな四駆車を乗るのに、これまた一苦労だ。
最近お気に入りの高いヒールを履いてきた事すら、悲しくなってきた。

⏰:09/07/31 19:13 📱:W65T 🆔:ZWrhOOXQ


#165 [あき]
『ちょ…〃本当に、届かないの?』

『ご…ごめんなさいっ〃こんなに大きな四駆なんて初めてで。慣れてないんですっ〃あはは…〃』


ちび助は、一生懸命手を伸ばし、ドアの上についた手すりに捕まる。必死に体を引き上げて、助手席に乗り込もうとした。
彼は、驚きそして笑いながら、持って。と手を伸ばした。
助手席にへばりつくように、なんとか体を乗せ込んだちび助が、その手に捕まると、ひょいと体を引き上げてくれた。

『あは〃ありがとうございました…〃』

もう最悪。

⏰:09/07/31 19:20 📱:W65T 🆔:ZWrhOOXQ


#166 [あき]
『これっ。なんて車?』

『ん?○×って言うんだよ。』

車にさっぱりな私には、彼が教えてくれた名前なんて全く皆目覚えられなかった。
だけど、初めて聞いた名前には違いなかった。

『日本車?』

『右ハンドルだけど、一応外車になるかな〃』

『へぇ…〃』

外車って…
外車もベ○ツ、B○Wくらいしかわかんない。
結局、
あれっしょ?
高級車っしょ?
この人。
金持ちなの??
まさか…
ん???
んっ…???

⏰:09/07/31 19:29 📱:W65T 🆔:ZWrhOOXQ


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