微妙な10センチ。〜最終〜
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#511 [あき]
『…じゃ。明日にでも、また携帯買うから。そしたら、また連絡します。』


《わかった。とにかく、今日は早く寝るんだぞ。》

『…はい。』


電話を切ると、溜め息が出た。
何かが違う。
その何かが、わからないけれど。

何かが違った。

なおちゃんに携帯電話を返すと、ボスリとソファーに座る。


もう、何もかもを壊してしまいたかった…

⏰:09/09/25 03:07 📱:W64S 🆔:NwbTHFX6


#512 [あき]
『…なおちゃん…私、これからどうしたらいい…?私、どうなんだろうね…』

黙ってテレビを眺める彼に、そう呟く。
仕事の事。
西条さんの事。
見えない暗闇に
私は立たされたようだった。
今にもポキンと折れてしまいそうだ。
そんな私に、なおちゃんは

『さぁっ…』

視線をテレビに移したまま、そっけない返事。だけど、私の横に、しっかりと座っていて。
ただ、不安と恐怖に脅える私を、見えない手で、しっかりと支えてくれていた。
肌で感じるその空間。
そして感じてしまう。

私達の止まっていた時計が静かに動き出してしまった事に―…

⏰:09/09/25 03:16 📱:W64S 🆔:NwbTHFX6


#513 [あき]
この小説大好きです!
続きが気になります♪
待ってまーす

⏰:09/09/25 19:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#514 [あき]
あきさん、いつも有り難うI
――――――

時計と、テレビの雑音だけが聞こえる部屋で、私はソファーに横たわった。

自然と瞼も重くなる。

自分でも知らないうちに、心も体も、すごく疲れていた。

自然と体中の力が抜けて、クッションを抱えてソファーに横たわった私に、おちゃんは、ありえない姿だと笑ってた。

本当に、本当に自然な時間だった。

⏰:09/09/27 15:35 📱:W64S 🆔:CejYoAqQ


#515 [あき]
『…ねーっ…明日から、私どうなんだろぉねぇ…』

『さぁ。』

『損害は大きいだろうし…間違いなく、クビだろうなぁ…』

『かもなー。』

『……あぁ〜あ。お先真っ暗!!!』

⏰:09/09/27 15:38 📱:W64S 🆔:CejYoAqQ


#516 [あき]
憧れたこの職業。
いざ就いてみると表側のイメージとは裏腹に、とにかく大変で。
沢山いた同期も次々と辞めていった。
それでも私は歯を食い縛って耐えてきた。
年数を重ねる事に、与えられる仕事は、大変さを増すばかりで、やりきれない思いも沢山した。会社、上司、仲間…不満は沢山あった。
だけど、この私が愚痴は一切溢さなかった。
それだけ楽しかったんだと思う。つい漏らす不満に〈疲れた〉とは言っても、〈辞めたい〉そうは言わなかった。思わなかった。

大好きな仕事だった。
だけど。もう終わりだろう。そう感じる。

⏰:09/09/28 18:37 📱:W64S 🆔:AzvUcxQs


#517 [あき]
『……クビだろうなぁ……。』

自然と漏れたその言葉に涙が溢れてきた。

『そーかもな。』

おちゃんはたった一言そう言った。

『…クビになる前に、辞めっかな…』

また涙が溢れてくる。
自分の馬鹿さ加減に
悔しかった。
悲しかった。

『ふーん。』

なおちゃんは、また何も言わなかった。

妙な慰めも、妙な励ましも何もなかった。
だけど。私の言葉を全て飲み込んでくれ。
ただ、ただ傍にいてくれた。

⏰:09/09/28 18:44 📱:W64S 🆔:AzvUcxQs


#518 [あき]
そのまま、何時間。
二人で過ごしたんだろう。ただ、私はソファーに横たわり、時折呟くように言葉を発して涙を流した。そしてそんな些細な呟きに、慰めも励ましもないただ単調な返事を繰り返すなおちゃん。そんな彼から久しぶりに言葉が発っせられる。

『てか、もう朝ですけど…?』

カーテンの隙間から、光が指してきて、蝉がミンミンと煩くなった。また今日も蒸し暑くなりそうだと予感させた。カーテンの隙間の外を眺めるように私は答えた。

『みたいだねー…』

私には、熱い釜にふつふつと沸き上がり、地獄への門番が、ニコニコしながら私を迎え入れているような…地獄への入口が開いた。そんな景色だった。

⏰:09/09/28 18:55 📱:W64S 🆔:AzvUcxQs


#519 [あき]
なおちゃんは、んーと背伸びをして、ソファーから立ち上がった。

『俺帰るぞっ。』

なおちゃんが帰る。
無性に寂しくなった。
だけど、そこは言えないし、気分はそれどころじゃない。

私は立ち上がる所か、返事する気力すら失われて、片手を上げてピコピコと返事をした。


『ったく…シャキッとせんかいっ!!』

⏰:09/09/28 19:08 📱:W64S 🆔:AzvUcxQs


#520 [あき]
突然そう言って、私の片腕を引っ張り上げる。引っ張り上げられた腕の拍子に私はくるりとソファーに座った。

『ちょっと!痛いしっ…!やめてよっ。』

私は、腕を振り払って、またソファーに横たわる。

『おいっ。ったく…でぶでぶしやがって…〃』

なおちゃんは、そんな私になにやら言葉を間違いながら笑っていた。

『…でぶでぶじゃなくて、ゴロゴロでしょ…間違ってますから…』

相変わらずの口の悪さに、言い返す気力すら奪われた。

⏰:09/09/28 19:15 📱:W64S 🆔:AzvUcxQs


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