【携帯小説指南】全ての作家達へ【[投稿]を押す前に】
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#119 [我輩は匿名である]
第6章 〜小説を書こう! 情景描写編〜
「さて、今回は小説の基本であり奥義でもある『情景描写』を教える」
「よしこーい」
「情景描写は、小説において地の文の大多数を占める描写だ。
読者にその場の情況や世界観、登場人物の動きなどの情報を与える役割を持つ。これなくして小説は成り立たない」
「でもネットだと会話だけの小説もあるぞ」
「ギャグや日常系なんかなら別に会話だけでもいいんだけどね。
でも君が書きたいのはファンタジー、これは情景描写が必須とも言えるジャンルだ」
:08/11/23 21:09 :P903i :epQG/68k
#120 [我輩は匿名である]
「そりゃまたなんで?」
「最初の方で言ったが、ファンタジーは背景の世界観を作り込む必要がある。また戦闘モノのファンタジーでは、戦闘シーンの描写が無ければ面白くない」
「つうことは俺にとっては重要だな」
「誰にとっても重要だ。さて、描写の勉強だが、これは1から教えるより、好きに書いてそれに対して添削してもらう方が良い」
:08/11/23 21:09 :P903i :epQG/68k
#121 [我輩は匿名である]
6−1 描写の妙
「それはなんで?」
「描写には個性があるんだ。それは上手い下手ではなくて、人それぞれの書き方・表現・言葉選びなどによって決まる。
『小説』を辞書で引いてごらん」
「えーっと…
『作者の奔放な構想力によって、登場する人物の言動や彼らを取り巻く環境・風土の描写を通じ、非日常的な世界に読者を誘い込むことを目的とする散文学。
読者は描出された人物像などから各自それぞれの印象を抱きつつ、読み進み、独自の創造世界を構築する(新明解国語辞典より)』」
:08/11/23 21:10 :P903i :epQG/68k
#122 [我輩は匿名である]
「何が言いたいかわかる?」
「全然わからん…」
「つまり小説というのは、作者の感性を描出した描写によって、読者に物語のイメージを想像…いや、創造させることに意義があるんだ」
「えーっと…」
「例えば、大まかに作った2つの同じプロットを、考え方も書き方も得意ジャンルも違う、ある2人の作家に渡したとする」
「ほう」
:08/11/23 21:10 :P903i :epQG/68k
#123 [我輩は匿名である]
「作家はそこから自分でプロットを詰めていき、そして文章に起こす」
「うん」
「ではその場合、その2つの作品は全く同じものになるか?」
「いやならねーだろ、常識的に考えて」
「そう、恐らくはかなり方向性の違う作品になるはずだ。
小説は、同じテーマであっても、作者の感性によってガラリと印象が変わる。その大きな要因が『描写』なんだ」
:08/11/23 21:11 :P903i :epQG/68k
#124 [我輩は匿名である]
「確かに、似たような設定でも作家によって全然展開が違ったりするな」
「そう。例えば僕なら、分かりやすい・伝わりやすい描写をするように心掛けている。一応、娯楽派作家だしね。
でも、文章に韻を盛り込む作家や二人称を頻繁に使う作家、比喩を多用する作家など、描写のしかたは作家によって千差万別だ。
作家達の用いる描写によって、作品の中に一貫した個性が生まれる。『その人らしい作品』ができあがるんだ」
:08/11/23 21:12 :P903i :epQG/68k
#125 [我輩は匿名である]
「みんながみんな似たような文章だと面白くないもんな」
「そう。だから、描写に関しては最初は自由に書いてほしい。僕が1から教えてしまうと、その人らしい作品ではなくなってしまう」
「ナナシさんの真似になってしまうってことか」
「うん。それだと面白くないからね。
だから今から教えるのは、情景描写に関する最低限のことだけだ。後は自分で書いて読んでもらうなり、他の作品を読むなりして修行してほしい」
「ああ、わかった」
「よし。じゃあ、また前置きが長くなっちゃったけどレクチャーを始める。とりあえず何か書いてごらん」
「よっしゃ」
:08/11/23 21:13 :P903i :epQG/68k
#126 [我輩は匿名である]
6−2 作者の持つイメージを突き詰める
「できたぜ」
「はやっ! 見るのが恐ろしい早さだな…どれどれ」
王国暦30年。この世界はある危機に瀕していました。
魔王が復活したのです。
ここはとある山にある町、歌箱。
そこに住む少年の太郎はどこにでもいる平凡n
「はいもう結構」
「ちょwwwまだ続きがwww」
「この文には風景描写が少なすぎる。読む気すら起きない」
「ひでぇw」
:08/11/23 21:15 :P903i :epQG/68k
#127 [我輩は匿名である]
「王国暦とかはまぁ置いといてさ。歌箱の町ってどんなとこよ?」
「え? 小さな山奥にある町だよ」
「他には?」
「それだけ」
「………あっ、そう」
「??」
「例えばさ、物語が始まった季節はいつ?」
「えっ? じゃあ夏でいいよ」
「時間は? 朝? 昼? それとも夜?」
「昼だよ」
「じゃあ歌箱の町について、もっと描写が増やせるだろう」
「え……?」
「それを意識して、もう1回書いてごらん」
:08/11/23 21:17 :P903i :epQG/68k
#128 [我輩は匿名である]
季節は夏の半ば。照りつける日差しが眩しい。
蝉の鳴き声が山々から聞こえる。
そんな山の中にある小さな町、歌箱。
「どうだ?」
「そんな山ってどんな山?」
「蝉の鳴き声が聞こえる山だよ」
「それだけ?」
「それだけ」
:08/11/23 21:18 :P903i :epQG/68k
#129 [我輩は匿名である]
「もっと考えてみなよ。山って一口に言ってもいろいろあるでしょ。
標高が高いとか、どんな植物や動物があるのかとか。だいたい歌箱の町は山のどこにあってどんな町なのさ?」
「草木が生い茂る小さな山の中腹にあって、人々は農業の自給自足で暮らしてる」
「それじゃあ町じゃなくて村でしょうが」
「違いがわからん…」
「些細なことかもしれないけどさ。分からないなら辞書で調べてみるのも手だ。
4章で言ったよね、『よく聞く言葉こそ調べろ』って」
「はぁ……」
「もう1回書いてみな」
:08/11/23 21:19 :P903i :epQG/68k
#130 [我輩は匿名である]
季節は夏。すでに半ばを迎えていて、照りつける日差しはいっそう強さを増していた。
山の中からは絶え間なく夏虫の声が聞こえ、耳にこだまする。
夏ということもあって若草が山いっぱいに広がり、澄み渡る風はどこか気持ちいい。
そんな小さな山の中腹にある歌箱の村では、今日も人々は自給自足で生活していた。
そんn「ハイ結構!」
「ぐ…」
「君さぁ、僕の話聞いてたの?」
「え?」
「『小説』で辞書引け」
「いやそれならさっk」
「 引 け 」
「ハイ、スミマセン」
:08/11/23 21:20 :P903i :epQG/68k
#131 [我輩は匿名である]
作者の奔放な構想力によって、登場する人物の言動や彼らを取り巻く環境・風土の描写を通じ、非日常的な世界に読者を誘い込むことを目的とする散文学。
読者は描出された人物像などから各自それぞれの印象を抱きつつ、読み進み、独自の創造世界を構築する(新明解国語辞典より)
「『小説とは、作者の感性を描出した描写によって、読者に物語のイメージを創造させることに意義がある』って言ったよね?」
「いやその…」
「 言 っ た よ ね ? 」
「ハイ、そうおっしゃられました」
:08/11/23 21:21 :P903i :epQG/68k
#132 [我輩は匿名である]
「それとも何? こんなんでお前が持つイメージを読者が創造できると思ってんの?」
「あの、口調が…」
「何? 死にたいの?」
「いやその…」
「小説作者になりたいんならテメエが持つ世界観ぐらいキッチリ作れよ、それが嫌なら読者になれ。
それなのに何お前? それだけそれだけって山の情報がそれだけなわけねえだろ。それともアレか、『そこは読者にお任せします』みたいなこと言って逃げるつもりか?」
「いやその…」
「テメエのその顔むかつくからやめろ」
「…………」
:08/11/23 21:21 :P903i :epQG/68k
#133 [我輩は匿名である]
「まぁいい。下の文章を見てみな」
皿の上には林檎が1つあった。
「どう思う?」
「どうって…林檎が皿の上にあるだけでは…?」
:08/11/23 21:22 :P903i :epQG/68k
#134 [我輩は匿名である]
「どんな林檎? 赤いの? 青いの? それともゴールデンデリシャス?」
「さぁ……」
「林檎の状態は? 普通? 皮が剥かれてるの? 切られてるの? 食べられてるの? それともウサギ切り?」
「いや…そんなの知るわけないよ」
「それに皿ってどんな皿? 丸いの? 四角いの? 皿の深さは? 色は?」
「……俺の中では、丸くて白い皿の上に、切られたり食べられたりしていない赤い林檎が乗ってる」
「そんな描写、どこにもされてないじゃん」
「……!!」
:08/11/23 21:23 :P903i :epQG/68k
#135 [我輩は匿名である]
「君のさっきの文章はこういう事だ。
読者に自分のイメージを伝えるには、繊細な情景描写が求められる。
例えば僕は、銀の丸い皿の上に1口かじられた青い林檎が乗っているとイメージしてたんだけどね」
「これだけじゃ、そこまで読み取れるわけがねーよ……」
「君はその『読み取れるわけがない』文章を、さっき僕に見せまくっていたじゃないか」
「いやその…」
「だからむかつくからやめろ」
「…………」
:08/11/23 21:24 :P903i :epQG/68k
#136 [我輩は匿名である]
「まぁいい。さっきの林檎のやつだが」
鉛色をした丸く小さな皿の上に、まだ熟していない若々しい青色の林檎が1つ乗っていた。
誰かが間違えて食べようとしたのか、その林檎には1口かじられた形跡がある。
「これなら分かるだろう」
「そのまんまの光景が想像できるな」
「追及すればするほど情景描写は書けるけどね。
句読点なんかと同じで書きすぎはよくない」
「…難しいな…」
「では、さっきの君の文章に戻るぞ」
:08/11/23 21:24 :P903i :epQG/68k
#137 [我輩は匿名である]
季節は夏。すでに半ばを迎えていて、照りつける日差しはいっそう強さを増していた。
山の中からは絶え間なく夏虫の声が聞こえ、耳にこだまする。
夏ということもあって若草が山いっぱいに広がり、澄み渡る風はどこか気持ちいい。
そんな小さな山の中腹にある歌箱の村では、今日も人々は自給自足で生活していた。
「いきなり山の中からとか言われても困る」
「……確かに、どんな山か分からないな」
「4行目で小さな山と書かずに、山についての描写はそこでするべきだろうね」
「はぁ…」
:08/11/23 21:26 :P903i :epQG/68k
#138 [我輩は匿名である]
「だいたい澄み渡る風が心地いいって何?」
「え?」
「虫の声が耳にこだまするとか風が心地いいとか、誰が感じてるの? これは三人称なんでしょ?」
「えーっと……」
「5章で『必ず最初に『誰の視点か』を明確にすること』って言ったよね?
なのに語り手が誰なのか全然分からないじゃん。僕の話聞いてたの?」
「いやその…」
「むかつくからやめろつってんだろ」
「…………」
:08/11/23 21:27 :P903i :epQG/68k
#139 [我輩は匿名である]
「まぁいい。少し手直ししてやった」
春がすぎ、じめじめとした梅雨が明けて間もない頃。
気温もどんどんと漸増していく中、変わらない太陽がさんさんと輝いていた。
その太陽に照らされた小さな山。
そこの中腹あたりにある広大な草原は、色とりどりの花々に埋め尽くされ、空を飛ぶ夏鳥や虫達の声まで聞こえるようになっている。
そんな草原の近くにある歌箱の村では、今日も男たちがせっせと畑で働いていた。
歌箱は辺境にある小さな村なので人口が少なく、そのため村民たちは自給自足で生活しているのだ。
:08/11/23 21:28 :P903i :epQG/68k
#140 [我輩は匿名である]
「これでもまだ描写が少ないという人もいるし、十分という人もいるだろう。
実際のところ、僕だってプロじゃないからね。みんなが満足できるような文章を書けるわけじゃないさ」
「でも、さっきの俺の文章よりは情景が想像できる」
「そうだな。ファンタジーなんかでは特にそうだが、情景描写にしても何にしても、こだわった方がいい」
「こだわり?」
「さっきのやつにしたってそう。夏といっても一概にそれを言えるわけじゃない。
自分が夏だと思うものを挙げていって、そこから自分が思い描いているイメージに見合ったものを描写していくといい」
「参考になります」
:08/11/23 21:28 :P903i :epQG/68k
#141 [我輩は匿名である]
「では、ここにドアが1つあるとしよう」
「うん」
「どんなドア?」
「そうだな……マホガニーでつやつやの大きなドアだ」
「ドアノブは?」
「金色で、回して引くタイプだな」
「覗き穴や鍵穴は?」
「鍵穴はあるけど覗き穴はない」
「……と、こうやってドア1つでもいろいろ考えられる事があるだろう?
大事なのは、作者と読者の持つイメージを極力近づけることだ。
でなければ、話が進むにつれ違和感を感じたり、盛り上がる場面でイメージが違うために驚きが薄くなったりしてしまうからね」
「そうだな」
:08/11/23 21:29 :P903i :epQG/68k
#142 [我輩は匿名である]
「情景描写は、読者に場面を想像させる上で最も重要なんだ。事細かくとは言わないけど、自分が持つイメージが伝わるくらいは書けるようにしておくこと」
「どうすればいいんだ?」
「作品を書いて、誰かに見てもらうとか。
小説総合にもそれができそうなスレがあるし、何なら練習系のスレを立ててもいい。僕がスレ主やってるSSSスレ↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel-f/7545/なら練習も批評も受け付けてるさ。とにかく練習あるのみだ」
「練習あるのみ、か…」
「最初からうまい人なんていないよ」
:08/11/23 21:30 :P903i :epQG/68k
#143 [我輩は匿名である]
6−3 小説的な文章を心がける
「男の身長は165センチです」
「え?」
「どれぐらいの大きさかな?」
「いや、わかんねーよ165センチとか言われても」
「そう。新しいキャラを登場させた時に、そのキャラについていろいろ描写するよね。
そこで身長165センチとか具体的に言われても分からないよね?」
「わからんな」
:08/11/23 21:31 :P903i :epQG/68k
#144 [我輩は匿名である]
「じゃあ、『天井に頭がつきそうなほどの男』だったら?」
「かなりの大男だな」
「では反対に『そばにある石碑ほどしかない男』だったら?」
「ものすごいチビだな」
「うん。あまり具体的すぎると、かえって分からなくなったりするからね」
「難しいな…」
「それから、説明的な文章もだめだ」
「説明的?」
「ちょっと例文を用意してみたから見てくれ」
:08/11/23 21:32 :P903i :epQG/68k
#145 [我輩は匿名である]
時は2008年11月。
とある古いアパートに、いわゆるニートと呼ばれる職業である、太郎という男ががいた。
彼は17歳の頃に高校を中退し、以後引きこもりながらネトゲ三昧という生活を送っていた。
初めは親も将来について考えるように忠告してはいたが、どうやらすでに諦めたらしく、最近では太郎に金を渡して放置している状態だ。
それにつけこんで、太郎は好き勝手なニート生活を満喫していた。
「あーあ、暇だなぁ」
:08/11/23 21:33 :P903i :epQG/68k
#146 [我輩は匿名である]
「……と、この小説を見たらどう思う?」
「いや、別に…ちゃんと主人公の説明ができてるんじゃないの?」
「そうか。僕なら3行目で読むのをやめるね」
「それはなぜ?」
「これも初心者によくあるミスなんだけどね、文章が説明的すぎるんだ。『描写ができてない』と言い替えてもいい」
「どういうことだ?」
:08/11/23 21:33 :P903i :epQG/68k
#147 [我輩は匿名である]
「小説とは、読者にイメージを創造させることに意義がある、って言ったよね。
読者は創造力を刺激されることを望んでおり、描写からシーンを創造することが小説の醍醐味だ。
だから、上の例文みたいに説明されたんじゃ読む気をなくしてしまう」
「なるほど…」
「では、どうすれば『描写』がなされている小説らしい文章を書けるのか。
コツとしては、イメージを連想させるんだ」
「連想?」
:08/11/23 21:35 :P903i :epQG/68k
#148 [我輩は匿名である]
「例えば、さっき君が書いた歌箱の村の描写から引用すると」
春がすぎ、じめじめとした梅雨が明けて間もない頃。
気温もどんどんと漸増していく中、変わらない太陽がさんさんと輝いていた。
「この一文。直接『夏』とは書いていないけど、季節が夏だということは分かるだろう?」
「たしかに」
「これは『夏』という場面を連想させる描写をしているからなんだ」
「ほうほう」
:08/11/23 21:36 :P903i :epQG/68k
#149 [我輩は匿名である]
「分かりやすいのが冒頭の一文。春がすぎ、梅雨が明けたら季節はいつ?」
「夏だな」
「気温が上がっていき、『太陽がさんさんと輝いている』イメージがあるのは?」
「まがうことなく夏だ」
「そう。『梅雨明け』『気温の上昇』『さんさんと輝く太陽』、これらはすべて『夏』を連想させるもの。
他には『入道雲』なんかがあってもいいかもね。
小説を書くときは、こういった『場面を連想させるもの』を文章に取り入れていけばいいのさ」
「なるほど」
:08/11/23 21:37 :P903i :epQG/68k
#150 [我輩は匿名である]
「では、さっきの例文。季節が秋、主人公がヒキオタニートであることを連想させるならば…」
:08/11/23 21:38 :P903i :epQG/68k
#151 [我輩は匿名である]
雀の鳴き声が響き、カーテンから朝陽が射し込む。
吹きすさぶ冷たい木枯しが、古アパートの立て付けが悪くなった窓をカタカタと鳴らした。
窓の外では、葉が落ちて枝が露出した街路樹の下を、これから出勤するサラリーマン達がコートを着込んで歩いている。
その最中、部屋の住人である太郎はまだ布団の中にいた。
緩慢な動作でテーブルの上に置かれたエアコンのリモコンに手を伸ばす。
暖房をつけ、リモコンをテーブルに放り投げたとき、壁に掛けられた月カレンダーが目に入った。
:08/11/23 21:38 :P903i :epQG/68k
#152 [我輩は匿名である]
もうすぐ残り一枚になるそのカレンダーに、予定が書き込まれたことはない。
事務的な用事以外で人と話すこともない。
家族ですら、ご飯ができたことを伝えにくる母親に、唸るような返事をするだけだった。
太郎はカレンダーから視線を外し、ベッドから這い出るように起き上がる。
伸びをして、脂肪で重くなった体を支える足を動かし、ドスドスと床を踏み抜くような音を立てながらパソコン机に向かった。
高校を中退して以来、パソコンとベッドの往復すら億劫になってきている。
いつものようにパソコンの電源を点け、ディスプレイにうつる起動中の画面を眺めながら呟いた。
「あーあ、暇だなぁ」
:08/11/23 21:38 :P903i :epQG/68k
#153 [我輩は匿名である]
「…と、こんな感じかな。
描かれているのは同じ情報だけど、イメージがより明確になってくる」
「こっちのが小説っぽいな」
「直接的に説明するんじゃなく、人物の動きやその場の状況から連想させていくんだ。そうすれば小説らしい文が書けるよ。
あとは、比喩表現なんかも有効だ」
「『まるで○○のようだ』みたいなやつか」
:08/11/23 21:39 :P903i :epQG/68k
#154 [我輩は匿名である]
「そうそう。ちなみに僕は比喩が下手くそだ。
でも、比喩が上手い人の小説は独特の世界観が醸し出されている。上手くなりたいならそういった作品を読んでみるといい」
「わかった」
「では、おさらいに入ろう」
:08/11/23 21:40 :P903i :epQG/68k
#155 [我輩は匿名である]
〜6章のおさらい!〜
「情景描写は読者に情報を与える大切な描写。
みっちり書けとは言わないが、自分の持つイメージを伝えられるくらいは書くこと」
「書く前に、情景描写させるものについて深く考えてみよう。
同じものでも、人によって捉え方がまったく違うぞ!」
「『そこは読者の想像にお任せします』は駄目だ。
作者として居座るなら、自分の世界を作ること。それが嫌なら読者になれ」
「視点をはっきりさせること。
『風が心地いい』とか誰が感じてるのかしっかり書こう」
「説明文にならないように気をつけること。『読まれている』ことを常に意識して書こう。比喩も有効だぞ」
:08/11/23 21:41 :P903i :epQG/68k
#156 [我輩は匿名である]
「だいぶ本格的になってきたね」
「難しいなー…」
「がんばれ。次は心理描写だ」
>>119-156第6章 〜小説を書こう! 情景描写編〜 終
次回は
第7章 〜小説を書こう! 心理描写編〜
:08/11/23 21:44 :P903i :epQG/68k
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