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#228 [我輩は匿名である]
第9章 〜知っておきたい技法たち〜
9−1 伏線
「伏線というのは、その事柄に関する情報を前もって出しておくこと」
「ふむふむ」
「分かりやすい例が推理小説だ。
犯人となる人物やトリックに使われる要素が、必ず事前に描写されているだろう?
読者に何の情報もなしにいきなり犯人やトリックが暴かれても、面白くないからね」
「確かに」
:08/12/28 17:39 :P903i :ruBc5Y5o
#229 [我輩は匿名である]
「推理小説以外でも同様に、重要な場面や驚きを誘いたい場面では、伏線を張っておくと効果的だ」
「どんな感じなんだ?」
「以下、例文」
少女と目が合った時、太郎は無意識に右腕の古傷を押さえていた。
「花子に似ている…?」
「?」
「いや、まさか…な」
:08/12/28 17:40 :P903i :ruBc5Y5o
#230 [我輩は匿名である]
「ここまでのストーリーには、この花子という人物は出てこない。
この後の展開でも、花子についてほとんど情報が出てこない」
「ふむ」
「これで後に、太郎は昔力が足りずに花子を守れなかった。その時に右腕に傷を負った。
という過去の回想をつけると、それが太郎の傷と花子のことの伏線となるわけだ」
「難しいな…」
「それとなくでいいんだよ。ただし、印象には残る感じでね。
それに、伏線は1回だけとは限らない。何度も重ねて張るのも手だ」
:08/12/28 17:40 :P903i :ruBc5Y5o
#231 [我輩は匿名である]
「どういうタイミングで伏線を張ればいいんだ?」
「まず、どのシーンの伏線を張るかを考える。
そしてプロットが出来上がった段階で、不自然にならずに伏線を張れるポイントを探せばいい」
「やっぱり難しいな」
「じゃあ、2章で作った『安眠への旅』のプロットで、実際に伏線を張ってみようか」
:08/12/28 17:41 :P903i :ruBc5Y5o
#232 [我輩は匿名である]
『安眠への旅』
1話(太郎登場、安眠マクラを探す旅に出る)
↓
2話(歌箱の町に到着、花子が仲間に)
↓
3話(魔王ナナシ登場、激闘の末に太郎殺される)
↓
4話(花子、太郎を蘇生するためのアイテムを探す)
↓
5話(小説板洞窟にて蘇生アイテム発見、太郎復活、ナナシの根城へ)
↓
6話(魔王ナナシ撃破、安眠マクラゲット)
「まず、この中から伏線を張るエピソードを選ぶ。
基本的に、伏線は起承転結の『転』となる要素に対して使うもの。
この場合なら、3話と5話のエピソードで伏線を張るべきかな」
「ふむふむ」
:08/12/28 17:41 :P903i :ruBc5Y5o
#233 [我輩は匿名である]
「次に、伏線を張るタイミング。
これにはあまり制限がないから、不自然にならない場所に張るのが一番だ。
3話のエピソードは『太郎がナナシに殺される』だ。その事をそれとなく読者に伝えるには?」
「魔王はむちゃくちゃ強いぞ、って忠告されるとか…?」
「そうだね。この場合なら『眠れるなら死んでもいい』なんて言わせてみてもいいかもしれない。いわゆる死亡フラグだ。
これらの要素を自然に含ませられるタイミングを探すわけだが…」
「2話の歌箱の町か」
:08/12/28 17:42 :P903i :ruBc5Y5o
#234 [我輩は匿名である]
「うん。逆にそこしかないかな。
歌箱の町で花子に会う前に情報収集し、町民に『魔王はむちゃくちゃ強いぞ』と言われる。
そして花子が仲間になったあとに、冗談っぽく『眠れるなら死んでもいい』と言う。
これらをプロットに加えれば、3話の伏線となるわけだ」
「なるほど」
「大事なのは不自然にならない事。
そこに少しでも違和感があると、先の展開が知れちゃうからね」
「把握したぜ」
:08/12/28 17:42 :P903i :ruBc5Y5o
#235 [我輩は匿名である]
9−2 プロローグ
「プロローグとエピローグ、これはプロット段階では存在しない。
だが読者を物語に引き込む上では重要だ」
「ふむふむ」
:08/12/28 17:43 :P903i :ruBc5Y5o
#236 [我輩は匿名である]
「プロローグとは、早い話が物語の『0話』だ。
起承転結に含まれず、読者にその小説の概要や世界観なんかを端的に伝えられる。
前置きのようなものだね」
「よーわからん」
「ゲームに例えると分かりやすいかな。
本編がゲームのカセットだとすれば、プロローグはゲームの取扱説明書だ。
取説(プロローグ)を読まなくてもゲームカセット(本編)は起動できる。ただし、読んどいた方が分かりやすい。
ことさら、RPGやアクションゲーム…小説でいうSFやファンタジーでは特にね」
「なるほど」
:08/12/28 17:44 :P903i :ruBc5Y5o
#237 [我輩は匿名である]
「ちなみに小説では、プロローグの雰囲気をずっと保たせるという暗黙のルールがあったりする」
「なんだそりゃ」
「プロローグで伝えた情報を本編で壊しちゃいけないからね。
取説にはAボタンでジャンプと書いてあるのに、いざゲームを始めたらセレクトボタンじゃないとジャンプできない、なんて事があったら困るだろう?」
「それは困る」
:08/12/28 17:44 :P903i :ruBc5Y5o
#238 [我輩は匿名である]
:08/12/28 17:45 :P903i :ruBc5Y5o
#239 [我輩は匿名である]
「続いてエピローグ、これは物語の締めだね。
後日談的な感じでもいいし、ラストシーンをそのままエピローグにしてみても面白い」
「案外適当だな」
「適当でいいのさ。適当すぎてもダメだけどね。
プロローグと違ってキッチリ纏められればそれでいい」
「ふむふむ」
:08/12/28 17:45 :P903i :ruBc5Y5o
#240 [我輩は匿名である]
「よく『プロローグ書いたらエピローグも書かなきゃならない』って強迫観念にとらわれる人がいる」
「ん?」
「だが別にそうでもないのが小説だ。
掴みさえあれば締めはいらない、って人もいるし、終わりよければすべてよしと考える人もいる」
「作者次第ってわけか」
「うん。じゃあおさらいだ」
:08/12/28 17:45 :P903i :ruBc5Y5o
#241 [我輩は匿名である]
〜9章のおさらい!〜
「伏線は物語により大きな起伏を与える事ができる。
完成段階のプロットと照らし合わせて、不自然にならない程度に盛り込んでいこう」
「プロローグは読者を引き込む上で重要。
読者が『読んでみようかな…』と思うような文章を心がけよう」
「エピローグは綺麗に締めること」
:08/12/28 17:47 :P903i :ruBc5Y5o
#242 [我輩は匿名である]
「文章力で悩む人をよく見かける」
「ん?」
「初心者、上級者にかかわらずね。と言うわけで、次からは応用編だ」
「マジか」
「まぁ応用編ってほどでもないかな。
実力別の文章力向上講座だ」
>>228-242第9章 〜知っておきたい技法たち〜 完
次回は
第10章 〜文章力を上げよう!初級編…読者が『読む』文を作る〜
:08/12/28 17:52 :P903i :ruBc5Y5o
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