【携帯小説指南】全ての作家達へ【[投稿]を押す前に】
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#247 [我輩は匿名である]
第10章 〜文章力を上げよう!初級編…読者が『読む』文を作る〜
「文章力で悩む初心者は、『読む文』ではなく『読ませる文』になっている事が多い」
「どういうことだ?」
「小説は嗜好品だ。どの小説を読むかは、あくまでも読者側に決める権利がある。
書店に来た、あるいは携帯を開いた読者は、読みたいと思った小説を手に取って『読む』わけだ。
ところが文章力に悩む人は、読者が『読む』文ではなく、読者に『読ませる』文になっている場合が多い」
「マジか」
「読ませる文章を書かれると、読者には読む気すら起きないからね。
初級編では、『読む』文章を書くコツを教えよう」
:10/04/10 07:07 :P08A3 :SUA4jH56
#248 [我輩は匿名である]
10−1 文章に統一感を出す
「難解な単語、四字熟語や慣用句などの無駄な多用、文体の不揃い。
こういった文は読んでいて疲れる」
「漢字ばっかりだからか?」
「まぁそれもあるんだけど、何より全体を通して安定感が無いんだ」
「ほう?」
「1ページごとに文章を推敲する人は多い。だが、小説全体で推敲する人はあまりいない。
特に初心者に多いのは、文体の不揃い。『ですます調』と『である調』を一緒にしてしまったりね」
「確かにそれはよくあるな」
:10/04/10 07:08 :P08A3 :SUA4jH56
#249 [我輩は匿名である]
「口語と文語をごっちゃにしたりもよくある。
『とか』と『など』や、『だった』と『であった』とかね。
これらはページ単位で見れば気にならないんだけど、読み進めていくと無意識のうちに疲れてくる」
「疲れてくると飽きてくる、と」
「そうなるね。疲れてくると読むのが億劫になる。文章はできる限り統一した方がいい。
だが、あまり気にしすぎると単調な作品になってしまう。それだと今度はつまらなくなってしまうからね」
「ほどほどに、って事だな」
:10/04/10 07:09 :P08A3 :SUA4jH56
#250 [我輩は匿名である]
10−2 『心』を書く
「小説とは一体なにを書く行為なのか?」
「ん?」
「様々な意見がある。
だが歴史を書きたければ年表でいい。恋愛を書きたければ行動日記でいい」
「………」
「大切なのは、その渦中にある登場人物の『心の揺れ』だ。
文章力はあるのにつまらない、という人の小説は、だいたいこの『心』が欠けている」
「つまり?」
「歴史に奔放される一人の男の、世界に対する深い悲しみと落胆。あるいは、想い人へ日々募らせる、甘くも切ない一方通行の恋心。
そういった人間の感動、つまり『心』を書くためにあるのが小説だ。だが、この『心』を忘れる人がなかなか多い」
:10/04/10 07:10 :P08A3 :SUA4jH56
#251 [我輩は匿名である]
「心がないとどうなるのさ」
「では逆に聞こう。君から心が、つまり一切の感動が無くなったら、どうなる?」
「え?」
「素晴らしい映画を見ても何も思わない。愛する人が亡くなっても何も思わない。
仕事にやりがいも感じないし、遊んでいても楽しみを感じない。そんな人生、どう?」
「嫌だな。面白くない」
:10/04/10 07:10 :P08A3 :SUA4jH56
#252 [我輩は匿名である]
「『心』がない小説も同じだ。どんなに文章力があっても、そこに感動がなければ面白くない。
心理描写がない小説は『心』が無くなる。何も感じない、無表情な小説になってしまう」
「心理描写は大切だ、ってことか?」
「何度も言うようで申し訳ないけどね。でもこれは本当に大事なことなんだ。
『心』。いい言葉じゃないか。
忘れられがちだけど、小説を書くときは何があってもこれを忘れないようにね」
「把握したぜ」
:10/04/10 07:11 :P08A3 :SUA4jH56
#253 [我輩は匿名である]
10−3 言葉のバリエーションを増やす
「最近の若い人は言葉のバリエーションが少ない。語彙力が足りない、と言い替えてもいいかな。
そもそも、『語彙力』←読み方わかる?」
「ごいりょく、だろ」
「正解だ。文章の雰囲気や作品の質は、語彙力で決まると言っても過言ではない。
特に雰囲気に関しては、言葉の取捨選択で9割が決まる。
分かりやすい例がひらがなとカタカナだ。ひらがなは柔らかい印象を、カタカナは堅い印象を与える」
「ふむふむ」
:10/04/10 07:12 :P08A3 :SUA4jH56
#254 [我輩は匿名である]
「『好き』と『すき』と『スキ』では、印象が全然違うだろう?
たった2文字だけでも、キャラクターの年齢や性格、考え方まで出てしまう。
作者が描きたいキャラクターと言葉の出す雰囲気とが噛み合わないと、作品に違和感が出るんだ」
「なるほどな」
「言葉に絶対はないから、すべてにこれが当てはまるわけじゃない。
だが、最低限ひらがなとカタカナの使い分けぐらいきっちりできておかないと、いい文章なんて書けやしないね」
「把握した」
:10/04/10 07:13 :P08A3 :SUA4jH56
#255 [我輩は匿名である]
「言葉の入り口は目と耳だ。
目からは漢字、ひらがなやカタカナの持つ雰囲気など。
耳からは言葉遣いやイントネーションが入ってくる」
「覚えるのは大変そうだけどなぁ…」
「普段から少しだけ言葉に気をかけるようにすればいいさ。
新聞の一面だけでも読んでみるとか、テレビのアナウンサーの言葉遣いを注意して聞いてみるとか。
特に言葉遣いに関しては、時代と場所でガラッと変わるからね」
:10/04/10 07:15 :P08A3 :SUA4jH56
#256 [我輩は匿名である]
「時代ものだとセリフが変わるしな」
「うん。現代に限定しても、60代の人と10代の人とでは、同じ意味でも表現のしかたが全然違うだろう?
作中の時代や舞台、登場人物の年代なんかで言葉の選び方を変えなくちゃならない。
それに、地の文も変わってくる」
「マジか」
「例えば現代ものの、しかも若者の恋愛話の一人称なら、地の文もあまり固くせず読みやすくする必要がある。
だが三人称の歴史ものだったりしたら、略し言葉などの現代らしい言葉遣いもあまり使えないし、ひらがなも少なめにしないといけない。雰囲気が壊れるからね」
「ふむふむ」
:10/04/10 07:16 :P08A3 :SUA4jH56
#257 [我輩は匿名である]
「例えば、雪が降っているシーンがあるとしよう」
1:その日は朝から雪がちらついていた。
2:白い粉雪がゆらゆらと舞い降りて、積もるそばから消えていく。
3:白銀の粉粒が風の間を縫って舞い、軟着陸しては姿を消す。
:10/04/10 07:17 :P08A3 :SUA4jH56
#258 [我輩は匿名である]
「1はそのまますぎてそっけない。
2は一人称、3は三人称で使われることが多い。
2と3を見比べれば、同じ事実に2つの言い方があるのがわかるだろう?」
「『白い粉雪』と『白銀の粉粒』みたいな?」
「うん。2では柔らかい印象を与える言葉を、3では固い印象を与える言葉を使っている。
恋愛もので地の文が3だったら違和感があるだろう?」
「あるなぁ」
:10/04/10 07:18 :P08A3 :SUA4jH56
#259 [我輩は匿名である]
「その違和感が出ないような言葉選びを心がけなくちゃならない。
そのためには言葉のバリエーションを増やさないとね」
「さっき言ったみたく新聞読むとか?」
「何でもいいさ。とりあえず、言葉に気をかけるようにすればいい。
上司や先輩の話し方や新聞の記事、後輩に偉そうに話す自分、テレビに映る地方の人々の方言…いくらでもある。
知らない言葉をメモして調べてみたりすると効果的だね。
語彙力はあって損はないからね」
「なるほど、わかった」
「ではおさらいだ」
:10/04/10 07:18 :P08A3 :SUA4jH56
#260 [我輩は匿名である]
〜10章のおさらい!〜
「どの小説を読むかを選ぶ権利は読者にある。まずは読者が『読む』文章を心がけよう」
「あまり文章を難しくしすぎるな! 読者が疲れるぞ!」
「心理描写がない小説は薄っぺらくなる。簡単でもいいので、心理描写は必ず入れよう!」
「文章を書くときは、作品の雰囲気に合った言葉を選ぼう。そのためには日頃から言葉を意識するように! 語彙力があれば普段の生活でも役立つぞ」
:10/04/10 07:19 :P08A3 :SUA4jH56
#261 [我輩は匿名である]
「次は何をやるんだ?」
「10章のステップアップだ。10章の実技編と言ってもいいかもね。
『読む』文章を書く意識を持った上で、より分かりやすい・読みやすい文章の書き方を教えよう」
>>247-261第10章 〜文章力を上げよう!初級編…読者が『読む』文を作る〜 完
次回は
第11章 〜文章力を上げよう! 応用編…分かりやすい文章を書くために〜
:10/04/10 07:22 :P08A3 :SUA4jH56
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