夏祭り、恋花火
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#500 [七瀬]
 
ズキンズキン…

まだ頭は痛むけれど、
傍にある服を着始める。


「帰んの?」


『うん、
ちょっと疲れたし…』

「もぉちょっとおりぃや。」


『…』
 
 

⏰:09/04/10 20:53 📱:N703iD 🆔:M6Uf2VzY


#501 [七瀬]
「お願い。
もうちょっといて?」

黙っている私を見て、
手を合わせて言った。


もう…帰りたい。

『…ごめんね。』


「そっか。
なんか俺の方こそ、ごめんな。
しんどいのに、ワガママゆうて。」

淋しそうな笑顔に
少し後悔する。

⏰:09/04/11 01:30 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#502 [我輩は匿名である]
>>1-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500

⏰:09/04/11 08:02 📱:F905i 🆔:CY80YEAQ


#503 [我輩は匿名である]
>>500-600

⏰:09/04/11 08:13 📱:F905i 🆔:CY80YEAQ


#504 [七瀬]
匿名さん


ありがとう(*´∀`*)
 
 

⏰:09/04/11 10:18 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#505 [七瀬]
  
 
『ううん、
じゃ、またね』


奏の家を後にした。



外の空気が清々しい。




ああ…そうか。
 
 

⏰:09/04/11 10:21 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#506 [七瀬]
 
 
私、



酒から解放されたいんやなくって、







奏から解放されたかったんや…
 
 

⏰:09/04/11 10:23 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#507 [七瀬]
 
 
『ただいま。』


「おかえりー。」 


家へ入った瞬間、
目を見開く。

その訳は
声の主がお母さんじゃなかったから。


「まつり、久しぶり。」

『麻友ちゃん…』
 

⏰:09/04/11 11:13 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#508 [七瀬]
 
「朝帰り?
奏と上手くやってるみたいやな。」


『…どうしたの?
私になにか用?』

「そんなこと言いなやぁ。せっかく来てくれたんやから。
ね、麻友。」

台所からお母さんが出てきた。


「おばさん。
いいんですよー。」

⏰:09/04/11 11:17 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#509 [七瀬]
 
 
私は無言で部屋へ戻った。





「ごめんな、麻友。
あの子、なにをあんなに
つんけんしてんのか…」


「いいんですよ。
ほんまにいいんです。
ほんまに…ね。」
 
 
 

⏰:09/04/11 11:20 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#510 [七瀬]
 
なに考えてんの?

麻友ちゃん…



机の上で、ノートを開くものの頭に入らない。


なんだか、
今日はついてないかも。



夕方になって
私のイライラはもっと増すことになる。
 

⏰:09/04/11 11:25 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#511 [七瀬]
 
 
もう夕飯かな。

時計は6時を指していた。


『お母さん、
今日はご飯な…に』

って!
まだ麻友ちゃんいるの!?


「ああ、
今日は私が作ってん。
はよ座って食べ。」
 

⏰:09/04/11 13:34 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#512 [七瀬]
 
ニコニコ笑う麻友ちゃん。

「今日はまつりの好きなハンバーグやで。」

その笑顔に食欲を一気になくす。


「麻友は、ほんますごいなあ。
料理出来て、
気もよく利くし…
ええ嫁さんになるわ。」

お母さんは口をモグモグと動かしながら絶賛している。

⏰:09/04/11 13:37 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#513 [七瀬]
その、“ええ嫁さん”は
従姉妹の彼氏と浮気してたんです。

そうキッチンに立っている“ええ嫁さん”を見た。


「ほーんま誰かさんとは
大違いや。」

そうやって、お母さんが私を横目で見たのは言うまでもない。


食欲はすっかり無くなったはずなのに、肉の良い匂いが鼻を刺激して、またお腹がグーグー鳴りだした。

⏰:09/04/11 13:43 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#514 [七瀬]
 
「はよ食べぇや。」

変なプライドが邪魔してたけど、食欲には適わず…

お母さんにも促され、イスに座った。


見た目は完璧なハンバーグを口に含んだ。



まっ…負けた。

悔しいけど……美味しい。


味も完璧だった。

⏰:09/04/11 13:47 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#515 [七瀬]
 
「どう?味の方は…」


『完璧です。』


「フフ、ありがとぉ。」


ええ嫁なりますなぁ、
こりゃ。

うん、なるわ。


やっぱり
麻友ちゃんは完璧な女子大生だった。

⏰:09/04/11 13:51 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#516 [七瀬]
 
 
『ごちそうさま。
おいしかったあ〜!!』

私のお腹は満たされた。


「じゃあ、私もうそろそろ帰ります。」

洗い物を済ませた麻友ちゃんはタオルで手を拭きながら言った。



「あら?もう帰るの?」

少し残念そうなお母さん。

⏰:09/04/11 13:54 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#517 [七瀬]
 
「はい。
明日も早いんで…」

「そう…
なんか色々ありがとねぇ。あ、そうだ!
まつり、駅まで送ってあげなさい。」


『ええーっ!?』

やだやだ!
いくら麻友ちゃんが
美味しいハンバーグを作ってくれても…

本性は……
 

⏰:09/04/11 13:59 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#518 [七瀬]
 
『いやっ、その…
食べたばっかやし…』

「なにゆうてんのよ。
いっつも夕飯食べた後は
“太る太る!”
って騒いでるやんか。」


確かに…そぉやけど……


「運動がてら、歩いて麻友を駅まで送ってあげたらえーやん。」

同意を求めるように
麻友ちゃんを見るお母さん。

⏰:09/04/11 14:04 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#519 [七瀬]
 
「そうやなあ。
じゃっお願いしよっかな」

ニコッと笑う麻友ちゃん。



やはり麻友ちゃんは
一枚上手だ。




こうして麻友ちゃんを
送るハメになってしまった。
 

⏰:09/04/11 14:31 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#520 [七瀬]
 
 
『…なあ。』

家を出てから、
驚くほどなにも話さない
麻友ちゃん。

ほんっと分からへん!
なに考えてんのやら…


「なに。」

たった一言。



…なんか怒ってはります? 

⏰:09/04/11 14:35 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#521 [七瀬]
 
 
う〜ん、
やっぱり奏のことか…


『…あの〜、え〜っとぉ…なんかごめん…』

「なにが?」


『……奏のこと。』


「別に。」 
 

⏰:09/04/11 14:38 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#522 [七瀬]
 
また沈黙が続く。



とゆうより!

なんで私が謝ってるわけ!?


浮気したのは麻友ちゃんやんか!!


後になってから気付く
自分も自分やけど…

ああ〜っ!

ムシャクシャする。

⏰:09/04/11 14:41 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#523 [七瀬]
 
「うまくいってるの?
…奏と。」


遊希と同じこと聞いてくるなぁ。

「ま、朝帰りするくらいやから、うまくいってるんやろなあ。」


また遊希と似たようなこと言う。


『…』
 
 

⏰:09/04/11 14:45 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#524 [七瀬]
 
やっぱりなにも
答えられへん私。


「なんで黙ってるん?」

少し声が大きくなった。

「うまくいってるんやったら、そぉ言えば?
それともなに?
気ぃ遣ってるわけ、私に。そぉゆうとこ、ほんまムカつくっ!!」


『別に
そうゆうわけじゃ…』
 

⏰:09/04/11 14:49 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#525 [七瀬]
 
思わず、言葉を飲み込んだ。


だって…



麻友ちゃんが泣いてたから。


『まっ麻友ちゃん!?』


「なんで…なんよ。」

弱々しく響く声。
 

⏰:09/04/11 14:51 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#526 [七瀬]
 
 
いつも強気な麻友ちゃんが泣いてる。


「私…っ、
ほんまに好きやねん…
そ…うが……」


途切れ途切れ聞こえる
“奏”の名前。


麻友ちゃんが、こんなに想っている奏を

私は今日“解放されたい”と思った。

⏰:09/04/11 15:05 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#527 [七瀬]
 
私は…なんて愚か者なんだろう。



こんなに好きでいてくれる人がいても
私を選んで愛してくれてる“奏”がいるのに…


幸せ者のはずなのに。



私は愚か者。
 
 

⏰:09/04/11 15:10 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#528 [七瀬]
 
 
だって


私が愛してほしい人は


奏じゃないから。




私の愛したい人は



きっと…
 
 

⏰:09/04/11 15:12 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#529 [七瀬]
 
 
 
 
『別れよう。』


奏の目が見開かれ、
すぐに優しい目になった。

「わかった。」


空気が重たい。

『ありがとう。』


「こちらこそ…ありがとう」 

⏰:09/04/11 15:17 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


#530 [七瀬]
 
正直…意外だった。


別れを切り出したら
絶対に怒ると思ったから。


「最後くらい笑って。」

『ご…めん。グズッ』

頭を撫でてくれる。


“笑って”なんて
無理に決まってるやん。

なんで…そんなに優しいんよ……

⏰:09/04/11 15:21 📱:N703iD 🆔:EJWDtS.g


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